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ミステリの祭典

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虫暮部さんの登録情報
平均点:6.20点 書評数:2154件

プロフィール| 書評

No.214 6点 アポロンの嘲笑
中山七里
(2014/11/05 20:08登録)
 まず、“加瀬邦彦”というネーミングに失笑。実在のミュージシャンと同姓同名である(「想い出の渚」のザ・ワイルド・ワンズのリーダー)。雑誌連載中に読者の誰も指摘しなかったのだろうか。
 読み終えてみると、非常に不自然な話。金城一家は何故通報前に邦彦を逃がさなかったのか、もしくは数日でいいから殺人を隠蔽しなかったのか。パトカーから逃げられなかったらどうする。
 また、“空腹”の進行が早過ぎると思った。プチ断食はしたことがあるけれど、一日二日で行動に支障をきたすような状態にはならない。空腹感も動けば紛れるレヴェルである。一方、食べなくても出るものは出る。というか寧ろ便通が良くなる傾向があるんだけど、その点は何も書かれていない。

 突っ込みどころに目を瞑れば、骨太な人間ドラマ、としての評価は出来る。震災にまつわる諸々については、声高に批判してしまうと読者は却って醒めてしまうものだな、というのが実感。


No.213 7点 伽藍堂の殺人~Banach-Tarski Paradox~
周木律
(2014/11/05 20:07登録)
 高まる期待に応えて、ちゃんと前作を上回る大仕掛けの変な建築物を提示してきたのは見事。もしかして既にトリックのネタは全て用意してあって、それを下から順に出してる?(それはそれで凄い)
 ただ4作目ともなると、被害者達がわざわざ殺されに集まっているような印象になってしまう。
 また、百合子の謎解きで“リモコンで十分”のあと、名前の言葉遊びで一足飛びに犯人を特定しているのはいただけない。
 
 あと冒頭部分で突っ込みたくなった。船酔いは船酔いの話をするとオエッと来るんだよ。


No.212 7点 死者の輪舞
泡坂妻夫
(2014/10/30 12:25登録)
 ったく、ナンパしながら捜査するんじゃねぇ!
 パズラーというより、ミステリの形をしたドタバタ人情劇のようなつもりで読み返したので、途中の偶然過ぎる事故死も許容範囲内。
 海方はあまり好きになれないキャラクターだが、“二日酔いや病気は出勤しながら治すもんだ。元気なときだからこそ、休暇を取って遊べる”は実行しています。


No.211 6点 アガサ・クリスティー賞殺人事件
三沢陽一
(2014/10/28 12:47登録)
 「柔らかな密室」のトリックに拍手。
 「アガサ・クリスティー賞殺人事件」に唖然(泡坂妻夫へのオマージュ?)。
 しかし何より、「蛇と雪」の心理的凶器が印象的。


No.210 5点 旋風
泡坂妻夫
(2014/10/28 12:46登録)
 再読したところ、“妊娠”ネタのインパクトが強過ぎてそれ以外の全てを忘れていたことが発覚。所謂パズラーではないから以前の自分は流し読みしちゃったけど、いまならこういう“愛のミステリ”も楽しめる。柔術関係の描写は職人ものに通じるところがあるね。


No.209 7点 喜劇悲奇劇
泡坂妻夫
(2014/10/22 20:15登録)
 再読して気付いた。“レモン殺人事件”と“遺体の入れ替わり”は、犯人にとって必然性が希薄ではないか。
 とはいえ遊び心溢れる佳作。芥子之助のキャラクター好きだなぁ。

 私も一つ回文に挑戦。
 キツそうな罪、血 しぶき、泣き伏し、緻密な嘘 吐き(きつそうなつみちしぶきなきふしちみつなうそつき)。


No.208 7点 ○○○○○○○○殺人事件
早坂吝
(2014/10/20 08:48登録)
 色々笑っちゃったけど、叙述トリックについては評価する。
 終章で“彼等”に対する偏見が指摘されているあたり、軽い振りをして隠れ社会派である。多様な価値観は尊重し合いたいものだし、“彼等”の信条も興味深い。
 ただ、個々人の差異は多くなるわけで、顔だけ隠しての入れ替わりは難しいだろう。これはまぁ大目に見る。
 “アイスピックを持ち去らなかった理由”は苦しい。それが決め手になっただけに。海に捨てればいいじゃないか。


No.207 9点 掟上今日子の備忘録
西尾維新
(2014/10/17 20:11登録)
意外なほど読後感が悪くない。いや、でも読後感の悪さを期待していたのだから、読後感が悪くないというのは良くないことなのか。ラノベの文章でくるんでトラウマティックな話をこれでもかと盛り込むいつもの作風を期待していたら、小ネタを上手く生かしたソフトなミステリだった。カセットテープに関する豆知識なんて初めて知った。例によって巧みな文体でまんまと読まされてしまう。グッジョブ!


