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ミステリの祭典

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TON2さんの登録情報
平均点:5.65点 書評数:330件

プロフィール| 書評

No.110 4点 QED 龍馬暗殺
高田崇史
(2012/11/12 13:09登録)
講談社NOVELS
坂本竜馬暗殺の黒幕は誰かについて謎解きをしています。
このシリーズの歴史に関する薀蓄は嫌いではないのですが、内容が薄っぺらな印象を受けます。


No.109 6点 シャーロック・ホームズの回想
アーサー・コナン・ドイル
(2012/11/12 13:06登録)
創元推理文庫
 「シルヴァー・ブレーズ号の執行」「黄色い顔」「グロリア・スコット号の悲劇」「マスクレーヴ家の儀式書」「ライトゲートの大地主」「背の曲がった男」「寄留患者」「ギリシャ語通訳」「海軍条約事件」「最後の事件」の11編。
 圧倒的な推理力による事件解決というよりも、推理の失敗や謎が完全に溶けない問題もあります。
 「ギリシャ…」ではホームズにマイクロフトという兄がいることが分かります。「グロリア…」は、ホームズの大学時代の事件で、探偵業のきっかけとなったものです。「最後の…」は、突然ホームズと同等の知能を持つとして現れた宿敵モリアーティ教授ととの戦いです。


No.108 6点 ファイアボール・ブルース
桐野夏生
(2012/11/11 17:19登録)
文春文庫
女子プロレスを舞台にした青春ミステリー。神取忍をモデルとした主人公のストイックな生き方は爽快で、男よりも性根がすわり、とても美人に思えます。プロレスというと八百長ショーと頭に浮かびますが、この世界で精一杯自分を失わずに生きていくかっこよさを感じます。
女のハードボイルドを書かせたら、この作者は天下一品です。


No.107 7点 異邦の騎士
島田荘司
(2012/11/11 17:13登録)
講談社文庫
御手洗潔は、現実生活になじます変人として描かれているが、後の作品のようにでしゃばる場面がなく好感が持てました。天才型名探偵の悲劇として、最初から事件にかかわると、天才ゆえに何もかもが見えてしまい、読者がついていけなくなることがあります。この作品では、物語の中心は石岡であり、御手洗は友人としての立場で抑制がきいていました。


No.106 7点 二重螺旋の悪魔
梅原克文
(2012/11/11 17:07登録)
角川ホラー文庫
DNAの解読にともなう、SF・ホラーともいうべき作品です。
この作者の文体はつまらない比喩が多く読みづらかったです。また、「成功した。成功ではなかった。」というような記述も多く、上手とはいえません。
しかし私にとっては、この本は新しい神の概念を示してくれたことが最大の成果でした。ビッグバン直後の膨大な量の粒子の濃淡のパターンが、0と1のデジタル信号となったというのは面白いと思います。


No.105 4点 御手洗潔のメロディ
島田荘司
(2012/11/11 17:01登録)
講談社文庫
御手洗潔シリーズは面白いのですが、探偵があまりに天才すぎて深みに欠けるのではと思います。確かに思いもよらない結末となるのですが、話の冒頭と結末がどうつながるのか、私にはわからない作品もありました。


No.104 3点 春信殺人事件
高橋克彦
(2012/11/11 16:57登録)
角川文庫
歌麿、清長とともに江戸の三大美人絵師として名高い鈴木春信。彼の数点しか現存しない希少な肉筆画から決定的な贋作が見つかった。
浮世絵をはじめとして骨董品・美術品の世界は、騙し騙されの世界で、自分の目だけを信じて、仮に贋物をつかまされても、それは自分の目利きが十分でないという証拠なのだ。
この作者の得意分野ですが、極めて手を抜いた作品です。


No.103 2点 七つの邪馬台国
邦光史郎
(2012/11/11 16:52登録)
徳間文庫
邪馬台国に関する謎解きがあるのかと思いましたが、ただ舞台がヤマト根元教という宗教団体で、その内紛の事件を扱っているだけというのは、全くの期待はずれでした。


No.102 2点 ロートレック荘事件
筒井康隆
(2012/11/11 16:49登録)
新潮文庫
登場人物の会話がどうも一致しないと感じていたら、叙述トリックでした。でも私には、これはすっきりしていないと感じました。


No.101 2点 七福神殺人事件
高木彬光
(2012/11/11 16:46登録)
角川文庫
何か七福神に対して新しい見方でもしているのかと思いましたが、ただ七福神が殺人の偽装に使われただけで、期待はずれでした。
この文庫本の表紙の絵が、女は浅野ゆう子、男は藤田まことに似ているのだけが笑えました。


No.100 1点 顔のない神々
井沢元彦
(2012/11/11 16:43登録)
ハルキ文庫
本の裏表紙に「日本古代の謎―邪馬台国の場所や天皇家の祖先にまつわる謎―を記録した財宝をめぐり、繰り広げられる陰謀の数々」とあるので、作者があの井沢元彦だから、古代史の謎解きをしている本だと思い読みましたが、全くの期待はずれでした。
古代史の謎解きは、神々の故郷たる高天原は朝鮮半島にある山だといういだけで、あとはマフィア、台湾政府らが巻物を取り合うドタバタで、作者が手を抜いた作品だということが一目でわかるものです。時間を返してほしい。


