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ミステリの祭典

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蟷螂の斧さんの登録情報
平均点:6.09点 書評数:1660件

プロフィール| 書評

No.900 8点 サンタ・ヴィットリアの秘密
ロバート・クライトン
(2016/04/09 08:20登録)
900冊目の書評。主人公が危機を克服してゆくという意味から、広義の冒険小説として本作をとりあげてみました。あらすじ~『イタリアの山奥に住む飲んだくれで恐妻家のボンボリーニという男が主人公です。前市長が退陣し、ひょんなことから彼は新市長になってしまいます。マキャヴェリの「君主論」を柄にもなく何回も読み、そして「信義と自らの利益とが背反する場合、君主は決して信義を守ってはいけない」という一節を口癖とし、徐々に”ずるがしこい人物”へと変貌してゆきます。不信任の危機に際しては、村人機嫌を取るため、ただでワインをふるまうなどしてその危機を乗り越えます。しかし、過去最大の危機を迎えます。ドイツ軍がサンタ・ヴィットリアのワインを接収するというのです。村人にとって命同様の100万本のワインを彼と村人はどうようにして守るのか?相手はエリート将校、強敵です。』~駄目市長とエリート将校との対決・駆け引きが読みどころです。本作は1969年アンソニー・クイン氏主演で映画化され、ゴールデン・グローブ作品賞を受賞しています。アンソニー・クイン氏の名演技と、ラストでのドイツ将校とのやり取りが何とも言えませんでした。映画はマイベスト10の一本です。


No.899 6点 コレクター
ジョン・ファウルズ
(2016/04/07 20:29登録)
(英国推理作家協会ベスト100の86位、ミステリー・サスペンス映画ベストの28位)あらすじ~『市役所に勤め、蝶の採集を趣味とする孤独な若い男フレデリック。彼は美術学生のミランダに惹かれるも、社交的な性格ではないため、ただ遠くから観察しているだけであった。しかし彼はサッカーくじに当たり大金を手にした。そして人里離れたところにある地下室付きの屋敷を手に入れ、彼女をそこに監禁してしまうのであった。』~
「コレクター」の視点、「被害者」の視点から描かれており、サスペンスというより文学的要素の強い作品でした。もしかして、「模倣犯」(宮部みゆき氏)は本作を意識して書かれたのでは?と思うようなところもありました。「ローマの休日」のW・ワイラー監督により映画化(1965)されています。特異な恋愛風作品(サイコ・サスペンス)となっており異色作(傑作)といえると思います。原作にあるミランダ視点(日記)による回想部分(年配の画家への思いなど)はなかったと記憶しています。


No.898 6点 特別料理
スタンリイ・エリン
(2016/04/05 20:28登録)
裏表紙より~『まったく何ともいいようのないうまさだった――隠れ家レストラン〈スピローズ〉で供される料理はどれもが絶品ばかり。雇い主ラフラーとともに店の常連となったコステインは、滅多に出ないという「特別料理」に焦がれるようになるが……。エラリイ・クイーンが絶賛した戦慄を呼ぶ表題作をはじめ、アメリカ探偵作家クラブ賞受賞作「パーティーの夜」など、語りの妙と優れた心理描写を堪能できる十篇を収録した傑作短篇集』~
10篇それぞれ趣の違った作品です。そのうちのお気に入りの数点。
①特別料理(1947)・・・「奇妙な味」系、内容は前記のとおり。
②君にそっくり(1952)・・・リプリー(太陽がいっぱい)(1955)の原形とも思える作品。
③パーティの夜(1954)・・・劇団俳優であるマイルスは、今夜のパーティも、ロングランの劇を続けることも嫌になっていた。しかし、やめることの出来ない理由があった。
④決断の時(1955)・・・リドル・ストーリー。何かにつけ自信家のヒューは元奇術師のレイモンドと賭けをした。レイモンドが死にそうになる。さてどうする?。

ロアルド・ダール氏とともに「奇妙な味」の短篇の名手であるという紹介が多いのですが、実は表題作以外「奇妙な味」系はほとんどないようですね。”食の奇譚”ものとしてダール氏、ダンセーニ氏、エリン氏の3氏の作品を読んできましたので、国内作家の作品もと思っています。


