take5さんの登録情報 | |
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平均点:6.61点 | 書評数:397件 |
No.377 | 6点 | それは令和のことでした、 歌野晶午 |
(2025/07/31 11:31登録) 葉桜など、作者が叙述に凝る作品と比べれば、 それは小粒な短編集ですが、まあ叙述の反転を 楽しもうと思えば楽しめるかなと。出来事が、 令和を象徴する事かというと首を傾げますが、 まあ東雲や辰巳の描写はそうかなと納得です。 |
No.376 | 9点 | 蜜蜂と遠雷 恩田陸 |
(2025/07/30 09:42登録) 久しぶりに身体に染み入る読書体験でした。 若手ピアノコンクールを舞台に、人間の才能 運命、そして音楽とは何なのかを描き切る、 帯に作者渾身の最高傑作とあります。看板に 偽りなし。最高傑作だと思います。私には。 塵、明石、亜夜、マサル、それぞれの音楽が あり、またそれぞれの葛藤そして関わりの中 大きな変化進化がある。私が改めて思うのは 音楽のもつ力もそうですが、それを描き出す 小説の力です。小説ならシベリウスも描ける バルトークも描ける、「春と修羅」も描ける 頭で鳴らせるんですよね。読者各々の音楽が 鳴らせる小説の力。ミステリーでないから、 登録されてはいても書評がないのでしょう。 しかし、ここに登録してくださった方には、 心より感謝申し上げます。 有難う御座います。 |
No.375 | 7点 | かもめのジョナサン リチャード・バック |
(2025/07/28 15:32登録) なぜ人は形あるものを求めるとき、 その本質から離れていくのだろう。 そのことを認知した刹那、そこに又 ジョナサンが現れる最終章。実は、 その第四章が、バックによって後に 書き足された章だというところが、 また「では本来は」と、ミステリー なんですよね。いやあこれは考える。 |
No.374 | 7点 | スティグマータ 近藤史恵 |
(2025/07/27 12:20登録) サクリファイスシリーズ第5弾、 発行されている中では最新作品。 変化球を挟んで、チカのツールが ツール・ド・フランスが戻った。 一作目の感じに戻り、選手の心理 ミステリとしてよく出来ていた。 チカも年齢があるし、シリーズも あと一作くらいかなと思います。 実際のツールもフィナーレです。 |
No.373 | 6点 | キアズマ 近藤史恵 |
(2025/07/26 14:56登録) サクリファイスシリーズ第4弾 舞台はかわり大学の自転車部へ 弱ペのテイストが入っている? 各々の若人が葛藤し、それを又 越えようともがく姿と自転車が よく合っていてよいです。だが サクリファイスからはひたすら 離れていきます。2時間で読了 |
No.372 | 6点 | サヴァイヴ 近藤史恵 |
(2025/07/26 12:06登録) サクリファイスシリーズ第3弾。 チカや赤城のエピソード集です。 特に「プロトンの中の孤独」が 好きです。石尾の最後の台詞に ぐっと来ますが嗜好が私考すぎ。 パリ・ルーベのパヴェの描写が また良いんです。因みに現在は 2025ツール・ド・フランス 真っ只中で、最強ポガチャルも 心の中では色々あるのかと想像 それもまた楽しいです。進行形 |
No.371 | 7点 | エデン 近藤史恵 |
(2025/07/25 19:26登録) ドニとニコラの関係の反転 そこだけミステリー的要素 それ以外サクリファイスの 続編という良さ一本で読書 ロード乗りなら凄さに感嘆 ミッコとチカの関係も良い 250ページを1時間半と 私も平地のTT並の速さで 駆け抜けました。次作以後 サヴァイヴ、キアズマ更に スティグマータを楽しみに 読みます。予約手配済み。 |
No.370 | 8点 | 阪急電車 有川浩 |
(2025/07/24 15:45登録) 女の人は花嫁でもないのになぜ白いドレスを着ているのか。 鉄橋下の中洲に石積の「生」の字。どんな理由であるのか。 社会人彼氏がかけた、夜中に「助けて!」の電話の理由は。 一つ一つの小さな興味が、他人への眼差しが、絡み合って、 16もの短編その総体を乗せて阪急電車は走っていきます。 短編が緩やかにつながって一つの物語を紡ぎ、最後に至る。 読み終えた時に温かな読書体験を噛みしめる、そんな良書。 有川浩作品の中で、ミステリー色は薄いですが、必読です。 |
No.369 | 8点 | 十字架 重松清 |
(2025/07/23 16:40登録) 先達の書評がありまして私も記します。 中学2年生の心情からその後の葛藤まで 重松清さんはよくここまで書けるなと。 尊敬、感嘆、一言では表せないですが、 深く心に残る作品。しかし読書ならば、 いずれは忘れてしまうものかもしれない 作品中の残された父に言わせたらまさに そういう事になります。テーマ「償い」 には、向き合うとか人の弱さとか様々な 葛藤が含まれますが、この作品も同様に 読み手の心をさらす鏡の様なものです。 |
No.368 | 8点 | アンハッピードッグズ 近藤史恵 |
(2025/07/23 12:03登録) 近藤史恵の恋愛小説は珍しいので、 どんなものかと思いましたが正解。 素晴らしい描写。最後の反転驚愕。 パリの生活臭が事件の背景にあり、 主人公二人の関係に関わる新婚二人 よく描けていてよい読書時間でした。 |
