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ミステリの祭典

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わたしが死んだ夜(創元文庫版)
アイリッシュ短編集5

作家 ウィリアム・アイリッシュ
出版日1975年01月
平均点6.67点
書評数3人

No.3 6点 蟷螂の斧
(2021/03/08 20:22登録)
①高架殺人 5点 マリファナを吸い犯行。犯人は笑いが止まらなくなったようだ。動作は遅いが頭の切れる刑事が登場
②わたしが死んだ夜 7点 正当防衛で殺人。妻の悪知恵に乗ってしまった男の悲哀
③リンゴひとつ 4点 リンゴが転々と。コメディなんだろうな?
④コカイン 5点 コカインを飲まされて殺人の濡れ衣?ポケットから10セントがなくなっていた。10セントで行ける範囲を捜す
⑤夜があばく 7点 妻が夜に家を抜け出した。近くで消防車のサイレンが・・・。不気味
⑥葬式 6点 追われた凶悪犯は棺桶の中に隠れたが・・・オチはユーモア系
⑦日暮れに処刑の太鼓が鳴る 7点 無実を証明するタイムリミットもの。刑事がかっこいい
⑧死ぬには惜しい日 8点 結末は分かるのだが・・・それでも衝撃。一番著者らしい作品かも
⑨妻が消える日 7点 妻は夫と喧嘩し実家へ帰ったはずが、行方不明に・・・タイムリミットものはさすがにうまい!

No.2 7点 ボナンザ
(2014/04/08 16:08登録)
六冊ではもっともアイリッシュらしい作品が詰まった短編集では。
個人的には最初に読んだのがこれだったこともあり、未だにお気に入りである。

No.1 7点 Tetchy
(2008/08/10 19:39登録)
本作のような短編集を読むとアイリッシュはサスペンス・スリラーの手法を用いて都会小説を書いてきたという思いがする。

「高架殺人」は高層ビルひしめく都市の間を縫うように走る高架列車で起きた殺人。
「わたしが死んだ夜」は都会にしか存在しない浮浪者が殺人に関与しているし、「リンゴひとつ」は1つのリンゴが都会で生きていくのに明日の食事さえも摂れるかわからない人たちの手を次々と渡っていく。
「コカイン」も都会の膿が生んだ麻薬が引き起こす事件。
「葬式」は冒頭の買い物から逃亡劇へと移るシーンで路地裏の複雑さを描いているし、「妻が消えた日」も群衆の中の孤独を描く。

本作でのベストは「リンゴひとつ」と「日暮れに処刑の太鼓が鳴る」の2編。
そして「死ぬには惜しい日」は評論家の豊崎氏が教科書に乗せて欲しい短編だと云っていた作品。
確かに意外な結末は「あっ!」となるが、もしそうなると、中にはトラウマになる学生も出てくるのではないだろうか。

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