No.897 5点 あなたは誰?
ヘレン・マクロイ
(2016/04/03 12:44登録)
裏表紙より~『「ウィロウ・スプリングには行くな」匿名の電話の警告を無視して、フリーダは婚約者の実家へ向かったが、到着早々、何者かが彼女の部屋を荒らす事件が起きる。不穏な空気の中、隣人の上院議員邸で開かれたパーティーでついに殺人事件が…。検事局顧問の精神科医ウィリング博士は、一連の事件にはポルターガイストの行動の特徴が見られると指摘する。本格ミステリの巨匠マクロイの初期傑作。』~

脅迫されたヒロイン役(20歳)の言動が可愛くない(笑)。そのようにした作者の意図(理由)は理解できるのですが、読者にとって感情移入できないようなヒロインの設定は失敗だったのかも。また、ヒロインの視点で、脅迫の候補者(容疑者)から、ある人物を除外している点はアンフェアではないでしょうか?。
当時(1942)としては先駆的なテーマで、その点は評価したいと思います。そして後発の著者のサスペンス作品にそのテーマが発展的に繋がっていきます。後発作品はその取扱いが非常に巧いと思いましたが、本作についてはまだ初期段階でフェア感でどうかな?といった感じです。


No.896 5点 二壜の調味料
ロード・ダンセイニ
(2016/04/01 09:34登録)
乱歩氏が「奇妙な味」の代表作として絶賛とのことで拝読。当時(1952年の作品)としては、そのような評価が妥当だったのかもしれません。今では判り易い内容ですね。表題作以外は「奇妙な味」とは言えないのでは?と思います。リドル・ストーリー的な作品が多かったです。26作品のうち数点だけ内容紹介。
①二壜の調味料・・・男と同棲の女が行方不明に。男はひたすら薪を作っている。しかし薪を使う様子はない。
②手がかり・・・犯人によって残された解き賭けのクロスワード・パズルから犯人をどうやって絞り込むのか。
③一度でたくさん・・・犯人は整形、身長も変えている。見つける方法は駅で待ち続けるだけ。その方法は?
④演説・・・首相候補の演説を中止するよう要求があった。警察は本人を警固するも、その父親が殺害された。その理由は?。
⑤稲妻の殺人・・・何年も稲妻の落ちるのを待ち続ける男がいたという。
⑥ネザビー・ガーデンズの殺人・・・殺害現場を目撃、犯人に追われ戸棚に隠れた。やがて警察がやって来て思いもよらないことに。


No.895 6点 不愉快犯
木内一裕
(2016/03/30 17:08登録)
題名は「愉快犯」の否定語でもないだろうし、どういう意味なのかと思いましたが、読者や警察・マスコミにとって「不愉快な犯人」というそのままの意味でした(苦笑)。司法・マスコミに対し、完全犯罪を実行してみせるという挑戦の物語です。犯人のいう完全犯罪とは、完全犯罪を達成した事実を世の中に知らしめることができてこそ完全なる犯罪だということです。警察の知恵を試されたような作品でした。ラスト、犯罪とは関係ないのですが、ほのぼの感もあり予想以上に楽しめました。


No.894 6点 追憶の殺意
中町信
(2016/03/30 16:55登録)
旧題(徳間文庫)にて。自動車教習生の特性をうまく扱った作品ですね。二重アリバイトリックも良くできていると思います。


No.893 6点 ローズマリーの赤ちゃん
アイラ・レヴィン
(2016/03/28 18:27登録)
裏表紙より~『おぞましい悪夢にうなされた夜、ローズマリーは身ごもった。そのときから、彼女の平穏な日々は奇怪な様相を呈し始める。しきりに襲う腹部の異常な激痛と生肉への執着、そして医師や隣人や夫の不審な言動。そのうえ、彼女に何かを知らせようとした友人は怪死を遂げた。だがそれさえも彼女に迫り来る恐怖のほんの序章にすぎなかったのだ! サスペンスの鬼才が大都会に住む現代人の狂気と孤独を描いたモダンホラーの金字塔』~


