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ミステリの祭典

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レッドキングさんの登録情報
平均点:5.28点 書評数:943件

プロフィール| 書評

No.203 5点 扼殺のロンド
小島正樹
(2019/05/12 18:48登録)
何で死体から腸が丸ごと抜き取られたのか。「猟奇的」「耽美的」「宗教的」・・・一言で言えば「非合理的」ホワイダニットへの連想から「合理的」意味付けへの解決。ここらあたり師匠島荘の「切り裂きジャック百年の・・」を思い出す。


No.202 5点 九尾の猫
エラリイ・クイーン
(2019/05/11 11:26登録)
ニューヨーク連続絞殺事件。関連性がなさそうな九人の被害者の「環」は何か、絞殺犯はだれか・・・。容疑者がパクられても残りの頁数がだいぶあって「真犯人」が分かってしまう。もう二捻りくらいほしい・・・。


No.201 5点 災厄の町
エラリイ・クイーン
(2019/05/04 12:31登録)
クイーン版「カラマーゾフの兄弟」(大げさ)かな。陪審員(わが国では裁判員)に選ばれてしまったら、誰しもが有罪を選ばざるを得ない様な、「AはBであり得て」「A以外はBではあり得ない」という「絶対的」な状況証拠の中での裁判。しかし、もし、「Bそれ自体」が「B」ではなく、「C」であったならば・・・
作者自ら(半分だけだが)も、クイーンの専門家も「最高作レベル」と評価したという作品・・その評価については「半分」だけ賛成。


No.200 7点 白馬山荘殺人事件
東野圭吾
(2019/04/29 08:41登録)
東野圭吾版「黄金虫」かな。でも、きちんと「密室」も作り込まれてて、「いかにも『意外』な真犯人」「露骨にダミー」「多分ダミー」ってな容疑者もタップリ揃ってて、メインディッシュの事件解決の後に、デザートみたいな「人物設定トリック」、さらに前菜に「叙述トリック」まで用意してあって、実によくできてる。東野や道尾秀介ってこのレベルをいくらでも維持できるんだろうな。すげえな。ただ、小説として「面白い」かっていえば、そんなに面白くないし魅力がない。


No.199 6点 女王国の城
有栖川有栖
(2019/04/28 16:27登録)
個々の「ロジック」よりも、過去の「密室トリック」解明に感心してしまった。


No.198 5点 双頭の悪魔
有栖川有栖
(2019/04/28 16:24登録)
ヒロインが山道を歩いて行く冒頭の場面が実に素晴らしい。ひょっとして「湖底のまつり」の冒頭場面や、「匣の中の失楽」の雨の夜道描写のオマージュなんかな。


No.197 6点 レーン最後の事件
エラリイ・クイーン
(2019/04/25 21:47登録)
こんな言葉が許されるのならば「蛇頭龍尾」。十代の頃の初読では「アクロイド」より衝撃的だった。これ読んで初めて「Y」のラストが理解できた。


No.196 4点 Zの悲劇
エラリイ・クイーン
(2019/04/22 18:46登録)
「竜頭蛇尾」その一言。それも「龍」でなく「竜」。


No.195 7点 ホワイト・ジャズ
ジェイムズ・エルロイ
(2019/04/21 13:08登録)
ジェフリー・ディーヴァーとジェイムズ・エルロイ。「明朗」「軽快」なディーヴァーと「暗鬱」「シニカル」なエルロイ、「民主党 能天気派」みたいなディーヴァーと「共和党 無頼派」の様なエルロイ、ミステリの伝統的な諸要素を材料に、アクロバティックに「ミステリ遊園地」を構築するディーヴァーと、物語の最重低音部に、吐き気を催すまでの暗く濁った「ミステリの真相」の汚水を澱ませるエルロイ・・・。
「ブラック・ダリア」の二視点叙述から「ビッグ・ノーウェア」「LAコンフィデンシャル」の三視点叙述を経て、この最終作は一人称視点で物語が語られ、その分、描写の「狂気」も一際荒れ狂っている。
「ホワイト・ジャズ」・・「白人」の「まがいもの」のジャズ。こんなカッケータイトル見たことないから、それだけで1~2点のオマケ。


No.194 5点 LAコンフィデンシャル
ジェイムズ・エルロイ
(2019/04/12 15:08登録)
「ブラック・ダリア」「ビッグ・ノーウェア」に続く「暗黒のLA四部作」第三弾。3人の警官による3視点叙述で進行するのは前作同様だが、内容は前二作よりグッと「派手に」「面白く」「軽く」なっている。主役の「悪徳」三警官に加えて、ウォルト・ディズニーやアル・カポネのパロディのようなキャラ、悪徳どころか「極悪」としか言えない警察ボスも登場し、さらにワケあり女や魅力的な娼婦等も揃っていて、登場人物と話を簡潔に整理すれば、実に面白いハリウッド映画プロットになる・・・実際になったし。
ただ、我が横溝正史のような「残酷な連続殺人にまつわる暗い出生の秘密」ってな本格ミステリ妙味もキチンと入ってるんだよな。


