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ミステリの祭典

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虫暮部さんの登録情報
平均点:6.20点 書評数:2154件

プロフィール| 書評

No.114 6点 今はもうない
森博嗣
(2013/09/19 22:11登録)
 そもそもあてずっぽう3回で名前を当てるなんて無理なのであって、そんな賭けを自ら提案するのは、勝算がある、つまり実は名前を知っていながらしらばっくれているのである。
 ということに、聡明な西之園嬢が思い至らないとは考えられない(というか誰だってそう疑うだろ)。
 相手のイカサマを踏まえて勝負を受けたのなら、その時点でプロポーズにイエスと答えたのと同義である。
 と思って読み返したのだけれど、彼女けっこう素で反応していますね。これは作者のミスでは。それともあからさまな不正をどういう論理で納得させるのか楽しみ、という意味か?


No.113 6点 マツリカ・マジョルカ
相沢沙呼
(2013/09/11 15:32登録)
良くも悪くも CLAMP の絵柄をイメージしてしまった。
 姉に関する事柄は伏線が判り易く張ってあり、すぐ気が付いた。伏線というより文章のニュアンスで読み取れたというべきか。
 語り手の独白が少しくどいし、ミステリ色は薄いが、青春モノとして楽しめた。


No.112 5点 空を飛ぶための三つの動機
汀こるもの
(2013/09/11 15:32登録)
プロットは面白いと思うが、書き方のせいで随分と判り辛くなっていると思う。
 ニックネームで呼び合っているから、つい叙述トリックを期待してしまった。


No.111 6点 四月の橋
小島正樹
(2013/09/11 15:31登録)
諸々の事柄の噛み合わせ方が若干わざとらしい気はするが、結末のシーンにはカタルシスが感じられた。


No.110 7点 容疑者Xの献身
東野圭吾
(2013/09/03 10:47登録)
 確かにトリックには驚かされたが、あれをやるには最初の死体を隠しきれることが条件。でもそれならそれ以上の余計な細工は不必要だったんじゃないかとも思う。素行の悪い大人がひとり行方知れず、で済んだのでは?
愛する人を助けるために始めた偽装工作なのに、いつのまにかそこから逸脱して、如何に警察を欺くか知恵を絞る楽しみに没入してしまい、思い付いたトリックを実行せずにはいられなかった話、に見える(それはそれでキャラクターとしての整合性はあるか)。


No.109 8点 切り裂きジャックの告白
中山七里
(2013/09/03 10:44登録)
真相を読むとなんか酷い話である。
 捜査の中枢付近に位置する刑事と真犯人が、事件以前からああいうポジションで顔見知りだ、という偶然はちょっと微妙だ。刑事の公私に関する葛藤もテーマの一部なのだろうけれど。


No.108 6点 人間競馬 悪魔のギャンブル
山田正紀
(2013/08/19 10:07登録)
同著者のかつてのアクション系SFを思わせる、良い意味でのB級作。『ミステリ・オペラ』系の濃厚作品ばかりでは、愛読者も疲れてしまうからね。とはいえ、人物造形の妙は流石。


No.107 6点 パダム・パダム Eの悲劇’80
古野まほろ
(2013/08/19 10:06登録)
独特の濃度を持ち、正統と異端を併せた変なミステリ。真相よりも“幕引き”の策にびっくり。


No.106 5点 ビブリア古書堂の事件手帖4
三上延
(2013/07/29 05:00登録)
暗号ものはあまり好きではない。愛人にメッセージを遺したって、第三者の手を借りないと解けないなら、結局は相互理解が成り立っていないということでは……。


No.105 5点 ユーディット ⅩⅢ (ドライツェーン)
平谷美樹 
(2013/07/22 10:29登録)
ヒルデガードの“闘う、強い女”なキャラクター設定が唐突に感じた。思想や信仰といった裏打ちがこれといって描写されていないのに、お金持ちのお嬢様が銃を取って撃ち合うのは、小説の登場人物としては説得力に欠ける気がする。


No.104 5点 新・垂里冴子のお見合いと推理
山口雅也
(2013/07/15 06:28登録)
うーむ。ダイイング・メッセージものは、誰が書いても頓知クイズみたいになってしまうことだなあ。


