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ミステリの祭典

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虫暮部さんの登録情報
平均点:6.20点 書評数:2209件

プロフィール| 書評

No.169 5点 ムカシ×ムカシ
森博嗣
(2014/06/10 19:30登録)
 この作品、ホワイダニット部分を軸にして別の書き方をすればもっと面白くなったのではないかという気がする。事件に対して変なポジションから中途半端に関わっているキャラクターの様子がメインで、殺人事件のほうがサイド・ストーリーになっているのは、作者が斜に構え過ぎ。なんだか勿体無いな~。

 樋口一葉とは実質何も関係ないわけで、だったら “一葉” というネーミングを持ってくる必然は無かったのでは。何か知っている人には通じるようなネタがある?

 ところで、夫婦がほぼ同時に、しかし詳細の判らない状況で死んだ場合、相続はどうなるのか? 死んだ順番で相続の内容は変わる。そのあたりに作中で言及していないのは手落ちだと思う。(後日追記:「同時死亡の推定」適用で相続は行われない、でいいのかな?)

 あと、leaves の発音はリーブ「ズ」なので名前の暗号は成立していない。


No.168 5点 ドS刑事 三つ子の魂百まで殺人事件
七尾与史
(2014/06/10 19:29登録)
 例えば被害者に関する説明が殆ど無い等、所詮レッド・へリングに過ぎないお約束的要素をダラダラ並べても退屈だ、とでも言いたげにここまでざっくりと割り切った書き方というのは、それはそれで形式化したミステリに対するひとつの批評になっているのだろうか……?


No.167 6点 147ヘルツの警鐘
川瀬七緒
(2014/06/10 19:27登録)
 薀蓄として面白いし、ストーリーもなかなか読ませる巧みな筆致である。赤堀のキャラクターは “エキセントリックな専門家” としてパターン通りだし、諸々の事柄が少々都合良くつながりすぎではという思いは否めないが、まあ許容範囲内。
 しかし本書の法医昆虫学関連のネタはどの程度リアリティがあるのだろうか。実際にこんな手法がアリだったら、今後の警察(が登場するミステリ)小説は大幅な刷新を求められるのでは。


No.166 8点 僕の光輝く世界
山本弘
(2014/06/06 20:29登録)
 SF作家の山本弘らしい連作ミステリ。といってもSFやファンタジーが混ざっているわけではない。広範な知識の生かし方とか、ミステリとしての枠組の作り方とか。語り手の特殊な視点によって初めて謎が成立する話などは、“ミステリとはなにか” をミステリの外側から(少々意地悪く?)考えたような印象。
 親切なあのおねえさんがチョイ役で登場するのは嬉しかった。
 ひとつ大いに納得出来ない点。姿が見えない・声を出さない、という条件であっても体臭や化粧の匂いでひとの存在はそれなりに判るだろ。


No.165 7点 夏服パースペクティヴ
長沢樹
(2014/06/06 20:29登録)
 諸々の要素が上手く噛み合った、痛いところも含めて楽しめる青春ミステリだと思う。話の膨らませ方がぶっ飛んでいて面白い。
 ただ、“HAL” というネーミングはいただけない(類似のグループが複数実在する)。


No.164 8点 天帝のやどりなれ華館
古野まほろ
(2014/06/06 20:28登録)
 こんなクローズド・サークルの作り方があったとは。謎解き部分がやっぱりくどいな~。ルビに手がかりを仕込むとは猪口才な。表紙のイラストはいらんだろ。 


No.163 7点 衣更月家の一族
深木章子
(2014/06/05 20:20登録)
 1~3章のそれぞれの事件は面白いのだが、それらを思わぬルートで結びつけた最終章=事件全体の真の構図がごちゃごちゃしすぎで、あまり目から鱗が落ちるという感じは味わえなかった。

 ところで、大々的なネタバレありで指摘したい点がある。

 遺産相続の際には、死ぬ順番が重要。
 優子と雄哉(=実はマンタだが)、どちらが先かで状況が変わってくる。雄哉が先に死んだ場合、遺産の一部は優子に渡る。その後で優子が死ぬと、まだ離婚していない夫が最大の相続人になる。
 犯人としては優子を先に死なせたい。その後で雄哉が死ねば、優子を通じたルートには遺産は流れない。
 雄哉(=マンタ)が即死でないため、作中ではこの点が問題になっていない。第一のツッコミは、雄哉(=マンタ)殺害の時刻を優子殺害より後だと示す犯人による工作がなされていないこと。
 更に考えると、雄哉(=マンタ)が即死し、一方で優子を即死させられない可能性もあるわけで(あまり滅多打ちにしちゃうと正当防衛を主張出来ない)、それを踏まえると、優子の排除&アリバイ工作の一石二鳥だとはいえ、ふたりを大体同時刻に殺す、というやり方は殺人計画のそもそもの動機とそぐわないのではないか。
 (そこまで犯人の頭が回らなかった、というのはミステリの美学としてNG。)

 あと、“花瓶の向き” は都合の良過ぎるミスでいただけない。


No.162 8点 長い腕
川崎草志
(2014/06/05 20:19登録)
 面白かった。全員排除という落とし所が凄い。 
 難を言うなら、細かいことだけど、“パソコンの打ち間違い方が共通” というのは都合の良過ぎる犯人側のミスではないかと思う。語彙とか漢字表記の選択とか、“ミス” と認識されにくい手がかりを使ったほうがわざとらしさは軽減された筈。


