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ミステリの祭典

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斎藤警部さんの登録情報
平均点:6.69点 書評数:1449件

プロフィール| 書評

No.129 5点 医者よ自分を癒せ
イーデン・フィルポッツ
(2015/06/18 19:52登録)
英国田園地帯に住む医師の独白で構成される謎の文書、の様な小説。 この医師、最初は比較的まともな人物の様ですが、徐々にどうもおかしい所が見え隠れ。これは、何かあるぞ。。
古式ゆかしい面を差し引いてもなお読みづらい文章ではあります。が、物語の風格に圧されてまず退屈無しに最後まで読み切りました。これはやはり、ミステリの薫り漂う文芸作品。
現代の作家だったら、まして東野圭吾だったら、この物語の最後にまさかの劇的極まりないオチを付けて全てをブチ壊し、「おォ、本格推理小説だったんだ!!」と読者を唖然とさせる方に行くのではないかな。(このお話の最後だってドンデン返しっちゃそうなんですが)


No.128 7点 赤毛のレドメイン家
イーデン・フィルポッツ
(2015/06/18 19:17登録)
割とスレちゃった後に読んだせいもありましょうが、冒頭部で真犯人というか真相にピンと来てしまいました。。 しかし流石に文豪フィルポッツ、物語の魅力でぐいぐい引き込んで離しません! 構築美も相当なもの。 乱歩先生が絶賛したのも納得ですね。 先生の仰る『万華鏡』効果は、真相にすぐ気付いてしまったせいなのか、自分には起こりませんでしたが、他の作品ではその様な大地と空ごと幻惑されるような感覚は何度か味わっております。幸せな事です。


No.127 7点 蒼ざめた告発
夏樹静子
(2015/06/18 17:14登録)
例によって不安定だったり不幸だったりする男女に纏わる犯罪事件簿。が、何度そういうので来られても飽きないんだなこれが。手を替え品を替え、視点も落としどころもずらして来る夏樹さん。ちょっと怖い作品が多いのも魅力。 「冷やかな情死」のラストは酷いなあ。。 表題作のアイディアは長篇でも映えそうだ(叙述トリックを絡めても行けそう)。 適度に小味の品もはさんで、そこはかとなくフェミニンな本格短篇の饗宴。


No.126 7点 殺人方程式
綾辻行人
(2015/06/17 23:51登録)
最後まで愉しく読んだ事と、頭部切断の切実な事情だけ憶えています。 あと、ちょっと島荘さんぽいトリックを使ってたような。。


No.125 8点 殺戮にいたる病
我孫子武丸
(2015/06/17 23:42登録)
「8」と同じ作者と思えないくらい、これは良かったぜ。 前評判(ネタバレ無し)も何のその、上がりに上がったハードルをシラッとクリア。 事の真相は半分くらい進んだ所でピン!と来ましたが、では最後はどう終わらすのよ、といった興味でスリル満点のまま終結まで一直線。残虐描写はさして印象に残りませんでしたが。。 今思うとあのしつこいエログロこそ目くらましだったのか!


No.124 2点 8の殺人
我孫子武丸
(2015/06/17 23:33登録)
こりゃ詰まらなかった! 何もかもカサッカサでパサッパサで、感じるところ無し。 その昔ミステリ本に限っては「売る」という習慣を持たなかった頃、この本だけは初めて売っちまおうと思ったくらい、どうにも本格的にダメだった。 アレンジし直して、ちょっと上級篇の推理クイズに仕立てればいいのに、なんて思ったなあ。 でも実際こんな形の建造物があって中に入ったら萌えるだろなあ、なんて考えたりもしたものでした。 好きな人、ごめん。


No.123 3点 孤島パズル
有栖川有栖
(2015/06/17 23:03登録)
異色作と呼ばれる「マジックミラー」にいたく感動した余韻で数年後に「月光ゲーム」を手にしてイマイチ没入出来ず、数ヵ月後に本作でリトライ、しかしやはりどうも、私の好みでありませんでしたねえ。 文章がどうにも青臭いのと、ロジックばかり強行突破で来る感じがさっぱりねえ。 でも作者の意欲は伝わります。 この人嫌いじゃないんです。


No.122 3点 月光ゲーム
有栖川有栖
(2015/06/17 22:59登録)
異色作と呼ばれる「マジックミラー」にいたく感動した余韻で数年後にやっと読んでみたものですが。。
ご免なさい、私には合いませんでした。 でも作者の頑張りは伝わります。


