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ミステリの祭典

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夜の闇の中へ
ローレンス・ブロックの補筆

作家 コーネル・ウールリッチ
出版日1988年07月
平均点7.33点
書評数3人

No.3 7点 YMY
(2026/04/14 21:19登録)
ウールリッチの遺作を、欠落していた冒頭と結末部分をローレンス・ブロックが補筆し完成させた。
人生に絶望した孤独な女・マデリンは自殺を企てるが、暴発した拳銃の弾丸は歩道を歩いていた見ず知らずの女に当たってしまう。良心の呵責を感じた彼女は死んだ女の身元を探るのだが、女が愛憎トラブルに巻き込まれていたことを知る。死んだ女の代わりにマデリンは、女が果たせなかった復讐を引き継ごうとするのだが。
ヒロインを駆り立てる動機付けの中に、喪の悲しみが薄く、前半は感情移入がしづらい。しかし後半はウールリッチ節が随所にあふれ、衝撃の結末まで一気に読ませる。

No.2 7点 蟷螂の斧
(2021/03/09 17:54登録)
裏表紙より~『あなたが果たせなかったことを、わたしが成し遂げてみせる…拳銃自殺に失敗し、誤って見知らぬ女性を死なせてしまったマデリンは、その女性、スタアの身代りとなって生きようと誓う。マデリンはスタアの過去をさぐり始め、彼女が生前に、自分の人生を破壊した人々への復讐を決意していたことを知る―サスペンスの詩人が遺した未完原稿を、実力派作家ブロックが補綴。若い娘の憎悪と情熱、愛と復讐を描く幻の遺作長篇。』~
ラストはローレンス・ブロック氏が補綴。よって、その部分はウールリッチ氏らしくないのかも。あと真相にはビックリ。著者がこの手のものを使うとは思っていなかったので・・・

No.1 8点 Tetchy
(2008/10/20 21:17登録)
ウールリッチの未完原稿をローレンス・ブロックが後を継いで完成させた本書。
とはいえ、全然両者の文体には違いが見られず、どこからどこまでがウールリッチで、どこからがブロックか、全く解らなかった。
解説では冒頭と結末の方をブロックが補綴し、中間はほとんどウールリッチの手になるものだとのことだったが、私は読書の最中、ブロック自身が、物語のムードを継承しつつ、自身の作家としての矜持も保ちながら書いていると思っていた。違うとなれば、ほとんど区別がつかないわけで、ブロックの練達の筆巧者ぶりに全く以って脱帽である。

プロットとしては最後の一撃については結構驚かされたものの、読み進むにつれ、いささか使い古された手法であったと気付く。しかしそこはブロック。前に散りばめた布石を固め打ちして、設定の弱さを上手くカヴァーしている。

特に冒頭の一文、「はじめに、音楽があった」に呼応する形で終わる、これが非常に巧い!!はじめにある音楽と最後に聞く音楽は全くその意味が異なり、相反するものである。この冒頭文及び結末がブロックの追記によるもので、これによって物語としては一クラス上に行った感がある。

筆を進めるに連れ、ここいらの始まりと終わりのアレンジはやはりブロックの作家としての矜持を覗かせる心憎い演出で、この二つの、云わば物語にとって最も肝心要の部分において最高の仕事をした、それだけでブロックの手腕は評価に値するのである。

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