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ミステリの祭典

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mediocrityさんの登録情報
平均点:6.23点 書評数:286件

プロフィール| 書評

No.246 4点 高校入試
湊かなえ
(2021/03/01 08:00登録)
<ネタバレあり>


テレビドラマでチラッと再放送を見たが、最後まで見られず結末が気になったので読んでみた。
通常のミステリとして読むと、共犯者が多すぎて面白くなかった。
かといって社会派ミステリとして読むには軽薄すぎる。動機のみそれらしいが、事件自体はイタズラのようなレベルだし、コントみたいな行動を起こす人間が複数いてますます軽薄さに輪をかけている。
ドラマが先で後に小説化にしたらしいので、少し無理があったのかもしれない。あと、ドラマを見ていない人には登場人物が多すぎてわかりづらいと思う。


No.245 9点 匣の中の失楽
竹本健治
(2021/02/19 04:57登録)
4大奇書ということですが、奇書というほどではないように思います。中盤までメタ構造にちょっと戸惑ったくらいで、それほど読みにくいわけではありませんでした。ペダントリーも節度があって、『黒死館殺人事件』のように本筋を忘れてしまうような状況には陥りません。
22歳のデビュー作というのはちょっと信じられないレベルの名作だと思いますが、第3章の事件がうまく運びすぎなのが気になったのと、3大奇書に比べてキャラクターに魅力を感じられなかったので1点だけマイナスで。


No.244 8点 白光
連城三紀彦
(2021/02/13 04:53登録)
あまりにも人間関係がドロドロしすぎで、正直苦手な作品。
しかし、次から次へと視点が切り替わり、徐々に真実が明らかになっていく過程は圧巻であった。


No.243 6点 きみのために青く光る
似鳥鶏
(2021/02/08 01:18登録)
特殊能力でミステリを解決する「よくあるパターン」かと思いましたがちょっと違いましたね。この人の本は、雰囲気が軽い割に、話は妙に重くて違和感があることが多いのですが、今回は登場人物も何かしらトラウマを背負っている設定なので、ストーリーとうまくかみ合っていると思いました。


No.242 8点 亜愛一郎の逃亡
泡坂妻夫
(2021/02/08 01:17登録)
第3巻も質は落ちていないと思った。特に『球形の楽園』『飯鉢山山腹』が好き。
亜の正体よりも、こんな使い勝手が良さそうなキャラクターのシリーズを3冊で終わらせてしまうということに、より驚いた。


No.241 6点 長い廊下がある家
有栖川有栖
(2021/01/31 03:12登録)
後半の2作は異色作。『ロジカル・デスゲーム』における火村の咄嗟の機転が最も印象に残った。表題作は、あんなにうまくいくものなのか若干疑問。


No.240 7点 四隅の魔
三津田信三
(2021/01/30 07:11登録)
1作目は主人公の「死相が見える」という特殊能力がかなり前面に出ていて、ミステリ要素は少なめだった。今作は、その比率が逆転した感じで、1作目よりも明らかに良かった。


No.239 5点 長野・上越新幹線四時間三十分の壁
蘇部健一
(2021/01/29 07:00登録)
表題作はメイン?の長野の事件の真相解明にかなりの紙幅を割いて、ああでもないこうでもないとやってるんだけど、むしろ正答が一番最初に思いつく解答な気がするのだが。刑事が10人も集まれば、30秒もあれば答えが出るレベルのトリックだと思う。新潟の事件の真相の方がはるかに良かった。
短編はどう改変したのかはよくわからないが、言うほど悪くないと思った。


No.238 2点 特急「あずさ」(アリバイ・トレイン)殺人事件
西村京太郎
(2021/01/29 06:59登録)
1986年出版。氏のこの時期の作品は、粗はあるが趣向は面白いという作品が多い気がする。
この作品もつかみは面白いのだが、提示した謎を消化しきれているとは全く思えないし、後半のストーリー運びも適当すぎる。後半盛り上がるから2時間ドラマ用にはいいんだろうけど。
純粋なアリバイ崩しものだと思ったのに・・・


No.237 7点 アンデッドガール・マーダーファルス1
青崎有吾
(2021/01/29 06:58登録)
特殊設定で突飛なことも起こりますから、読者が完璧な推理ができるわけではありません。
しかしながら、キャラクターもストーリーも魅力的で、アニメ化すれば人気が出そうな作品です。
吸血鬼の話の方がミステリとしては良く出来ていたと思います。


No.236 9点 詩的私的ジャック
森博嗣
(2021/01/27 03:35登録)
第1、第2の密室のhowは正直よく読んでもよくわからないし、実際わからなくても良い部類のトリックでしょう。
第3の密室の謎解き、第1、第2の密室も含めたwhyが見事に解決されて感動でした。
出版順にデビュー作から4作読んできましたが、今の所はこの作品が一番好みです。


No.235 8点 亜愛一郎の転倒
泡坂妻夫
(2021/01/16 15:31登録)
シリーズ2作目全8話。今回も良作ぞろい。
『砂蛾家の消失』『病人に刃物』は確かに驚きでしたが、むしろ『珠洲子の装い』『意外な遺骸』『三郎町路上』あたりの地味?だけど納得のいく作品の方が好みでした。


