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ミステリの祭典

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take5さんの登録情報
平均点:6.61点 書評数:438件

プロフィール| 書評

No.418 9点 ののはな通信
三浦しをん
(2025/12/14 18:34登録)
女性の描く、女性の恋愛小説。
と思っていた概念を、それこそ
幾重にも壊して進む昭和〜平成
そして東日本大震災までの物語。
単なる物語ではなく往復書簡で
綴られる2人の25年間の歴史。
三浦しをんさんは、何故これ程
2人の主人公を書き分けられ、
また読者自身が3人目の主人公
の舞台に上がらざるを得ない様
書けるのだろうと衝撃的でした。

カトリック系の学校の様子から
ゾンダ共和国の情勢に至るまで
全てが当事者の視点で迫ります。
最終盤、車内で聞くエピソード、
テーマ「誇り」が胸に迫ります。


No.417 7点 クリスマスに少女は還る
キャロル・オコンネル
(2025/12/14 13:07登録)
尊敬する辻村深月さんが、アンケートに
答えた中で、このような作品を書けたら
作家人生を終えてもいい、とありました。

だから図書館の保存庫から出して頂いて
読みました。文庫本600頁超えの作品。

前半の登場人物紹介のエピソードが秀逸。
後半の謎解きはまあまあ。特に心に残る
エピローグの重み。決して単なる聖夜の
救いはなく、しかし題名にある還るもの
それが分かると、静かな重みを感じます。


No.416 6点 Another side of 辻村深月
辻村深月
(2025/12/06 19:23登録)
辻村深月ファンとしては必読書。
全作品の本人による解説が素敵。
対談は大山のぶ代も登場します。
多くのミステリー作家と作品の、
執筆をめぐる興味深い話がよい。
アンソロジー他に登録すべき処、
国内になってしまいました失礼。


No.415 8点 白い衝動
呉勝浩
(2025/12/03 18:54登録)
呉勝浩作では爆弾≪本作の評価。
エンタメ色薄め、社会派色強め。

臨床心理学、精神分析学から、
殺人の社会的捉え、その他諸々
綺麗事を一枚ずつ剥いでいくと
私達の認知の偏りや癖が如実に
表れてくる、その様が圧巻の作。
ミステリーは手段。描く手段で、
後半のフーダニットや、最後の
一行は大きなテーマのおまけ。
それでもこの作品に出会って、
よかったなあと満足しています。


No.414 4点 超短編!大どんでん返し
アンソロジー(出版社編)
(2025/11/30 14:17登録)
一人原稿用紙5枚×30人の作品。
1時間程度で読み終わり、徒労感。
作家図鑑としての価値の方が高い。

内容はかなり薄く改めて思うのが
ショートショートといえば星新一。
星新一は大々作家ということです。


No.413 8点 クライマーズ・ハイ
横山秀夫
(2025/11/30 11:59登録)
日航機墜落事故を巡る、地方新聞社の有り様を、
情報屋の矜持と家族関係を絡め葛藤の中で描く。

どの分野でも悩むであろう、仕事の向き合い方、
そして、特に親子関係での向き合い方が泥臭く、
反面山の描写が鮮やかに描かれ素晴らしい対比。

作者が実際に、北関東の新聞社勤めだった事で、
理想と政治の葛藤等のアンバランスさがリアル。

後半、父に訪れる許しの様な場面は、落涙必至。

筆力の高さ際立つ作者の例に漏れない作品です。


No.412 7点 絶叫
葉真中顕
(2025/11/24 14:04登録)
まず、ネタバレしないように触れますが、
最終盤のWhoのあたりは、さすがですが、
トリック自体は過去にも見られるもので
宮部作品でも似たものがあります。だが
本作は葉真中顕の作品故に社会派色増量。
保険レディの実態があまりに苛烈で痛い。
やはり人間生い立ちや出会う人は大切だ…

悪の巣窟がある土地、鹿骨を正しく読める
貴方はきっと東京城東地区に馴染がある!?

