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ミステリの祭典

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事故
別冊黒い画集1

作家 松本清張
出版日1963年01月
平均点6.50点
書評数2人

No.2 7点 斎藤警部
(2022/06/08 21:26登録)
中篇二本を収め、副題に「別冊黒い画集」とあるが、本家の「黒い画集」よりはぐっとお手軽に読める一冊。

事故
一瞬にして妄想を焚き付ける清張の表題眼力にやられっぱなしです。込められた重層的意味合い、物語の具体的ターニングポイント(..以下略..)、包み込まれた違和感、そこには時系列の妙が関与。 冒頭の数頁を読み、シンプルな事件構造をサスペンスと冷気たっぷりに追いかける、清張並みの筆力あってこそ成り立つタイプの最短距離疾走作かな、と思って読み進めると、予想外の方向から新しい登場人物やら事件が次々闖入して何やら複雑な本格パズラーの様相。。と思えば中盤では成りをガラリと変えて。。いえ、これ以上は言えません。 運送会社のトラックが某会社役員の邸宅に突っ込む事故の後に起こった二件の殺人事件には、果たしてそれぞれ繋がりがあるのか。。というお話。 まあ、或る登場人物がそこまで単純なバカってあり得るか・・って違和感は少しあるけどね。

熱い空気
パンチの効いたゴーゴーリズムで一気に駆け抜ける爽快ドタバタイヤミス。こっちの方が最短距離疾走型。人の醜い内面をここまで厭らしく、言葉配置のタイミングも最適に、極限までチューニングして描き出すのは流石の清張クオリティだが、こんなに深い所まで人間を描いておきながらエンタテインメントの側に寄せ切っているのは素晴らしい贅沢。 大学教授宅に派遣された家政婦が、一家に怨み(相手によって濃淡はある)を抱き、いずれこいつらを破滅させてやろうと策を弄するお話。終盤の二段構えツイスト、一段目の方にまさかの意外性があった。 醜女設定の筈の主人公から醜女感が出ておらず、むしろ十人並みの器量のように見えてしまうのは、どうかな。 方向的には見え透いてる割に唐突感のある、ちょっとオープンなエンディングは、物凄い偶然頼み、って事なのか?? 気になった。 そして本作もまた、表題の重層性が効いておりますな(「事故」ほどトリッキーではないが)。

No.1 6点 蟷螂の斧
(2021/03/11 20:43登録)
①事故 5点 二つの殺人事件の関連性は?というものですが、構成が面白くなかった。謎解きものでもないし、サスペンスとも言えないような
②熱い空気 7点 「家政婦は見た!」の原作となった小説とは知りませんでした。殺人などは起こりませんが、家政婦の悪意ある覗き趣味が現在のイヤミスに通じるかも

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