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ミステリの祭典

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蟷螂の斧さんの登録情報
平均点:6.09点 書評数:1660件

プロフィール| 書評

No.1120 6点 上を見るな
島田一男
(2018/08/05 13:06登録)
犯行に係る題名「上を見るな」はあまり効果的ではなかったような。しかし、本書のトリック(1955年)は「点と線」(1958年)を超えている?(笑)。ここは盲点でした。昭和30年代の風俗が垣間見れて楽しめました。


No.1119 7点 逃亡刑事
中山七里
(2018/08/03 21:27登録)
千葉県警のアマゾネスと呼ばれる女警部・高頭冴子。ニューヒロイン登場といったところ。殺人犯を目撃した少年を守るため、犯人から逃げ回るという単純明快な活劇。あんな○○○はいなだろうという突っ込みどころはあるものの、そんなことは無視(笑)。何しろ強い、180cmで美人。ラスト一行が泣かせる。で+1点。


No.1118 7点 わたしの愛した悪女
パトリック・クェンティン
(2018/07/31 22:39登録)
妻の浮気疑惑、その相手が弟ではないかと悩む主人公。題名「わたしの愛した悪女」からしてネタバレしています(苦笑)。題名通りに妻の過去が暴かれてゆきます。複雑な家族関係が巧く描かれていました。またフーダニットが前面に打ち出されており楽しめました。


No.1117 5点 ワルツを踊ろう
中山七里
(2018/07/25 14:27登録)
過疎の村おこしのため”ワルツを踊る”という話か?と思っていました。途中までは、著者らしくない題材という感じを受け、読み終わってみれば、うーん長編での題材ではなかったとの印象です。やはり、短編向きのどんでん返しか?。


No.1116 5点 屍衣の流行
マージェリー・アリンガム
(2018/07/22 17:57登録)
女優ジョージアの恋愛関係を中心に物語は展開します。探偵役のキャンピオンの妹もそれに巻き込まれてしまいます。更に成り行きでキャンピオンの婚約者となってしまうアマンダも登場します。やっとやっと事件が起こりますが、死因がはっきりせず、もやもや感が漂います(苦笑)。ここまでの文章が高尚で読みにくいのが難点です。後半は気にならなくなりましたが・・・。ハウダニットでは、当時(1938年の作品)の検死の結果、犯人側からすれば成功となりますが、現在ではどうなんでしょう?。


No.1115 8点 翼がなくても
中山七里
(2018/07/16 13:45登録)
御子柴弁護士シリーズの番外編。この手の青春スポ根ものは涙腺がどうしても緩みがち。よってプラス1点。まあ、バラエティに富んだ作品を提供していただき感謝感激(笑)。


No.1114 7点 殺したい女
笹沢左保
(2018/07/08 16:49登録)
花房家の養女・理帆は、家に出入りする涼子(画廊経営)に嫌悪感を抱いていた。涼子は若い愛人を二人も持ちながら、やがて義父にも誘惑の手を伸ばしてきた。そのことで理帆の嫌悪感は、やがて殺意に変わっていった。そして完全犯罪を計画するのだが・・・。人生にはこんなこともあるという、背景の人間関係が楽しめた。


No.1113 7点 闘う君の唄を
中山七里
(2018/07/07 13:39登録)
新米の幼稚園保育士・凛が保護者会との軋轢を乗り越え、その成長過程を描いた物語と思いきや、後半、突然それが反転するのです。「その女・・・」あたりからの流行りとなった?(笑)。著者の作品群では少し毛色の変わった作品でした。ラストはほろりとさせてくれました。


No.1112 6点 死刑執行人のセレナーデ
ウィリアム・アイリッシュ
(2018/07/05 11:13登録)
刑事プレスコットが休養のため訪れた下宿先で、老人が首吊り自殺に見せかけ殺された。しかし、保安官は事故では?と本気にしない。それが理由とは思えないが、プレスコットは画家のスザンに現を抜かす(笑)。ダンスパーティーでは彼女と踊りたくてたまらないのだが、中々うまくいかない等々。やがて5人が亡くなり、その共通点をプレスコットとスザンの二人で探すことになる。著者の作品でフーダニット(但し本格ものではありません)や格闘シーンがあるのは珍しいのでは?。ラスト、スザンの言葉がおしゃれです。


No.1111 6点 冷たい太陽
鯨統一郎
(2018/06/29 18:32登録)
会話が主体の文章でスラスラ読めるのが利点。トリックは面白いのだが、「やられた感」がなかったことが残念なところ。やはり無理が感じられるのである。身代金の受け渡しなどのアイデアは楽しめた。


No.1110 5点 恐怖同盟
阿刀田高
(2018/06/09 22:23登録)
「顔」「血」「耳」「妖」「老」など、題名は一文字のみの10篇。文体は手紙形式、電話形式、二人称形式、擬人化形式など工夫されています。内容は、覗き、カニバリズム、ドラキュラ、嫉妬、幽霊、幻などバラエティに富んでいます。たまにはブラックユーモアで気分転換という意味での再読でした。


No.1109 4点 斜光
泡坂妻夫
(2018/06/08 17:38登録)
分類は官能ミステリーと言ったらいいのでしょうか(笑)。かなりの官能描写がありますので、その分ミステリー度が弱くなっている感じです。帯には本格推理小説とありますが、推理する要素はほとんどありません。真相もさてどうなんだろう?という程度でした。


