| 斎藤警部さんの登録情報 | |
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| 平均点:6.69点 | 書評数:1450件 |
| No.30 | 8点 | スタイルズ荘の怪事件 アガサ・クリスティー |
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(2015/05/20 16:34登録) 日本の某古典名作を先に読んでいましたが .. それのヒントもあって真犯人は途中でピンと来ました。 それでも充分にエキサイティングで面白かったなあ。。 女史はデビューから既に「企画の女王」だったんだなと納得しましたよ。 もし彼女に文才が無かったとしても、きっと周りの作家に「これこれこういうアイディアがあるから、あんたふくらまして書いてみなさいよ。」ってやってたんじゃないかしら。 或いはクイーンみたいに誰かと組んで二人一役。 |
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| No.29 | 3点 | フレンチ油田を掘りあてる F・W・クロフツ |
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(2015/05/20 16:12登録) うぅ~~ん、この本はちょっとね。 前半くらいはそれなりに読めたけど、目を引く謎解きも意外な犯人も何も無かった。アリバイも蚊帳の外。。 何より物語が琴線に触れませんでした。 |
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| No.28 | 9点 | 暗黒告知 小林久三 |
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(2015/05/20 15:39登録) 本格と社会派の精妙な融合はここにも有る。足尾銅山と田中正造が最重要背景/人物として鎮座します。田中正造、熱いです!作中でも話題の新小説として触れられる島崎藤村「破戒」に登場する熱血政治家を思わせます。その熱血漢がまさか、殺人事件の犯人なのか、それとも。。。。 日本近代暗黒史をしっかりと描いた中に、本格ミステリーの矜持が、着実な伏線とイメージ豊かなトリックそして意外にして残酷な結末として顕出しています。 暗くて重くてエキサイティングなブツでキメたいあなたに強く薦めます。 |
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| No.27 | 7点 | 連続自殺事件 ジョン・ディクスン・カー |
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(2015/05/20 15:14登録) 幼き頃に読んだ作品。 いかにもジョン・ディクスンらしい舞台装置ギミックは控え目ですが、ドライなユーモアと適量のサスペンスに支えられて楽しく読めます。トリックも味のうちと言った所。ちょっと再読してみたい。 |
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| No.26 | 8点 | 準急ながら 鮎川哲也 |
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(2015/05/20 12:34登録) 「ああ俺ってアユ好きだよなあ。。」と既に分かっている上で読んだ初めての作。鮎哲では既に五冊目でした。はじめて鮎川哲也を読んでから二十数年経っていた。好みも変わった事だろう。地味目に展開する話ですが一瞬たりとも退屈しなかった。徐々に徐々に、着実に解決に向かう捜査の描写が好きだ。古式ゆかしいアリバイトリックそのものより、アユさん独特のトリックを破る試行錯誤の雰囲気が好きなんだろうな、私は。 巧んでか巧まざるしてか、何ともトボケた味をチョィチョイ出して来るのもアユ師匠の大事な個性。本作のエンディングあたりは相当トボケてるなあ。 やはり、私には肌が合うんだと思います。 昭和40年前頃(’60年代中盤)の風俗がよく描かれているのも相当に素敵。 |
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| No.25 | 8点 | 告訴せず 松本清張 |
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(2015/05/20 10:55登録) 持ち逃げされた黒い選挙資金は小豆相場で躍動。復讐の恐怖に震える男と、彼に近づく女の思惑は。。 横領、投機、ホテル経営、詐欺。 様々な経路を辿る金と男と女の行き着く先は何処? 時折旅情を織り交ぜながら、サスペンスが横溢。 強い悪女と小豆先物市場のヴィヴィッドな描写が怖い。 題名が秀逸。 |
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| No.24 | 5点 | 確率2/2の死 島田荘司 |
