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ミステリの祭典

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月光の大死角

作家 志茂田景樹
出版日1987年12月
平均点5.00点
書評数2人

No.2 5点 mediocrity
(2021/01/05 21:13登録)
読み初めてまず感じたのは、文章があまりにもひどすぎる。量産期に入ってからの西村京太郎氏の省エネ文章を更に突き詰めた感じで、ほとんどお笑いレベルに達している。あらすじだけ説明してゴーストライターに書かせたのかと思ったが、wikiによるとタレント活動をしていた時期の作品は口述筆記だったということで納得。

さて本作は、密室物である。何を書いてもネタバレになりそうなのでこれ以上の言及は避けるが、適当すぎる文章や人物設定、場当たり的なストーリー展開と本格推理が同居しているかなり異質な作品である。
トリックは確かにすごいんだが、結局なんであいつが犯人なのかとか、終結の意味不明さとかよくわからない部分も多い。
本当に変な作品である。

No.1 5点 人並由真
(2019/07/06 14:02登録)
(ネタバレなし)
 蓼科高原で土建業、観光ホテル業、タクシー業を成功させて、個人の資産だけで100億円以上と噂される大実業家・岩本大作。彼は自分が率いる岩本財閥の威信を示すべく、蓼科高原に約24メートルの大観音像を新規建立した。そのお披露目の式典の前夜、大作は、若い愛人でもある秘書の香田やよいを観音像の内部の空洞にある展望台に誘う。だがそこに待っていた不審な男が大作を刺殺し、事態を驚きながら見守っていたやよいの前から犯人は消えた。さらにやよいが人を呼びに行って戻ってくると、いつのまにか部屋は施錠されている。しかもその中に大作の死体は無かった。鍵は厳重に管理された、密室状況の中での犯人の出現とそこからの逃亡、さらに死体の消失と、謎が謎を呼ぶ事件はさらに新たな展開へと……。

 Twitterで話題のバカミス(抱腹絶倒のトリックらしい)ということで興味を惹かれて読んでみたが、う~ん……。個人的には、まあ、読んで騒ぎたくなる人がいるのはわかりますね、と冷めた頭で呟きたくなってしまいそうな、そんな仕掛けであった。
 いや現実にそんなにうまくいくかどうかは別として、このアイデアというか力業の着想そのものは悪くないと思うんだけど、手掛かりの出し方やら読者側が抱く疑問の捌き方やらのミステリとしての演出が悉くヘタで、面白がるより先に、もったいないな……という気分が優先してしまった。

 あと志茂田先生のミステリはこれで二冊目だが、話が途切れかけると新規の登場人物をぶっこんでいく(そのくせあまり、創造したキャラクターのアフターフォローもない~終盤の某登場人物の、彼氏が死んだあとの反応の薄さはなんなのだ)作劇も素人くさく、その流れで真犯人の設定もダメダメであった。かつて某英国の大作家が似たようなことをやっていたともいえるが、あっちは確信行為で放った変化球、こっちはただのダメミステリであろう。
 まあ話のタネに読んでおくのはいいかも。

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