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ミステリの祭典

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AX
殺し屋シリーズ

作家 伊坂幸太郎
出版日2017年08月
平均点6.90点
書評数10人

No.10 2点 ボナンザ
(2024/10/12 21:26登録)
このシリーズが合わないにも関わらずここまで読んでしまった私が悪い。

No.9 6点 八二一
(2024/06/21 20:42登録)
家族のために足を洗いたいと考えている殺し屋が主人公の連作短編集。
人間味あふれる登場人物、心をくすぐられる会話、予想外の展開とエンターテインメント性は高い。

No.8 7点 メルカトル
(2020/09/19 22:41登録)
「兜」は超一流の殺し屋だが、家では妻に頭が上がらない。一人息子の克巳もあきれるほどだ。兜がこの仕事を辞めたい、と考えはじめたのは、克巳が生まれた頃だった。引退に必要な金を稼ぐために仕方なく仕事を続けていたある日、爆弾職人を軽々と始末した兜は、意外な人物から襲撃を受ける。こんな物騒な仕事をしていることは、家族はもちろん、知らない。物語の新たな可能性を切り拓いた、エンタテインメント小説の最高峰!
『BOOK』データベースより。

第一話、第二話を読み終えた時点で、殺し屋が主人公なのになんだかアットホームな話だなーと思い、第三話でおっ?となり、次でおおっ!ラストでうーむとなりました。そう、要するに一話二話は助走であり布石なのであります。ですから、そこでがっかりする必要ありません。その後に期待に違わぬ感動が待っているのですから。
私も一人の友達もいなくても自分は幸せだと、言ってみたいものだと思いますね。登場人物は少ないものの、それぞれ個性的でどこに殺し屋が転がっていてもおかしくない世界なのに、境遇はともかく人間は人間なんだと思わせる説得力があります。ただ一人、謎の医師は静かな迫力を持っていて異彩を放っている以外は。

まあ世間では伊坂を何かと過大評価しがちな、勝手な印象を私は持っていますが、本書はさすが人気作家の面目躍如していると思いました。本サイトでも高評価なのも納得の出来ですね。いろんな要素が詰まった、バランスの取れた良作です。

No.7 8点 ミステリーオタク
(2020/07/22 17:43登録)
殺し屋シリーズの連作短編集。
本サイトを始め、多くの書評サイトで高評価なので手に取ってみた。が・・・


『AX』 ミステリとして何が面白いのか全くわからない。

『BEE』ミステリとして何が面白いのか全くわからない。

『Crayon』 終盤になって・・気持ちのいい話ではないが・・初めて面白いと感じた。主人公にも初めて少しだけ共感できた。

『EXIT』 何という出口。

『FINE』 「彼」は真実を知っても、知ることができなくても苦悩することになりはしないか?・・・など少しモヤモヤも残るが、シビアの向こうにハートウォームを焙り出す作者らしいマトメ。


うーん、久々に伊坂作品を読んだが改めてその「計算精度の高さ」と「厚み」を実感。

伊坂さんからすれば、自分のようなセッカチな読者は、想定している対象読者の範疇外なのだろうが、このサイトでsophiaさんの書評を見ていなかったら恐らく1話か2話で本書を放り出していたことだろう。

No.6 7点 haruka
(2020/06/29 22:12登録)
殺し屋シリーズの中では一番面白かった。

No.5 10点 E-BANKER
(2020/05/06 15:02登録)
「グラスホッパー」「マリアビートル」に続く、『殺し屋』シリーズの最新刊。
今回はシリーズ初の連作短編形式で、主人公は「超」恐妻家の殺し屋「兜」。
2017年の発表。

①「AX」=AXはずばり「斧」、具体的にいうとカマキリが意地で繰り出す「斧」のこと。で、これが実は・・・最後になって効いてくる。
②「BEE」=BEEはずばり「ハチ」。これは・・・もう爆笑モノ。庭にできたスズメバチの巣を撃退するため、誰もが寝静まった未明、まるで宇宙服のような奇妙な防護服で一人ハチの撃退に向かう・・・。
③「Crayon」=これは子供を持つ親には深く刺さるのではないか。そして、「兜」にやっとできた友人=松田さんの身に突如訪れるアクシデント。人生ってねぇ・・・
④「EXIT」=例のお笑い第七世代のコンビ・・・ではない。物語が急展開する第四編。今度も「兜」と仲良くなる気弱な警備員・奈野村さんが事件に大きくかかわることになる。
⑤「FINE」=④のラストで突然突き付けられる事実・・・。それから10年後の世界が語られるのが本編。主人公は「兜」の息子「克巳」。克巳は「兜」の跡を追うことに・・・。そしてサプライズと何とも温かいラストが訪れる。

以上5編。
これは個人的に伊坂史上最高傑作ではないかと思う。
「なぜ」と問われると明確には答えられないのだけど、日本中に閉塞感が漂い暗澹とした日々を過ごす昨今、夢中になって本作を読了できた。それだけで、理屈ではない、魅力のつまった作品ということ。