No.121 9点 刺青殺人事件
高木彬光
(2015/06/17 12:02登録)
昭和30年代フェティッシュの私も、この昭和20年代濃厚ムードには骨の髄までやられます。
処女作で密室と○○の二大トリックを惜しげも無く見せ付ける意気は流石。○○トリックの方がより物語の根幹に関わる大トリックですが、密室の方もなかなかどうして。物理的密室トリックと心理的密室トリックと二つ並べておいて、一見心理的なほうが上等と単純に思いがちだけど実は物理的なほうがあってこその心理の罠、という見えない補完性が唸らせます。その密室トリックもまた、もうひとつの○○トリックを見破る伏線であり目くらましでもあり。実に重層構造。

それにしてもですね、言わずもがなですが、高木さんの頑強無比な推理小説構築力に較べて、筆の滑りの詰めが甘いこと甘いこと! 水をも漏らさぬ天才の筈の神津探偵が何かというと間の抜けた言行を晒すのは本当に滑稽。だけどそんなアンバランスが不快でなくむしろ心地よく感じられてしまうのはやはり、高木さんの人徳こそ為せる業なのでありましょうか。。 


No.120 7点 ポンスン事件
F・W・クロフツ
(2015/06/17 10:56登録)
「ペトロフ」で鮎川哲也がもう一ひねりしたくなった気持ちもよく分かる、既に一ひねり施された、最後何とも不思議な気持ちになるアリバイトリック巧篇。
(「三つの棺」を敢えて密室物と呼ぶ流儀で「ポンスン」は単純にアリバイ物と呼んでおく)

「樽」に尻込み中の方も、こっちは読んでおくといいですよ。  


No.119 7点 狂った信号
佐野洋
(2015/06/17 10:50登録)
ミッシング・リンクこそ肝の筈が題名でいきなりほぼネタバレ(?)、 かと言って告発一本槍の社会派とは明らかに触感が違う不思議なサスペンスに終始包まれた、際どい所で本格推理と呼びたい良作。


No.118 6点 通り魔
エド・マクベイン
(2015/06/17 05:10登録)
カート・キャノンは少し読んだけど、エドさんの87分署は初体験。
以前同じ勤め先にいた、敬服しちまう程エンタメ通の奴が「ハチヒチは面白い!」と言ってたんで(いえ本当はそんな言い方してませんが)ちょいと気になって50円の古本で買ったのがかれこれ15年近くも前。ずいぶん長らくお待たせしちまって恐縮もいい所だ。50円で売ってたその店はもう無い。

んで、だいたい予想通りに良かったです。もう何冊も読んでみたい、出来ればシリーズ全巻読破してやりてえ(再読はしまいが?)、って気にちょっとさせられたねえ。  
で良い所もいっぱいだが粗もなかなか目立つ。文体も島田一男っぽくサバケてみたかと思うと次の瞬間そこにフィリップ・マーロウが来たのかと思うほど気取ってみたり。だけど大都会、特にその荒っぽい地域の情景がありありと浮かんで来る文章は流石ですね。
数年前に空さんも指摘されてた通り、事件性のあるサブストーリーが本筋と絡まずさようなら、という構図は気になります。まさかそのサブ事件が数年先の作品にメインとしてひょいと再登場したりしてないだろうな?(そういや昔のTubeに「10年先のラブストーリー」ってカラオケ映えするナンバーがあった)

まシリーズでいっぱい続くわけだから、こんくらいの緩さがジャストフィットなのかも知れません。とにかく、また読みたくなりました。 今度はキャレラって奴が主役のをちょいと見てみたい。本作で奴が最後に新婚旅行から帰ってきたシーンは何故だか涙が出るほど感動しちまった。。 そんな所だ。


No.117 9点 黒白の囮
高木彬光
(2015/06/16 13:37登録)
うん、ガツンと来ましたね、これは。
第一の殺人、第二の殺人、巧みに噛み合わせられた手掛かりと伏線の妙。偽装トリックを破り、アリバイトリックを破り、満を持して瞠目の解決篇へ。。その道程の全てが、熱の籠もった質感たっぷりの文章で描かれる。高木氏の良い所ばかり凝縮された感があります。
言っちゃ何だが、鮎哲ファンにはお薦めしたい。


