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ミステリの祭典

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蟷螂の斧さんの登録情報
平均点:6.10点 書評数:1691件

プロフィール| 書評

No.1371 7点 ニューヨーク・ブルース
ウィリアム・アイリッシュ
(2021/03/12 07:56登録)
①三時 8点 時限爆弾のタイムリミットもの。これぞ短篇の醍醐味
②自由の女神事件 7点 自由の女神の中で男が行方不明に。一緒にいた女性はそんな男は知らないと・・・
③命あるかぎり 7点 サディストの夫を持った妻はある青年と・・・後期の作品でブラックな味わい
④死の接吻 7点 ハラハラ・ドキドキ、最後は大笑い
⑤ニューヨーク・ブルース 6点 この作品も後期のもので退廃的な雰囲気
⑥特別配達 6点 誘拐された赤子を発見した牛乳配達人の要求した褒美とは?
⑦となりの死人 5点 人を殺めてしまった男の心理
⑧ガムは知っていた 5点 ホテルのメイドは噛んだガムを・・・
⑨借り 6点 娘を事故から救ってくれたのは犯罪者。刑事の父親は・・・
⑩目覚めずして死なば 4点 誘拐された少女を追う刑事の息子の少年
⑪さらばニューヨーク 5点 夫が殺人。夫婦での逃亡劇
⑫ハミング・バード帰る 6点 母親の元へお尋ね者となった息子が帰ってきた・・・無常
⑬送って行くよ、キャスリーン 8点 前科のある彼は元恋人にお別れを。その直後彼女が行方不明に


No.1370 6点 事故
松本清張
(2021/03/11 20:43登録)
①事故 5点 二つの殺人事件の関連性は?というものですが、構成が面白くなかった。謎解きものでもないし、サスペンスとも言えないような
②熱い空気 7点 「家政婦は見た!」の原作となった小説とは知りませんでした。殺人などは起こりませんが、家政婦の悪意ある覗き趣味が現在のイヤミスに通じるかも


No.1369 6点 陸行水行
松本清張
(2021/03/11 20:41登録)
①形 6点 道路計画の土地を売らないのは、そこに死体が埋められているのでは?逆転の発想が面白い 
②陸行水行 5点 邪馬台国はどこ?結末はミステリー的には面白くない。歴史に興味のある方にはお薦めなのかも 
③寝敷き 5点 心中事件に刑事は疑問を持つのだが・・・へえ~そんな事例があるんだ 
④断線 6点 うまい死体隠し場所を見つけ安心したのだが・・・男のエゴ丸出しの作品


No.1368 4点 マンハッタン・ラブソング
コーネル・ウールリッチ
(2021/03/09 18:07登録)
著者がミステリー作家になる前の作品(1931年)で恋愛小説です。ミステリーとしてのオチはありません。結婚8年目の男が高級コールガールに惚れてしまう。妻はそれを知っても彼を愛し続ける。そして事件が・・・という内容ですが、真のファンでないと読むのはかなりしんどいと思います。ミステリー作家としての著者らしさは随所に感じられるのですが・・・


No.1367 7点 夜の闇の中へ
コーネル・ウールリッチ
(2021/03/09 17:54登録)
裏表紙より~『あなたが果たせなかったことを、わたしが成し遂げてみせる…拳銃自殺に失敗し、誤って見知らぬ女性を死なせてしまったマデリンは、その女性、スタアの身代りとなって生きようと誓う。マデリンはスタアの過去をさぐり始め、彼女が生前に、自分の人生を破壊した人々への復讐を決意していたことを知る―サスペンスの詩人が遺した未完原稿を、実力派作家ブロックが補綴。若い娘の憎悪と情熱、愛と復讐を描く幻の遺作長篇。』~
ラストはローレンス・ブロック氏が補綴。よって、その部分はウールリッチ氏らしくないのかも。あと真相にはビックリ。著者がこの手のものを使うとは思っていなかったので・・・


No.1366 6点 わたしが死んだ夜(創元文庫版)
ウィリアム・アイリッシュ
(2021/03/08 20:22登録)
①高架殺人 5点 マリファナを吸い犯行。犯人は笑いが止まらなくなったようだ。動作は遅いが頭の切れる刑事が登場
②わたしが死んだ夜 7点 正当防衛で殺人。妻の悪知恵に乗ってしまった男の悲哀
③リンゴひとつ 4点 リンゴが転々と。コメディなんだろうな?
④コカイン 5点 コカインを飲まされて殺人の濡れ衣?ポケットから10セントがなくなっていた。10セントで行ける範囲を捜す
⑤夜があばく 7点 妻が夜に家を抜け出した。近くで消防車のサイレンが・・・。不気味
⑥葬式 6点 追われた凶悪犯は棺桶の中に隠れたが・・・オチはユーモア系
⑦日暮れに処刑の太鼓が鳴る 7点 無実を証明するタイムリミットもの。刑事がかっこいい
⑧死ぬには惜しい日 8点 結末は分かるのだが・・・それでも衝撃。一番著者らしい作品かも
⑨妻が消える日 7点 妻は夫と喧嘩し実家へ帰ったはずが、行方不明に・・・タイムリミットものはさすがにうまい!


