take5さんの登録情報 | |
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平均点:6.59点 | 書評数:365件 |
No.305 | 6点 | 死亡告示 トラブル・イン・マインドII ジェフリー・ディーヴァー |
(2024/08/22 09:35登録) ジェフリーディーバーの短編集です。 ライム登場の『死亡告知』は大半の方 1ページで落ちが分かるはずですよw 中編小説の『永遠』はまあまあのでき 二転三転がディーバーっぽかったです そして数学探偵のキャラも立ってます |
No.304 | 8点 | ぼくらは回収しない 真門浩平 |
(2024/08/18 18:35登録) 作者はまだ25歳、東大大学院在学中という 秀才で天才ですね。作者は、速水士郎かも また吉田陽香かもしれない、全て登場人物 ですが。さて、それ位感嘆に値する作品。 一番は『街頭インタビュー』を推します。 わずか35ページであの反転は驚愕します ミステリーズ新人賞のルナティックより、 個人的には街頭が一番、カエル殺しが二番 全5編の短編ですが、伏線回収しないw。 タイトルの意味を深読みするとシニカルに 過去の本格作品へのアンチテーゼかしら。 視野の広がる豊かな読書でしたお勧めです |
No.303 | 7点 | ハンティング・タイム ジェフリー・ディーヴァー |
(2024/08/18 15:04登録) 懸賞金ハンター、コルターショウシリーズ ジェフリーディーバーらしい反転が最後に あり、安心の読み応え。ライムシリーズの それも初期に比べるとびっくり具合はやや 劣りますが、本作はそれより殺し屋二人組 そして母子の人物像の方に見所が多いです 後書きに、本国ではライムシリーズの次が 『ウォッチメイカーズハンド』という事で そちらの方も気になります。早く読みたい! |
No.302 | 8点 | その日のまえに 重松清 |
(2024/08/17 13:49登録) ここに書評をあげている自分にとって、 死が一番のミステリーだなと改めて思う そんな一冊。七篇の短編を通して考える 死とは何か。連れ合いの死、親の死など これからリアルに向き合うであろう死を 重松清さんの与える物語で想像しました 初めの四篇はつながりのない佳作としか 思っていなかったところに、残り三篇で 伏線回収がなされる構成でした。これは よくあるミステリーの伏線回収を超えて 登場人物すべてが葛藤や後悔を抱えても それでも前を向き生きる事の象徴なんだ 私にはそう感じました。力を貰いました |
No.301 | 7点 | 流星ワゴン 重松清 |
(2024/08/16 15:32登録) 後書きを、斎藤美奈子さんにわざわざ お願いしたという文庫版を読みました 新聞で読み慣れている論調よりかは、 だいぶ優しいですが分析がもう鋭くて だからではないですが一層父親として というか男として身につまされる話。 重松清さんも父親になって書けた作品 とおっしゃっているのはまさに納得。 私ファンタジーは得意でないのですが これはファンタジーの力を借りないと 気付けない事ばかりなので必然です。 重松清作品を息子と共有したいですが その発想も押し付けかもしれませんし 特にこの本は難しいのでやめときます 『きみの友だち』などがよいかなと。 |
No.300 | 8点 | 夏の庭 湯本香樹実 |
(2024/08/15 12:41登録) 世の中で最もミステリアスな事 私は死についてだと思います。 小学生の三人組がある老人との 一夏の関わりを通して、死とは 何かを見つめて成長する物語。 1993年日本児童文学者協会新人賞 1993年児童文芸新人賞 1997年ボストン・グローブ=ホーン・ブック賞 1997年ミルドレッド・バチェルダー賞 老人を通して語られる戦時中の事 また作者の後書きにも共感でき、 豊かな読書となりました。 |
No.299 | 7点 | 墨のゆらめき 三浦しをん |
(2024/08/14 11:28登録) 主人公のホテルマンと対役の書家の関わり 書家の遠田の人物像が魅力的で読ませます 遠田はなぜ主人公の続力を受け入れ、また 最後に突き放すのかという小さな謎解きは 末節で、バディものとしての魅力、そしで 文字に魅せられる者の描かれ方が大変よく 人の生き直しの描かれ方もまた素敵です。 オーディブル向けの書き下ろしだそうで、 本にすると225ページで高濃度でした。 |
No.298 | 4点 | 君に読ませたいミステリがあるんだ 東川篤哉 |
