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ミステリの祭典

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殺人者の街角
キャンピオン氏

作家 マージェリー・アリンガム
出版日2005年06月
平均点5.67点
書評数3人

No.3 5点 nukkam
(2016/09/06 19:29登録)
(ネタバレなしです) 1958年発表のアルバート・キャンピオンシリーズ第16作です。場面変化に富んでおり、犯罪者の視点で描かれているシーンあり、ルーク警視やアルバート・キャンピオンが活躍するシーンあり、奇しくも犯罪者と行動を共にするはめになったある人物の冒険シーンありと色々あって退屈はしませんが、逆に主人公不在の物語のようにも感じます。ミステリーとしてのジャンル分けも難しく、アリバイを巡る推理はありますが本格派推理小説ではないし、犯罪小説でもないし、私は(消去法的に)サスペンス小説に分類しましたがあまり自信ありません。ストーリーテリングが冴えわたった読みやすい作品で、ややメロドラマじみていますが印象的な結末が用意されています。

No.2 5点 蟷螂の斧
(2016/06/29 18:32登録)
裏表紙より~『その男は一人また一人、巧妙に尊い命の灯を吹き消してゆく。だが、ある少女の登場を端に、男は警察から疑いをかけられることに…。寂れた博物館、荒れ果てた屑鉄置場―人々から置き去りにされたロンドンの街角を背景に、冷酷な殺人者が追いつめられる。英国黄金時代の四大女性探偵作家のひとり、アリンガムのシルバー・ダガー賞受賞作品、初の完訳。』~

倒叙物に近い作品です。サスペンスとしては弱い感じがしました。活躍する中心人物が不在といった印象で、主人公が誰なのか明確でなかった。結局、伯母の犯人に対する感情や意識などを描きたかった作品とは思うのですが、その点が伝わってこなかった。

No.1 7点
(2015/12/01 22:32登録)
カバーの作品紹介や訳者あとがきでは、この1958年発表作はシルヴァー・ダガー賞受賞とされていますが、巻頭の「読書の栞」では、「現在でいえばシルヴァー・ダガー賞受賞に相当する」と正確な情報が記載されています。ちなみにシルヴァー・ダガー賞は1969~2005年に次点作品に授与されていました。
訳者あとがきでは、「追いつめられていく殺人鬼」を描いた作品としていますが、本作の悪役が殺人を犯すのは、あくまでもそれが目的達成のベスト手段と考えるからであり、決してシリアル・キラーではありません。彼が冷酷なのは、殺人という重罪でも他の手段と何らの区別をしない点です。したがって彼の最後の行動も、その状況では当然と言え、説得力があります。
キャンピオンは、あとがきでも比較されている共通点のある『霧の中の虎』以上に影が薄くなり、最後の活躍も単なる偶然にすぎません。

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