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ミステリの祭典

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蟷螂の斧さんの登録情報
平均点:6.09点 書評数:1660件

プロフィール| 書評

No.1340 8点 猿の惑星
ピエール・ブール
(2020/06/24 11:53登録)
映画のラストはインパクトがありました。SF映画マイベストの第4位です。しかし、当時そのラストは何か釈然としないものがありました。それは今の推理小説における叙述に出会ったような感じといえます。今では叙述大好き人間ですが、当時は何か騙されたという印象がありました(笑)。その点、小説は論理的にも納得性充分で満足です。もし、映画を観ていなければ、もっと高評価だったかも?。
SF映画マイベスト8 
1位 2001年宇宙の旅(1968)(*16位)
2位 エイリアン2(1986)(*30位)
3位 遊星からの物体X(1982)(*289位)
4位 猿の惑星(1968)(*350位) 
5位 スター・ウォーズ(1977)(*22位) 
6位 ターミネーター(1984)(*308位) 
7位 バック・トゥ・ザ・フューチャー(1985)(*23位) 
8位 インデペンデンス・デイ(1996)(-)
(*順位は2008年、英国「エンパイア」の映画ベスト500による)


No.1339 7点 2001年宇宙の旅
アーサー・C・クラーク
(2020/06/21 20:37登録)
裏表紙より~『三百万年前の地球に出現した謎の石板は、原始的な道具も知らないヒトザルたちに何をしたのか。月面で発見された同種の石板は、人類に何を意味しているのか。宇宙船ディスカバリー号のコンピュータ、ハル9000はなぜ人類に反乱を起こしたのか。唯一の生存者ボーマンはどこに行き、何に出会い、何に変貌したのか…。』~
不朽の名作であるSF映画(スタンリー・キューンブリック監督1968年)の原作。映画は難解でした。原作により、ある程度、不明だった謎は理解することはできましたが、やはりラストは理解できませんでした(苦笑)。著者は「もしだれかが『2001年宇宙の旅』を完全に理解したら、私達は失敗したことになる。」と言っているのでOKみたいです(笑)。映画との相違点~地球の石板(モノリス)は透明(映画は黒)宇宙船ディスカバリー号は土星(映画は木星)を目指す。映画では、透明な石板と土星の環を製作するのが難しかったらしい(CGがまだない時代)。なお、映画はSF映画のマイベストNO.1です。


No.1338 6点 影が行く
ジョン・W・キャンベル
(2020/06/18 16:09登録)
B級映画と揶揄されながらも、絶大な人気のあるSF映画の傑作「遊星からの物体X」(1982年ジョン・カーペンター監督)の原作です。内容は南極基地の氷の下に宇宙船と宇宙生物を発見するとものですが、SFというより人間の心理描写を主体にした物語です。短篇なので若干物足りなさを感じました。映画の方がスリルがあり、SF映画マイベスト5に入っています。これまで「遊星よりの物体X」(1951)、「遊星からの物体X ファーストコンタクト」(2011)と3度にわたり映画化されています。2018年に著者の未発表の原稿が見つかり、本作「影が行く」は壮大な物語のほんの一部であることが分かったそうです。その映画化も企画されているようなので楽しみです。


No.1337 7点 裏窓
ウィリアム・アイリッシュ
(2020/06/16 17:33登録)
①「裏窓」8点 別途書評済み
②「死体をかつぐ若者」8点 父親が浮気妻を殺害してしまった息子の行動。スリルと反転が見事。
③「踊り子探偵」6点 踊り子が刑事に恋心を抱くが・・・ほのぼの感が何とも。
④「殺しの翌朝」6点 青年刑事は他の刑事が驚くほど早く凶器を発見するが・・・
⑤「いつかきた道」8点 先祖にそっくりになった青年の行動。ポーを彷彿させる幻想的な結末。
⑥「じっと見ている目」8点 全身麻痺でしゃべれない老女は殺人計画を知ってしまう・・・
⑦「帽子」6点 ただ帽子を間違えただけなのに・・・
⑧「だれかが電話をかけている」7点 ショートショート。5回鳴って、もう一回鳴る不気味な電話・・・
⑨「ただならぬ部屋」6点 ホテルの913号室で4人の飛び降り事件。警察は自殺と処理するが・・・密室もの。

