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ミステリの祭典

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出版禁止

作家 長江俊和
出版日2014年08月
平均点6.25点
書評数12人

No.12 7点 斎藤警部
(2026/06/30 23:50登録)
さあ、何処の誰を疑って行こうか。 しかし、誰の何が何処に在るというのか? 綻びの端緒はいくらでも在りそうだが、話の態度が正々堂々とし過ぎて、どこに欺瞞看破の仮基地を建てて良いやら分からない。 こいつはいい。

有名女優を妻に持つ著名ドキュメンタリー映像作家が、その秘書の若い女性と心中事件を起こし、亡くなった。 生き残った女性へのインタビューに臨むのが、本作の主人公たる若いライターの男だ。
映像作家にはその過激な作風で権力筋の敵も多かったと噂され、心中を装った謀殺ではないかとの疑いも出た。 一方で、明らかに心中である証拠映像が残されていると言われており、だがその映像は警察が握ったままであるとの説もある。
真相の深層はどうやら闇の底である。

「あらかじめお断りしておきますが、非常にショッキングな映像です。 よろしいでしょうか」

いやいやいや、そりゃあ禁止になるわなあ、納得だ。 新潮社さんも頑張ってくれたじゃないの。
空白の一ページにドキリとしたり、思わずスマホで××辞典やそれに準ずるモノを当たってみたりしてね。 まあ、正解はアレのアレでいいのかな?
そうこうしてるうちに、インタビュアーの主人公と、インタビュイーの女性との間に、新しい微妙な関係性が芽生えて来るわけです。

“もしかしたら、騙されているという可能性はないですか?”

マジックの××を逆手に取った風の先手必勝トリックとか、連城に太宰のアレもアレよアレよと置き去りにして。。 最後、読者に向かってナイフ両手に突進するが如くの大反転にはやられました!! 怖かった!! 最後の最後で◯◯の◯◯が最前面に顔を出して来るとはな。。(← この理解で合ってますよね?) 数行前に大ヒントの地ならし(または単に暴露)をしておいたのは、あたら反転の衝撃を湿らせるのではなく、一発理解のための補助としての役割ですね。

派手な叙述ギミックは、まあそんなもんでしょうと言った所でしたが、叙述トリックの方は、見せ方こそちょいと(読了して振り返ると)乱暴だったりぎこちない所があるにしても、その内容というか、意図する所はちょっと凄いと思います。
あの渋い “会談” のシーンなんか、読み返しながら何度もアゴを撫でてしまいます。
物語にもっと分厚いリアリティ、ヒリヒリする当事者感覚が備わっていたら、軽く8点行ったと思いますね。

No.11 6点 いいちこ
(2026/06/26 10:31登録)
作中作という時点で身構えているから、どうしてもハードルが高くなる。
そのうえで、さまざまな仕掛けがあまりにもわかりやすく(「新藤七緒」はともかく、「若橋呉成」は逆効果以外の何物でもない)、よく考えられているものの、大きなサプライズにはつながっていない。
6点の下位

No.10 6点 まさむね
(2022/09/25 21:15登録)
 グイグイ読まされました。一方で、何かスッキリしない印象もあったかな。根本となる設定の一部に釈然としない所があるのですよねえ。敢えて多くは書かないですけど、私だけなのかなあ?それとも私の読み方が足りなかっただけなのかな。

No.9 7点
(2022/09/15 20:41登録)
ルポルタージュの中で物語が進行していきます。読みやすく一気に読み終わりました。
各所にちりばめられた伏線は概ね作者が解説していくのですが、解説が終わった最後にも伏線があることに自分では気づけませんでした。

No.8 6点 よん
(2021/11/29 14:52登録)
安全地帯にいたはずが、いつの間にか当事者となり命の危険にさらされる。
五感に訴えかける描写が恐怖を煽る短編集。

No.7 5点 虫暮部
(2021/05/04 12:05登録)
 こういう入り組んだ構成も今となっては一つのスタイルとして確立されちゃっているので、先行例を踏まえた上での工夫が求められると思うのだ。前半のルポ部分は素直に楽しめたが、風呂敷を最後まで畳み切らないまま放り出してしまったような結末だ。
 取材の依頼者って誰。私が見落とした?