No.206 8点 11枚のとらんぷ
泡坂妻夫
(2014/10/16 20:28登録)
 色々強引に感じる部分はあるが、ロジカルなパズラーを成立させるための御都合主義としては許容範囲内。
 「砂と磁石」「見えないサイン」の、トリックに関する知識がある奇術家ゆえに引っ掛かるトリック、という構造が面白い。


No.205 5点 神様ゲーム
麻耶雄嵩
(2014/10/14 12:22登録)
 もし小学校4年生の私がこれを読んだら、ブラックな部分も含めて充分理解したうえで楽しめたはず。作者は、子供の為の本なんて子供は喜ばない、ということを良く判っていると思う。

 ところで、わざわざ英樹に服を着せ直す必要は無かったのでは。そのまま山奥に埋めて“行方不明”で良かったんじゃないの。


No.204 3点 数奇にして模型
森博嗣
(2014/10/14 12:21登録)
 これは失敗作。

 上倉裕子は寺林高二を何故殴ったのか?
 殴っておきながら何故、その寺林との待ち合わせの為にM工大へ行ったのか?
 それは、寺林が待ち合わせのことを誰かに話していた場合、そこへ行かないと自分が疑われる、と考えての偽装工作かもしれないが……寺林が来ないと思っていたなら、何故フローズンヨーグルトを二つ買ったのか?
 寺林が死んでおらず、怪我を押してM工大へ来る可能性も考慮に入れていた(から、二つ買った)なら、“上倉が尋常でない驚き方をして、その様子を見て寺林は上倉が自分を殴った人物だと気が付く”という程の驚き方はしない筈。

 寺林の行動も……“筒見明日香の首無し死体と敢て同じ部屋に倒れている”のどこが巧妙な策なのか?
 首切りを公会堂の別の場所(トイレとか)で行って、胴体はそのまま放置すれば済むことではないか。それで自分は容疑者圏外、とは行かないまでもワン・オヴ・ゼム扱いに留まったのでは。まだやるべきことが残っているのだから、一時的にせよ警察や病院に拘束されるリスクの方が遥かに問題だろう。

 “異常と正常”について悩むのは、西之園萌絵のキャラクターにそぐわない気がする。首切り事件や筒見紀世都のキャラクターが、今まで萌絵の遭遇した物事に比べ飛び抜けてぶっ飛んでいるとは思えないのだ。真賀田四季と対話したひとが今更なに言ってるのという感じである。


No.203 10点 クビキリサイクル
西尾維新
(2014/10/07 12:27登録)
 何度読み返しても面白い、西尾維新のデビュー作。この段階で“あの”文体も世界観も出来上がっており、“初期作品”という印象が全くしないのに驚く。それどころか既にここからガンガン風呂敷を広げ始めていたんだな~。
 “信じるとは、どういうことか?”というくだりで、自分が以前からなんとなく思っていながらも上手い言葉に出来なかったもやもやをしれっと言語化されて、作者と握手をしたくなった私である。


No.202 6点 珈琲店タレーランの事件簿3
岡崎琢磨
(2014/10/01 11:07登録)
良く出来ていると思う。敢て言うなら、舞台となる“大会”のようなものって、こんな悪意が飛び交うようなところ? という違和感があった。もっと同好の士が集う場の連帯感みたいなものがさぁ……でも賞金が50万円なら裏切りもするか……勿論、物語の進行の都合上、ということだろうけど。


No.201 6点 六億九、五八七万円を取り返せ同盟!!
古野まほろ
(2014/09/30 12:25登録)
三つ巴とかでなく2組の対決なので、こっちが最終的に勝つだろうというのは想定出来てしまうのが、ちょっとだけ物足りない。ここまでやるかっていうラストではあったけれど。
 それはともかく、この作者に限らず、“物書き稼業はしんどいぜ~”と作中に滑り込ませるひとは多いが、新人に対する牽制なのだろうか。


No.200 6点 密室・殺人
小林泰三
(2014/09/30 12:20登録)
予めロープで窓から上り下りする練習をしておいた、といっても、その練習自体がうっかりすると命にかかわる危険な行為だよね。死ぬ気なんかなくて皆を驚かせるのが目的、というにはリスクがあまりに大きい。心情が良く判らぬ。 


No.199 7点 クロム・ジョウ
結城充考
(2014/09/22 10:57登録)
 色々唐突な部分が多くそれはそれでスピード感につながっているが、主人公以外の登場人物はちょっと大雑把に記号化しすぎだと思う。そのなかでタカオカが終盤近くで吐露した心情はリアルに感じた。


No.198 5点 雨女
泡坂妻夫
(2014/09/22 10:56登録)
 久々に読み返したけれど、なんだか物足りなかったな~。泡坂妻夫は大好きな作家だが、このひとの描く愛の情念は濃過ぎ。一方で、「凶手の影」は事件の謎よりも主人公の“仕事”ぶりが面白かった。


No.197 7点 難民探偵
西尾維新
(2014/09/19 12:26登録)
 この程度の謎をこれだけのページ数に拡大して、しかもしっかり面白いというこの作者の語り口はえらく巧みであると、改めて思う。“就職活動が上手くいかず、人気作家である叔父の許に居候することになった”というだけの序章でこれだけ読ませるとは。
 “売れた作家は人格が崩壊する”って自分のことか? “出版社には警察も手を出しにくい”って何かの批評か? 等と勘繰りたくなるエピソードを、よりによって“講談社創業100周年記念出版 書き下ろし100冊”にぶつけてくる、メタ的に際立った1冊(というところも作者は意図していると思う)。


No.196 9点 総理大臣暗殺クラブ
白河三兎
(2014/09/16 10:49登録)
 破天荒な設定からアクロバティックなエンディングまで、みっしりと詰め込まれた面白さ。暗殺の訓練をする高校生、を描きつつ殺伐としたムードではなく、それどころか本気でぶつかれる友情まで炙り出した、コン・ゲーム風(屈折した)青春小説。この作者は、辻村深月を発展させたような面白いフィールドを切り拓いていると思う。


No.195 7点 ナウ・ローディング
詠坂雄二
(2014/09/11 12:06登録)
 ビデオゲームをネタにした連作短編集。ゲームのことは全く知らないが、(多分)適切な説明が施されていて、大体どのようなものなのかそれなりにイメージ出来たと思う。
 ミステリ色は薄く、意識的に仕掛けは排除しているようで、例えば登場人物の意外な相関関係といったものは無いが、それが却って良い。ちょっと痛い(ロスト)青春小説ということで面白かった。  

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