(2024/08/13 15:32登録) 夏休みYA本第三弾は高校生青春ミステリ 連作でそれぞれに作中作があり無理矢理に それらを主人公の女子高生が読ませる展開 連作なのですがそれぞれは繋がらないです 第一見た目がいけてる主人公が一人文学部 ないです。コミュ障でもないのにないです リアリティがなさすぎてギャグにもならず 受け止めが難しいです。YA本としてまず そこが弱点。若い頃にミステリの入り口に 適した本は他にもあるし、全5章を通して 生み出されたオチも今一。最後に全体像が 浮かび上がる作品って他に何十もあるし、 とにかく残念。夏休みなのでよしとします |
No.297 | 5点 | ガリレオの事件簿1 ポルターガイストの謎を解け 東野圭吾 |
(2024/08/10 10:04登録) 夏休みYA本シリーズ第二弾 ガリレオシリーズから短編集 お馴染な4篇が収録されます ポルターガイストや時差落下 などの初期のもの4つです。 既読のもののおさらいなので 200ページ30分で完読。 息子に進めるが反応今一で草 |
No.296 | 7点 | あと少し、もう少し 瀬尾まいこ |
(2024/08/10 08:30登録) 中学生の駅伝競走を巡る六章からなる物語 主人公たち6人のそれぞれが葛藤を抱える。 一区設楽は、なぜあれほど臆病で速いのか 二区太田はなぜあれほど切れてしまうのか 三区ジローのムードメーカーたる所以は? 四区渡部がクールでなきゃいられない訳は 五区俊介は、なぜ桝井をあれほど慕うのか そして六区の桝井が駅伝に込める思いは? 構成がよくて一章一区ずつ回想込みで進み 背景が明らかになりながらゴールを目指す 要所で素人監督上原先生が良い味出します 中学校のスポーツは技術以上に学ぶものが あるっていうの、今までぴんと来なかった。 だけど、今はわかるんだ。」と先生の言葉、 この夏実感するならこの1冊、YA本です |
No.295 | 7点 | 幻夏 太田愛 |
(2024/08/02 12:42登録) // =│という残された暗号にまつわる謎解きやら 1と10が釣り合っていないという世の中への提言が 一気に押し寄せるお馴染みの三人が登場する作品。 今回の主人公は相馬です。小さい頃の思い出と今が 重なって複雑な様相を見せてきます。社会派として マスコミや法曹界への鋭い視線は相変わらずですが 太田愛さんの作品の中では相対的にイマイチかな。 それでも一気に読める筆力は健在ですけれどね。✨ |
No.294 | 9点 | 天上の葦 太田愛 |
(2024/07/28 15:37登録) 鑓水、繁藤、相馬三人が主人公のシリーズ 上下巻ハードカバーで800ページの長編 戦時中の言論統制がこの時代のメディアと シンクロする、重厚な社会派ドラマです。 それでもどこか軽妙に読み進められるのは キャラのもつ力、太田愛さんの筆力です。 最終章、喜重の手紙は落涙必至の総まとめ 出会ってよかったこの夏の血肉となる名作 白狐が誰か問うミステリー、更に死の直前 老人の指差したものの意味を回収する展開 広く皆様に読んでいただきたい作品でした。 |
No.293 | 8点 | 犯罪者 クリミナル 太田愛 |
(2024/07/20 17:22登録) 脚本家、太田愛氏の小説デビュー作品。 上下巻1000ページがダレる事なく進む その筆力に脱帽。冒頭の通り魔事件、 そのスピード感に名作の予感。主人公 3人の人物も次第に輪郭がはっきりして 絵が浮かぶようです。犯罪者側の得体の 知れなさがあれに似てるな~と思ったら 帯には書いてあるそうです。ディーバー 級というお勧めが(私は図書館本につき 帯なし)。 通り魔事件の他にも、政財界の癒着や、 政治のパワーバランス、食品安全問題、 市民運動、裁判の大変さ等、多くの話題 を含む満足度の高い読書となりました。 次の作品からも、主人公3人がそれぞれ 中心となっていくという事で楽しみです。 |
No.292 | 7点 | りら荘事件 鮎川哲也 |
(2024/07/15 10:05登録) 新装版のリラ荘事件で読みました。 久しぶりに読んで覚える既視感は、 その後の作品が鮎川大先生の影響を 多分に受けているからでしょうし、 (色盲の作品は平成でもありますね) トランプの下りは、大先生も先人の 影響を受けているのが分かります。 ミステリー系譜の早い位置に存する とても重要な作品と言えるでしょう。 私が一番心に残ったのは、砒素です 美白に砒素という事がさらっとあり これは現代でもいけるのか?興味あり 星影先生のキャラも立っていてよき。 いずれにしても昔の人は推理小説に 新星現ると確実に思ったでしょうね。 |
No.291 | 8点 | 未明の砦 太田愛 |
