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ミステリの祭典

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ナウ・ローディング

作家 詠坂雄二
出版日2014年07月
平均点6.50点
書評数2人

No.2 6点 名探偵ジャパン
(2014/12/05 22:24登録)
「インサートコイン(ズ)」に続く、テレビゲームをテーマとした短編集第二弾。もちろん舞台はおなじみ遠見市。

・「もう1ターンだけ」
「あきらめたらそこで試合終了だよ」あまりに有名なこのエールを、作者なりに解釈し、夢に向かって進む若者への応援メッセージを込めた作品なのだと感じた。しかし、この作者のこと、素直に応援などするはずもなく、もうひとつのメッセージを込めている「どんなにあきらめなくてもいずれ寿命は尽きるよ」

・「悟りの書をめくっても」
「リアルタイムアタック(RTA)」なる競技(?)をめぐる事件。「働かない二人」という漫画に出て来た、「ゲームが下手でも、楽しんでいるほうがゲーマーとして格が上」という台詞を思い出した。

・「本作の登場人物はすべて」
いわゆる「エッチなゲーム」をめぐる謎に主人公が挑む。にもかかわらず、主人公の達観しきった一人称や行動から、まったくエロさは感じない。この主人公、性欲はあるのか? と余計なことを考えてしまう。

・「すれちがう」
ニンテンドー3DSのすれちがい通信をガジェットに使った日常の謎的ミステリ。作者、詠坂雄二が大活躍? 本短編集の中ではかえって浮いてしまう、オーソドックスなミステリ。

・「ナウ・ローディング」
ほぼゲームとは関係のない、「遠見事件」の外伝的作品。これを読む前には、「遠見事件」を読んでおかれることをお勧めする。

全般的に主人公の人生を達観しきった(ような)中二的語りが、人によっては少々ウザいと感じるかもしれない。同じような構成の「インサートコイン(ズ)」のほうがゲームとの関わりも深く楽しめた。逆に言えば、こちらのほうがゲームに明るくない読者の方は楽しめる。

No.1 7点 虫暮部
(2014/09/11 12:06登録)
 ビデオゲームをネタにした連作短編集。ゲームのことは全く知らないが、(多分)適切な説明が施されていて、大体どのようなものなのかそれなりにイメージ出来たと思う。
 ミステリ色は薄く、意識的に仕掛けは排除しているようで、例えば登場人物の意外な相関関係といったものは無いが、それが却って良い。ちょっと痛い(ロスト)青春小説ということで面白かった。  

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