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ミステリの祭典

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深紅の帆

作家 アレキサンドル・グリーン
出版日1967年01月
平均点6.50点
書評数2人

No.2 6点 レッドキング
(2019/03/26 21:19登録)
自分以外にこれ覚えてる人がいること自体に驚いた。これ好きだった。
「不思議」が提示され「合理的解決」で締めるのがミステリだろうに、これはただただ「不思議」で終わる、まあ「ファンタジー」かな、でもいいや。
「風の又三郎」「城」「さよならホセフィーナ」「ウルトラQ:鳥を見た」「ウルトラマン:まぼろしの雪山」「ウルトラセブン:ダークゾーン」・・・

No.1 7点
(2019/03/26 20:50登録)
 オリオン号の帆船水夫ロングレンは、身重の妻メリーの忘れ形見である娘アッソーリを育てるため船を降りたが、家にとじこもるいっぽうとなり、人づきあいもしなくなった。そして彼女が五つになった時、ある事件が起こる。
 桟橋から離れたボートをあやつりそこね、あらしの沖へと流されていく金持ちのメンネルスをロングレンが見捨てたのだ。助けを求めるメンネルスに対し、審判者のように振舞ったロングレンの態度が、村人たちとの溝を決定的にする。メンネルスはロングレンの留守中に、亡妻メリーの頼みを突き放し、彼女が死ぬにまかせた当人だった。航行中の船にすくいあげられた瀕死のメンネルスは、事のすべてを村人たちに語ったのだった。
 彼らのよそよそしい関係は、アッソーリにまでおよんできた。生活に苦労はなかったが、彼女に遊び友だちはいなかった。そんなある日、父の作ってくれたヨットを追うアッソーリは、旅人エグリに出会う。エグリは微笑みながら、大きくなった彼女をむかえにくるという、深紅の帆をした白い船の話をするのだった。
 1920年~1921年発表のロシア小説。「この世のどこでもない国」を舞台にしているというだけで、超自然的な要素はありません。にもかかわらず純然たるファンタジー。ドストエフスキー翻訳者の原卓也さんが惚れ込み、三十年越しで全訳・出版まで漕ぎ着けた作品です。

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