No.1108 4点 猫女
泡坂妻夫
(2018/06/07 12:30登録)
「黒猫」「モルグ街の殺人」のオマージュ作品であると思います。残念なのは、ヒロインとなるべき女性2人があまり事件に絡んでこなかった点、オカルト風味(黒猫の怨念)が伝わってこなかった点など、何かチグハグで中途半端な出来栄えという感じです。


No.1107 5点 まほろ市の殺人 春
倉知淳
(2018/06/05 17:58登録)
登場人物に「んな、アホな―」と言わしめています。期待を裏切られるバカミスで、逆に笑えました。著者特有のほんわかとした語り口ですんなり読めました。


No.1106 7点 そしてミランダを殺す
ピーター・スワンソン
(2018/06/05 12:23登録)
裏表紙より~『空港のバーで離陸までの時間をつぶしていたテッドは、見知らぬ美女リリーに出会う。彼は酔った勢いで、妻のミランダの浮気を知ったことを話し「妻を殺したい」と言ってしまう。リリーはミランダは殺されて当然だと断言し、協力を申し出る。だがふたりの殺人計画が具体化され決行の日が近づいたとき、予想外の事件が起こり……。』~

出だしは「見知らぬ乗客」(パトリシア・ハイスミス氏)に似ています。でも交換殺人ではありません。著者はハイスミス氏の大ファンとのことでした。帯で「この展開、予想できるはずがない!」と煽っています(笑)。一点は物語自体の展開ですね。これは二度ほど「えっ!?」と正直思いました。もう一点は背景ですが、こちらはフランスミステリー(2011年)で強烈な先例がありますので免疫済みでした(苦笑)。男女4人のモノローグ形式でなので、心理状況は良く描かれていると思います。


No.1105 6点 ジェリーフィッシュは凍らない
市川憂人
(2018/06/03 14:24登録)
クローズドサークルに係る構想は高く評価したいと思います。しかし構成が良くなかったような。ジェリーフィッシュ(過去)と地上(現在)の時間軸が相違している点ですね。このことで、サスペンス感・スリラー感が削がれてしまったように感じました。「そして誰も・・・」は犠牲者の恐怖感が主体のスリラーに対し、本作は、それを捨て?警察側のストーリーに力点を置いたということですね。まあ、次回作が念頭にあったから仕方ないのかもしれませんが・・・。


No.1104 5点 死を招く航海
パトリック・クェンティン
(2018/06/02 07:12登録)
フーダニットのミスリードは巧いと思いますが、ハウダニットの描写がおろそかでしたね。また読者への挑戦の二つのヒントはヒントにならない!?(苦笑)。これがわかる人はいるのかなあ?。またコントラクトブリッジというカードゲームを知っていても、そこから犯人は特定できないし・・・。まあ、意外性だけはありましたね。4点に近いのですが甘い採点としました。著者のコンビは、やはりホイーラーとの共作の方が好きです。


No.1103 6点 薔薇荘にて
A・E・W・メイスン
(2018/05/31 14:50登録)
黄金時代以前の作品(1910年)です。物語の構成などは今の時代からすれば異例かもしれません。通常であればダレてしまうような構成ですが、臨場感があり最後まで楽しむことが出来ました。殺害された富裕な老婦人の同居人の娘(ヒロイン)が行方不明となりますが、その生死に係る理由など、うまく考えられていると思います。


No.1102 8点 悪徳の輪舞曲
中山七里
(2018/05/29 12:28登録)
このシリーズに外れなし(笑)。
著者コメントの抜粋です。~『全ての男性にとって母親はアキレス腱である。弁護士にとって最初の敵は依頼人である。依頼人がひた隠しにしている事実を知った上でなければ十全な弁護ができないから、まず依頼人と対決しなければならないのだ。最悪の弁護士・御子柴礼司の次なる依頼人を母親としたのは、そうした必然によるものだった。二重の意味で思うように操縦できない依頼人は、御子柴にとって最悪の相手でもある。今作のテーマもとびきりデンジャラスなものだ。殺人の系譜とも呼ぶべき禁じられた主題だが、仮に禁忌であろうが、触れなければ語れない物語は確実に存在するのだ。とは言え、この小説はエンターテインメントである。小難しい問題はひとまず脇に置いて、ページを開いた方々には眠れない夜をお約束しよう。悪徳は輪舞曲(ロンド)のように旋律(戦慄)を繰り返す』~


著者を好きな理由は、やはりエンタメに徹するという考え方ですね。そういう意味では、「カエル男」に登場する有働さゆりを弁護する御子柴礼司の物語を期待しているところです。「連続殺人鬼カエル男ふたたび」では、既にそういう設定になっているので・・・。


No.1101 6点 謎のクィン氏
アガサ・クリスティー
(2018/05/22 14:31登録)
「雑誌でこういう短篇が好まれるらしいし、わたし自身好きだが、どんな定期刊行物からの連載申し入れもすべてお断りした。わたしが書きたいと思った時だけに書きたいのである。」(自伝より)ということで、著者の作品群からはかなり距離のあるファンタジー的色彩の濃い作品集。そんな中でも本格ミステリー要素のある作品が4本ぐらいありましたね。「窓ガラスに映る影」「闇の声」など長編で読みたい。でもオカルトチックな展開なので、某巨匠とかぶってしまうか?(笑)。

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