No.193 6点 ビッグ・ノーウェア
ジェイムズ・エルロイ
(2019/04/05 16:18登録)
一見ハードボイルド風に三人の刑事の三視点で話が進むが、主題は「同性愛」。「同性愛」に異常な「コンプレクス=こだわり」を持ってしまった二人の主役・・・刑事と殺人鬼・・・の物語。「若手イケメン刑事」の情念に憑りついてしまった「ホモ残虐殺人事件」。彼が追い求めた「殺人鬼」もまた、己の「血の狂気」から自分を追う刑事に執着していた・・・。
「同性愛」が「文化」として成立し、近代においてもせいぜい「笑いもの」になるレベルだった我が国とは異なり、米国のような所では、おそらく壮絶な暗黒歴史があったんだろな「同性愛」。「黒人」であることの残酷な運命と同じような歴史があったんだろう。にしても「眼球を抉り取られた眼窩にペニスをぶち込んで射精」って・・・。
「ビッグ・ノーウェア」=「大いなる・虚無」とでも訳すのかな、でも「眼球無き虚ろな眼窩」だ。


No.192 5点 時計館の殺人
綾辻行人
(2019/04/04 08:51登録)
他人が「リアリティがない、人間が描かれてない」云々と本格ミステリを批判するの見ると、「お前には向いてないんだからミステリ読まなくていいよ」って毒づきたくなるのだが、綾辻行人を読むと、逆に「リアリズム」=「生活の臭い」ってのが懐かしくなる。
こんな仰々しい大邸宅ではなく、砂時計サラサラみたいなラストシーンで飾ってくれていたら、もっと好きになれてたかもしれない。


No.191 4点 迷路館の殺人
綾辻行人
(2019/04/04 08:35登録)
作中作の入れ子構造って、ミステリでなくてもミステリアスな雰囲気を醸し出してしまうから、ミステリ小説で大上段に構えて使われると、どうしても期待値ハードルが上がってしまい評価値が下がってしまう。


No.190 7点 匣の中の失楽
竹本健治
(2019/04/03 22:21登録)
照明器具やドアのぶを利用したトリック等、ネタ自体は小粒の集まりで、ミステリとしては6点が妥当だろうが、ヒロインが夜の雨の街を歩き去って行く描写が実に素晴らしく、そこだけで1点のおまけ。
もしもこの作品に第6章があれば、それこそ本当に「四奇書」の一つになれたのかも知れない。そしたら「三奇書」同様に「採点不能」の作品だった。
さらに6章のエンドを1章のヘッドに循環させて、「奇数章」対「偶数章」を無限の相互入れ子にすることに成功していたら、10点満点だった・・・でも無理だったんだろうな。


No.189 4点 盲獣
江戸川乱歩
(2019/03/31 09:06登録)
戦後に乱歩自身が自己検閲してしまった程の「昭和初期エログロ」の代表作。でも本当の事言うと、逆に、まだまだ物足りないんだなあ「エロチシズム」と「グロテスク」。もっともっと徹底してくれてれば、日本のバタイユになれたかもしれないんだ、江戸川乱歩。
ところで、視覚の芸術が「美術」で、聴覚の芸術が「音楽」で、味覚・嗅覚のそれが「美食」「香道」だとすると、触覚の芸術って・・・「性感マッサージ」なんではないか?


No.188 3点 鬼火
横溝正史
(2019/03/31 08:50登録)
ミステリとは言えないだろが、妙に印象に残っている。おそらく横溝は「陰惨」で「耽美」な物語書きたかったんだろうが、そこまででもないんだな。


No.187 5点 女王蜂
横溝正史
(2019/03/31 08:38登録)
横溝の代表的な長編群の中では、どうしても一歩か二歩劣って見えてしまう。場面設定もロマンも揃ってて「密室」さえもちゃんとあんだけどね。


No.186 5点 十角館の殺人
綾辻行人
(2019/03/30 15:05登録)
〇〇人物を✕✕人物に錯視させるトリックね。貫井徳郎はこれに習ったのかな。
江南(湖南のがよくない?)に守須ねえ。そりゃあ普通「コナン・ドイル」「モーリス・ルブラン」連想するよなあ。
にしても「オルツィ」なんて知らんぞ。「ドロシー」とか「クリスチアナ」のがとおりよくないか。


No.185 6点 深紅の帆
アレキサンドル・グリーン
(2019/03/26 21:19登録)
自分以外にこれ覚えてる人がいること自体に驚いた。これ好きだった。
「不思議」が提示され「合理的解決」で締めるのがミステリだろうに、これはただただ「不思議」で終わる、まあ「ファンタジー」かな、でもいいや。
「風の又三郎」「城」「さよならホセフィーナ」「ウルトラQ:鳥を見た」「ウルトラマン:まぼろしの雪山」「ウルトラセブン:ダークゾーン」・・・


No.184 5点 仮面山荘殺人事件
東野圭吾
(2019/03/26 14:14登録)
やっぱり読みやすいなあ、東野圭吾。ほぼ「いっきヨみ」しちまった。
プロット以前にタイトルからして「設定どんでん返しネタ」だろなあって読んでて、殺人「トリック」の方は予想通りだったが、肝心のメインのフーダニットの方はずしちまった。考えたら、いかにも「あのネタ」だよなあ、これ。

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