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ミステリの祭典

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虫暮部さんの登録情報
平均点:6.20点 書評数:2209件

プロフィール| 書評

No.229 6点 丸太町ルヴォワール
円居挽
(2015/01/08 08:03登録)
ネタが出尽くした本格ミステリにおける処世術、という感じ。悪い意味ではなく、成程こういうやり方もあるか、と思った。“携帯電話の電波がペースメーカーに及ぼす影響”という点にどの程度リアリティがあるのか判らないが、作品世界内での“設定”ということでまぁいいか。


No.228 6点 妖盗S79号
泡坂妻夫
(2015/01/05 12:19登録)
 「庚申丸異聞」「南畝の幽霊」「檜毛寺の観音像」が面白かった。見て判らないほど細かく裂いてセーターに編みこんだ日本画を復元って、理屈はともかく現実に可能なんだろうか。「癸酉組一二九五三七番」だけは現金を頂戴しているわけで、最後に語られるS79号の行動原理とちょっとずれているのでは。


No.227 7点 クラウド
門谷憲二
(2014/12/26 20:28登録)
 作者の本業は作詞家で、'70年代フォーク・シーンから登場したひと。代表作は「通りゃんせ(佐藤公彦)」「君は薔薇より美しい(布施明)」等。そっち側からの軽い興味で手に取ったが、作詞家の余技などではない骨太な作品で失礼ながら少々驚いた。但し、あまり読まないジャンルなので、舞台設定の(個人的な)目新しさに紛れてストーリーへの評価が甘くなっているかも。
 日本中国台湾の微妙な綱引き関係を背景に天才ハッカー同士の対決と警察機構の諸々を描いたサスペンス、といった内容。ミュージシャンが書いた小説などにありがちな雰囲気モノでは全くない。かなりの知識もしくは下調べの上で複数の陣営の複雑な思惑を緻密に描いている。
 瀬川、正宗、あかねの“瀬川チーム”のエピソードが印象的。
 最終章で突如、幻想小説みたいになるのも、「名探偵」といった解説役が不在な以上まぁアリかなあと。ただ、明かされた“結城情報”の中身には失笑してしまった。
 あと上下巻に及ぶのはちょっと長過ぎ。キャラクターが矢鱈多い、のはともかく、警察関係者(特に上層部)の印象が似通っているのは、しかたないかもしれないが物足りなかった。


No.226 6点 公開処刑人 森のくまさん-お嬢さん、お逃げなさい-
堀内公太郎
(2014/12/16 20:37登録)
 叙述トリックを用いた構成は殊更目新しいものではないが、ストーリーときちんと噛み合って効果を上げていると思う。単なる“第二弾”ではなく、前作を上手く捻った続編である。


No.225 7点 〔少女庭国〕
矢部嵩
(2014/12/15 20:40登録)
 私は賛。面白かった。読みながら “なんじゃそりゃ!” と100回くらい口走っちゃったけど。
 変則的なルールを設定して、更にその抜け道を作者自身が一生懸命探す感じは西澤保彦あたりを思わせる。コロンブスの卵だけど “壁を壊す” には拍手した。


No.224 3点 その孤島の名は、虚
古野まほろ
(2014/12/11 20:27登録)
 変な話……設定が強引な割りにあまり面白くない。ミステリ要素(○○を殺したのは実は××だったのね!)も、ごちゃごちゃした説明に呑まれてなんだかどうでも良くなってしまった。


No.223 7点 さよなら神様
麻耶雄嵩
(2014/12/02 19:03登録)
 神様という設定があまり生きていないな~と思いながら読んでいたら、後半、“事件の因果関係が覆る”“神様を利用する犯人”というネタに驚かされた。これも計算のうち?
 ところで本書に限らないが、シリーズものの短編集でキャラクターの説明が1編ごとに繰り返されるのは邪魔。雑誌掲載時に必要だったのは判るけど。