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(2015/05/19 23:24登録) スッパリ楽しいB級サスペンス。子を誘拐されたプロ野球選手が犯人の指示でいっぱい走らされます。 読んだそばからストーリー蒸発しちゃいそな軽さですが、本当に忘れちゃって途中まで初読のつもりで再読しちゃった事があったもんで、ある程度憶えてしまいました。 悪くない。 |
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| No.23 | 9点 | 宿命 東野圭吾 |
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(2015/05/19 19:55登録) 現代の巨匠東野圭吾がキャリア初期に早くも打ち立てた金字塔ではないでしょうか。 彼ならではの軽くて深い文体で、深くて重い主題(さて、それは果たして何か?)に取り組んでいますが、最後にとても爽快な気分で〆る粋な計らいが眩しく、又そのラストシーンまで質感たっぷりに持って行ける文章の安定感に心から感服します。 |
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| No.22 | 9点 | 緑のカプセルの謎 ジョン・ディクスン・カー |
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(2015/05/19 19:08登録) 意味ありげな題名に惹かれて若かりし頃手にした一冊。 最初から最後までテンションキープで期待を裏切らなかったけど、特にやっぱり謎解き部分が面白くて面白くて、ハラハラドキドキしたなあ。謎解き自体にあれほどエモーショナルなスリルを感じられて幸せだった。毒殺といういやらしい手段の事件相手に「トリック再現」「フィルム撮影」なんていかにも大きな心理の落とし穴がありそうなギミックの存在感も最高。全体的にざわざわした雰囲気の文章も凄くいいです。 |
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| No.21 | 9点 | 銅婚式 佐野洋 |
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(2015/05/19 18:28登録) 素晴らしく充実した本格ミステリー短編集。意外性の宝庫。 海外ミステリばかり読んでいる人(今時いないかも知れませんが)が「たまには(乃至はじめて)日本のミステリも読んでみたい」なんて言うならこの第一級短編集を薦めてあげたいかな。 後年のあっさりした短編群も嫌いじゃないですが、敢えて人に薦めたいのはやっぱり初期の、洒脱ながらも何気にこってり濃厚な作品達かな。 不運な旅館 /赤いすずらん /さらば厭わしきものよ /二度目の手術 /銅婚式 /離婚作戦 /不貞調査 /カメラに御用心 (講談社文庫) |
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| No.20 | 5点 | 陸橋殺人事件 ロナルド・A・ノックス |
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(2015/05/19 16:33登録) なんだかよく分かりませんでした。企画意図は分かりますが。。 頭のいい人が面白い企画を実行に移しても、うまく行くとは限らないんですかねえ。 でもエンディング近くまでは「何か想像を絶する展開が待ち受けているに違いない」と結構わくわくしながら読めたし(ある意味待ち受けていたんですが)、旧き英国風景を感じさせる流石の文章力も手伝って、決して捨てたもんじゃない読書体験をさせてくれました。 年とってから再読するために長生きしようっと。 |
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| No.19 | 6点 | ガラスの絆 夏樹静子 |
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(2015/05/19 12:10登録) 短編集。「天使が消えて行く」との連関を思わす題名(人工授精を象徴)につられ、同様の重厚路線を期待して読みましたが、かの作品ほどの深い感動は来なかった。。 とは言え面白く読めました。比較的重い過去に現在の強姦/脅迫/殺人事件を絡める表題作のほかは割りと軽めのサスペンス中心(出来は悪くない)で、佐野洋の短編集を思わせた、かも。 |
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| No.18 | 7点 | 深夜プラス1 ギャビン・ライアル |