No.234 7点 ビブリア古書堂の事件手帖5
三上延
(2021/01/14 19:23登録)
今作は短編に戻った。そろそろネタ切れで苦しくなってきたんじゃないかと思っていたが、むしろ盛り返した。3巻、4巻より出来はいいと思う。第1話が特に良かった。


No.233 6点 ブラジル蝶の謎
有栖川有栖
(2021/01/10 23:36登録)
本格的なものからネタに近いものまでバラエティー豊かで楽しめました。
『人喰いの滝』がベストでしょうか。


No.232 7点 ノックス・マシン
法月綸太郎
(2021/01/10 06:48登録)
薄い本ですが、書き上げるのに相当の時間を要したと推測します。
名前くらいしか知らない作家が多かったですけど、別に問題なく楽しめました。まああまり理解できてないでしょうけど。


No.231 8点 山魔の如き嗤うもの
三津田信三
(2021/01/08 00:04登録)
良くも悪くも出来すぎていると感じた。圧巻のストーリー展開だが、あまりにもうまく物事が運びすぎる。想定外の出来事が起こっても、とっさの機転をきかせて、計画段階以上にうまくいったとか。
あと、この時期の作品にやたら多いが、最後のどんでん返しがくどすぎる。自分の一番嫌いな「途中の解決の方が良かった」パターンではなかったのでまあ許容できるが。
もう1つ。前書きのとある部分、自分はあの人も含まれていると解釈していたので最後?となった。


No.230 5点 月光の大死角
志茂田景樹
(2021/01/05 21:13登録)
読み初めてまず感じたのは、文章があまりにもひどすぎる。量産期に入ってからの西村京太郎氏の省エネ文章を更に突き詰めた感じで、ほとんどお笑いレベルに達している。あらすじだけ説明してゴーストライターに書かせたのかと思ったが、wikiによるとタレント活動をしていた時期の作品は口述筆記だったということで納得。

さて本作は、密室物である。何を書いてもネタバレになりそうなのでこれ以上の言及は避けるが、適当すぎる文章や人物設定、場当たり的なストーリー展開と本格推理が同居しているかなり異質な作品である。
トリックは確かにすごいんだが、結局なんであいつが犯人なのかとか、終結の意味不明さとかよくわからない部分も多い。
本当に変な作品である。


No.229 6点 悪魔のトリック
青柳碧人
(2021/01/02 16:28登録)
読み始める前は、当然のことながら、悪魔の(ような)トリックだと思っていたのだが、実際は本当に悪魔が現れて有り得ない状況を引き起こすSFミステリであった。
短編5編。同じような内容になりそうな所で、色々変化を付けてきてワンパターン化を防いでいるのは良かった。
大真面目に読むような本ではないが、アニメ化するのには良さそうな面白い試みだと感じた。


No.228 5点 笑わない数学者
森博嗣
(2021/01/01 01:44登録)
<ネタバレあり>


なんだか裏があるようだけど、表だけ見るなら、聡明な2人があのトリックを見破るのに苦労しすぎというところでしょうか。

裏事情はいまいち理解してないんだけど、結局、博士として存在していた人物が作家か建築家のどちらかだったということなのかな?双子入れ替わりならまだわかるけど、一世代隔てて入れ替わっているならちょっと無理筋じゃないかと思った。太陽の当たらない所にこもったらむしろ老化しないみたいだから、55歳くらいの人間が実際より若く見えることはあっても、80歳に見えるなんてことはまずないでしょう。
なんか勘違いしてたらすいません。


No.227 6点 The Rome Express
アーサー・グリフィス
(2020/12/24 17:36登録)
アーサー グリフィス(1838~1908)はイギリスの軍人、コナンドイルよりも21歳年長。専門は19世紀の軍事史で著作も幅広く、タイムズ紙の軍事特派員だったこともあるという。犯罪小説は晩年の余技なのだろうか。
これは亡くなる前年の1907年に書かれている。『オリエント急行の殺人』より前の作品である。それほど長くもなく気軽に読める。

序盤あらすじ
ローマ急行direttissimoが最後の途中停車駅ラロッシュを出て終点パリに向かう途中、寝台車で男性がナイフでズタズタに刺された死体が発見された。状況証拠から隣のコンパートメントの女性が疑われるが、そんな中、彼女の付き添いの女中(2等車に乗っていた)が失踪していることが判明した。列車から降りた乗客たちは順番に事情徴収を受けることになる。

途中までは退屈な2時間ドラマと同レベルのつまらない作品と予想していたが、最後の数章で意外な展開になりその点は満足。一応ミステリになっている。細かい点で疑問を抱く点は数々あるが、まあ専門の推理作家でもないし、書かれた時代を考えて甘目に採点。それにしてもフランス警察があまりにも無能すぎる上、つまらない人間が見事に集まっている。フランス人が読んだら間違いなく怒り出すだろう。

追記
別の作品と一緒に出版されたのが1907年ないし1908年で、この作品自体は1896年に書かれたという記述もあり。

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