蟷螂の斧さんの登録情報 | |
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平均点:6.10点 | 書評数:1696件 |
No.316 | 9点 | どこまでも殺されて 連城三紀彦 |
(2012/11/19 10:26登録) 「7回も殺されている」・・・一体どういうこと???という謎をひきずりながら物語は進みます。妄想ではないこと(きっちりしたオチ)を期待しながら読んでいくのですが、途中、男子高生が教師に助けを求めるあたりから、やはり妄想でしかない?と思ってしまいます。その辺の描き方は秀逸だと思います。そして、裏表紙にある「驚愕の展開」になるのですが、大変満足な結果でした。 |
No.315 | 5点 | 毒薬の輪舞 泡坂妻夫 |
(2012/11/17 17:48登録) 舞台設定はそれなりに楽しめたのですが、小技が多く、ややインパクトに欠けた感じがしました。子供の登場、毒薬となると、エラリー・クイーンの某代表作をイメージしてしまいました。 |
No.314 | 5点 | 死者の輪舞 泡坂妻夫 |
(2012/11/12 18:42登録) ユーモア系の特異な刑事が登場するのですが、なんとなく馴染めない感じがしました。プロットは題名より解りやすいし、前例があるので驚きはありませでしたが、ラストにおいては一捻りがありました。 |
No.313 | 7点 | 枯葉色グッドバイ 樋口有介 |
(2012/11/08 10:44登録) 既読2作品は青春ミステリーでしたが、本作は凄惨な一家殺しと女子高生絞殺で趣(重さ)が相違していました。共通している主題は、被害者の過去を調べれば、知りたくないことまで暴かれる・・・その覚悟があるか?というような気がします。ホームレスの元刑事と女性刑事、女子高生(惨殺された家族の生き残り)の関係がユーモラスに描かれ、本作品の底に流れる陰湿さを緩和しており、うまいと思います。元刑事の推理(勘によるものが多く本格とは言い難いのですが・・・)が当たっているようで微妙に?という点が本作の読みどころではないかと思います。 |
No.312 | 5点 | 風少女 樋口有介 |
(2012/11/06 20:56登録) 主人公は、中学時代に好意を寄せていた麗子の死を知る。風呂場での事故死とされていたが、不信を抱き、麗子の妹と調査を始める。ミステリー度はそれほどありませんが、麗子の友人関係(主人公の同級生)を調べていくうちに、それぞれの若者の生き方が浮き彫りになっていくといった青春物語です。 |
No.311 | 6点 | ぼくと、ぼくらの夏 樋口有介 |
(2012/11/05 08:30登録) 同級生が自殺したことに無反応・無関心な主人公。この点には違和感を覚えました。その後、心の変化は良く解らないのですが、自殺の調査に乗り出します。どうも主人公の性質を把握することができませんでしたが、ユーモアもあり青春ミステリーとして楽しめました。 |
No.310 | 6点 | 妖かし蔵殺人事件 皆川博子 |
(2012/11/02 18:33登録) 過去、何代にも亘って起きている蔵からの人間消失事件という謎が、妖しく漂い、皆川ワールドの片鱗を醸し出しています。歌舞伎の舞台(大仕掛け)や小道具を使ったトリック自体は、それほどの驚きはありませんが、複雑な人間関係が解きほぐされてゆく過程は楽しめました。 |
No.309 | 4点 | 未完成 古処誠二 |
(2012/11/02 07:37登録) 一般小説にミステリーがプラスされた感じです。孤島の自衛隊射撃場で小銃が紛失し、その謎を追うものですが、どうしても大事件とは思えませんでした(自衛隊では、秘密状態で解決しなければならない重大事件という設定)。ホワイダニットがメインで、それはそれなりに納得できるものでしたが、謎が小粒なので、なかなかページが進みませんでした。 |
No.308 | 8点 | 悪意 東野圭吾 |
(2012/10/29 19:11登録) 通常のミステリーにおいてはトリック重視なので、動機にはそれほど感心はありません。しかし、計画犯罪の場合は、絶対納得できる動機があって欲しいと思っていたので、本作はその点、非常にマッチした作品でした。同じ倒叙ものでは、「X」より本作の方が数段上のような気がします。 (ネタばれ)計画犯罪における動機そのものに対するトリックという点で高評価です。ただ、文鎮、古い大学ノートに関しては、違和感が残ります。 |
No.307 | 7点 | ウェディング・ドレス 黒田研二 |
(2012/10/27 21:03登録) 途中で???となり、そのままラストへ。読み返せば解ると思いますが、そのような読み方をしない性質なので、???のままは初体験でした。密室トリックは、発想はいい(+2)と思いますが、現実味は?で(-1)といったところ。文章はすっきりしていて読みやすかったですね。デビュー作、かつ、イニシエ(2004年)より本作(2000年)の方が早い出版ということで+1。 |
No.306 | 5点 | 知床岬殺人事件 皆川博子 |