伊坂作品には、外見上は普通の人間と変わらないけど、実は普通でない主人公がよく登場する。
本シリーズの「殺し屋」然り、「死神」シリーズの「死神」然り、「陽気なギャング」シリーズのギャングたち然り・・・
彼らは外見は普通の人間だから、一般人(?)たちと普通に触れ合い、会話する。でも、中身は普通じゃないから、我々の常識とはかけ離れた言葉を発したり、行動をしたりする。
この「ズレ」こそが作者の狙いなのだと思う。「ズレ」てるからこそ、そこに不変の「価値観」や「大切なもの」が存在するのだと再認識させてくれる。(当然笑いも・・・)

デビュー作「オーデュポンの祈り」から20年。ここまでコンスタントに、多くの読者に読み継がれる作者は決して多くない。決して「熱い」わけではない。それどころか「飄々」として、別の世界の話のような雰囲気を纏っている。そんな作品が読者の心を打ち、極上のエンターテイメントを提供する。実にスゴイことだ。

本作の裏テーマは「父と子」、そして「恐妻」…。もうどうしても自分自身とシンクロさせてしまった。私も語り合いたい。いかに怒らせないように対処していくかを!
大ラスの終章。これはやはり二人の出会いの場面かな? だとしたら、何とも粋で素敵なラスト。父も昔は子供だったし、子供もいずれは父になる。当たり前だけど、この「当たり前」こそが何よりも大切なことだと気付かせる。うーん、これはミステリーの書評ではないな。評価はもう最高点。

No.4 8点 HORNET
(2020/01/18 15:00登録)
 家族をもつ殺し屋「兜」を主人公にした連作短編シリーズ。シリーズに通底するコミカルな作風は維持しつつも、ラストはぐっと切なくなるような終末が用意されており、そういう意味では雰囲気的には「死神の精度」に似ている。
 次々と人の命を奪い、それを生業にしてきた兜だったが、妻をもち、子をもつうちにこの稼業から足を洗いたいと強く願うようになる。仕事の仲立ちをする「医師」に何度もその旨を伝えるのだが、「もう少し」と言ってはいつまでも聞き入れられない。ラスト前の章でついに辞める決意を医師に伝え、手を切ろうとする兜だったが、その結末は―

 恐妻家の兜が、妻の思考を深読み・先読みしてトラブルを回避し続ける様は本当にユーモラスで楽しい。それでいて一方で組織の一員として「仕事」する中で、さまざまな修羅場を淡々と切り抜ける。いかにも本シリーズらしい(伊坂氏らしい)展開である。
 こうしたユーモラスな展開と、ちょっと胸を打つラストに向けての構成はさすがである。殺し屋シリーズの中でも特に際立つ一作になったのではないかと思う。

No.3 7点 take5
(2019/02/03 15:28登録)
自分が父親だから、
兜に思い入れて読むのかなと思いました。
恐妻家であろうとなかろうと。
ラストのファインが書き下ろしなので、
うまくまとめてくれて良かったです。

「AX」「BEE」「Crayon」「EXIT」「FINE」
各編の頭文字が「A」「B」「C」「E」「F」
となっているのですが、
「D」が抜けているんですよね。

「D」は「Drive」の頭文字です。
「小説 野性時代」2015年11月号に
「Drive/イントロ」が掲載されました。
それは「Drive」の三分の一に当たるもので、
その後、その続きは書かれておらず、
「D」は未完成です。
そのため、幻の「D」となりました。
期間限定で試し読みできる時期もあったようですが
終了しているという情報があります。

No.2 7点 sophia
(2019/01/19 17:05登録)
3編目までのほのぼのっぷりにどうしたことかと心配になりましたが、4編目からこのシリーズ本来の殺伐とした感じが出てきて一気に面白くなりました。3編目までは言わばフリのようなものかもしれません。そう考えると連作短編集という体裁は採っていますが、実質的に一つの長編かと思います。第4編のある仕事の下りが本編から浮いていたのは伏線だったからなんですね。最後に余談ですが、伊坂幸太郎ほどの作家が「いつぶり」などというおかしな言葉を使っていることに驚きました。

No.1 7点 まさむね
(2018/01/27 22:48登録)
 殺し屋シリーズ第三作品にして、シリーズ初の連作短編。グラスホッパーやマリアビートルの話題も一部登場はしますが、このシリーズは一応それぞれの作品内で完結するスタイルですので、仮に前二作品が未読だとしても特に支障なく楽しめると思いますね。
 凄腕の殺し屋、でも極度の恐妻家で家族思いという、いかにも作者らしい設定の殺し屋「兜」が主人公です。登場人物たちの洒脱な会話を楽しみつつ、殺し屋なのになぜか「がんばれ、がんばれ」って応援している自分がいました。そして後半で急展開。ちょっと驚いたというか…とにかく、最終話がイイ。ラストの余韻もなかなか。

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