No.367 | 7点 | 最愛 真保裕一 |
(2025/07/21 19:03登録) 人の本当の強さとは何なんだろうかと、 この話を読んだ後に考えさせられます。 自分の弱さをさらけて誠実に生きる事。 単純にそう言えるのは、その立場の人。 本当に辛い境遇ならは、弱さを晒す前に 社会の側から晒しにかかるから余計臆病 そう臆病にならざるを得ないこと必定。 そこでは誠実さが、美しさより醜悪さに 見えるかもしれない。だからミステリー として、反転するのだと解釈しました。 |
No.366 | 7点 | 家族シアター 辻村深月 |
(2025/07/20 13:47登録) 家族にまつわる短編集全7編 琴線に触れた順番に、 「1992年の秋空」 「孫と誕生会」 「タマシイム・マシンの永遠」 それぞれの作品が、 姉妹 祖父と孫 夫婦幼子父母祖父母 それぞれの葛藤を鮮やかに ラスト爽やかに描いていて 改めて辻村深月さんは 素敵な作品を書くなと思います。 余談ですが、 御本人の藤子・F・不二雄愛を 最後の作品の登場人物を通して 強く感じます。分かるな〜 |
No.365 | 8点 | いつか月夜 寺地はるな |
(2025/07/10 03:21登録) 寺地はるなさんが好きです。 寺地さんの描く人間像には、 読者が自身の中にあるかつて もっていたもの、忘れていた もの、そして今気付かされる まの、それらが詰まっていて 突きつけられるのですが最後 優しさも感じるのです。救い ではない優しさ。それは共に 歩いた夜の散歩仲間がやがて 一人で歩き出すための力の素 ということです。名作です。 |
No.364 | 7点 | 八秒で跳べ 坪田侑也 |
(2025/07/06 18:44登録) 景はなぜバレーボールに向き合うのか? 真島さんはなぜフェンスを越えるのか? 様々ななぜが絡み合い、もつれ合う中で 高校生が少しずつ意味を見出していく。 スカイエマさんの装画がぴったり合って 素敵な作品でした。真剣って良いなあ。 |
No.363 | 6点 | 息のかたち いしいしんじ |
(2025/07/06 12:20登録) ひょんな事故から 人の息を見る力が 開花?した夏実の 不思議な短編3篇 時代は2020年 コロナ禍ってあれ 何だったのだろう ミステリーですね |
No.362 | 8点 | 網内人 陳浩基 |
(2025/07/05 09:27登録) 「自分の考えを語り、他人を理解しようと するのは人間の性だ。だが今の人間は、自 分の話は聞いてもらいたいが相手の話に耳 を貸そうとしない。その結果、世界はどう なった。聞くに堪えないノイズだらけじゃ ないか。世界がさらに進歩し、人類がネッ トをもっと有効に使うことができるように なるには、もう少し時間がかかるだろうな」 アニエはそこで息を継ぐと、さらに続けた。 私達の社会に網の目のように張り巡らされる ネット社会、その中で思考のバイアスを疑う こともせずに流される私達、何方に対しても 目を見開かされる名作。胸熱要素盛り沢山で カットバックの収束も文中の東野圭吾や文豪 のアンナ・カレーニナ、ディーバーまで登場。 ホームズとワトソンになぞらえる相性のよい アニエとアイのコンビ、シリーズ化願います。 |
No.361 | 6点 | ウォッチメイカーの罠 ジェフリー・ディーヴァー |
(2025/06/30 21:15登録) いつもながらリーダビリティは高いです ちがうのは敵役の心理と行動がはっきり オープンなことで、どんでん返しを損な うもとになってしまいました。これまで の宿敵が消えて、次作は女性Xがそのや くをするのでしょうか。著者75歳を過 ぎ、ここからかつてのワクワクは、かな り厳しいかなと。少し淋しく感じました 。 |
No.360 | 8点 | 赤い指 東野圭吾 |
(2025/06/30 09:01登録) そういえば書評していなかったとい う本の一つ。装幀の印象が強く残っ ていて、2006版はレタリングも いい感じに合っています。勿論内容 があってこそなのですが、人は人の あたまの中は覗けないから、あなど ったり不信感を抱いたりする、従っ て、結果的に誘導されている。そう いった作品の最右翼です。東野氏は まず容疑者か白夜?いや私はこれを すすめます。社会派として秀逸だし 。 |
No.359 | 6点 | 逆転美人 藤崎翔 |
(2025/06/29 16:02登録) たくさんの方が書かれていますが ていの良い二番煎じという反論も よ見してわざとでしょう。ヨガ師 みたいなあの表紙の。内容はその 書物よりもトリックの必然性高く 評価できます。解答編の多弁とて も優しいですが、本編最後の角は 先出し過ぎですね。答えにほとん どなっています。紙媒体の矜持誇 りを逆手に取る他の作品、例えば あの透き通った物語などもやっぱ り賛否分かれるのでしょう。僕は まあまあ気に入っています。なお すマホ書評は常に縦読み対応です なぜなら画面に入らないからです 。 |
No.358 | 7点 | 普通の子 朝比奈あすか |
(2025/06/22 12:59登録) 息子はなぜ学校のベランダから飛び降りたのか? 主人公である母親美保の目を通して語られる景色 それが次第に他の情報から反転していく心理小説 自身の幼少期の思い出が絡み、結果は予想通りで しかし誰もがどこかで身につまされるバイアス話 300ページ足らずで読後感良くないが一気読み |