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ミステリの祭典

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春信殺人事件
塔馬双太郎シリーズ

作家 高橋克彦
出版日1991年03月
平均点4.33点
書評数3人

No.3 5点 nukkam
(2021/08/24 09:03登録)
(ネタバレなしです) 1991年発表の塔馬双太郎シリーズ第7作で鈴木晴信の浮世絵を軸とした本格派推理小説ですが、「写楽殺人事件」(1983年)、「北斎殺人事件」(1986年)、「広重殺人事件」(1989年)の浮世絵三部作の仲間入りして浮世絵四部作とならなかったのは三部作の主人公である津田良平が登場しないからでしょうか?塔馬が津田を回想する場面はありますけど。本書での塔馬の登場は中盤からで、全体を通しての主人公は行方知れずの美術品の「捜し屋」である仙堂耿介です。研究家の津田と違ってハードボイルドの私立探偵風ですがかつては浮世絵研究家の道を歩いていたという設定で、研究家を断念したことへの未練も引きずっています。国内よりも海外の方が高く評価している春信作品の真贋を巡る謎解きで、捜査はアメリカにまで及びます。日本人ばかり登場するのでアメリカの雰囲気は感じられない描写ですが。殺人の謎解きがほとんど脇に回っているのは浮世絵三部作と同じで、特に本書ではちょっと凝ったトリックが使われているだけに犯人当てとして中途半端な着地になっているのがもったいないと思います。浮世絵議論についても芸術性より市場相場の話が中心なのでわかりやすいといえばわかりやすいですが、美術ファン読者からすると物足りないでしょうね。

No.2 5点 測量ボ-イ
(2014/06/28 15:06登録)
久々にこの作者の作品を読みました(おそらく「写楽」以来)。
美術に対する造詣の深さはさすがのものがありますが。ミステリ
-小説としては平凡。
書かれた時期がいわゆるバブル時代なので、当時の企業による
美術品買い漁りの事情もわかりました。

No.1 3点 TON2
(2012/11/11 16:57登録)
角川文庫
歌麿、清長とともに江戸の三大美人絵師として名高い鈴木春信。彼の数点しか現存しない希少な肉筆画から決定的な贋作が見つかった。
浮世絵をはじめとして骨董品・美術品の世界は、騙し騙されの世界で、自分の目だけを信じて、仮に贋物をつかまされても、それは自分の目利きが十分でないという証拠なのだ。
この作者の得意分野ですが、極めて手を抜いた作品です。

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