3時間で500ページを一気読みできる位の
リーダビリティあり、しかし内容救い無し。


No.411 6点 模倣の殺意
中町信
(2025/11/23 15:44登録)
50年も前に書かれた叙述トリック作品。
叙述トリックといえば中町氏的な位置。
何度か改編されていて、今耐えうる様に
アレンジされているということですが、
確かにカットバックのアレンジとして、
改編は正解ですかね。しかし登場人物の
坂井正夫の扱いが、、、鮎川氏にはそこを
評価されていますが、私にはイマイチ。

他殺意シリーズを読むか否か迷い中です。


No.410 7点 ずっとあなたが好きでした
歌野晶午
(2025/11/23 11:49登録)
さすがのまとめ方上手、歌野晶午。
13の短編集だが12作目で纏め上げ
ずっと誰かを好きなまま読了です。

個人的に10作目の『舞姫』が好き。
ビルバリンジャーの『赤毛〜』風。

『幻の女』はアイリッシュのまま。
全ての作品が恋愛もの風を装って、
叙述に凝っていたり工夫があります。

600ページをスイスイ読める手軽さ。
お二人書評されていましたが、男の
しょうもなさが軽く描かれています。


No.409 6点 A
中村文則
(2025/11/19 19:52登録)
途中まで、筆者がクスリでもやっているかと思いました。
最後の4つはよかったです。特に表題作と続きの『B』が
戦争の狂気をえがく作品としてかなり真っ当で、GOOD。
最終話は御自身の作家としての有り様が知れて、GOOD。


No.408 6点 その可能性はすでに考えた
井上真偽
(2025/11/09 12:30登録)
悪魔の証明+多重解決もの。
新興信仰団体+多重解決は、
毒入りや、タイプは違えど
名探偵のいけにえが最高級。
作者の賢さやミステリ愛は
感じます。だがなんだろう?
重箱の隅をつつく感が強い。
私考すみません。嗜好です。
最後の結末、救済に落ち着く
そこだけはドラマなのだが…


No.407 3点 フォトミステリー ―PHOTO・MYSTERY―
道尾秀介
(2025/11/08 17:43登録)
道尾秀介作品は総じて好きですが、
本作はあまりにも練られていないと
思ってしまいました。毒も弱いし、
ショートショートの手練も感じず、
写真が先にあって無理矢理の合わせ
理解はしても唸らずばかり続いて、
こんなに刺さらないのも初めてで、
残念無念です。私見ですみません。
星新一を読んで口直ししようかと。


No.406 6点 探偵が早すぎる
井上真偽
(2025/11/03 21:38登録)
図書館のY.Aコーナーで見つけました。
文庫本の上下巻のうち、上巻を読了し、
いよいよ49日で対決か?という段階。
殺させない探偵という設定が新鮮です。
忘備録として一度点数つけておきます。

こういう作品に高得点をつけることを、
そもそも躊躇される方もいそうですが、
人並さんの評価がまさに言い得て妙で、
キャラが立っていて、軽い文体がよい方
薄っぺらくなくよい方へはたらいていて
下巻も楽しめそうです。さてさて・・・


追記
上巻に輪をかけて早く読み終わりました。
探偵も読了も早すぎて、論理も何もなく
評価を1点下げ、真偽他作品へ進みます。


No.405 6点 コメンテーター
奥田英朗
(2025/11/03 12:37登録)
伊良部シリーズの最新刊らしいです。

コロナ禍を歴て人間関係に悩む人々、
そこに関わる精神科医伊良部が視点を
まさに視点を変えて生き方を自ら導く
そんな手助けをする、荒唐無稽を装い
実は至極真っ当な論理で治療する姿は
文体で反転させるミステリーではなく
思考の反転を促すタイプのミステリー
深みはなくエンターテイメントよりを
装って、作中人物のように気楽になり
案外楽しめる人も多いのではないかと。


No.404 6点 きこえる
道尾秀介
(2025/11/02 18:15登録)
人の情報収集は映像が大半と思っていましたが、
一つ前の読書で、音声こそ影響大なのだと知り、
たまたま次なる予約本が『きこえる』との偶然。

