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ミステリの祭典

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虫暮部さんの登録情報
平均点:6.20点 書評数:2259件

プロフィール| 書評

No.319 8点 しあわせの書―迷探偵ヨギガンジーの心霊術
泡坂妻夫
(2016/09/05 12:06登録)
 この本を参考にして何度か断食の行を試みていますが、毎回2~3日で挫折してしまうのです。


No.318 6点 法月綸太郎の功績
法月綸太郎
(2016/09/04 10:29登録)
 「ABCD包囲網」は酷いな~! なんで犯人のほうからわざわざ警察に接触するんだ。犯人と本命の被害者との間に見かけ上の関係は無い→警察が“動機のある者”を探しても犯人には辿り着かないんだから、余計な工作せずに黙ってサッと殺しとけばいいじゃないか。短編集に再録しないで葬り去ったほうが良かったのでは。
 「イコールYの悲劇」のダイイング・メッセージだが、文字列に既に犯人のファースト・ネームがそのまま含まれているのだから、そこにマルでも付けるほうが早いだろう。ファースト・ネームに欠けている一文字を補う設定なら良かった。“本当の動機” には説得力を感じる。


No.317 3点 推理は一日二時間まで
霧舎巧
(2016/09/01 20:00登録)
 謎が矢鱈強引に設定されているし、真相もたいしたことない。
 あと、本書に限らないが、小説にオタクが登場する時やけに丁寧に説明するのは、仲間内の共通言語で色々ショートカットするオタクの気質のまるで逆で、却って雰囲気を損なっていると思う。


No.316 6点 水車館の殺人
綾辻行人
(2016/08/31 20:25登録)
 メタ的な視点で見ると、現在の家政婦・野沢が殺されるストーリー上の必然性は希薄だ。突発的犯行だし、それによって謎や手掛かりが増えたわけでもない。死体を直接描写した文章が皆無で、倉本と島田の台詞(及び犯人の一人称の文)で説明されるだけという扱い。気の毒に。


No.315 4点 恋恋蓮歩の演習
森博嗣
(2016/08/29 11:09登録)
 最後の手紙が凄く引っ掛かった。
 “もしかしたら、/自分の子供を愛することだって、/できるかもしれない。”
 この程度の気持で養育権を勝ち取っちゃって大丈夫? この気持自体が各務に誘導された結果、ということだろうか?
 “水平の柱” はわざとらしい。梁くらい私だって判る。ミステリに於いて、犯人(というか何らかの悪意を持ったひと)のミスは相応の原因に基づくべきであって、単に手掛かりを提供する為のようなそれは好ましくない。
 また、各務がそれぞれ別のルートで接触した大笛と保呂草が既に知り合いだった、という偶然はかなり苦しい。

 他にもあちこち不自然な気がするし、そこに目を瞑れるほど面白いというわけではない。


No.314 6点 掟上今日子の家計簿
西尾維新
(2016/08/26 10:48登録)
 叙述トリック講座のあとで実践編が示される親切設計。この話はコミカライズ出来るのか?
 今までの同シリーズに比べるとちょっと物足りなかったかな。


No.313 6点 女學生奇譚
川瀬七緒
(2016/08/18 11:10登録)
 私は、何らかの組織が人海戦術で不可解な状況を演出する、という設定には落胆してしまう。それを認めたらなんだってアリだろ。本書はなかなか面白かったが、最後の部分が物足りない、と言うのが忌憚のない感想。


No.312 5点 今夜はパラシュート博物館へ
森博嗣
(2016/08/18 11:09登録)
 うーむ、アナグラムか。続きを考えてみた。

 巨匠、窓見ろ(まどろみ消去)
 殿、死し、公家、問わん(幻惑の死と使途)
 名乗れ、プツリ、か(夏のレプリカ)
 芋は美味いな(今はもうない)
 相撲に来て死刑(数奇にして模型)
 優美、ショパンの桃源(有限と微小のパン)

 ……てな感じでどうかな。ところで『封印再度』には

 産医、不同意
 いい不動産
 インド風犀
 催淫豆腐

 ……といった手もある。あそこで苦しい作例を挙げたのはオチとしての演出?


