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ミステリの祭典

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神鳥(イビス)

作家 篠田節子
出版日1993年08月
平均点5.50点
書評数2人

No.2 6点 メルカトル
(2019/06/29 23:16登録)
夭逝した明治の日本画家・河野珠枝の「朱鷺飛来図」。死の直前に描かれたこの幻想画の、妖しい魅力に魅せられた女性イラストレーターとバイオレンス作家の男女コンビ。画に隠された謎を探りだそうと珠枝の足跡を追って佐渡から奥多摩へ。そして、ふたりが山中で遭遇したのは時空を超えた異形の恐怖世界だった。異色のホラー長編小説。
『BOOK』データベースより。

前半はサスペンス、後半はパニック・ホラーな展開。かなり怖いです。
主人公の二人、タフな女と軟弱な男の微妙な距離感が何とも言えず良い雰囲気を醸し出しています。特にイラストレーターの葉子の揺れる女心が、異世界の恐怖感を相殺して丁度いい塩梅に仕上がっている感じがしますね。文体も分かりやすく、立ち止ることなくスムースに読み進めることができます。
また、絶滅危惧種の朱鷺の生態などの蘊蓄も語られ、緩急をつけた非常にバランスの良い作品だと思います。

果たして彼らは現実の世界に戻れるのか、そして二人の関係はどう発展するのかといったところも注目ポイントで、最後まで飽きることなく読ませます。
タイトルから受ける神秘的な或いはファンタジックな印象はあまりなく、どちらかと言えば土着的な要素がより色濃い作品となっています。十分面白かったですし、他作品も読んでみようかという気にはなりました。

No.1 5点 TON2
(2012/11/11 16:29登録)
集英社文庫
夭折した明治の女流画家の「朱鷺飛来図」。死の直前に描かれたこの幻想画の魅力に憑かれた女性イラストレーターとバイオレンス作家の男女コンビが、画に隠された謎を探り出そうと画家の足跡を追って奥多摩の山中へ行く。そこで時間を超えて体験したのは、都心を追い出された朱鷺が村人たちを襲い殺す姿だった。
なんでもない生活の中から恐怖が生まれる、パニック・ホラー小説です。

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