No.1365 6点 シルエット
ウィリアム・アイリッシュ
(2021/03/06 21:07登録)
①毒食わば皿まで 8点 男は未払いの給与を取りに行った。ひょんなことから金庫の番号を知ってしまった
②窓の明り 6点 香水、タバコ、ベッドなどの状況から恋人が浮気したのは間違いないが
③青ひげの七人目の妻 7点 妹の夫は殺人犯?。刑事である兄の苦悩
④死の治療椅子 5点 歯医者で患者が青酸で死亡。いったい何が起こったのか?
⑤殺しのにおいがする 6点 同室の相棒が殺人犯?。状況証拠はそろっている
⑥秘密 7点 夫は殺人犯と知っての結婚。夫がまた殺人を?「いつもとかわらぬ夜だった。月が出ていた。星も出ていた。」アイリッシュ節炸裂
⑦パリの一夜 5点 一夜の冒険譚。ドタバタ風
⑧シルエット 7点 窓に映ったシルエットは殺人のようだ。マープル風
⑨生ける者の墓 5点 恋人が墓に生き埋めされたという青年。背後には?


No.1364 7点 死の第三ラウンド
ウィリアム・アイリッシュ
(2021/03/05 18:16登録)
①消えた花嫁 7点 この作品から傑作「幻の女」が生まれた?
②墓とダイヤモンド 6点 墓の中に遺体とともにダイヤを入れるという。墓あらしの結末は当然地獄へ?
③殺人物語 8点 作中作の嚆矢?完全犯罪を狙う作家。オチは笑える
④死の第三ラウンド 7点 八百長ボクシングで大穴にかけた私。当たったが、それは殺人事件であった
⑤検視 7点 大金が入る可能性があるにもかかわらず、現夫は前夫の墓を暴くことに大反対。見え見えなのだが・・・。墓穴を掘ってしまった
⑥チャーリーは今夜もいない 5点 息子が殺人犯?と悩む警察官の父親 オチは分かりやすい
⑦街では殺人という 8点 「偶然」は陪審員に信じてもらえないと弁護士の考えたことは?それもご都合主義と言えるのだが、弁護士の常識を破るという発想が面白い


No.1363 7点 晩餐後の物語
ウィリアム・アイリッシュ
(2021/03/03 20:50登録)
①晩餐後の物語 9点 エレベーター内で息子を殺された父親は乗員を招待する。これぞ短篇の切れ味。この筋、昔読んだ記憶。パロディだったのかなあ?
②遺贈 8点 犯罪者?の男をギャングが襲うブラックユーモア系。単純明快で爆笑もの
③階下で待ってて 6点 彼女が訪問した部屋から消えてしまう。オチはそれほどでもないがサスペンス感の盛り上げ方は著者らしい
④金髪ごろし 7点 サイコ系の落ちは好きなんですが、若い二人組のエピソードはいま一つ効果的ではなかったような
⑤射的の名手 6点 ちょっぴり本格っぽい展開。小悪党の悪知恵が楽しい
⑥三文作家 6点 作家の苦労話。オチはユーモア系
⑦盛装した死体 6点 アリバイの時間工作はショボイが、他の工作から足がつくところがミソ
⑧ヨシワラ殺人事件 4点 外人が日本を描くとこうなっちゃうのだね


No.1362 6点 死せる案山子の冒険
エラリイ・クイーン
(2020/09/05 12:06登録)
ラジオのシナリオということで、表題作以外は会話のみの作品。当時は、まだナレーションはなかったのだろうか。表題作は登場人物による朗読はあるのだが・・・。

①<生き残りクラブ>の冒険 8点 ○○が犯人というプロットが楽しめた。ただし日本人に謎は解けない?
②死を招くマーチの冒険 3点 ダイイングメッセージもの。時間があるのなら単に名前を書けばいい(苦笑)
③ダイヤを二倍にする男の冒険 6点 普通は飲込みを考えるもX線検査までしているとなれば、残りの答えは一つしかない(笑)密室物の応用パターンか。
④黒衣の女の冒険 5点 「真相を見抜いたと思った―が、それが間違っていた」ミスリードは○○説なのだが、別にそれが真相でもよかったような。
⑤忘れられた男たちの冒険 5点 可もなく不可もないといった感じの作品。犯人が何故いつまでも証拠品を持っていたかという謎は残る。
⑥死せる案山子の冒険 6点 雰囲気はいい。これを読んで自分はロジック物がそれほど好みではないことが分かった。
⑦姿を消した少女の冒険 8点 誘拐もの。現在では、すぐわかってしまうトリックですが、嚆矢と思われ敬意を表して。