No.103 7点 いつまでもショパン
中山七里
(2013/07/15 06:27登録)
ドアノブに毒を塗っておくというのは、殺す相手を選択出来ないという点でリスキーなのでは。あと、ラストで“戦場の奇跡のファンタジー”みたいになってしまったのは余計だと思う。


No.102 7点 猫柳十一弦の失敗
北山猛邦
(2013/07/09 20:48登録)
 事件を未然に防ぐための名推理、というのは面白いアプローチだし、それに全て成功するというのも或る意味“意外な結末”だったりする。
 語り手のクンクンがあまりに無色透明というか、これといったキャラクター性が感じられないのは“探偵助手”という設定ゆえかもしれないが、そこが少し物足りないなあ。


No.101 6点 最悪のはじまりは、
塔山郁
(2013/07/03 09:56登録)
『ターニング・ポイント』と改題して文庫化。最終章で聡が天野の元妻と対面するシーンは印象的だった。ふと思ったけど、あれは『カイジ』(福本伸行)に出て来る或るエピソードに対するアンチテーゼ?
 私はパチンコ未経験なのだが、今後もやるまい。という気持にさせられる筆力だと思う。が、自分の好みとは少し違う気もする。 


No.100 8点 暦物語
西尾維新
(2013/07/01 13:03登録)
<物語>シリーズ自体は、ジャンルでいうなら青春オカルト・ファンタジーといったものに該当するのだろうが、『暦物語』は怪異譚の体裁をとった日常の謎的な連作短編集なのである。概ねきちんとミステリ的なオチが用意されている。
 全体的に小粒なネタが多く、風呂敷をどんどん広げて行く西尾維新のいつもの作風とは少しベクトルが違うけれど、粒は揃っている。与太話でぐいぐい引っ張っていつの間にか核心を通り過ぎる文章力は相変わらず。「こよみサンド」が特に面白かった。


No.99 7点 ビブリア古書堂の事件手帖3
三上延
(2013/06/28 11:16登録)
 古書市場に関するあれこれが興味深かった。
 第二話で、“トービク”の正体は偶然判明するが、ミステリ的にそれは如何なものか。


No.98 5点 さよならのためだけに
我孫子武丸
(2013/06/28 11:15登録)
離婚のための共闘によってお互いへの理解が深まる、という展開は予想通り。というか、基本設定がこれだと、順当な落としどころはそうなるだろう。その意味で意外性は感じられなかった。あと、深尋のキャラクターが非常にベタだなー。
 例えば西澤保彦あたりだと、特異な設定をした上で更にそれをひねるようなストーリーを持ってくるけれど、本作は設定だけで走り切ってしまった感がある。


No.97 7点 リカーシブル
米澤穂信
(2013/06/24 09:10登録)
真綿で首を絞めるようにじわじわと明かされる諸々のネタと、思春期の主人公の心情が巧みに絡み合って、非常にスリリング。“何を描くか”ではなくて“どのように描くか”がやはり重要なのである。
 ところで、この作品が悪いわけではないが、こういった“本当は違和感を感じているけれど、空気を上手に読んで、学校内のヒエラルキーに対応して、友達関係を維持しないと……”という類の設定には最近少々食傷気味である。


No.96 5点 猫色ケミストリー
喜多喜久
(2013/06/19 18:11登録)
ミステリ風味でSF風味のラヴコメディ、といった感。手堅く読み易い筆致に好感は持てるが、登場人物が全般的にステレオタイプだと思う。しりとりについての考察は、成程と思った。


No.95 7点 オーダーメイド殺人クラブ
辻村深月
(2013/06/17 13:04登録)
語り手である小林アンのキャラクター設定が絶妙である。或る程度の共感は覚えつつ全面的に好きにはなれない彼女の内面描写は、私の中にもある自意識過剰や差別意識を容赦なく浮き彫りにする。アンのモノローグに頷くことは同時に、イタい自分を直視させられることでもある。
作者はこれをきっと意図的にやっていると思うのだ。なぜなら、このタイトルであの表紙の本を選ぶ時点で(というかそれ以前にミステリの読者という時点で?)、読者の小林アン度は結構高い筈だから。作者から読者への挑発である。
そしてその向こうにあるのは、“それでも、精精楽しんで、生き抜け”というメッセージに他ならない。
 

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