話は単純で読みやすい。ローズマリーの心理の変化や、恐怖心がよく伝わってきます。米ベスト100位、ミステリー映画ベスト20位。




No.892 8点 インフェルノ
ダン・ブラウン
(2016/03/23 20:01登録)
裏表紙より~「(略)ダンテの<地獄篇>の影響を受け描かれた絵には、暗号が隠されているのか?追っ手を逃れヴェッキオ宮殿に向かった二人を次々と危機が襲う!」~
「ダ・ヴィンチ・コード」では、「~に関する記述は、すべて事実に基づいている。」本作では、「~に関する記述は、すべて現実のものである。」としています。この辺はあくまでも”フィクション”なので目くじらを立てることではないでしょう(笑)。上巻は「ダ・ヴィンチ・コード」と同じような進行で、新鮮さはあまり感じられませんでしたが、下巻は、展開にかなりひねりが加えられており、結末も衝撃的なものでした。精神医学での「否○」という概念が結構ポイントになっているように思います。読み終えた後に、この言葉を思い起こさせるのが著者の狙いか?・・・。2016.10映画公開予定みたいです。本作では、フィレンツェ・ヴェッキオ宮殿内のヴァザーリ作「マルチャーの戦い」の壁画に書かれた文字「探せ、さすれば見つかる」がヒントになって登場します。おお!、この壁画の裏に隠されたダ・ヴィンチの幻の壁画のことか?と思いきや話は別の方向へ(涙)。観光案内を兼ねたエンターテイメント作品です。イタリア旅行がしたくなりますね(笑)。


No.891 5点 64(ロクヨン)
横山秀夫
(2016/03/22 09:34登録)
前半は、マスコミ対策、内部権力闘争、家庭問題に割かれ、求めているもの(期待したもの)と違っていました。後半は、やっと誘拐事件になり緊迫感は十分伝わってきましたが、肝心の犯人特定の手段(誉めている人が多い)がどうも?・・・という感じです。ラストで、登場人物のその後の動向をもう少しきっちりした形であらわしてほしかったです。


No.890 3点 相互確証破壊
石持浅海
(2016/03/20 07:39登録)
ロアルド・ダール氏の「来訪者」はオブラートにくるんだ艶笑譚で思わずニヤニヤ。本作はセックスシーンがストレートで18歳未満禁ですね。ミステリー作家が描くとこうなってしまうのかというほどワンパターンです(大笑)。ミステリー<エロ描写であり、評価はできません。官能ミステリーを書いてほしいと○○○讀物の編集部から依頼されたみたいです。作家もつらいよということでしょうか。


No.889 7点 神坂四郎の犯罪
石川達三
(2016/03/19 14:58登録)
(再読)1950年の作品(中編)でミステリーとして書かれたものではありません。形式・内容は「藪の中」(芥川龍之介氏・1921)と似ています。ミステリー要素の強い作品なのでとりあげてみました。森繁久彌氏主演で映画化もされています。「五匹の子豚」(アガサ・クリスティー氏・1943)は5人の証言から真相を導き出すものですが、本作はミステリーではないので、そこまではいきません。事件は、横領と心中幇助です。構成は4人の陳述、被害者の手記、被告・神坂四郎の陳述のみで、裁判の様子は描かれません。ミステリーファンの1人として読んでも、ラストの被告の含蓄ある言葉は印象的なものでした。


No.888 8点 青春の蹉跌
石川達三
(2016/03/19 14:57登録)
(再読)裏表紙より~『生きることは闘いだ、他人はみな敵だ――貧しさゆえに充たされぬ野望をもって社会に挑戦し、挫折していく青年の悲劇を描く長編。』~


「死の接吻」の書評の中に「アメリカの悲劇」のテーマ云々とありました。たしか「アメリカの悲劇」は映画「陽のあたる場所」の原作だったと思います。「死の接吻」と「陽のあたる場所」は当然話の展開は違いますが、同じようなテーマを扱っています。この男と女の普遍的なテーマを扱った日本の作品は?ということで、石川達三氏の「青春の蹉跌」をとりあげてみました。氏は第一回芥川賞作家で、その後社会派と呼ばれるような作品を多数発表しています。その中で、本作はミステリー要素の強い作品となっています。映画化もされており、萩原健一氏、桃井かおりさん、檀ふみさんが出演、退廃的なムードの強い作品となっていました。原作の方は、どちらかというと立身出世型の青春を描いたもので、結末は映画と違っています。青春時代の思い出深い作品なので甘目の採点かも・・・。 


以下ネタバレ。
医学的見地より問題化され話題にもなった作品です。しかし、実話に基づく作品であり、その裁判では医学的問題をどのように取り扱われたのか気になりました。