No.1361 5点 007/わたしを愛したスパイ
イアン・フレミング
(2020/09/03 08:42登録)
007としては異色のラブロマンスもの。主人公の女性は過去の男二人について、彼らはわたしのハートを求めたのではなかったと回想しています。ではボンドはどうなのだろう?。彼女を愛したのか?。女性の一人称なので、ボンドの心のうちはわかりません。よって題名の「わたしを愛したスパイ」はやはり「わたしが愛したスパイ」の方がスッキリするのではないかと思ったり。解説の新津きよみさんとは反対の意見となりますが・・・(笑)。他作品では、映画とは違い、ボンドが結婚した?とか結婚しようとかボンドの内面がかなり描かれています。本作品はラブロマンスものとしては、その辺が物足りなかったですね。


No.1360 5点 黒い画集3
松本清張
(2020/08/31 18:04登録)
本書は、新潮文庫版「黒い画集」では未掲載の2作品が掲載されています。
①凶器 6点 別途評価済み 後書きでは、クリスティ女史にも同様な作品があるとのことで調べてみましたが、それは単なる凶器の使用でトリックではなかったようです。
②濁った陽 6点 1960年の中編作品。汚職事件に絡むアリバイ崩しです。出だしは「点と線」を彷彿させます。トリックは既視感のあるもので、後発は何点かの作品は覚えていますが、先発があるかどうかあやふやです。
③草 4点 病院院長と婦長が駆け落ち?。あるいは無理心中?。○○を狙ったのでしょうが大失敗。慣れないことはやらない方がよかったような(笑)。


No.1359 6点 疑惑
折原一
(2020/08/29 15:49登録)
著者の得意な叙述は一作品のみで、ブラックユーモア系が多かったですね。
①偶然 8点 振り込め詐欺の電話を受けっとった老女のお話。結末は思わず吹き出してしまった。バカウケ。
②放火魔 6点 息子が放火魔らしい。母のとった行動は思いもよらないもの?
③危険な乗客 6点 殺人者が同席する確率は?二人の女性客のねちっこい会話が楽しめた。オチもいい。
④交換殺人計画 5点 失敗?するも、結果的には成功なの???
⑤津村泰造の優雅な生活 6点 優雅な生活とはとても言えない(笑)。善人と悪人、嘘と真実の反転が面白い。
⑥黙の家 7点 誰も訪れることのないような美術館での出来事。著者らしくない?ホラー・テイストな作品で、シュールな感じが何とも言えない。


No.1358 7点 失踪者
下村敦史
(2020/08/27 19:03登録)
あらすじ~『2016年、ペルーはブランカ山群。山岳カメラマンの真山は単身シウラ・グランデ峰を登っていた。10年前、クレバスに置き去りにしてしまった親友・樋口を迎えにきたのだ。クレバスの底に降り立ち、樋口を見つけ出した真山だったが、遺体の顔を覆う氷雪を落として驚愕する。樋口の顔は明らかに10年前より老いていたのだ。』~

「生還者」に続く山岳ミステリーです。本作はカットバック方式が採用されていますが、成功したとは言い難いです。理由は、同じ登場人物による同じような山岳場面が多いため、各年代の区別が曖昧となってしまい頭に入ってこないということです(苦笑)。ミステリーとして、また感動ドラマとしては成功していると思います。8点献上してもいいくらいですが、前記の点がマイナスポイントと言わざるを得ないですね。トリックはよくあるものですが、数少ない山岳ミステリーでの使用だったので、かなり新鮮に感じることが出来ました。


No.1357 6点 傷痕のある男
キース・ピータースン
(2020/08/24 08:37登録)
裏表紙より~『若きジャーナリスト、マイケルは雪に覆われたボスの別荘に招かれた。クリスマス・イブの夜、マイケルが、「傷痕のある男」の怪談をした時、青い目の少女スザンナは異常とも思えるほど怯えた。ニューヨークにもどり、数カ月が過ぎたある霧の深い夜、マイケルは車の中からあの「男」を見掛けた。あれは作り話だ、そんな男が実際に存在するわけがない。が、スザンナも同じ時、その男―何度も悪夢に現われては彼女を苦しめていた「傷痕のある男」―を見ていたのだ。夢の恐怖が現実となった時、二人は何者かに襲われた―。』~