道尾作品は、叙述のどんでん返しが好きなので、
最近の意欲的な映像や音声の活用作品は、正直、
イマイチ好きではありません。食わず嫌いでは
いけませんので読んでいますが、やはりまだ……

最終話の前後にあるQRコードは、二つの違いから
作品の真相を露わにするところが興味深いですが
それも昔の名作ならば、現場検証や証言の取材で
時制の整理が成されて解決に至りそうなものです。
仏さんがいつ死んだかを映像でばらすのは単なる
ホラーだなと思ってしまいました。びっくり映像。


No.403 7点 作り方を作る
佐藤雅彦
(2025/11/01 20:14登録)
古くは湖池屋スコーンやポリンキーを
やがて団子3兄弟を歴てピタゴラも。
テキシコー、0655、2355まで
刺さるものが生み出され続ける理由が
私はミステリーでしかなかったのです。

そうか、新しい物を作るのではなくて、
作り方が新しいから作品が新しいのだ。
そのロジックのエッセンスを垣間見る
思考の認知がいかに大切なのかを知る
そんな謎がスッキリする良書でした。


No.402 6点 死んだ山田と教室
金子玲介
(2025/11/01 19:58登録)
楽しめました。設定はトンデモですが、
設定に則る展開は破綻なく進みますし、
最後の死をめぐる捉えの反転へと結実。

男子の学力と発言の整合性に疑問符と、
最後の反転後の終わり方にもう一押しを
求める私がいます。が、楽しめました。


No.401 8点 問題。以下の文章を読んで、家族の幸せの形を答えなさい
早見和真
(2025/10/27 13:25登録)
東京の中学受験を通していくつもの
家族の有り様を描いた数年間の物語。

かつて受験当事者だった私に主人公
そして主人公の父や母の姿がリアル。

しかしこの物語の本質は、いつか来る
物事の捉え方が反転する時は、逆説的
ではあるが、もがいている時間こそが
必要なんだということです。よくいう
セレンディピティは決して偶然でない
ということです。

中盤から次第に明らかになる、十和の
拠り所となる人物も只のフーダニット
ではなく、作品名につながる長い長い
伏線回収の一部分なことに感嘆します。

小学生、その親、かつて親だった祖母
全ての人の気持ちを隔てなく書き切る
早見和真さんの筆力に脱帽します。

※『店長が〜』と一部リンクしています


No.400 7点 逆ソクラテス
伊坂幸太郎
(2025/10/26 15:33登録)
伊坂幸太郎は他によい作品がありますが
私は本作を、同様に好ましいと思います。
伏線の回収が甘いとかご都合主義だとか
ミステリー書評サイトではイマイチだと
思われる方もいるのでしょうね。しかし
力強く「僕は、そうは、思いません」。

通常ニヒルなユーモアを感じる文章な処
本作は素直で熱くて別の魅力があります。
また、多くの人に勧めたいと思う作品は
AXやゴールデンスランバーもよいですが
例えば息子には、これを進めるでしょう。

文庫の後書きからも、10年越しの思いが
よく伝わってきました。充実の300頁☆


No.399 7点 双頭の悪魔
有栖川有栖
(2025/10/19 17:34登録)
名作と誉れ高い本作品です。
文庫およそ700ページ大作。
ほぼほぼ1日で読み切った
そんな自分偉い!故に+1点

令和にない懐かしの世界観。
流された橋の双方が孤島化。
双方での殺人を双方で推理。
アリス・マリア相互に描かれ
カットバックで進む途中には
挑戦状が3回。私解けず残念。

双頭なら悪魔の体は一つな訳で
収束する様はまあ見事ですが、
そもそも〇〇殺人って非現実的。
それを〇〇デュ〇〇するのも、
もっとキャラのたったカリスマ
でないと成立しないのではと。
すみません私見です。とにかく、
原稿用紙1000枚の熱量は凄い。

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