(2024/07/07 17:36登録) 600ページ超えなのに、一気読みでした。 作者はTRICK2等の脚本も手掛けています 本作品は超社会派です。熱量が凄いです。 元は新聞に連載されていたということで、 ジャーナリズムもまだ死んでないのかなと だが作品の中では散々な書かれようですが 金権政治、労働問題、警察組織の問題また 戦後日本の民主主義の問題と、多岐に及び 読者に問う作者自身が、取材をしっかりと されているのがよく分かります。読み手の 自分が自分事で日本の問題を捉えているか 問われていると身の引き締まる思いです。 日本国憲法に触れているところでも、自身 教育に携わる者として大変心に残りました ミステリー要素は高くないかもしれません しかし各人が何を考えて行動するのかは、 最後に回収されていきますし、ご都合主義 そう読む方もいるかもしれませんが私には 清々しい希望を感じる終わり方でよいです 東京都知事選挙に出かける事のみ読書休憩 以後一気読みが本作品のもつ力の証明です✨ |
No.290 | 8点 | 地雷グリコ 青崎有吾 |
(2024/06/30 15:54登録) ギャンブル&青春&どんでん返し小説。 各ゲームが非常にロジカルで、人間も、 高校生らしい心の揺れがよく描かれて、 エンタメとして、第一級の作品でした。 5話の短編が徐々に加速していきます。 結局は真兎が勝つんですわかってます。 それでも二転三転にワクワクできるのが 青崎有吾さんの才覚、ドラマのシナリオ そして漫画の原作も担当しているようで シンプルに魅せ方を知っている方です。 因みに、裏技以外の各ゲームの推論は、 難関中学の入試問題を感じるんですよね これ分かる方きっといらっしゃるはず。 この時点で本サイトの3位にランクされ、 皆様にお勧めできますが、かわりに名作 連城三紀彦氏の戻り川心中が6位に…残念 次回作、早く出ないかなと願っています。 |
No.289 | 5点 | 猿の手 富安陽子 |
(2024/06/29 16:04登録) ジェイコブスの「猿の手」 カットナーの「不思議な下宿人」 ウェルズの「魔法の店」 を収録しているミステリーホラー 猿の手は人間の性が出ています。 |
No.288 | 7点 | 名探偵のままでいて 小西マサテル |
(2024/06/23 12:35登録) 正直、終章を含む全6章のうちの、 初めの2つからは残念感を抱いて、 中盤の2つからは、おや中々!然し そこまではと思ってしまいました。 このミスってこんなものかとさえ。 作者の散りばめられた過去の名作愛 それは最初から伝わります。幻の女 冒頭の名言、出たねって感じです。 しかし最後の2章でギヤが上がって、 一気に人物のディテールが露わに! 見事でした。主人公の祖父が紫煙を 超えて、いや私怨を越えた所で真相 いやみんなの心想も描くという構成 が素晴らしかった。タイトルの改訂 くさ過ぎるので改訂は正解でしょう。 とにかくあえての前2章で此方の側の バイアスをさらすことそのものが伏線 だとしたら驚異的です。←読み過ぎ? 装丁も美しくお勧めできる作品です。 ウイリアムアイリッシュもお勧めですw |
No.287 | 7点 | ずっとそこにいるつもり? 古矢永塔子 |
(2024/05/27 10:07登録) 人間、特に女性が大変よく描けており こちらの内面まで見すかされるかの様 叙述の反転は多少の域で、しかし粋で ミステリーじゃないという批判は正論 しかし読めばホウと唸る事は請け合い まあ読後感はドロっとしてはいますが 時に視点を変えることも大切ですよね |
No.286 | 9点 | 13歳からのアート思考 末永幸歩 |
(2024/05/05 18:17登録) 皆さんGW後半の読書に勤しんでます?さて、 選書の際は、ミステリーの範疇を考えますか それとも良書にミステリーを見出しますか? そもそもミステリーとはどの様な定義ですか 文体に隠された秘密、物の見え方が反転する または、作者の伝えたい事を技法で知る事? 私がミステリーを好む理由を深堀りすると、 どうやら視野を広げるとかメタ認知的な思考 いや嗜好がありそうだと考えが至りました。 価値観、見えている世界が広がる至高の時を 求めているようです。極めて私考的ですが。 さてこの本、そもそも中高学校の美術教諭が 書いていますので、作り物のミステリーでは 全くもってないのですが、とにかく目から鱗 ボロボロ落ちまくりです。これまで美術とは どう捉えていたかのバイアスが外れまくりの 人生の伏線回収本として大変お勧めします。 激動する複雑な現実社会を生きる全ての人に 必読の書といわれて読まずにはいられない、 そんな一冊です。さてミステリーとの接点は と不審に思っても騙されてお読みください。 接点を見出す事で、読書は晴れて完結です。 |