(2012/10/25 20:27登録) 一人住まいの女性宅に、昨日約束した映画製作費の出資をお願いしたいと、映画監督が訪れてきた。女性には全く身に覚えがない話であった。やがて女性は自分が二重人格であると気がつく。そして殺人が起こり、女性は容疑者として捕らえられる・・・。もう一人の人格が殺人を犯したのか?という展開(皆川ワールド)を期待したのですが、後半は通常のミステリータイプのストーリーとなってしまい残念です。 |
No.305 | 2点 | 電氣人閒の虞 詠坂雄二 |
(2012/10/24 13:01登録) いやはや、何と評価して良いやら・・・。ホラー系の恐怖感・サスペンス感もないし、推理小説らしい推理もないし・・・。ただ唖然としたのみ。 |
No.304 | 7点 | 田沢湖殺人事件 中町信 |
(2012/10/19 18:45登録) 物語開始と同時に事件が起こり、すぐ謎解きが開始されるので、だれることなく読むことができました。密室や時刻表アリバイトリックなどありますが、それより大きなミスディレクションが本作の読みどころと思います。写真と○○・・・気になっていたのですが、そう来ましたか!ということでやられてしまいました。 |
No.303 | 8点 | ここに死体を捨てないでください! 東川篤哉 |
(2012/10/18 16:31登録) ドタバタ調の作風にも慣れ楽しめました。香織と鉄男のコンビがいいですね。そして奇想天外なアリバイトリックは、お気に入りのひとつになりそうです。そして犯人も、そのトリックに・・・洒落た構成です。 |
No.302 | 6点 | 今日を忘れた明日の僕へ 黒田研二 |
(2012/10/17 16:55登録) 記憶喪失の設定が面白い。事故以前のことは覚えているが、その後の毎日(前日)を忘れてしまうというもの。その間に、女子高生の自殺や、友人が殺害される事件が起きる。そのことがフラッシュバックし、自分が係わっているのではないかと、日記を調べ始めるのだが・・・。登場人物が少ないので、フーダニットよりホワイダニットの方が色濃いような感じを受けます。日記から真相にたどりつく過程は楽しめました。 |
No.301 | 6点 | 死の命題 門前典之 |
(2012/10/16 22:12登録) <ネタばれあり>(屍の命題)最初の頁で読者への挑戦状あり。ここでは「そして誰もいなくなった」とあり、興味をそそられます。プロットについては笹沢左保氏(既読)、泡坂妻夫氏(未読)他に前例があるようですが、挑戦状にある「蘇る死者?」の奇想をプラスしているところは評価できると思います。「確率がゼロでない限り-偶然的であっても-それは偶然ではなく必然なのです。」をどう評価するのかということでしょう。奇想は評価しつつも、やはり偶然が2つも重なると、やはり「バカミス」っぽいか? |
No.300 | 7点 | 薔薇密室 皆川博子 |
(2012/10/14 09:19登録) 300冊目の書評は皆川博子ワールド。世界大戦中のドイツの山奥にある僧院。ここで薔薇と人間を合体させる研究が実施されていた。実は作中作なのですが、現実と作中作が交錯し幻想的な雰囲気を醸し出しています。(というより「ドグラ・マグラ」に似た混乱・・・でもそれほど難解ではない)同時に、時間軸の感覚も混乱させられます・・・。「<ヴィーナスの病>の病原体・・・研究」を誰が書いたかという謎と、この本に翻弄される二人(迫害された少女ミルカと薔薇と共生するとされた元男娼)を中心に物語が進みますが、淡い恋、怪奇幻想、異形人物、ポーランド情勢等々てんこ盛りの歴史幻想ミステリー(?)の大作。でも好みは分かれるかも・・・。 |
No.299 | 6点 | 未熟の獣 黒崎緑 |
(2012/10/09 10:54登録) 公園で少女が殺害され、手には「1+1=」のダイイングメッセージ?が握られていた。さらに少女の行方不明事件が発生し、フーダニット風なミステリーが展開します。しかし、それが主題ではないような感じもします。主な登場人物は、近隣の付き合いができない不審な行動をとる主婦、オタクな兄弟、主人公(女流作家)とその恋人(優男)ですが、それぞれがどこかネジが外れているような・・・。心の闇をのぞくようなサスペンス風味の色濃い小説で、雰囲気は良く楽しめました。 |
No.298 | 4点 | 仮面劇 折原一 |
(2012/10/07 13:21登録) 叙述トリックは、まあまあです。しかし、ストーリーがトリカブト事件になぞった保険金目当てのもので、完全犯罪には程遠く、面白みが感じられなかった。後半、話の展開がガラッと変わるのですが、サスペンス感や深みがなかったのが残念です。 |
No.297 | 6点 | おやすみラフマニノフ 中山七里 |
(2012/10/05 22:19登録) 小説で音楽を奏でてしまう筆力に脱帽です。ミステリーとしては「さよならドビュッシー」には及ばないと思います。動機が「どす黒いエゴ」のかたまりのようなものだったので、殺人に発展すればサスペンス感は盛りあがったような気がします。どうも「カエル男」(かなりどす黒い)と比較してしまいますが・・・。まあ青春小説風なので致し方ないところなのでしょう。 |