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ミステリの祭典

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巡礼たちが消えていく

作家 ジョン・フラー
出版日1994年09月
平均点5.00点
書評数1人

No.1 5点 SU
(2023/01/31 22:40登録)
舞台となるのは、中世と思しき時代のある孤島。この島には、奇跡を起こすと信じられている聖リューダットの井戸と、それを守るべく建てられた修道院がある。多くの巡礼者たちがこの島で消息を絶ったまま戻ってこなかったのを知った司教の命を受け、ヴェーンはその調査を行うために島へやってきた。
本書は自己探求の物語というわけではないが、ジャンルを越えたポストモダン的な作品である。そう聞くと、ミステリと同じものを期待して不満をを覚える人がいるかもしれない。しかし、中世の孤島で繰り広げられる、生と死をめぐる怪奇小説といったように受け取ってしまえば魅力的でもある。何よりも、死の香りを放ちながら横たわる孤島の黒い影と、そこから旅立っていく恋人たちの対照的な姿は深く印象に残るだろう。

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