あらすじはホラー系サスペンスのように思われますが、著者の別名義アンドリュー・クラヴァン「真夜中の死線」と同様なデッド・リミテッド型サスペンスの要素が強い小説です。また、ラブロマンスが重要な要素の一つでハラハラドキドキ感がたまらない(笑)。プロットは優れていると思いますが、少し複雑にしたため、ラストのインパクトがやや薄れてしまった点が惜しいところです。でも読みごたえはありました。


No.1356 6点 生還者
下村敦史
(2020/08/20 14:40登録)
どんでん返しは山岳ミステリーらしいもので楽しめました。


【以下、ネタバレ全開です】
生還した2名の言い分が正反対であることは、どちらかが嘘をついていると通常は考えるはず。ところが結果的に、この前提が崩れてしまった。つまり両名とも嘘をついていたのだ。これはどうなんだろう?。地の文での嘘ではないのでアンフェアではないのかもしれないが、どうも気持ち的にすっきりしない(笑)。生還した高瀬の思考回路がどうも理解できません。加賀谷の話だけを信じて、彼を英雄に祭り上げてしまったことですね。実際の悪意(殺人計画)は東一人のみで他の人物については描かれていない。よって悪意があったかどうか不明。そして主人公の兄はまったく殺人計画には関与していなかった。ところが高瀬の嘘で東以外の4人は悪役となってしまっている。ラストで、真相本が発行され、高瀬と加賀谷についてはフォローはされていますが、悪役となった4人のフォローはなされていません。彼らが浮かばれません。その点が残念です。


No.1355 7点 裁きの街
キース・ピータースン
(2020/08/16 20:08登録)
裏表紙より~『ウェルズのもとに、情報提供を申し出る一本の電話が入った。出向いた彼を待っていたのは、悪徳警官として知られるワッツ警部補が、以前組織の制裁殺人に手を貸したことがあるという情報。勇んで取材を開始したウェルズだったが、その矢先、謎の暴漢に襲われ、逆に相手を殺す仕儀となってしまう……。サスペンス溢れる第四弾。』~

シリーズ最終編。正当防衛とは言え、人を殺めてしまった記者ウェルズの苦悩。それを楽しむかのような悪徳警官ワッツ。殺人罪で逮捕状を取り、追い詰めるワッツ。逃げるウェルズ。楽しめました。脇を固める登場人物も魅力的でした。なお、女性記者ランシングのファンクラブがあるらしい。解説は日本ランシング・ファンクラブ飯田橋支部の茶木則雄氏で怪説です(笑)。


No.1354 7点 張込み
松本清張
(2020/08/15 14:00登録)
唇の厚い男が二編に登場しています(笑)。⑦⑧について、背景・テーマは社会派的ではありますが、短篇のため深く掘り下げられてはいなかったですね。

①張込み 7点 刑事のやさしさと女の性 
②顔 7点 人間の記憶なんて・・・皮肉 
③声 7点 当日、雨が降っていたとは・・・アリバイ崩し 
④地方紙を買う女 6点 社会派の原点か? 犯罪に至る動機 
⑤鬼畜 6点 TVドラマの方が泣けるようです 心理描写 
⑥一年半待て 8点 女性評論家としては「それは推論でしょ」と言いたくはなる(笑)これぞ短篇の切れ味 どんでん返し 
⑦投影 6点 事故死には、やはりこれだけ手数をかけなければならないだろう 物理的トリック 
⑧カルネアデスの舟板 6点 法的な緊急避難ではなかった点が残念。男心と秋の空 


No.1353 7点 夏の稲妻
キース・ピータースン
(2020/08/09 16:52登録)
裏表紙より~『情報屋のケンドリックから数枚の写真を見せられたのは、八月の暑い盛りのことだった。上院選立候補中の議員がSM行為?ウェルズは慎ましく情報提供の申し出を断ったが、翌日ケンドリックは死体となって発見された。失職の危機に瀕したウェルズは、職業生命を賭けて卑しき街をさ迷うが…。夏の終わりに、彼が到達した真実とは?【MWA最優秀ペイパーバック賞受賞】』~

ハードボイルド系サスペンス。スキャンダル写真の女性は女優志望で、フィアンセを田舎に置いてNYへ出てきていた。彼女を捜す純朴な牧師見習いの青年・・・。ウィットに富んだ会話が心地よい。主人公(新聞記者)と同僚ランシングとの年齢差のある恋?の行方も気になるところ。勧善懲悪小説と思っていたら、意外な方向へ。楽しめました。


No.1352 6点 ホロー荘の殺人
アガサ・クリスティー
(2020/08/06 20:59登録)
複雑に絡み合った恋愛関係が読みどころ。一途な女性ミッジを応援!!その結果は満足です(笑)。この人物が犯人で、動機もこうであろうと思いながらの読書でしたが、毎度のことですが、大ハズレ。読むたびに著者はうまいなあと感心するばかりです。なお、結末に至る過程がややあっけなかったかなと思いで6点どまりとしました。

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