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ミステリの祭典

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take5さんの登録情報
平均点:6.55点 書評数:309件

プロフィール| 書評

No.289 5点 猿の手
富安陽子
(2024/06/29 16:04登録)
ジェイコブスの「猿の手」
カットナーの「不思議な下宿人」
ウェルズの「魔法の店」
を収録しているミステリーホラー
猿の手は人間の性が出ています。


No.288 7点 名探偵のままでいて
小西マサテル
(2024/06/23 12:35登録)
正直、終章を含む全6章のうちの、
初めの2つからは残念感を抱いて、
中盤の2つからは、おや中々!然し
そこまではと思ってしまいました。
このミスってこんなものかとさえ。

作者の散りばめられた過去の名作愛
それは最初から伝わります。幻の女
冒頭の名言、出たねって感じです。

しかし最後の2章でギヤが上がって、
一気に人物のディテールが露わに!
見事でした。主人公の祖父が紫煙を
超えて、いや私怨を越えた所で真相
いやみんなの心想も描くという構成
が素晴らしかった。タイトルの改訂
くさ過ぎるので改訂は正解でしょう。

とにかくあえての前2章で此方の側の
バイアスをさらすことそのものが伏線
だとしたら驚異的です。←読み過ぎ?

装丁も美しくお勧めできる作品です。
ウイリアムアイリッシュもお勧めですw


No.287 7点 ずっとそこにいるつもり?
古矢永塔子
(2024/05/27 10:07登録)
人間、特に女性が大変よく描けており
こちらの内面まで見すかされるかの様
叙述の反転は多少の域で、しかし粋で
ミステリーじゃないという批判は正論
しかし読めばホウと唸る事は請け合い
まあ読後感はドロっとしてはいますが
時に視点を変えることも大切ですよね


No.286 9点 13歳からのアート思考
末永幸歩
(2024/05/05 18:17登録)
皆さんGW後半の読書に勤しんでます?さて、

選書の際は、ミステリーの範疇を考えますか
それとも良書にミステリーを見出しますか?

そもそもミステリーとはどの様な定義ですか
文体に隠された秘密、物の見え方が反転する
または、作者の伝えたい事を技法で知る事?

私がミステリーを好む理由を深堀りすると、
どうやら視野を広げるとかメタ認知的な思考
いや嗜好がありそうだと考えが至りました。
価値観、見えている世界が広がる至高の時を
求めているようです。極めて私考的ですが。

さてこの本、そもそも中高学校の美術教諭が
書いていますので、作り物のミステリーでは
全くもってないのですが、とにかく目から鱗
ボロボロ落ちまくりです。これまで美術とは
どう捉えていたかのバイアスが外れまくりの
人生の伏線回収本として大変お勧めします。

激動する複雑な現実社会を生きる全ての人に
必読の書といわれて読まずにはいられない、
そんな一冊です。さてミステリーとの接点は
と不審に思っても騙されてお読みください。
接点を見出す事で、読書は晴れて完結です。


No.285 9点 きみの友だち
重松清
(2024/04/28 18:17登録)
短編が最終話に向けて収束していく様
どれもが不可欠で落涙必至、見事です。
主人公達の小学生から大人までの時間
どの作品を読んでもその時間の流れが
厳しくて、切なくて、そして優しくて、
重松清は然るべき頃にこそ出会うべき
稀有な作家さんと私見ですが思います。
それぞれの作品は「きみ」を見つめる
誰かによって紡がれているわけですが、
その誰かの眼差しを借りて、私たちも
また各人と共に主人公と出会うという
構造になっています。私にはこの事が
重要だと感じます。それは読書を終え
この現実社会を一人称で見つめる時に
自身が身近な家族や友達をどう捉えて
向き合っているか、それを否が応でも
突き付けられるからです。千羽鶴なら
自分のために折っていると気付かされ
この読書が自分のために生かされる様
これからが問われるのだと気付きます。


No.284 6点 Q
呉勝浩
(2024/04/27 10:58登録)
人並さんの書評から興味を持ちました
コロナ禍の始まりとリンクする600頁
カリスマ的存在,Qをウイルスと重ねて
描かれている世界がリアルでよいです
個人的には作者の他作品では爆弾やら
ライオンブルーやらの方が好みですが
力作大作であることは間違いないです
余談ですが最近手にした本の中で特に
装丁が美しく個人的に満足しています


No.283 5点 私雨邸の殺人に関する各人の視点
渡辺優
(2024/04/14 11:42登録)
いわゆる藪の中的な多重視点作品
クローズドサークルでの殺人事件
素人探偵も登場、各々が推理する
すみません極めて私見なのですが
人物の描写にあまり魅力を感じず
最後の真相もあまりぱっとせず…
殺人が抑圧された心情の開放なら
もう少し人間を描かないと厳しい
300ページは極めて読みやすく
深みを求めなければまあ良しかと


No.282 7点 人魚の眠る家
東野圭吾
(2024/04/06 21:31登録)
脳死を巡る家族の物語
子供を持つ身に滲みる
内面の葛藤は共感必至
500頁以上一気読み
東野=リーダビリティ
生死の線引は人知の外
と考えさせられました
包丁を振り回し問う件
やり過ぎだけど必須?
最後の伏線回収も同樣
テーマを鑑みてもっと
静かに終わるも良し!