No.6 6点 zuso
(2020/05/12 19:18登録)
想像すると吐き気を催すような描写があるにはある、そういう怖さです。ホラーとしての怖さとは少し違う感じがする。最後は気持ち悪く裏切られました。

No.5 4点 E-BANKER
(2019/04/27 12:49登録)
作者は元々映像作家。深夜番組「放送禁止」シリーズは熱狂的なファンを生み出した・・・とのこと。
残念ながら、そこら辺はまったくといっていいほど疎いのだが・・・
2014年発表。

~著者・長江俊和が手にしたのは、いわくつきの原稿だった。題名は「カミュの刺客」、執筆者はライターの若橋呉成。内容は有名なドキュメンタリー作家と心中し、生き残った新藤七緒への独占インタビューだった。死の匂いが立ち込める山荘、心中のすべてを記録したビデオ。不倫の果ての悲劇なのか。なぜ女だけが生還したのか。息を呑む展開、恐るべきどんでん返し。異形の傑作ミステリー~

想像していたものではなかった。或いは「好み」ではなかった。
ひとことで終わるなら、“以上!”ということになる。
他の方の評価が割と高いのでびっくりしたが、個人的にはその面白さが分からなかった。
ジワジワくるんですかねぇ・・・?

本作は「カミュの刺客」という作品の入れ子構造というか、いわゆる作中作になっている。
これだけで、もう何らかの「仕掛け」があるのだろうと身構えてしまうが、最終段階になって明かされる真実にそれほどの衝撃はない。
そうか。そういう意味ではジワジワくるのかもしれない。
一読しただけでは分からない、背中がザワザワする感覚。
それが楽しめるのなら手に取る価値があったということかも。

まぁ確かに、山荘での若橋の行動を想像すると、薄ら寒い感覚にはなる。
なにしろ「出版禁止」になったのだから・・・
ただ、高い評価にはならないかな。あくまで「好み」の問題です。
(「ホラー」という感じでもないけど・・・)

No.4 7点 ボンボン
(2017/07/30 13:02登録)
あぁ、気分が悪い。本当に不快。ホラーっぽいところではなく、精神的な粘っこさにやられた。
しかし、確かにうまい。重要な情報が作品全編にちりばめられていて、興味が逸れることなく一気読みできる。
本編である問題のルポルタージュと、その出版に向けた事後調査という外枠。「序」の段階から提示されるこの外枠自体も本書の著者自身によるルポになっており、あくまでも、ノンフィクションの体裁を貫く構成が新鮮で面白い。
また、「カミュの刺客」「視覚の死角」「児戯のごとき仕掛け」など、キーワードの置き方が絶妙。観念的な話にみせかけて、意外にがっつりミステリだった。
到底好きな作品とは言えないが、評価しない訳にはいかないハイレベルな出来。

No.3 7点 haruka
(2017/07/02 16:48登録)
これは怖い。伏線の張り方も上手く、登場人物の狂気と合わさってラストでガツンと食らった感じ。

No.2 7点 パンやん
(2016/04/04 10:30登録)
面白い、一気読み!心中したドキュメンタリー作家の真相を追うルポライターの顛末を描いたものであるが、フィクションと思えぬほどのリアルで繊細な描写が素晴らしく、このライター同様、小生自身の恋愛をも思い出すほどであった。唯々、堕ちていく男の性が哀しい。

No.1 7点 メルカトル
(2014/12/24 22:25登録)
以前から気になっていた一冊。行きつけの二軒の書店双方に平積みされているのを横目で見ながら、なかなか踏ん切りがつかなかったが、ついに購読に至った。なんと言っても、そのいかがわしそうなタイトルに惹かれての読了だったが、面白かった。
読者を選ぶのかもしれないが、読んでいてとても引きつけられるものを感じた、その吸引力は本物と言ってもよいだろう。
ストーリーの本筋はいたってシンプルで、ルポライターの私こと若橋呉成(仮名)がある有名人男性とその不倫相手の心中事件に疑問を抱き、死にきれなかった不倫相手に取材を行っていく。それを原稿化しまとめ上げたものがルポルタージュとして丸ごと作品に取り込まれている。そのルポが本作の大部分を占めているのである。言わば作中作の形式を取っているわけだ。
前半はすんなり読める代わりに、それほどの盛り上がりはない。終盤に至って本編の真骨頂とも呼べるような、いかがわしく不気味な本性を現す。これ以上はこれから読もうとする方のために控えるが、読者によっては怖いとか気持ち悪いとかの感想を抱くことだろう。その辺りが許容できる人にとっては、至福のひと時を過ごせるのではないかと思う。
後味はよくないが、問題作なのは間違いないだろう。年間ベスト10入りしてもおかしくないような充実した内容の傑作だと、個人的には感じる。

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