No.887 9点 長いお別れ
レイモンド・チャンドラー
(2016/03/18 07:55登録)
(再読)(東西ベスト6位)「大アンケートによるミステリー・サスペンス洋画ベスト150」の書評でもふれた映画の脚本トラブルからか?、1952年ハリウッドの脚本仕事に見切りをつけ、本作に全力を傾けたようですね。「最後の一行」的感覚でいえば『ギムレットにはまだ早すぎるね』がすべてであるような気がします。本作は、筋書きがいいのであって、いくら男の友情や独特の文体がいいからといっても、それだけでは傑作にはならなかったような気がします。同レベルの筆力を持った作家が、本格もの、叙述もので別の角度から書いたとしても、やはり傑作になるのではと思いました。
ちなみに日米英の嗜好の差です。
(米)大いなる眠り>長いお別れ>さらば愛しき女よ>湖中の女
(英)大いなる眠り>さらば愛しき女よ>長いお別れ>湖中の女
(日)長いお別れ>さらば愛しき女よ 
米英では「大いなる眠り」が断然人気のようです。参考・日英米各ベスト100より


No.886 6点 さらば愛しき女よ
レイモンド・チャンドラー
(2016/03/16 17:31登録)
(再読)(東西ベスト79位)1986年版では13位でした。初読は数十年前であり、当時は007>ハード・ボイルドの私立探偵という気持ちでしたので、ハード・ボイルドにのめりこんでいくこともなく、どちらかというと苦手意識の方が強かったです。今から思えば大人の味がまだわからなかったのかもしれません。東西ベスト1986版の「長いお別れ」の(うんちく)によると、”チャンドラーは、つねにイギリスの伝統的な推理小説を念頭において新しい書き方を模索した作家だった。本書の書かれる八年前からすでに彼は、狂言回しにすぎない私立探偵は推理機械と化した本格派の名探偵とさして違わないことに気づいていた。つまりマーロウに、より深い感情をもたせたいとおもいつづけていたのである。”とあります。これを信じれば、「長いお別れ」(1953年)の8年前は1945年となり、本作(1940年)の発表時点では、まだマーロウは未完成の探偵であった?ということになりますね。「うーん、なるほど」と思えたのは、狂言回し的な部分で、マーロウの目の前で人が死に過ぎることでした(苦笑)。ハード・ボイルドに詳しくないので、再読に当たり段々こんがらがってきたことがあります。ハード・ボイルドのイメージはクールで妥協しない探偵像というものでしたが、本作のラストでは上記(うんちく)にもあるように、マーロウは”感情的”な発言をしています。つまり、本作はハード・ボイルドではない?、などと考えてしまいました。ウィキペディアで調べてもいま一つ明確な答えが出ませんでしたが、あるサイトで「文体に特徴があるということで、主人公が無感情である必要はない」との趣旨のことが書いてありました。非常に判り易く納得。独特な雰囲気を味わうことができました。次は、以上のことを踏まえ「長いお別れ」の再読に取り掛かります。


No.885 8点 深夜プラス1
ギャビン・ライアル
(2016/03/14 18:20登録)
(再読)(東西ベスト25位)本作の良さは、シンプルなストーリー、個性ある登場人物(特にアルコール依存症のガンマン)、ハードボイルド風な生きざま、男の友情、主人公ケインのなかにある元情報部員だったコードネーム「カントン」とのせめぎ合い(戦争の後遺症)など、いろいろな点をあげることができると思います。そんな中でも、やはり一番は、ラストシーンにおける”ロマンティシズム”にあると思います。非常に印象的ですね。このシーンの為に物語があると言ったら言い過ぎか?これがプラス1になっているような気がします。


No.884 5点 クライム・マシン
ジャック・リッチー
(2016/03/13 22:31登録)
(再読)なぜ手元にあるのかと思いましたら、2006年版海外編「このミステリーがすごい!」第1位との帯がありました。解説には「シンプルに書くことにこだわった作家・・・無駄な言葉や描写を徹底的にそぎ落とすこと・・・「軽さ」こそが身上である。」とあります。その「軽さ」を良しとするかどうかで評価が分かれてしまうと思います。常日頃、短編はあらすじを読んでいるようで味気ないとの思いがあり、オチにかなりのインパクトがないと高評価は付けづらいですね。決してつまらない作品集ではありませんが、ガツンとくるものが残念ながらありませんでした。MWA賞受賞作「エミリーがいない」も評価は6~7点くらいかな。


