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ミステリの祭典

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T・ランタさんの登録情報
平均点:6.16点 書評数:43件

プロフィール| 書評

No.43 7点 人形が死んだ夜
土屋隆夫
(2011/10/10 05:17登録)
読後に何とも切ない気分になった作品です。
手っ取り早く説明すればある事故を契機に事件が起こるのですが、その辺りの前置きが丁寧なため事件が起こる前に犯人、被害者、動機が分かってしまうと言う事態になっています。
その辺り「聖悪女」に似ているかも知れません。
そういう訳で焦点はどのように犯行に及んだかと言うことになります。その辺りはある程度の意外性があります。

しかし最も印象的なのは最終章の展開でした。
「物狂い」から引き続き登場する土田警部が主人公ですが、このような末路で良いのかと思わざるを得ませんでした。


No.42 6点 物狂い
土屋隆夫
(2011/10/10 05:04登録)
土屋氏の作品としては少し微妙な評価です。
長い割には焦点がアリバイトリック一点なので動機の平凡さもあり、やや弱い印象があります。

捜査する側の刑事課はなかなか個性的な印象で、「人形が死んだ夜」以降彼らが登場しないであろうと思われるのが残念です。


No.41 6点 弥勒の掌
我孫子武丸
(2011/05/15 08:08登録)
新興宗教を中心とした展開にうっかり騙されてしまいました。
しかし話のスケールの割に、この叙述トリックはどうなのかと思わざるを得ませんが、騙されてしまったものは仕方ありません。
それと二人の主人公が行った行為が重なる辺り、偶然に頼っている部分があるかも知れません。
最後に言わせてもらえれば、宗教団体の真相については置いておくとしてもラストの後味の悪さは好みではありませんでした。
もっともあの主人公には相応しいのかも知れませんが。


No.40 5点 迷宮遡行
貫井徳郎
(2011/05/15 07:50登録)
最愛の妻が行方不明になってもドン臭い印象の、平凡な主人公の一人称で綴られるハードボイルド(?)風の作品です。
色々ヤクザとか絡んできた末に終盤になって主人公がアグレッシブになった上に、犠牲の上に再開出来た妻が残念な事になってしまいます。
それを受けて主人公はどうしたのだろうか・・・とそればかりが気がかりな印象でした。


No.39 5点 密室殺人講座
水野泰治
(2011/04/03 05:06登録)
ごく普通の密室物と思いこの作品を読み、終盤で不満に感じた事。
1.トリックが強引なため理解することを放棄。
2.数カ所脈絡の無い言動や記述がある。
3.終盤の登場人物の言動が大げさすぎる。如何に切羽詰っているとは言ってもオカルトを馬鹿にしていた人物が死後の世界の話を真剣に聞き入るとか・・・

などと思って読むと、最後に作中の事件は作中劇だった事が分かります。
不満点の2は劇のアドリブ、3は芝居だからこその大げさな演出であることが分かり少し感心しました。
それでも劇中のトリックが無理やりな印象は拭えないのでこの点数で。


No.38 6点 上を見るな
島田一男
(2010/01/17 07:22登録)
何と言いますか、序盤で旧家での事件との事で横溝正史風なのかと思って読んでいればトリックが結構独特な気がしました。
細かいパズルを解く必要はありません、タイトルこそネタバレですと言う事です。
それと名前に関するトリック(?)に関しては今ではちょっと考えられなく、戦後立ち直り始めた頃にはこんな事もあったりしたのかと思ったりもしました。


No.37 6点 雪の断章
佐々木丸美
(2010/01/17 07:03登録)
この作家の作品は初めてでしたが
小説としてはそれなりに楽しめても、ミステリーを読んでいる気にはなりませんでした。
恐らく主人公の主観が強すぎるのと、事件そのものよりも主人公の人生に焦点を当てた結果ではないかと思います。
さらに言えば主人公の境遇を描くのが中心で、事件そのものは影が薄い気がします。

犯人に関してもなぜあんな事をしておきながらこんな事をしたのか・・・などと思わざるを得ません。

メインと思われる主人公を取り巻く環境にしても、何の見返りも無しにほぼ面識がないに等しい子供を育てる青年がいるのかと、そんな事を気にしてしまいました。


No.36 8点 危険な童話
土屋隆夫
(2010/01/17 06:23登録)
土屋氏の代表作として挙げられる作品です。
ある男が殺害され、容疑者が逮捕されるが決定的な証拠が見つからない。
その一方で各章の冒頭に載っている童話と思われる文章。
それが結びついたときに真実が明らかになります。

「童話」が単なる雰囲気作りでなくプロットの中核をなしている辺りが本作の評価を高めているのだと思います。

そして事情はあれども犯罪が残した代償は大きいと言う結末。
これも土屋氏の作風なのかも知れません。


No.35 4点 向日葵の咲かない夏
道尾秀介
(2010/01/14 17:53登録)
まずこれはミステリーとして評価すべきなのでしょうか?
確かに叙述トリックのミステリーとして見ることも可能じゃないかと思います。
しかしミステリーとして見た場合、肝心な部分の伏線が足りてない印象で、真実が明らかになったときは「そうだったのか!!」と言うより「はあ?ふざけるな」という印象でしたので非常に微妙な評価となってしまいます。