No.281 5点 アイネクライネナハトムジーク
伊坂幸太郎
(2024/04/06 12:13登録)
伊坂幸太郎はいくつか読んで
だいぶ好きな物もありますが
これは上手いとは思いますが
五指には入らないと感じます
時代と視点が変化する短編集
ナハトムジークの意味は実は
ナジームハメドだったのです


No.280 6点 去年の冬、きみと別れ
中村文則
(2024/03/30 14:47登録)
何がビックリしたかと
書評書こうとこのサイトを見たら
直前に書いた人が私の4年前という、
どれだけボケちゃうの?というより
どれだけ残ってないのって
改めてびっくり。
再読ですって方いらっしゃいますが、
初読と思って書かせて頂きました。


No.279 7点 さようなら、オレンジ
岩城けい
(2024/03/30 09:30登録)
第29回太宰治賞。第8回大江健三郎賞。
2014年本屋大賞4位。
様々な事情を抱えた女性が異国の地で
生き残るために懸命に努力する姿と、
決して諦めない意志と希望を描いた
人間ドラマ。物語の中心となるのは
アフリカの難民の女性と
ハリネズミと呼ばれる日本人女性で、
難民の女性の日々の生活と
日本人女性が書いた恩師への手紙が
交互に織り込まれる構成で物語が展開します。
手紙の真相が軽いミステリーですが、
力強い人間の描かれている素晴らしい作品
という点で書評をあげました。


No.278 6点 世界でいちばん透きとおった物語
杉井光
(2024/03/03 14:22登録)
こちらのサイトで本を探される方
私もそうですが、
ネタバレしていませんとあっても
ある程度の情報を欲すると、
結果的にネタバレに近い情報が
手に入ってしまうというジレンマ。
少なくとも本作については
一切これ以下の書評に触れずに
たった230ページ700円
または図書館なら無料ですから
とっとと読まれる事をお勧めします。

それで、読み終えた後に、
人並さんの書評に納得したり、
他の方同様内容に言及したり
しなかったりする書評を書けば
よいのです。

ですから私の書評も以上!


No.277 5点 ウルチモ・トルッコ 犯人はあなただ!
深水黎一郎
(2024/02/24 13:12登録)
ビブリオバトルをご存知ない方は、
YouTubeでも紹介されているので
ご覧下さい。
学生さんのプレゼンが上手なんですよ。
「あなたは人を殺したことがありますか?」
から本書の紹介が始まります。
プレゼンの評価は8点くらい。
肝心の本書は5点ですかね、、、
イタリア語の究極のトリック
ウルチモトロッコ
言いすぎですね。
2時間弱でさらっと読めて、
紙媒体の可能性も感じますが
小説のクオリティーとしてはまぁまぁです。


No.276 8点 バールの正しい使い方
青本雪平
(2024/02/18 13:39登録)
周りに擬態して生きる
礼恩の小学生からしばらくの物語
、、、の物語。

繊細な感性、
みずみずしい表現。
新聞の書評をきっかけに読みましたが
これは私には大当たりです。
心に残る力強い読後感。
ミステリの枠におさまらず
読書っていいなと思います。


No.275 7点 ヨモツイクサ
知念実希人
(2024/02/18 10:46登録)
ネタバレあります。

リーダビリティ高し。
200ページほどまでで
完全に荒唐無稽の世界観を構築する筆力。
最近アイヌの伝承に関わるミステリを
凍てつく太陽で楽しみましたが
そちらは文化へのリスペクトを感じ
こちらは不思議さしか感じない
完全にプレデター扱いなのがある意味清いです。
35?ページの反転にはびっくりしました。
あれだけ字がでかいので。
そしてフォントも怖かったですw
ゾンビ系って流行ってるんですかね。
古い人間で7点以上つくイメージが
湧かずファンの方すみません。
小学生の息子が同じ部屋でかがみの孤城を読んでいますが
次にヨモツイクサは勧めないなあ~と。


No.274 7点 満願
米澤穂信
(2024/02/12 21:23登録)
齋藤警部さんが書いてらっしゃるのですが、
連城節を感じさせる作品がちらほら。
短編集としてはまぁまぁよかったです。

夜警   
警察小説。 困り者の部下の見え方が反転

死人宿
これから自殺する犯人捜しの末、反転

柘榴
家族愛憎系、事件を捉える視点で反転

万灯
バングラデシュ経済サスペンス、
すごく良く描けていると思います。
しかし日本に帰ってからが淡白。

関守
峠の茶屋のおばあさんがよい味出してます。

満願
下宿でお世話になった奥さんは殺人犯となり、
弁護士になった主人公と再会。
怪しい雰囲気がよいです。


No.273 5点 汚れた手をそこで拭かない
芦沢央
(2024/02/10 15:56登録)
息子が友達に進められて読み
私も読みましたが
これ小学生が読む本ではないでしょうw
前2つはまぁまぁ反転ミステリで
後ろの方はイヤミスです。


No.272 6点 そして扉が閉ざされた
岡嶋二人
(2024/02/04 11:04登録)
フーダニット、ハウダニットを
カットバックで追いかける
大変リーダビリティの高い作品。
真相は普通の衝撃度ですが、
The本格ミステリといった趣き。
あまり人物に感情移入できずこの評価。
文庫の割に字が大きくて目に優しいです。


No.271 6点 さよなら妖精
米澤穂信
(2024/01/27 10:19登録)
青春小説であり
戦争小説である
このギャップが
本の力です。
ユーゴスラビア紛争下で
飛び交う砲弾と
弓道の高校生大会で
放たれる矢との
切ない対比です。


No.270 7点 雪は汚れていた
ジョルジュ・シムノン
(2024/01/22 20:21登録)
連合軍占領下のフランスで、
淫売屋を営む娼婦崩れの母を持つ
若者の無軌道な行動を描く。
彼は結局占領軍の調査部局に捕まる。
ある種強靭な彼は尋問を耐えてゆく。
占領軍は愛国主義者などの政治性を
犯行動機と疑ったが、
そこは本質ではない。
一旦は裏切った若い娘の感情を知る
クライマックス、
彼は従容として死に赴く。

戦争とは
様々な顔をしているものですね。

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