(参考)2020年版:史上最高の映画ベスト50(批評集計サイトに基づくランキング~ビジネスインサイダーによる)が発表され「裏窓」(1954年ヒッチコック監督)がランクインしています。以下、原作のあるミステリー系の順位。
2位 ゴッドファーザー
3位 裏窓
7位 めまい(死者の中から)
14位 黒い罠
19位 羅生門(藪の中)
24位 第三の男
28位 サイコ
37位 ローズマリーの赤ちゃん
38位 マルタの鷹


No.1336 6点 D機関情報
西村京太郎
(2020/06/10 20:13登録)
007ではないので女性陣との絡みがない?少しは恋愛感情が起きても良かったかなとも思う(笑)。まあ、若き軍人で真面目一方という性格が、作品的には最後の一行に通じるのかな・・・。著者の一番の思い入れのある作品のようで、そのことは伝わってきました。
 著者自薦の5冊の評価は「D機関情報」6点「殺しの双曲線」5点「寝台特急殺人事件」6点「華麗なる誘拐」7点「消えたタンカー」7点となりました。


No.1335 6点 メインテーマは殺人
アンソニー・ホロヴィッツ
(2020/06/07 22:51登録)
元刑事ホーソーンと作家ホロヴィッツのコンビが楽しい。ホーソーンがいい味を出しています。ホーソーンは得体の知れない人物なのですが、万一読書をするならダン・ブラウンか?などは個人的には大受けでした。小説の本筋はいいのですが(8点くらい)、鰊をぶら下げ遠回りし過ぎた感じがしますので6点どまりとしました。なお、シリーズ化されているようです。楽しみです。


No.1334 7点 世紀の犯罪
アンソニー・アボット
(2020/06/02 10:23登録)
「BOOK」データベースより~『ボート上で発見された男女の遺体。事件の真相を追及するべく、NY市警察本部長のサッチャー・コルトが捜査にのりだす!金田一耕助探偵譚「貸しボート十三号」の原型とされる作品の完訳!』~
 長谷川史親氏は『探偵小説談林』の中で「貸しボート十三号」には原型の作品があると指摘していました。昨年、本作が翻訳されその原案であることが紹介されました。本作ではコテージの番号が13号でした(笑)。
 1931年の作品で、現在では警察小説に分類されると思います。捜査の様子がどちらかと言うとドキュメンタリータッチで紹介されています。ボートに残された木の葉から犯行現場を突き止めていくというような感じで進んでいきます。殺害された二人は浮気している仲なのですが、双方の家族はそれを認めません。どんな背景があるのか?。殺害されたのが牧師なので、その真相は当時としてはかなりインパクトがあったのではないかと思います。


No.1333 6点 対訳コリンズ
ウィルキー・コリンズ
(2020/05/24 17:21登録)
「家庭の秘密」6点 姉が死亡した日、叔父が失踪。そのわけは?・・・
「まぼろしの女(夢の女)」6点 誕生日に自分を殺そうとする女の夢を見た。予知夢?・・・
「死人の手」6点 混雑するホテルで相部屋となる。隣のベッドの人物が死んでいる?・・・
「おそろしく不思議な寝台(恐怖のベッド)」 7点 賭博場で大勝ち。ベッドに横たわると壁の絵が徐々に消えてゆく?・・・
1850年代の短篇なので、現在ミステリーのようなオチがあるというわけではない。でも、ストーリー・テラーの著者らしい作品で楽しめた。ポーより読み易い。


No.1332 7点 モンゴルの残光
豊田有恒
(2020/05/21 18:21登録)
(再読)~モンゴル帝国が世界を制覇し、黄色人種が白人を支配している。主人公シグルト(白人の青年奴隷)はタイムマシンを盗み14世紀初頭にタイムスリップし歴史を変えようと企てる。~
SFはほとんど読みませんが、若しころ友人に勧められた一冊。壮大なスケールで歴史の勉強にもなった(笑)。かなり、メッセージ性の強い作品ですが、それを抜きにしても楽しめると思います。ちなみに著者はアニメーションの脚本家として「エイトマン」「鉄腕アトム」「ジャングル大帝」などを手がけ、日本SF作家クラブ会長も務めたとのことです。