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(2015/05/18 20:11登録) 氏の作品では先に読んでいた「ちがった空」ほどの圧倒感は無かったが、やはり面白かった。冒険小説よりハードボイルドミステリの感触。主人公の相棒がアル中のガンマン(酒が切れると手が震える!)って設定が何とも言えませんが。。 さて、むふふ 先の戦争の陰も色濃く投影されている作品ですね。。 最後に明かされる真犯人(黒幕)は睨んだ通りの人物でしたが、それでも面白い結末。ただ"MIDNIGHT PLUS ONE(零時一分)"というタイトルが最後にもっと大化けするのかと思ったら。。 そうでもなかった(読みが浅いだけか?)のが残念。 |
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| No.17 | 10点 | ちがった空 ギャビン・ライアル |
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(2015/05/18 19:09登録) 「深夜プラス1」で有名なアドヴェンチャー・ミステリー作家ギャビン・ライアルの処女長篇「ちがった空 "THE WRONG SIDE OF THE SKY"」。 氏の作品で初めて読んだのは当作品でしたが、こちらの勝手な予想を遥かに上回る心を掴む文章力で参ってしまいました。 ほぼ全ての行間からいちいち芳醇な野菜ジュースが溢れ出て来る様な感触で、地の文でも会話や"思い"の文にしてもそれぞれ何かしらとてつもなく有り難い教えを内含している。又そいつが実にしゃらくさくない。 ハヤカワミステリ文庫の翻訳を読んだのですが、原文でないとは言えその超絶的素晴らしさは充分にぎゅんぎゅん伝わって来ます。(もちろん訳者、松谷健二氏の力量も見逃せません) また、個人的に風景描写の多い小説はかったるくて好きじゃない場合が多いんだけどこの人の風景描写は実にヴィヴィッドで動きがあって(それがたとえ静止しているはずの砂漠でも、地球や人間の営みという動的なものを感じさせるのが立派)、きっと日常から「万物は流転する」という鉄則を感じながら生活しているんだろうなあ、という人となりを体感。 明るい性悪説(ほとんどの人間は基本が悪い奴だが、愛や友情が時々救ってくれる仕掛けになってるから捨てたもんでもない、みたいな)を取る様な態度が文章の底に感じられるのも最高にウェルカムです。 著者は元英国空軍のパイロット。その経験+他の諸々の経験+筆力のせいなんだろうけど小型飛行機が飛んでいる内部のシーンでは文章の間から常に飛行機のエンジン音や振動が伝わって来る、もちろんそれなりの距離を移動しているという感覚も伝わる、そのへんにも大いに感動させられ、また驚かせてもらいました。 などと言いつつストーリーは見事に忘れておりますが。。 結構なツイストやサプライズもいくつかあった気が。 邦題は、ちょっと下手かな。 |
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| No.16 | 8点 | カナリヤ殺人事件 S・S・ヴァン・ダイン |
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(2015/05/18 18:53登録) 中一の時「グリーン家」と合わせて、初めて自分で買った創元推理文庫を読んだ作品(「カナリヤ」が先です)。 「カナリヤ」も「グリーン家」も、当時の感覚ではちょっと手強い存在だった「大人向け推理小説」とは思えないほど読みやすく、面白く、当時の感覚で一気読み(と言っても一週間くらい掛かったかな)した覚えがあります。今思うと、あんな気取った文体なのにどうして? と不思議ですが、外見はともかく中身はそれだけエンタテインメント性に富んでいたという事でしょうか。どちらも実に素晴らしい旧き良き推理小説でしたが、採点するなら結構差が付きますね。「グリーン家」が特別過ぎたので仕方無いです。旧き良きアメリカの華やいだ世界にざわめくムードの描写が素敵です。トリックの古さもスパイスに。愉しいスリルと香るサスペンスに満ちた名作。 |
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| No.15 | 10点 | グリーン家殺人事件 S・S・ヴァン・ダイン |
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(2015/05/18 12:41登録) 中学に入った頃、ちょっと背伸びで創元推理文庫の本作(緑の手の美しい表紙)に手を伸ばしました。 犯人も、あのトリックもかなり早い段階でピンと来てしまいましたが、そんな事より物語のあの独特な暗闇の中で白光りするようなムードが強烈で、一種のサスペンスというか恐怖小説としてすっかり魅了されてしまいました。今でもあの屋敷の中のイメージはしっかり頭の中に残っています。もしグリーン家を再現したテーマパーク乃至アトラクションがあったら是非訪れてみたいですね。 さて中学に入ったばかりの当時、家にあったりした大人向けの推理小説を(小学校の図書館で借りた子供向けの延長で)何冊か読んでいましたがなんだか小難しくて、惰性でゆっくり斜め読み(!)する感じで結局ストーリーもよく分からないままおしまい、という消化不良が多かったのですが、、初めて自分で選んで買った二冊(もう片方はカナリヤ)は実に読みやすく面白く、読んで大満足だった事をよく憶えています。 美しい記憶頼りの高評価の様で恐縮ですが、やはり10点(9.8超)を付けざるを得ません。 (カナリヤはもうちょっと低いけど) |