No.883 5点 幽霊列車
赤川次郎
(2016/03/12 22:20登録)
(再読)謎の提示は大変興味をそそられます。それに見合った真相を期待し過ぎたのか、いまいちインパクトが不足しているように感じました。ブラックな味わいは良かったですが。


No.882 6点 来訪者
ロアルド・ダール
(2016/03/12 10:12登録)
裏表紙より~『オズワルド叔父は、その巨万の富とたいへんな漁色癖で、昔から一族の伝説的存在だった。ある日、30年来絶えて音信のなかった叔父から、遺産と称して厖大な日記が送られてきた。そこには、それまで噂でしか知ることのなかった、国から国へ、女から女へと渡り歩いた叔父の優雅で刺激的な暮らしぶりの全貌が記さていたのだった…28巻におよぶ日記のなかから、叔父の絶筆となったシナイ砂漠での甘美で奇妙な一夜の体験を紹介する表題作、媚薬をめぐる顛末を描く「雌犬」など、短篇の名手が絶妙の筆ばさきで綴る愉しくも恐ろしい4つの艶笑譚。』~

(再読)1989版です。( )は新訳版(2015)。帯「すばらしくセクシャルでスリリングな大人のメルヘン」(エロティックなミステリの最高峰)
①来訪者・・・砂漠で出会った男が自宅へ招待してくれた。美貌の妻と娘がおり一夜を共にしたいと画策する。
②すばらしきかな、スワッピング(夫婦交換大作戦)・・・お堅い妻に気づかれずに実行する計画を練る。
③やりのこした仕事(やり残したこと)・・・未亡人は、元恋人とやり残していることがある。
④雌犬・・・男の理性を完全に失わせるほどの媚薬を開発した。
以上の4点。表題作「来訪者」がベストですね。セックス描写は、強烈なものはなく、どちらかといえばユーモア・ミステリーになると思います。なお、阿刀田高氏の作品にも同題名の「来訪者」(日本推理作家協会賞(短編篇))があります。


No.881 7点 大アンケートによるミステリー・サスペンス洋画ベスト150
事典・ガイド
(2016/03/11 21:42登録)
「東西ミステリーベスト100」と同じ方式で、1991年391人による”ミステリー・サスペンス洋画”のアンケート結果です。
1位 第三の男 2位 恐怖の報酬 3位 太陽がいっぱい 4位 裏窓 5位 死刑台のエレベーター 6位 サイコ 7位 情婦(検察側の証人) 8位 十二人の怒れる男 9位 鳥 10位 悪魔のような女 
1986年版の「東西ミステリーベスト100」との関連性を調べてみたいと思ったのですが、本作の中のエッセイ編「原作と映画の間に」(山口雅也氏)で先を越されていました(笑)。それによると、原作、映画ともランクインしているものは8%と非常に少ないとの結果です。その要因の分析は的確なものでした。
それではと、ミステリー作家や評論家が何に投票しているのかを調べてみました。ベスト10に入った作品にどれだけ投票(的中)していたかの結果です。芳野昌之氏 8 小林久三氏 7 阿刀田高氏 6 原尞氏 5 (この辺までは驚異的な数字ですね。)結城昌治氏、都筑道夫氏 4 西村京太郎氏、泡坂妻夫氏 3 筒井康隆氏、大藪春彦氏、山崎洋子氏、折原一氏、宮部みゆき氏 2 逢坂剛氏、山口雅也氏、瀬戸川猛資氏 郷原宏氏1 という結果でした。
なお、座談会の中で面白いエピソードがありました。「見知らぬ乗客」(映画38位)<原作パトリシア・ハイスミス氏 脚本レイモンド・チャンドラー氏他>でチャンドラー氏はこんなばかばかしい話はあり得ないとの理由で脚本を全然書かなかったらしい。またヒッチコック監督ともかなり衝突していたみたいですね。映画は1951年ですから、まだ「長いお別れ」は書いていない時代の話ですね。LGは近々再読のつもりです。20位「ローズマリーの赤ちゃん」28位「コレクター」など懐かしい作品がありました。早速原作を読んでみようと思います。 

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