一応伏線らしきものはありますが、どっちかと言えばミスリードの方が強く働いている印象ですから仕方無し、これも作者の狙いなのかも知れませんが・・・全てが信じられぬ。

まあ蜘蛛がしゃべってる時点でそういう可能性も考慮しておけという話なのかも知れませんが・・・

でも主人公や母親などの歪みっぷりはなかなかの見どころだと思います。
なのでホラーや幻想小説としては良い出来ではないかと思います。


No.34 7点 不安な産声
土屋隆夫
(2010/01/14 17:40登録)
いわゆる倒叙型、犯人視点中心の小説です。
犯人はもちろん、トリックも明かされているので動機に焦点が当てられる事になります。
それには犯人の職業が関わっているのですが・・・

しかし事を起こしたあとで・・・と言うのも辛いものです。
どんな罰も覚悟した犯罪者でもこればかりは絶望感を味わうのではないでしょうか。
これも一つの罰なのかも知れませんが、あまりにもやりきれません。


No.33 7点 終章からの女
連城三紀彦
(2010/01/14 17:30登録)
犯人、トリックは最初に提示されます。
そして犯人は捕まりますが・・・と言った展開です。
読者は事件の動機もそうですが、犯人の行動に関する動機も考える必要が出てきます。

しかしそれは犯人の思想的な物なのでそう分かるような物では無かったりするのですが・・・

ちなみにドロドロした部分はあまり好きじゃなかったです、はい。


No.32 8点 私という名の変奏曲
連城三紀彦
(2010/01/14 17:23登録)
同じ人物が七回殺されると言う無茶な展開を物理的トリックで成し遂げたある意味傑作と言えます。
序盤が似たような展開なのは仕方ありませんが、『犯人』の一人が罪悪感に苛まれたことから大きく事態が動き出します。

多少無茶でもこんなトリック思いついただけ見事だと思います。
一番印象に残るのはヒロインの偏執的な部分と言えますが・・・


No.31 6点 暗色コメディ
連城三紀彦
(2010/01/14 17:16登録)
掴みは充分だったと思います。
不可解な謎が幾つも出てきて困惑させる展開に非常に興味をそそられました。

しかしその中に本当に精神の病による錯覚(?)があったりで少し残念でした。

『私という名の変奏曲』より先に読んでたらもう少し好評価だったかも知れません。


No.30 8点 木製の王子
麻耶雄嵩
(2010/01/14 17:04登録)
本作の最大の見所はアリバイトリック。
読者の誰もが放り出しそうな程緻密なもので、そもそも細かいちまちましたアリバイ検証部分は読み飛ばしてしまいそうな危惧がなくもありません。
しかしそれに対する答えは明快な物です。

それ以上に印象的なのは答えが出たあとで、今までのが些細なことだったと言わんばかりに豪快にぶち壊してくれるような展開。

さらに言えば実は則定が・・・だったりするんだろうなあ、などと思ったりしたわけですが。

流石と言うしかありません。


No.29 8点 殺人喜劇の13人
芦辺拓
(2009/01/02 03:00登録)
個人的には楽しめました。
色々な仕掛けを詰め込んでいて飽きさせません。
前半部分の文章が読みにくい印象でしたが、それも仕掛けの内と捉えて宜しいのでしょうか?

ただ、印象薄い人物が犯人だったという思いがありますが。


No.28 6点 あいにくの雨で
麻耶雄嵩
(2009/01/02 02:01登録)
こんな高校無いだろなどと思いながら読んでいました。
学園生活部分もそれなりに楽しみましたが、本筋との関連が薄いのが残念です。

麻耶らしさは薄味ですが、主要人物のだれも救われないのが流石と言った所でしょうか。


No.27 4点 夏と冬の奏鳴曲
麻耶雄嵩
(2008/10/13 02:05登録)
読んだ時理解できませんでした。
ひたすら後味が悪かったですし。

真相を用意してあるにしてもヒントが無さ過ぎる気がします。
あれでは読者を置いてけぼりにしすぎと思ってしまいますね。


No.26 8点 翼ある闇 メルカトル鮎最後の事件
麻耶雄嵩
(2008/10/13 02:02登録)
個人的にはネタを詰め込んだタイプの作品が好きですので楽しめました。
終盤のどんでん返しも狙いすぎな気はしますが評価できるとは思います。

最後に結局のところ木更津は何のために山篭りしたのかと思ってしまいます。


No.25 5点 エナメルを塗った魂の比重 鏡稜子ときせかえ密室
佐藤友哉
(2008/10/13 01:50登録)
話そのものよりも小ネタで楽しんでしまいましたので、話そのものは印象に残っていません。
とりあえずファンタジーと思って読めばそれなりに楽しめると思います。


No.24 5点 フリッカー式 鏡公彦にうってつけの殺人
佐藤友哉
(2008/10/13 01:47登録)
何と言うか評価し辛いですが・・・
非常に個性的でインパクトはあります。
好き嫌い分かれる作風であることは間違いありません。
終盤がなんだかグダグダな印象でした。

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