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ミステリの祭典

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通り魔
87分署

作家 エド・マクベイン
出版日1960年01月
平均点5.50点
書評数2人

No.2 6点 斎藤警部
(2015/06/17 05:10登録)
カート・キャノンは少し読んだけど、エドさんの87分署は初体験。
以前同じ勤め先にいた、敬服しちまう程エンタメ通の奴が「ハチヒチは面白い!」と言ってたんで(いえ本当はそんな言い方してませんが)ちょいと気になって50円の古本で買ったのがかれこれ15年近くも前。ずいぶん長らくお待たせしちまって恐縮もいい所だ。50円で売ってたその店はもう無い。

んで、だいたい予想通りに良かったです。もう何冊も読んでみたい、出来ればシリーズ全巻読破してやりてえ(再読はしまいが?)、って気にちょっとさせられたねえ。  
で良い所もいっぱいだが粗もなかなか目立つ。文体も島田一男っぽくサバケてみたかと思うと次の瞬間そこにフィリップ・マーロウが来たのかと思うほど気取ってみたり。だけど大都会、特にその荒っぽい地域の情景がありありと浮かんで来る文章は流石ですね。
数年前に空さんも指摘されてた通り、事件性のあるサブストーリーが本筋と絡まずさようなら、という構図は気になります。まさかそのサブ事件が数年先の作品にメインとしてひょいと再登場したりしてないだろうな?(そういや昔のTubeに「10年先のラブストーリー」ってカラオケ映えするナンバーがあった)

まシリーズでいっぱい続くわけだから、こんくらいの緩さがジャストフィットなのかも知れません。とにかく、また読みたくなりました。 今度はキャレラって奴が主役のをちょいと見てみたい。本作で奴が最後に新婚旅行から帰ってきたシーンは何故だか涙が出るほど感動しちまった。。 そんな所だ。

No.1 5点
(2010/04/10 12:43登録)
フレデリック・ダネイは来日した時、マクベインの小説作法に対して、1つの長編の中でいくつかの話を並行して書いて、各々別の結末をつける安易な構成だと批判的な意見だったそうですが、本作を読むとなるほどと思えます。
たとえば別の分署で起こった猫の連続盗難事件の話のオチは、バカミスと言うかボケミスと言うか、個人的には笑えました。しかしその事件をなぜ本作の中で語るのかと言えば、大都会ではそんな事件も起こるから付け加えたのだ、というだけでしょう。メイン・ストーリーにからんでこないのです。訳者あとがきでは寄せ鍋という言葉が使われていましたが、むしろさまざまな小料理の取り合わせという感じがします。その中で気に入ったのはクリング巡査の恋愛話でした。
文章はところどころでしゃれた表現を連ねているのですが、チャンドラーやアイリッシュのように文章が雰囲気を決定づけるという感じではなく、ただ気取っているだけに思えるのが難点です。

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