No.311 7点 ヨギ ガンジーの妖術
泡坂妻夫
(2016/08/09 18:01登録)
 「隼の贄」は、カーター・ディクスン『読者よ欺かるるなかれ』に対するオマージュだよね。


No.310 5点 魔剣天翔
森博嗣
(2016/08/05 18:52登録)
 西崎勇輝を後ろから撃ったら、死体を引き出したって座席の入れ替わりはどうせばれるでしょう。寧ろ適切な位置に移して飛行機ごと燃やしちゃうべき。もしくは2番機に拳銃発射装置のダミーを設置しておくとか。そもそも飛行機の中で殺す必然性があるのか。なんか犯人の考えに筋が通っていないような。
 “パイロットの間では隠せなかったはず” のことをなぜ倉田は黙っていたのか。
 父殺しに協力した弟は許すのか。
 斯様に、森博嗣はミステリのこと良く判っていないんじゃないの、と思わされるポカは多いが、“ダイイング・メッセージは下らない駄洒落である” という伝統は正しく注いで、じゃなくて継いでいるようだ。


No.309 7点 占星術殺人事件
島田荘司
(2016/07/29 11:16登録)
 島田荘司には長文の偽書をトリックに使う作品が複数あるけれど、私はどうも好きになれない。それをやったら何でもアリになってしまうじゃないか。本作で “接着剤” としてアゾート幻想が必要なのは判るし、アンフェアとは言わないが、舌先ならぬ筆先三寸で丸め込まれた印象。
 この謎が “ブームになって議論百出、出版物がどしどし世に出るも、40年以上解かれなかった” と言う設定は強気に過ぎると思う。文次郎手記の内容(死体を配るのは他者にやらせる、精液を残すだけなら女でも出来る)を想像することは可能だから、手記は推理に必須ではない。登場人物が少ないし、順番に疑って行けば真犯人もすぐ俎上に上がる。つまり “解けなかった” とは “決め手に欠ける” ということではないか。では御手洗の場合の決め手は何かといえば、トリックの解明よりも “予想される土地に犯人が居た” ことであり、犯人の後半生を鑑みるにそれは僥倖である。犯人が店を構える以前に謎を解いて嵯峨野をウロウロしていた早過ぎる名探偵がいたかもね。
 中盤の推理合戦で、“血縁者に対して害をなすか?” について、場合によって肯定的だったり否定的だったり、ダブルスタンダードなのが気になった。
 ということで、初めて読んだ時(30年位前!)にはとにかくメイン・トリックに驚愕&興奮したものだが、読み返したらやや冷静な評価に落ち着いた。

 サイコロって吉田拓郎「落陽」へのオマージュ? それは流石にこじつけ過ぎか。


No.308 5点 クララ殺し
小林泰三
(2016/07/26 18:24登録)
 悪くはないが、二匹目のドジョウを狙ったという感がなくもないし、そうまでするほどの物凄いストーリーかは疑問。世界設定のせいで論理が錯綜し過ぎて、驚くべきポイントで的確に驚けないきらいがある。蜥蜴のビルのキャラクターは好き。


No.307 5点 真実の10メートル手前
米澤穂信
(2016/07/21 11:07登録)
 必要以上に後味の悪い結末をいちいち用意するあたりには好感が持てる。
 しかし実のところ、米澤穂信の作風には慣れてしまった。主題に異物を突っ込む手際がどれも似通っているように思う。ストーリー展開には確かに驚くのだが、それがお約束というか、驚いたこと自体に驚けなくなった。短編だと特に顕著。勿論それはこの作者が好きで作品をあらかた読んだ結果の弊害ではあるのだが。


