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ミステリの祭典

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ユートピア

作家 湊かなえ
出版日2015年11月
平均点5.20点
書評数5人

No.5 5点 zuso
(2020/06/01 19:52登録)
悪人による悪事より、善人による偽善行為のほうが、厄介なのではないかと考えさせられる心理ミステリ。

No.4 5点 E-BANKER
(2018/08/25 16:39登録)
2014年より「小説すばる」誌に順次掲載されたものを2015年に単行本化した本作。
海辺の小さな田舎町・鼻崎町を舞台とした作者らしいテイスト溢れる作品。

~太平洋を望む美しい景観の港町・鼻崎町。先祖代々からの住人と新たな入居者が混在するその町で生まれ育った久美香は、幼稚園の頃に交通事故に遭い、小学生になっても車椅子生活を送っている。一方、陶芸家のすみれは、久美香を広告塔に車椅子利用者を支援するブランドの立ち上げを思い付く。出だしは上々だったが、ある噂がネット上で流れ、徐々に歯車が狂い始め・・・。緊迫の心理ミステリー~

点数を付けるとするなら、67点くらいになるかな・・・
何となくそれだけで作品の出来不出来を察することができるのではないか。
でも売れているのである。文庫落ちになって、ランキング上位を賑わしている本作。
これはやはり、湊かなえという作家に対する信任度or信頼度なんだろう。

確かにそれほどハズレはない。今までも、そして本作も。
というわけで本筋なのだが、要は「女はややこしい」という思いを更に強くさせられる話。
プライドやら疑いやら自信やら過信やら・・・
作者はそんな醜い人の心を容赦なく表現していくし、読んでる方としても「そうなんだろうな・・・」って思わされてしまう。
特に、子供が絡むと、女性は更にややこしくなる。
「子供」というフィルターを通しての意地とプライドのぶつかり合い、なんてどこにでもある光景だと思う。

ってことで、世の男性(特に夫)は、たいがい「やれやれ・・・」と思わされるのだ。
ただ、それが態度にあからさまだと、ものすごい反撃をどこかでくらうことになる。
でもこういう平和な環境だと、どうしても女性中心に世の中が回ってしまうのは致し方ないところ。
一方的に攻撃されないよう、常に反撃できる準備はしておかねば・・・

で? 本筋は?
うーーん。結局、「雨降って地固まる」というお話・・・かな?
地球のどこにもユートピアはないけど、どこでもユートピアにできる・・・ということかもしれない。(なんて曖昧・・・)

No.3 6点 小原庄助
(2017/07/23 11:01登録)
海辺の町で出会い、ボランティア基金「クララの翼」を設立した3人の女性の葛藤に過去の殺人事件を絡めている。
変な言い方になるが、悪意が潤滑油となって抑圧していた欲望が解き放たれてドラマが加速し、対立が激化していく。
心理小説的な側面が強く、女性たちの居場所探し、理想郷を求める感情のねじれ具合を丁寧に捉えている。
菜々子と光稀の娘たちの絆の強さが、秘められた事件の真相を露にする終盤の展開がなかなか面白い。

No.2 5点 測量ボ-イ
(2016/08/29 20:24登録)
う-ん。リ-ダビリティにやや欠けるかな?
ミステリ的要素は、最後の子供の告白文だけのような感じで、小生ならず
とも、「エッ、これだけ?」という感想になるでしょう。
良い面では、女性3人の表面上仲良くしている(ように見える)が、実は
・・・という微妙な関係が上手く描かれています。
このあたりは、女性作家ならでは。

No.1 5点 白い風
(2016/03/06 23:22登録)
久し振りに初期の頃のような後味の悪い内容でしたね(笑)
(と言っても『告白』などのレベルではありませんが)
メインの女性3人がちょっと事件との関わりが薄かったのが残念ですね。
それに最後に一気に話をまとめた感があったのも少し残念だったかな。

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