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ミステリの祭典

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zusoさんの登録情報
平均点:6.20点 書評数:266件

プロフィール| 書評

No.26 7点 怒り
吉田修一
(2020/09/28 19:36登録)
人を信用することの難しさや脆さ、人が抱く怒りとは何かを、丁寧にすくい取っている。


No.25 6点 いまさら翼といわれても
米澤穂信
(2020/09/12 19:28登録)
爽やかだけじゃない青春、その輝きは痛みを伴っている。誰もが共感できる青春時代の心理描写や作品と一緒に成長していくキャラクターから目が離せなくなる。


No.24 9点 マツリカ・マトリョシカ
相沢沙呼
(2020/08/27 20:28登録)
主人公の柴山君だけでなく、過去に囚われている人たちがマツリカさんを含め何人か登場する。そしていつの間にかそれぞれが、かけがえのない存在になっていく。青春ものとしても楽しめるし、殺人は起こらないがミステリとしても美しいロジックが堪能できる。


No.23 5点 盤上の向日葵
柚月裕子
(2020/08/04 18:34登録)
棋士たちの身を削るような生き様にぐいぐい引き込まれていき、将棋の真剣勝負はただならぬ緊張感が伝わってきて胸が苦しくなるほど。
重く深い主人公たちの人間ドラマと哀しいミステリの結末が心に染みる。


No.22 9点 聯愁殺
西澤保彦
(2020/07/29 20:28登録)
複数探偵による推理合戦は作者が自家薬籠中のものとしている魅力的なシチュエーション。これまた、と思わせておいて結末で見せるどんでん返しの凄まじさ、論理のアクロバットだけで読ませて、かつ面白い。


No.21 7点 マレー鉄道の謎
有栖川有栖
(2020/07/20 18:11登録)
立場の逆転により咄嗟に密室を構成した仕掛け、コップや手袋など小道具を巧みに配して、芸の細かいところを見せてくれる。


No.20 6点 星籠の海
島田荘司
(2020/07/09 20:21登録)
奔放な想像力で現在と過去を結びつける剛腕ぶりに唸るばかり。上下巻の大作だが読み始めたら止まらない。


No.19 5点 サブマリン
伊坂幸太郎
(2020/07/02 18:54登録)
ちょっと馴染みのない仕事、少年事件を扱う家裁調査官の物語。
少年たちが起こした、正義と悪が交差する犯罪。世の中の不条理に息苦しくなる。けれど、そこ伊坂作品。面倒くさいけど愛すべき登場人物たちに救われる思いがする。


No.18 6点 リボルバー・リリー
長浦京
(2020/06/25 19:34登録)
息をつかせぬ逃亡劇、銃撃戦、頭脳戦。圧倒的に不利と分かっていても、仁義を貫く百合の男気に惚れます。


No.17 6点 貴族探偵対女探偵
麻耶雄嵩
(2020/06/18 20:05登録)
多重解決パターンを踏襲しながら、二人の立場と役割のギャップを際立たせる趣向が心憎い。


No.16 7点 祈りの幕が下りる時
東野圭吾
(2020/06/12 19:35登録)
先の読めないプロットに加え、運命に翻弄されていく人間の悲しさも浮き彫りにされていく。作者の充実ぶりを証明している。


No.15 5点 喝采
藤田宜永
(2020/06/07 16:11登録)
古き良き昭和の時代とチャンドラーにオマージュを捧げた、スタイリッシュなハードボイルド。やや冗長に感じる。もう少しコンパクトにまとめてほしかった。


No.14 5点 ユートピア
湊かなえ
(2020/06/01 19:52登録)
悪人による悪事より、善人による偽善行為のほうが、厄介なのではないかと考えさせられる心理ミステリ。


No.13 5点 リカーシブル
米澤穂信
(2020/05/25 18:12登録)
町と住民の間に流れる不穏な空気の描写が印象的なホラーサスペンス。


No.12 6点 出版禁止
長江俊和
(2020/05/12 19:18登録)
想像すると吐き気を催すような描写があるにはある、そういう怖さです。ホラーとしての怖さとは少し違う感じがする。最後は気持ち悪く裏切られました。


No.11 6点 月と蟹
道尾秀介
(2020/04/24 18:31登録)
主人公は父親の故郷である海辺の町で、祖父、母親と暮らしている小学五年生の慎一。
子どもが生きている世界はとても狭くて逃げ場がない。だから、いろんな逃げ道を有している大人から見れば、些細な葛藤や悩みだって、小さな世界に閉じ込められている子供たちにとっては一大事。この小説の行間からは、そんな子供の行き場のない思いや声にならない悲鳴が聞こえてくるのです。
的確かつ新鮮な比喩を巧みに織り込んだ繊細な文章と、人間心理に対する深い洞察力に驚いた。


No.10 8点 私という名の変奏曲
連城三紀彦
(2020/04/16 19:34登録)
この作品の魅力は、正体不明の犯人にヒロインが殺される冒頭から真相のどんでん返しとなるべき一部が読者に提示され、なおかつ作者も誰が犯人だか書き上げても、分からないというような凝った仕掛けと、ヒロインの哀しい肖像が鮮やかなところにある。


No.9 7点 四人の女
パット・マガー
(2020/04/09 20:19登録)
人気コラムニストが、前妻、現夫人、愛人、フィアンセの四人の女のうちの誰かを殺そうとする。読者はだれがいつ殺されるのかを考えながら読みます。
本格ミステリという評価軸から離れれば、ロマンス・ミステリとしてほぼ完璧。


No.8 9点 黄色い部屋の謎
ガストン・ルルー
(2020/04/01 15:13登録)
密室トリック、人間消失での心理トリック、そして意外な犯人と、三拍子揃った名作中の名作。黄金時代の乱歩ベストテンで唯一のフランス作品。


No.7 8点 火車
宮部みゆき
(2020/03/17 20:23登録)
婚約したばかりの女性が突然失踪した、調べてみると、一度「自己破産」をやっていた、そして次々に謎が出てくる、この女性は一体誰なのか。そして休職中の刑事を中心に、調査が進むにつれてとんでもない事実が明らかになってくる。
なぜ、平凡な人間が、犯罪を犯してしまったのか、それは社会や経済の仕組みに原因があるともとれる。犯人自体も被害者だというわけです。
ここに住宅ローンの破綻、消費者信用や自己破産の問題と絡んできて、なかなか勉強になります。啓蒙的な経済小説としても読めます。

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