No.116 6点 眠りの森
東野圭吾
(2015/06/16 05:03登録)
これはちょっと、東野基準では平板だよなあ。 それでも充分、仕掛けてて面白いんだけどね。


No.115 7点 トキオ
東野圭吾
(2015/06/16 05:02登録)
爽やかに泣けるSFミステリ。 親子と夫婦の人情話。 きれいなファンタジー。
いっけん一筋縄で行ってしまいそうな風でも、確実に何かどこかに仕掛けて来るんだな、東野圭吾は。


No.114 7点 青列車の秘密
アガサ・クリスティー
(2015/06/16 04:50登録)
かなり若い時節、「オリエント」に続けて手にした記憶が。 大仕掛けでちょっと大味なかの作と違い、じっくり味わって読めました。
あらためてストーリーを思えば随分と陰惨な物語ですが、どういうわけか妙にcozyな味わいのある作品だと思います。
これは私にとって相性の良いクリスティ。 列車内という揺れ動く密室感がまた良いのかも知れません。


No.113 6点 雲をつかむ死
アガサ・クリスティー
(2015/06/16 04:42登録)
謎解き物語として深くはないし、サスペンスも緩いですけど、全体的に憎めない作品です。
クリスティと自分との相性を考えると、ミステリーの骨組とはまた別の所にあるちょっとした何かで好き嫌いが大きく分かれてしまうなあ、といつも思うのですが、これはまあ相性がいい。 航空機内という浮遊する密室感がまた良いのかも知れません。
邦題は「大空の死」が好きだ。


No.112 6点 都会の狼
高木彬光
(2015/06/15 15:05登録)
出所したヤクザが、恩義ある死刑囚(ヤクザの出所直前に執行!)の無実を証明しようと都会の暗所を奔走するサスペンス。彼が事件の真相に近づく度、重要関係者と目星を付けた人物が次々殺されて行く。。
などと書けばまるでありきたりなストーリーの様ですがなかなかどうして、粗筋だけでは知り得ない長篇小説の力が全篇に漲(みなぎ)って読者の意識を離しません。 高木先生独特の微妙な間抜け味も重厚なストーリーといい具合にブレンド。 埋もれたままにしておくに惜しい、ちょっとした読み物です。 昭和30年代の残り香が強い40年代初頭の雰囲気もよく漂っていて悪くない。
それにしても、郷愁を誘う「伊勢佐木(ザキ)町のジャック」なる人物の呼び名。これひょっとして発表当時既にちょっとズレてる感じだったんじゃ。。


No.111 8点 蒸発
夏樹静子
(2015/06/15 12:52登録)
質実な人間ドラマに貫かれた複雑系アリバイトリックの傑作。航空機という大きな密室からの人間消失事件で幕を開け、その後も次々と現れる多くの謎と疑惑が最後に美しく収束します。ぐっとフェミニンになった鮎川哲也といった趣があり、鮎さんファンにもお薦め(特に「死のある風景」が好きな人)。 これは再読したい。


No.110 9点 三つの棺
ジョン・ディクスン・カー
(2015/06/12 11:10登録)
誠に大事(おおごと)ですなあ、この物語に登場するトリックの全貌は!! 
密室トリックとアリバイトリックが不可分に補完し合っておりますし、
犯人の意志と偶然の成り行きも絶妙に組み合っておる、
おまけに被害者と犯人が。。 更に○○○。。 そこにちょっぴりおばかさんな大物理トリックまで彩りを添え(ここまでやっといてトリックの中心じゃないってのも凄い)、全ての背景には相当に暗くて深い過去のおぞましい因縁が。。。。

こりゃ作中の「密室講義」なる戯れ(意外とあっさりで驚き)であらかじめハードルを思いっきり上げておくのもなるほど納得、むしろそれくらいして読者に心と頭の準備をさせておかないと本作のトリックが想像外にこってりがっしりし過ぎでおいそれと一発理解出来なくなってしまう、という事なのではないか?

真相解明に至るまでの物々しくも皮相な物語はさして夢中にさせるものでは無かったが、このただ事でない「何時(いつ)、誰が、何処で、何を、何故、如何様に為していたのか!」をあらためて反芻してみるに、小説の愉悦にやや乏しいにしては破格のこの様な点数を付ける外は無しとする心境に至った。

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