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ミステリの祭典

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SUさんの登録情報
平均点:5.91点 書評数:75件

プロフィール| 書評

No.15 7点 あの本は読まれているか
ラーラ・プレスコット
(2022/12/18 22:40登録)
冷戦下のソ連において発禁処分となった詩人・ボリス・パステルナークのノーベル賞受賞作「ドクトル・ジバゴ」を東側の圧政の証としてCIAがソ連国内で流通させようとしたという実話からとられたエスピオナージ作品。
一冊の小説が体制を揺るがす武器になると信じる人々へのロマンもさることながら、CIAの中では下に見られがちなタイピストたちやパステルナークの愛人など女性たちを主人公に、冷戦という女性やマイノリティといった被差別者が抑圧されやすい状況下において、彼女たちがいかに戦い、生き方が克明に描かれている。


No.14 6点 死んでもいい
櫛木理宇
(2022/11/23 20:21登録)
よくぞここまでと言いたくなるくらいに嫌なシチュエーションのもとで話を展開させ、思いがけない地点にフィニッシュを決めて見せる。特に「彼女は死んだ」で使われる「いい人」「やさしい人」といった言葉のニュアンスが印象的。
なお、収録作はそれぞれ独立した内容ながら、竹本健治の「ウロボロス」シリーズや澤村伊智の「恐怖小説キリカ」を想起させる巻末の「タイトル未定」だけは最後に読んでいただきたい。


No.13 5点 突破口 弁護士アイゼンベルク
アンドレアス・フェーア
(2022/11/23 20:12登録)
交際相手を自作の爆弾で殺害したという容疑で逮捕されたテレビドラマ・プロデューサーの弁護と真犯人の捜査を描く作品。五年前に起きた事件と現在を描くことで明らかになるつくりはサスペンスフル。
ラヘルが探偵バウムという男を雇うことで、法廷ではなく捜査が主体になり物語が進んでいくため、法廷ミステリを期待すると肩透かしを食らうかもしれない。


No.12 6点 暗黒館の殺人
綾辻行人
(2022/11/23 20:02登録)
怪しげな住人、いわくありげな儀式、嵐で閉じ込められ孤立、連続殺人、密室、出生の秘密など「お約束」を斜に構えたりせず、大上段に振りかぶって斬り下ろす。真正面から堂々と、重厚長大、しかも大ネタ炸裂。
前作を読んでいることが前提となるトリックはいかがなものかとか、幻想的色彩が強く本格ミステリとしてはどうなのかという批判もあったそうだが。


No.11 8点 ユダの窓
カーター・ディクスン
(2020/10/04 09:22登録)
密室トリックは、ある予備知識を持っているかどうかで、解明に意外性が伴うか否かが分かれるトリック。個人的には感心しない。しかし、ストーリー・テリングは巧み。


No.10 7点 シンプル・プラン
スコット・B・スミス
(2020/09/13 08:48登録)
大金を見つけた3人がネコばばしようとして、ドツボにはまるというサスペンス・スリラー。人間心理の怖さを、じっくりと堪能させてくれる。特に主人公の妻であるサラの変貌が薄気味悪く興味深い。


No.9 4点 モルグ街の殺人
エドガー・アラン・ポー
(2020/09/05 19:13登録)
説明のつかないような事柄に説明がついたように思いこませようとする。探偵の直観による、単なるまぐれ当たりに過ぎないものを推理だという。その典型的な例。歴史的意義を認めプラス1点。  
何か面白いミステリ小説を教えてといわれ、これをすすめる人はいないだろう。


No.8 8点 貴婦人として死す
カーター・ディクスン
(2020/08/16 18:08登録)
個性的なキャラクターが事件発生から解決まで、やたらと騒ぎを起こしてくれるので飽きることがない。ラブロマンス要素を含めたドタバタコメディでありながら、トリック・ロジックともに良く出来ている。


No.7 3点 殺戮にいたる病
我孫子武丸
(2020/08/02 18:51登録)
気持ち悪い。エログロ描写に耐性のない人には、とてもオススメ出来ない。叙述トリックとして優れていることは認めます。しかし、もっとやり方あっただろう。


No.6 6点 キッド・ピストルズの醜態
山口雅也
(2020/07/13 18:11登録)
濃密な仕掛けとねじくれた趣向に満ちあふれている。


No.5 5点 北半球の南十字星
沢村浩輔
(2020/07/06 17:16登録)
誘拐された提督を救うため、若き海軍大尉が潜入したのは謎の青年リスター率いる海賊集団。海賊の長を狙う連続殺人の真意は?海洋冒険小説と本格推理小説が融合していている。


No.4 5点 帝都探偵大戦
芦辺拓
(2020/06/08 17:28登録)
帝都東京。犯罪者たちと名探偵たちが繰り広げる死闘を、江戸、第二次世界大戦前、そして戦後と三つの時代を通して描いている。本格愛を極限まで注いだパスティーシュ。リーダビリティーに難あり。


No.3 5点 人魚と十六夜の魔法
白鷺あおい
(2020/06/02 18:37登録)
高等部に進級した綾乃のクラスにロシアから転校生が。その頃から学院内で奇妙なことが起こり始める。妖怪と人間が学ぶ魔女学校を舞台にした、愉快な学園ファンタジー。


No.2 7点 晴れ時々、食品サンプル
青柳碧人
(2020/05/23 17:30登録)
食品サンプルコレクターの告別式で、なぜ食品サンプルがばらまかれたのか?マニアックなコレクター探偵が挑む五つの事件。謎解きもお宝にまつわる雑学も楽しいミステリ。


No.1 10点 アンドロイドは電気羊の夢を見るか?
フィリップ・K・ディック
(2020/05/11 18:07登録)
これには驚いた! この時代に書かれたとは信じられないほど。SFは苦手だけど、これは良かった。

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