No.1331 7点 ポオ小説全集1
エドガー・アラン・ポー
(2020/05/19 22:12登録)
怪奇系やユーモア系が多く、中にはSFもどきもありバラエティに富んでいます。しかしオチがよくわからないものが何点かありました(苦笑)。7点以上のみ記載
「モレラ」7点 娘が死んだ母親そっくりになって・・・
「約束ごと」7点 夫人は「日の出1時間後に」と一言。「外科室」泉鏡花(1895)を思い浮かべます・・
「ペスト王」7点 ペストが蔓延。食い逃げの男が逃げ込んだ先に宴会を楽しむペスト王が・・・
「息の喪失」7点息を失った男は墓の中へ・・・
「使いきった男」8点 戦いで生き残った英雄。何を使い切ったのか?・・・
「アッシャー家の崩壊」」9点 別途書評済み
「ウィリアム・ウィルソン」9点 別途書評済み


No.1330 6点 悪の愉しさ
石川達三
(2020/05/17 22:07登録)
(再読)作品は戦争の爪痕がまだ残る1953年の発表で、翌年映画化されている。当時は倫理観も現在とは相当違っていた。そのような時代に新聞小説として発表されたことに驚きを感じる。内容的には現在ではどうということはないもので、身近な女性を征服し、最後は犯罪を犯すというもの。同僚が語る「結局彼は愛情に飢えていたんじゃないか」が印象的。


No.1329 6点 悪女の手記
石川達三
(2020/05/17 22:05登録)
(再読)~喬子は私生児。母親は男に弄ばれ喬子を産んだ。その彼女も母と同じように騙され子供を産む。終戦後の貧しい時代であった。やがて彼女の心に男社会への復讐心が芽生えてくる・・・。弁護士への書簡という形式で物語は進む。~現在ならば、どうということのないような物語である。彼女を悪女と呼べるかどうかもあやしいものである。まさに「純な時代」だった。(1961年作品)


No.1328 7点 懲役人の告発
椎名麟三
(2020/05/13 21:14登録)
(再読)最近、安部公房氏の作品が取り上げられましたので、その関連で・・・。公房氏は「日本で作家と言えるのは椎名だけではないか」と述べています。その椎名麟三を取り上げてみました。純文学ですけれど、題名がミステリーっぽい(笑)。
交通事故で少女を轢き殺し、懲役人となった過去のある青年の物語です。中盤以降に殺人事件が起き、その動機が不明という謎があることはあるのですが、それはミステリー的な謎ではありません。不条理とでもいうのでしょうか。久々の純文学でした。


No.1327 7点 ポオ小説全集3
エドガー・アラン・ポー
(2020/05/03 21:10登録)
 「モルグ街の殺人」6点 別途書評済み 
 「メエルシュトレエムに呑まれて」8点 別途書評済み 
 「悪魔に首を賭けるな」7点 悪魔に首を賭けてもいいが口癖の行く末。ユーモア系・怪奇系 
 「週に三度の日曜日」7点 週に三度、日曜が来たら結婚できる。さてどうする。ユーモア系 
 「楕円形の肖像」6点 画家の妻はモデルになるが・・・。怪奇系 
 「赤死病の仮面」7点 疫病が蔓延。仮装大会に死に装束の人物が現れる。怪奇系
 「マリー・ロジェの謎」6点 安楽椅子探偵系 
 「告げ口心臓」7点 死体を床下に埋めたが・・・。怪奇系 
 「眼鏡」6点 一目惚れして結婚するが・・・。 ユーモア系 
 「催眠術の啓示」7点 死にかけた人物に催眠術をかけると神について語り出す。怪奇系 
 「早まった埋葬」5点 生きたまま埋葬の例があるので脱出できるように手配。ユーモア系


No.1326 7点 ジャッカルの日
フレデリック・フォーサイス
(2020/04/22 14:11登録)
(東西ミステリーベスト100の17位、米20位、英17位→日米英合算では第8位)
 暗殺者ジャッカルとフランスの敏腕刑事ルベルの攻防はスリルがあって楽しめました。まあ、一部にご都合主義的なところがあるのは致し方ないか?。

