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ミステリの祭典

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喜劇悲奇劇

作家 泡坂妻夫
出版日1982年05月
平均点6.18点
書評数11人

No.11 7点 八二一
(2024/11/14 20:00登録)
全章題が回文、それ以外にも回文が大量投入され、殺人自体も回文との関連が強いという、言葉遊びに凝った作品である。しかもミステリとしても伏線などの見所がたっぷり。

No.10 6点 ぷちレコード
(2024/10/17 22:53登録)
主人公が奇術師であり、奇術趣味を横溢している。だが、それ以上に言葉遊びの趣味の方が勝っており、奇術が見えないもどかしさを感じさせない。回文こそは、まさしく活字でしか表現できない趣向で、作者は小説の制約を逆手に取って遊びに徹している。
表題、小見出しはもとより、書き出しも結びの一行も回文になっている。そして物語は、回文名をもつ芸人ばかりが犠牲者となる奇妙な連続殺人で、回文づくしの趣向も極まった感がある。

No.9 7点 みりん
(2024/09/27 11:08登録)
相変わらず奇術がお好きな泡坂妻夫の第6長編!第5長編『迷蝶の島』に引き続き、船内が舞台。

【以下鋭い方にはネタバレになるかも】


前作にはない楽しみとしては、奇術師集団であることを活かしたハウダニット。奇術師とミステリ作家って、聴衆を欺くトリックを思索し続けなければならないという点で親和性の高い職業ですな。
そしてなにより回文のオンパレード。ミステリの構造が回文そのものだったというところに本作最大の狙いがあるように思えました。ことごとく登場する回文にもよくぞここまで思いつくものだなと感心しましたが、何気に↓の虫暮部さんのオリジナル回文(?)がそれなりに物語の概略となっており、完成度が凄まじいです。

No.8 7点
(2015/05/01 21:54登録)
作中に散りばめられた回文は、たぶん作者が作り溜めていたものでしょう。『亜愛一郎の転倒』中の『意外な遺骸』でも回文は使われていましたしね。船の中という限られた空間の中で次々に起こる事件は、ごちゃごちゃと絡まりあったまま、真相解明まで転がり続ける感じがしました。
犯人が分かりやすいという人が多いようですが、どうなんでしょう。第15章で動機が明確になった後は、もう推理と次の殺人とが並走して、終章の派手な結末まで一気呵成ですから、作者ももはや犯人が誰かを隠そうとはしていないと思うのです。一方第14章以前では、序章で使われたトリックがある程度推測できていないと、犯人を見破ったことにならないはずなのですが、犯人が分かりやすいとは、トリックの見当がつきやすいという意味なのでしょうか。個人的には、第15章で初めて疑惑を持ったのですが。
蛇足(妙な自慢):持っているカドカワ・ノベルズ版には、作者に筆名と本名、両方のサインをもらっています。

No.7 7点 虫暮部
(2014/10/22 20:15登録)
 再読して気付いた。“レモン殺人事件”と“遺体の入れ替わり”は、犯人にとって必然性が希薄ではないか。
 とはいえ遊び心溢れる佳作。芥子之助のキャラクター好きだなぁ。

 私も一つ回文に挑戦。
 キツそうな罪、血しぶき、泣き伏し、緻密な嘘吐き(きつそうなつみちしぶきなきふしちみつなうそつき)。

No.6 6点 E-BANKER
(2012/10/10 22:14登録)
1982年発表。作者の第6長編に当たる作品。
処女長編「十一枚のトランプ」、2作目「乱れからくり」に連なる作風を久々に復活させたのが本作。

~アルコール浸りの落ちぶれ奇術師・七郎は、動く一大娯楽場「ウコン号」の処女航海で冴えない腕前を披露することになった。紹介された助手を伴い埠頭に着いたところが、出航前から船内は何やら不穏なムードに満ちている。案の定というべきか初日直前の船内で連続殺人の騒動が持ち上がり、犠牲者には奇妙な共通項が見いだされ・・・。章題はすべて回文、奇妙な謎とぺてんの楽しさてんこ盛りの本格長編ミステリー~

作者得意の手練手管にすっかり騙された。
とにかく「回文、回文、また回文」に彩られたのが本作。
冒頭の一文に始まり、章題も回文、そして被害者たちもすべて回文の名前を持つ人々。
他の作品でも作者の「遊び心」に満ちた企みに触れてきたが、本作はその極みとも言えるのではないか。
一見、軽い調子の文章も相俟って、何だかいつの間にか作者のペースに乗せられてしまっていた。

でも、本作は「正統派本格ミステリー」そのもの。
フーダニットについては、確かに分かりやすいのかもしれないが、伏線がそこかしこに効果的に撒かれているのは「さすが」だろう。
分かりやすいとはいえ、「真犯人」の隠し方は個人的にも好きなトリック。
世間的な評価は高くないようだが、十分に見どころありだと思う。

奇術シーンが少なかったり、妙に虎に拘ったり、好感度大のヒロイン・真(まこと)の扱いが中途半端だったり、ミステリー要素以外は首を傾げるところがあるのと、「回文」が結局プロット&トリックとの直接のリンクが薄いなど、もう少し煮詰めた方がよかったかなぁというところがやや残念。

No.5 6点 makomako
(2010/12/30 09:22登録)
この小説が出た頃は泡坂妻夫をもっとも注目しており新しいものが出るたびに買い求めたが、この作品以後ちょっと遠ざかってしまった。題名も章題も出場人物も回文というあまりに凝った内容のわりに小説としての魅力に欠けるところがあるように感じたからです。作者の小説の中ではだいぶ落ちると思うがここまでよくやったということでこの評価です。

No.4 4点 kanamori
(2010/08/15 20:22登録)
奇術師を主人公にショーボート上での芸人連続殺人を描いていますが、ミッシングリンクやフーダニットの興味は、殺人の背景が早めに明らかになることもあって主体とはいえません。
回文づくしの趣向や船上のドタバタ劇が中心で、ちょっと嗜好から外れた作品でした。

No.3 5点 測量ボ-イ
(2009/05/19 20:42登録)
内容はまあともかく、回文っていろんなのがあるなあと、そう
いう意味では楽しめた作品です。

No.2 6点 こう
(2008/06/11 23:10登録)
泡坂妻夫第6長編です。主人公(一種の狂言回し)の奇術師が船の奇術ショーの仕事の依頼を受け助手と一緒に乗船、乗船中に連続殺人事件が起きて、というお話です。
 被害者たちは皆回文、各章のタイトルも回文という泡坂作品らしい仕上がりです。
 かなりの人数が殺されるのですが、明るい雰囲気でストーリーが進行するのは他の奇術系作品と同じです。真相というか、犯人のトリックの一つは奇術が本職の泡坂氏には常識なのでしょうが読者にはちょっとわかりづらいものです。他の奇術系作品よりは一段落ちるかなと思いますがまあまあ楽しめました。

No.1 7点 Tetchy
(2007/11/14 17:44登録)
題名が回文、章題も回文、登場人物名も回文、そしてここにもあそこにも回文、回文、回文、と回文だらけの変な小説。
しかし内容はちょっと回文に振り繰り回された感じが・・・。

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