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ミステリの祭典

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八二一さんの登録情報
平均点:5.76点 書評数:397件

プロフィール| 書評

No.357 6点 永遠の森
菅浩江
(2024/01/06 20:41登録)
地球と月の動力均衡点に浮かんだ博物館惑星「アフロディーテ」が舞台。
描かれる謎と解決はミステリの醍醐味に満ち溢れ、物語はこの上なく叙情的で、心が洗われる美しい作品。


No.356 5点 ソロモンの犬
道尾秀介
(2024/01/06 20:35登録)
いたいけな少年の事故死とその母の自殺。その裏に隠れているものを、迷いながら探り出そうとする大学生たち。彼らの心象風景はとても切ない。少々奇矯な動物行動学の教授がとても魅力的。


No.355 7点 死のチェックメイト
E・C・R・ロラック
(2024/01/06 20:32登録)
灯火管制の敷かれているロンドンのアトリエリ、特別警察官がたったいま隣で起きた殺人事件の犯人を捕まえたと飛び込んでくる、ドラマティックな冒頭の章から、物語に引き込まれる。
ミスディレクションの巧みさ、サプライズ・エンディングの演出のうまさが光る。


No.354 5点 ナキメサマ
阿泉来堂
(2023/12/16 20:27登録)
辺境の村に伝わる儀式をめぐる恐怖譚。
人物描写に粗さが目立つが、数段構えのミステリ趣向を活かす上で仕方ない面も。女怪の暴れっぷりが、いい意味で悪趣味。


No.353 6点 おれたちの歌をうたえ
呉勝浩
(2023/12/16 20:23登録)
少年時代を共にした男女五人が昭和、平成、令和と送ってきた人生を、四〇年に及んで未解決の事件に絡めて語った大河ミステリ。
仲間の一人の死を糸口に過去の遡る形でいくつもの時代を描いているが、その切り取り方が鮮やかである。さらに、物語の重厚さと登場人物たちの存在感にも圧倒される。


No.352 5点 入れ子の水は月に轢かれ
オーガニックゆうき
(2023/12/16 20:15登録)
沖縄の歴史を背景として、連続する怪死事件を描いたアガサ・クリスティー賞受賞作。
正直なところ洗練されているとは言えないが、過去と現在、そして沖縄と本土と海外とに目配りして物語を編む視野の広さと構成力は得がたい。


No.351 7点 神薙虚無最後の事件
紺野天龍
(2023/12/16 20:11登録)
錬金術が存在する架空の世界で起きた密室殺人事件を描いた本書は、異世界の設定が明快で、論理遊戯を存分に愉しめるように仕上がっている。
ホームズとワトスンを演じる二人組もチャーミングだし、真相も映える。


No.350 5点 死者と言葉を交わすなかれ
森川智喜
(2023/12/16 20:07登録)
浮気調査を依頼された探偵が、ターゲットの車に盗聴器を仕掛けたところ、彼が死者と会話していたらしい音声を記録してしまった。
共感できない登場人物も何人かいるのだが、丁寧かつ大胆に張られた伏線が導く驚きはまずまず。


No.349 6点 アマチャ・ズルチャ 柴刈天神前風土記
深堀骨
(2023/11/26 20:32登録)
中短編8編と奇怪な後書き、摩訶不思議な挿絵で構成されている。
ミステリという枠では収まらない、不思議な小説。彼の独特な言語感覚、表現センス、物語のリズム全てが常識の範疇にない


No.348 6点 アルコォルノヰズ
飯野文彦
(2023/11/26 20:30登録)
グロテスクで背徳的な奇想とねちっこい描写力、そして細部にまでテクニカルにこだわりながら、なお勢いを殺さぬ文体による語り。その中で主人公が破滅に向かっていく。息苦しく憂鬱この上ない。ネガティヴな心理描写は当代随一。


No.347 5点 廃屋の幽霊
福澤徹三
(2023/11/26 20:27登録)
オーソドックスな題材を扱いながら、登場人物のバックグラウンドや心理をじっくり書き込んでいるモダンホラー。
怪異と登場人物のネガティヴな感情との相乗が、冷たく鬱々とした雰囲気を増幅している。


No.346 5点 あらゆる薔薇のために
潮谷験
(2023/11/26 20:25登録)
難病治療の後遺症として薔薇形の腫瘍を持つ人々が襲われる事件の謎を探るミステリ。
腫瘍の性質をロジカルに突き詰めてゆく謎解きも面白いが、終盤にSFとして思わぬ飛躍を見せる。


No.345 5点 幻告
五十嵐律人
(2023/11/26 20:23登録)
リアルな法廷シーンから知る、人が人を裁く難しさ。過去と現在を行き来して、まだ見ぬ明日を切り開く。暴かれる人間の本性に、感情の揺らぎが止まらない。
高密度に凝縮された著者の決意と覚悟が伝わる物語。


No.344 5点 CF
吉村萬壱
(2023/11/06 19:20登録)
あらゆる責任を無化してしまう巨大企業セントラル・ファクトリーが稼働する日本の話。
政府からマスコミ、企業、国民まで、何かと責任の所在を曖昧にし、結局誰も責任を取れない社会への疑問を、CFという奇想を通じて浮き彫りにしている。


No.343 6点 あの本は読まれているか
ラーラ・プレスコット
(2023/11/06 19:17登録)
東西冷戦下、ソ連国内で禁書となった反体制的小説「ドクトル・ジバゴ」を国民に密かに流布し、政府への批判的世論を形成しようとする。
CIAの作戦を巡り、タイピストの女性たちと、作者パステルナークの愛人として生涯を捧げたオリガの物語が、政治的分断を越えて共鳴する。小説が武器になり、文学に歴史を変える力があるという強い信念に揺さぶられる。


No.342 5点 夜がうたた寝してる間に
君嶋彼方
(2023/11/06 19:13登録)
時間停止や瞬間移動などの能力を持つ者が、一万人に一人生まれる世界を描いた青春小説。
超能力×思春期の葛藤は王道の組み合わせだが、過剰な自意識や悲壮感は薄く、現代の青春小説としてちょうど良い温度が保たれている。


No.341 6点 灰かぶりの夕海
市川憂人
(2023/11/06 19:10登録)
死んだはずの恋人と再会したという不可解な状況を中心にしつつ、殺人とその背後の事情を描く。
クライマックスで明かされる事実が物語を書き換えてしまうさまが鮮やかだ。コロナ禍という現実を巧妙に扱ったミステリとして忘れ難い。


No.340 5点 火喰鳥を、喰う
原浩
(2023/11/06 19:07登録)
ニューギニアで戦死した大伯父の日記が発見され、その墓が何者かの手で傷つけられるのを発端んに、死者への執念を感じさせる怪異が次々と起こり始める。
設定に曖昧なところもあるが、怨念話からさらに別種の恐怖へと転じるところが意欲的。


No.339 7点 法廷遊戯
五十嵐律人
(2023/10/19 20:43登録)
無罪と冤罪、制裁と救済、天秤が傾くのはどちらなのか最後まで気が抜けない。
斬新な形でリーガル・サスペンスを進化させ、法廷劇の面白さを知らしめた。


No.338 9点 テスカトリポカ
佐藤究
(2023/10/19 20:41登録)
国境を越えた違法臓器売買。クライムノベルのスリルに時と国をはるかに隔ててアステカの神話が一族の血を通して流れ込んでくる。
縁遠いようで舞台は近い。地続きの悪夢が気高く描かれた驚異の小説。

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