No.161 4点 ある少女にまつわる殺人の告白
佐藤青南
(2014/05/30 11:45登録)
 なんだかどこかで読んだようなDV関係の話が延々と続く。ラストに若干の捻りはあるけれど、9割の凡庸を1割の意外性でチャラに出来るかと言うとそうはいかないわけで、あまり過大な評価は禁物。但し、作者の意図した事柄をきちんと描き切る筆力は認められる。


No.160 6点 憑き物
鳥飼否宇
(2014/05/28 20:20登録)
 これは短くまとめすぎではないか。物語の骨格が剥き出しのままで読まされたような印象である。もう少し肉付けがあっても良かった。なんか勿体無い。


No.159 3点 国語、数学、理科、誘拐
青柳碧人
(2014/05/28 20:19登録)
 これはちょっといただけない。ライト・ミステリの軽さが悪い形で出てしまっていると思う。作者の意図は判らなくもないが、えらく強引な話。それはそうと、中学の数学がもう全く判らなかった私である。


No.158 8点 天帝のあまかける墓姫
古野まほろ
(2014/05/28 20:18登録)
 今までの天帝シリーズよりもストレス無く読み進められたのは比較的早いうちにストーリーが転がり始めたからだ、と書くと旧作は余計な飾りが過剰だったのだと言っていることになるので愛読者としては忸怩たるものが。
 ツッコミとしては、中盤でまほろ達が蜂起を試みるけれど、そこは無理するところじゃないだろという思いが否めないこと。
 あと、五百鬼頭俊はどうなったのか。途中で忘れられちゃった?


No.157 8点 遠海事件: 佐藤誠はなぜ首を切断したのか?
詠坂雄二
(2014/05/23 10:49登録)
 面白かった。こういう変則的な奇書って好きだなあ。
 ところで思わせぶりなカヴァー絵は何なのだろうか。


No.156 8点 終物語
西尾維新
(2014/05/22 11:05登録)
 〈物語〉シリーズ自体は、ジャンルでいうなら青春オカルト・ファンタジーといったものに該当するのだろうが、『終物語』の上巻は、刑事事件ではないけれど “日常の謎” と呼ぶにはシビアな内容の中篇3本による連作ミステリである。特に第一話「おうぎフォーミュラ」は、西尾維新の作風自体をミスディレクションに用いたかのような快作というかグッド・アイデア。尚、中・下巻は本筋の怪異譚に戻る。


No.155 3点 夏休みの拡大図
小島達矢
(2014/05/16 10:30登録)
 謎のレヴェルはたいしたことないし、何でそんな程度でこんな風に思うの、というモノローグの連続である。それを補える他の要素もこれといって見当たらない。
 “日常の謎” には、些細なことを大袈裟に不思議がったり驚いたりすることで “小説” として成立させる、という側面があるけれど、この作品はそれをやりすぎだと感じた。


No.154 4点 てのひらに爆弾を
黒武洋
(2014/05/09 10:03登録)
 なんだかバランスの悪い、歪な作品。
 ラムちゃんと警察官が親子、という偶然は許容範囲を超えているし、その割にストーリー上の効果は乏しいと思う。


No.153 7点 消失グラデーション
長沢樹
(2014/05/07 11:01登録)
 気になるのは、ヒカルという御都合主義的に特殊なキャラクターの存在が事件の成立に不可欠であること。しかも彼が事件に関わったのは全くの偶然であること。
 まあそれはそれとして、びっくりはさせられたし、良く出来た青春ミステリだと思う。


No.152 6点 ロスト・ケア
葉真中顕
(2014/05/07 11:00登録)
 序章で、いやもっと言うなら新聞広告の謳い文句で、着地点がなんとなく見えちゃっていた。ミステリ的な驚きに満ちた作品というわけではない。
 とはいえ見えているラストへ上手く導くのも作家の腕であり、そういう意味で評価は出来る。作者の本気度が問われる題材だが説教臭くなる前に上手く引いていると思うし、思想の対立する登場人物それぞれにきちんと説得力があるところも良い。
 くさか里樹のコミック『ヘルプマン!』と併せて読みましょう(?)。


No.151 5点 襲名犯
竹吉優輔
(2014/05/07 10:59登録)
 前半は面白かったが、着地点があまりピンと来なかった。
 あと、「信」と「仁」という双子の名前。日本語の感覚だと「シン」が主で「ジン」が従、というイメージにならないだろうか(私の個人的な言語感覚?)。双子にそういう対等ではない名付けをする親、というのが納得出来なかった。というかふたりの出生にまで遡る何らかの伏線かと深読みしてしまった。
 図書館の内幕をサイド・ストーリーにするのはズルい(褒め言葉)。読書家なら食い付かずにはいられないだろ。


No.150 5点 公開処刑人 森のくまさん
堀内公太郎
(2014/05/07 10:58登録)
 現実ではなく小説である以上、“一見関係ないけれど実は関係がある” 事柄がピックアップされて並べられているわけで、どうしてもそのこと自体が伏線になってしまうという問題がある。
 本書の場合、真犯人になり得るポジションの登場人物が限られているので、登場人物の視点では意外な犯人なのだが読者としてはそうでもない、という状態になっている。シリアル・キラーものだから止むを得ないかもしれないが、それを補えるほどの別の売りがあるかというとやや物足りない。ラストの嫌な余韻は良い感じ。

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