No.99 10点 奪取
真保裕一
(2012/11/11 16:37登録)
講談社文庫
 日本推理作家協会賞と山本周五郎賞をW受賞した傑作サスペンス。
 ”本物”の偽札をつくるために、紙の原料となるミツマタを山中で栽培したり、日本では手に入らない平板印刷機が終戦直後のどさくさで隠してあったり、透かし作成のために精妙な原版を彫るなどといったややご都合主義なところもありますが、友情、執念、闘いをユーモラスに描いた傑作だと思います。
 仲間の裏切りにあっても、再度挑戦しようというラストがすばらしい。


No.98 5点 神鳥(イビス)
篠田節子
(2012/11/11 16:29登録)
集英社文庫
夭折した明治の女流画家の「朱鷺飛来図」。死の直前に描かれたこの幻想画の魅力に憑かれた女性イラストレーターとバイオレンス作家の男女コンビが、画に隠された謎を探り出そうと画家の足跡を追って奥多摩の山中へ行く。そこで時間を超えて体験したのは、都心を追い出された朱鷺が村人たちを襲い殺す姿だった。
なんでもない生活の中から恐怖が生まれる、パニック・ホラー小説です。


No.97 7点 山妣
坂東眞砂子
(2012/11/11 16:22登録)
新潮文庫
直木賞受賞作。
明治30年代、冬は雪に閉ざされる越後の山奥の村。そこには、山に入ると山姥に食われるという伝説が息づいていた。
金山街の遊郭から金を盗んで男とともに逃げた遊女。その女は金を持った男に捨てられ、山人に救われ、今は山の中に一人住む。東京から芝居指導のために村を訪れた両性具有の役者。村の庄屋の息子と女房は役者とできてしまうが、二人は山姥と恐れられる遊女の子どもたちであった。
熊狩りの日、因果はめぐりめぐり村人たちの上におそいかかる。
人間の業が生み出す壮絶な運命を濃密に描いた伝奇小説です。


No.96 4点 QED 竹取伝説
高田崇史
(2012/11/08 22:58登録)
竹とは賤民をあらわし、機織りも同様の意味を持つという。
相変わらず、殺人事件は付け足しです。


No.95 5点 QED 式の密室
高田崇史
(2012/11/08 22:55登録)
(ネタバレ)
陰陽師が操る式神とは、鬼ではなく、当時の貴族である殿上人から見れば人ともいえない庶民のことである。貴族は自分と同じ殿上人以外を見たり、話をすると、自分が穢れるという理由から、庶民は実際には見えていても見えないこととしていたという。安部清明は下級貴族でありながら、そうした庶民を情報源として使っていた。それが式神である。
一応ミステリーとしておきる事件はほんの付け足し。この歴史解釈、薀蓄こそがこのシリーズのキモです。


No.94 6点 QED 東照宮の怨
高田崇史
(2012/11/08 22:48登録)
(ネタバレ)
東照宮建造の黒幕は南海坊天海。彼は日光の地を選ぶことにより、江戸の霊的おさえとするとともに、自分にとっても薬師如来と日光菩薩、月光菩薩を出現せしめた。
日本において、宮の名を持つ神社は、明治神宮のように皇室の祖先神を祀るものであり(天満宮のように怨霊鎮魂のための例外はあるが)、家康は皇室祖先神と同列になったのだ。
桑原崇の語る薀蓄は勉強になるなぁ。ミステリーというよりも、歴史の新解釈の教養本とトンデモ本が合わさったような内容です。


No.93 4点 QED ベイカー街の問題
高田崇史
(2012/11/07 18:18登録)
(ネタバレ)
このシリーズは一貫して日本の民俗や歴史の謎を扱っているのですが、唯一この作品だけが異質です。
ホームズと宿敵モリアーティ教授が同一人物だったと証明しています。
ミステリー好きの中でもシャーロキアンというのは、虚構の世界を現実の世界として遊ぶ、ものすごいものだと知りました。


No.92 6点 QED 六歌仙の暗号
高田崇史
(2012/11/07 18:15登録)
六歌仙は皆怨霊で、七福神に対比される。七福神というとおめでたい神様のようだが、実は怖ろしいものだったというのです。
世間の通説や常識とは異なる説明に、知的好奇心をおぼえます。
「百人一首の呪」よりは、楽しめました。


No.91 5点 QED 百人一首の呪
高田崇史
(2012/11/07 18:12登録)
第9回メフィスト賞受賞作。
博覧強記の薬剤師・桑原崇(通称タタル)が、百人一首にこめられた謎を解きます。
主人公が京極堂のように膨大な薀蓄を語る作品ですが、短歌の解説があまりにマニアックすぎてついていけませんでした。

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