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ミステリの祭典

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Aサイズ殺人事件

作家 阿刀田高
出版日1979年10月
平均点6.33点
書評数3人

No.3 6点 nukkam
(2023/01/28 16:32登録)
(ネタバレなしです) 短編小説の名手として名高い阿刀田高(1935年生まれ)が1978年から1979年にかけて発表した短編8作をまとめて1979年に出版した短編集の本書は創元推理文庫版の巻末解説で「異色作」と紹介されていました。というのはこの作者の持ち味が「奇妙な味」系なのに本書の短編は正統派の本格派推理小説だからとのことです。1977年に国内紹介されたジェームズ・ヤッフェの名作短編集「ママは何でも知っている」に影響を受けたのではと思われますが、殺人担当の刑事と寺の住職が碁を打ちながら事件を議論し、意図がさっぱりわからない住職の不思議な質問が実は謎解き推理につながるという安楽椅子探偵パターンです。ヤッフェのママの質問が人物心理の分析に結びつくのに対して本書の質問はトリック分析に結びつくのが多いのが特長ですが、推理の論理性という点ではヤッフェに劣るように思います。また時々挿入される、無用に低俗な会話も万人受けしにくいかと思います。それでも住職の犯人指摘がいい意味で唐突な「2DK蟻地獄つき」とトリックが大胆な「裸足で天国へ」が個人的には印象に残りました。

No.2 5点 蟷螂の斧
(2013/01/10 11:56登録)
(再読)ブラック・ユーモア(短編)を得意とする氏には、珍しい連作の短編推理小説です。通勤時間の合間に手軽に読めるので、氏の作品はかなり読破してきたのですが、最近は、やはり長編ミステリーに嗜好が変わってきているので、物足りなさは否定できませんでした。表題の「Aサイズ殺人事件(旧題・Aカップの女)」は本格っぽい味わいがありました。

No.1 8点 図書室
(2010/01/17 21:51登録)
私が、生まれて初めて読んだ「安楽椅子探偵」もの
それだけに、感慨深い思い入れがある作品

謎の一つ一つは強引な気がしないでもないが、それを解くために、探偵役の和尚さんが、刑事に「何でそんな質問を?」というような、事実を確認する。

それが、後々ゆっくり遠回りするように、重大な意味を持ってくる・・という演出が好きです

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