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| No.14 | 7点 | 二つの密室 F・W・クロフツ |
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(2015/05/18 12:06登録) ネタばれの核心突きそうな事を書きますと、この小説は「あのアリバイ破りのクロフツが密室トリックに挑戦(しかも一気に二つ)」と思わせておいて実はアリバイも密室でもない、クロフツにとっては密室以上にあるまじき(?)「意外な犯人」こそトリックの主眼という、売り文句の密室を隠れ蓑にした高等戦術こそがその肝かと思われます。犯人の意外性にしても、ややもすれば「ひょっとして、まさかアノ手の叙述トリックか?」と疑わせるシーンをちょいちょい挟んで来るし、実に抜け目が無い。 さて真犯人は、私が一番最初に疑った人物でした。しかし物語のその後の展開のムードで「やっぱり意外な犯人って事は無いか。。」とすっかり「犯人は決まってる、問題は密室トリックをどう解くかだ。」と思い込まされてしまった。。最後の最後の解決篇を読むと、私が冒頭近くで犯人に疑いを持つヒントとなったある行動(第二被害者とのやり取り)の他にも一杯伏線が張られていたんですね~ 上手いことやるもんです、クロフツ。 正直な所、中盤から最終盤まではちょっと退屈だなあと思って読んだのですが(犯人は分かってるつもりだったし、第二密室のトリックは詰まらなそうだったので)、、 最後の最後に大幅加点で7.45点(四捨五入で7点)に! |
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| No.13 | 8点 | 終着駅殺人事件 西村京太郎 |
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(2015/05/15 22:05登録) 最後、手紙で終わるという小説は割と見かける気がしますが、この『終着駅(ターミナル)殺人事件』の最後の最後で明かされる手紙の内容、というか物語の中での立ち位置に、愕然。 作者のトリッキーな頓知ぶりに脱帽笑いすべきなのか、それとも手紙を読んだ犯人の心情に思いを巡らせ涙するべきなのか、それまでに味わった事の無い感情が押し寄せました。 これぞ本格ミステリならではの、独特な感動の形。 京太郎さん黄金期(?)の長編と言うと、出だしの謎の強烈さがピカ一なのに較べ、物語も半分くらい進むと少しずつテンションが弱まって行き最後は緩めに着地してしまうきらいがあると思うのですが、この作品は最後の最後に一番のクライマックスが来て強烈な印象を残してくれました。 アリバイトリックも密室もさっぱり記憶に残っていない体たらくぶりなのですが、、 素晴らしく鮮明に記憶しておりますよ、このエンディングの衝撃は。 |
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| No.12 | 8点 | 21人の視点 石沢英太郎 |
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(2015/05/15 20:56登録) 非常に凝った構成の本格推理小説。 思わせぶりなプロローグが終わると 、、 その後は全体が21の章(短いのと長いのとバラバラ)から成り立っているのですが、それぞれの章ごとに「視点」つまりその章の主人公、言ってみれば「私」が切り替わります。 「私」は殺人事件の被害者であったり目撃者であったり重要な鍵を握る人物であったり .. 様々。 内何人かはその行動の意味が読者にもはっきりと分かり(乃至分かった気にさせられ)、他の何人かは一体何をしているのかその真意が掴めなかったり微妙に引っ掛かる所があったりします。 「私」がころころと替わって行きながらなお事件捜査は徐々に核心に迫り、最後に明かされる事件の真相と背景、は社会小説として充分に重みがあり、 またそれとは別次元で最後に判明する犯人が 。。 100%やられました。まさかあいつだとは想像もしなかった |
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| No.11 | 8点 | 悪意 東野圭吾 |
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(2015/05/15 19:43登録) 叙述の鬼でした。。。。 再読するにはちょっと、物語の風圧が強すぎて気が引けるけど、やはり傑作でしょう。 実人生への教訓にしたくなるエンディング、というかお話ですよね。 |
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