No.306 6点 トリプルプレイ助悪郎
西尾維新
(2016/07/14 11:06登録)
 リュパンや二十面相で育った身にしてみれば、大泥棒はひとを殺さないものだと相場が決まっているのである。従って “一回の盗みにつき三人殺す” という設定は掟破り、いやむしろコロンブスの卵? であるが、しかしそれはなかなかぞくりとさせられる妖しさを放っている。叙述トリックそのものはともかく、それを結構無茶な設定と絡ませるところがいかにも西尾維新そしていかにもJDCトリビュート。文体も含めて気持悪さが快い。


No.305 6点 ダブルダウン勘繰郎
西尾維新
(2016/07/08 10:17登録)
 妙にまっすぐな説教臭い部分は少年漫画のよう。清涼院流水のJDCというトゥー・マッチな設定をひらりと躱して上手く手玉に取ってみせた、という印象。ちょっとした台詞の端々でキャラクターを描き出す腕前は見事。


No.304 7点 不気味で素朴な囲われたきみとぼくの壊れた世界
西尾維新
(2016/06/30 11:35登録)
 ありふれたネタでもアリに出来る作家と出来ない作家がいるわけで、主題の周囲をぐるぐる回って適当に話を逸らしているかのように見える饒舌を積み重ねていつのまにか読み手を作品世界に絡め取る筆力は、あからさまな名文美文でないゆえにタチの悪い吸引力を誇る。内容的に殆ど空っぽな本作では特に。


No.303 5点 夢・出逢い・魔性
森博嗣
(2016/06/27 10:32登録)
 幾つかの面白くなりそうな要素を、上手く生かせない形でまとめて組み立ててしまった、という感じで惜しい。
 紅子の推理には瑕がある。“練無が実は男子だと、説明無しでは判らない” ということを前提にしている点。立花亜裕美が “そうじゃないかなって、思ってた” というのはいわば作者自身によるツッコミであって、そこは周到だと思う。
 タイトルは単なる駄洒落としか思えず、感心出来ない。


No.302 8点 きみとぼくが壊した世界
西尾維新
(2016/06/21 09:57登録)
 これはどうしたって、この小説の為の取材と称して保健室登校の巨乳女子高生とイギリス旅行へ行ったけどとても楽しかった、と言いたいが為に書いた小説、としか思えない。(いや、多分、くろね子さんは架空のキャラクターじゃないかと思うんだ……)そんなわけ、あるかあ!


No.301 7点 χの悲劇
森博嗣
(2016/06/21 09:56登録)
 これはここ10年くらいの森博嗣のミステリの中ではかなり良い方だ。但しそれはミステリ要素が優れているからではなく、真賀田四季を遠景に据えて人間の行く末を描く一連の世界観が大きく絡んで来たから、である。Gシリーズが新たなフェーズに突入したという実感が確かにある。
 殺人事件に関してはなんじゃそらという真相だが、しかしミステリの不文律に対するアンチテーゼと言えなくもなく、私は割と好意的に捉えている。さっさとこれを書いて欲しかった。 


No.300 8点 きみとぼくの壊れた世界
西尾維新
(2016/06/10 11:28登録)
 ファンの欲目ではあるが、ミステリとしては小粒のネタを核に据え、周囲に分厚くコロモをかぶせて本を一冊でっちあげる、という場合に、そのコロモがこれほど美味い作家というのもそういないと思う。ネタが小粒なのも、コロモを美味しく味わうにはこれ以上入り組んだミステリ要素は邪魔、という冷静な判断なのだろう。本書では夜月が様刻にすがりつくシーンがあまりに印象的。“本の熟成” は私もよくやる。いろいろ敵に回しそうなミステリ談義も楽しい。
 因みに私は、西尾維新式の過剰なネーミングは好きだなぁ。同姓同名が偶然存在して余計なイメージをしょいこむリスクが少ない、と言うメリットもあると思う。

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