(参考)日米英のベスト10を読み終えて。
 本ランクは『東西ミステリーベスト100(2012年版)』と『史上最高の推理小説100冊』(1990年英国推理作家協会)と『史上最高のミステリー小説100冊』(1995年アメリカ探偵作家クラブ)の順位を単純に合算したもの。点数はマイ評価 ( )は(日)(米)(英)の順位 
1位 「アクロイド殺し」アガサ・クリスティー         10点( 5)(12)( 5)
2位 「シャーロック・ホームズ・シリーズ」コナン・ドイル    8点( 3)( 1)(21)
3位 「そして誰もいなくなった」アガサ・クリスティー     10点( 1)(10)(19) 
4位 「長いお別れ」レイモンド・チャンドラー          9点( 6)(13)(15)
5位 「薔薇の名前」ウンベルト・エーコ             6点( 7)(23)(13) 
6位 「時の娘」ジョセフィン・ティ               6点(39)( 4)( 1) 
7位 「マルタの鷹」ダシール・ハメット             7点(36)( 2)(10) 
8位 「ジャッカルの日」フレディック・フォーサイス       7点(17)(20)(17) 
9位 「ポー作品集」エドガー・アラン・ポー           8点(34)( 3)(23)
10位「月長石」ウィルキー・コリンズ              7点(67)( 7)( 8)


No.1325 7点 完全無罪
大門剛明
(2020/04/15 23:26登録)
~21年前の少女誘拐殺人事件の冤罪再審裁判に抜擢された女性弁護士の千紗。彼女はその事件があった当時、誘拐監禁された経験がある。もしかしたら、自分を誘拐した犯人を弁護することになってしまうのか?。~

スピード感があり二転三転する展開も楽しめました。ただの冤罪事件だけではなく、最後に一捻りあります。


No.1324 6点 偽画
松下麻理緒
(2020/04/13 20:53登録)
裏表紙より~『「知られざる傑作がある」と言い残し、世界的にも有名な画家・山岡がこの世を去った。さらに、傑作を預かっていた医師までも死亡する。両者とも、死の直前に会っていた人物は、山岡の妻である美弥子だった。学芸員の由紀は、山岡の回顧展を成功させるため、近づこうとするが、それは殺人事件の動機を解き明かし、山岡夫人の秘密を暴くことになる。1枚の絵を巡り、人々の思惑が複雑に絡み合うサペンス・ミステリ。』~

犯人は見え見えなので、動機は?ということになります。帯の「ラスト25ページの大どんでん返しに驚愕!!」とまではいかないけれど、まずまず面白かった。絵画の真贋については、もう少しページを割いて欲しい気がした。そうすれば絵画ミステリーとして、より一層面白くなったのでは?。


No.1323 6点 暗闇の終わり
キース・ピータースン
(2020/04/11 09:36登録)
裏表紙より~『晩秋のグランド郡で同じハイスクールの生徒が3人、相次いで自殺を遂げた。『ニューヨーク・スター』の記者ジョン・ウェルズは単身取材に赴くが、一人娘をやはり自殺という形で喪っている彼には、苦いインタヴューの連続となる。だがそんなウェルズの前に、事件はやがて、意外な真実を明らかにしていった…。敏腕記者の苦汁に満ちた闘いを描く、話題のハードボイルド第一弾。』

著者にはアンドリュー・クラヴァン、マーガレット・トレイシーという別名義があります。ジャンルはハードボイルド系のサスペンスになると思います。主人公の内面がかなり描かれています。上司との軋轢、女性の同僚ライシングと一線を画するところ、自殺した娘のこと、十数年ぶりに再会した女性のことなど読みごたえはありました。


No.1322 7点 金沢逢魔殺人事件
梶龍雄
(2020/04/07 18:52登録)
見え見えのミスリードと見え見えの犯人?。このあたりの見せ方と伏線は相変わらずうまいと思いました。但し、元となる事件の動機が犯人の口から語られていないので、推理だけでは腑に落ちないし、また納得もできません(苦笑)。


No.1321 5点 マスグレイヴ館の島
柄刀一
(2020/04/04 21:05登録)
裏表紙より~『内と外から施錠された「密室牢獄」の中で墜落死した男と、まわりを食べ物に囲まれたテーブルの上で餓死した男。現代に蘇った“マスグレイヴ館の島”は百年前の奇想のままに、不可思議な死で飾られた。また、島の対岸の岬でも、時を同じくして関係者の死。絶壁まで続いた足跡は飛び降り自殺としか思われなかったが…。符号のように繰り返される“墜落死”、海を隔てた島と岬で起こった連続怪死事件にはなにが秘められていたのか。奇想とロマンの横溢する本格長編ミステリ。』~

島田荘司氏張りのトリックが炸裂するのですが、全体的な構成がチグハグかな?といった感じ。よって盛り上がりに欠けます。内容はいいので、非常に勿体ない。

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