No.222 5点 二歩前を歩く
石持浅海
(2014/11/27 17:11登録)
 西澤保彦みたい……。
 同じパターンの短編を6編も並べるのはやりすぎ。


No.221 4点 サイタ×サイタ
森博嗣
(2014/11/25 13:19登録)
 “人間は複雑だから”ということに都合良く寄り掛かり過ぎだと思う。ミステリの看板を掲げているのだから、もう少し理詰めでスッキリさせて欲しい。もしくは、そういった曖昧な部分を多く呑み込んだ混沌としたものを意図しているなら、ストーリーがつまらなすぎる。探偵サイドがほぼ最後まで傍観者のままで、不充分なデータでアレコレ言っているだけ、という印象。
 あと、張り込み中にコーヒーとかウーロン茶とか飲んでいるけど、尿意で困らないのだろうか。探偵達の態度が妙に緩い気がする。そういう描写は別に本書に限ったことではないのに今更こう思ったのは、森博嗣の近作をつい突っ込みどころを探す目で読んでしまうせいか。


No.220 7点 毒薬の輪舞
泡坂妻夫
(2014/11/25 13:18登録)
 犯罪の物語というよりはスラップスティック・コメディであって、それだけに人死に無しで完結させられなかったものかという点が惜しい。


No.219 4点 卯月の雪のレター・レター
相沢沙呼
(2014/11/21 11:09登録)
 善意の擦れ違いで生じた不可解な事件(善意と言い切れないものもあるが少なくとも悪意ではない)を集めた短編集。
 というコンセプトが本書の弱点。端からリミット設定済みで謎が自由に伸びていかない、という印象。個々の作品自体は悪くないが、こういう形でまとめたことでマイナスの相乗効果が働いてしまった。“日常の謎” とはいえ、円紫師匠だって小市民シリーズだって或る程度の悪意を混ぜることでヴァリエーションを出しているのであるからして。


No.218 6点 武蔵野アンダーワールド・セブン 多重迷宮
長沢樹
(2014/11/19 11:59登録)
 これはミステリの皮をかぶったミステリではない何か。但し紛れも無いエンタテインメントである。事件の真相としては如何なものかと思うし、類似作品が複数あるにしても、楽しめたので私は良しとしたい。作者もリスクは承知で踏み出した一歩だった筈。夕紀乃ちゃんがいじらしい。


No.217 4点 なぜなら雨が降ったから
森川智喜
(2014/11/13 20:19登録)
 文体やキャラクターといった小説的な部分が妙につまらない。ミステリ要素にしても、第四話の雪女の件は面白かったがあとはなんだかな~。がっかり。


No.216 6点 黒猫館の殺人
綾辻行人
(2014/11/11 12:17登録)
 叙述トリックと殺人そのものの謎解きが有機的に結び付いているところが上手い。ちょうど良い塩梅の長さだし、バランスの取れた作品だと思う。が、他の綾辻作品と比べて衝撃度はやや劣るかも。
 尚、どじすん氏が少女愛者であった疑惑について、現在では否定的な意見も強いとのこと。


No.215 8点 湖底のまつり
泡坂妻夫
(2014/11/07 19:58登録)
 なかなか強引なプロットではあるが、泡坂妻夫は“愛”と“性”を接着剤にして小説による魔術を成立させてしまった。決定的な矛盾は無いと思う。細かな御都合主義にはこだわらずに流れに身を任せて騙されるが吉。
 官能描写の格調高さと、晃二のキャラクターの意外な俗っぽさは、良し悪しかなぁ。


No.214 6点 アポロンの嘲笑
中山七里
(2014/11/05 20:08登録)
 まず、“加瀬邦彦” というネーミングに失笑。実在のミュージシャンと同姓同名である(「想い出の渚」のザ・ワイルド・ワンズのリーダー)。雑誌連載中に読者の誰も指摘しなかったのだろうか。
 読み終えてみると、非常に不自然な話。金城一家は何故通報前に邦彦を逃がさなかったのか、もしくは数日でいいから殺人を隠蔽しなかったのか。パトカーから逃げられなかったらどうする。
 また、“空腹” の進行が早過ぎると思った。プチ断食はしたことがあるけれど、一日二日で行動に支障をきたすような状態にはならない。空腹感も動けば紛れるレヴェルである。一方、食べなくても出るものは出る。というか寧ろ便通が良くなる傾向があるんだけど、その点は何も書かれていない。

 突っ込みどころに目を瞑れば、骨太な人間ドラマ、としての評価は出来る。震災にまつわる諸々については、声高に批判してしまうと読者は却って醒めてしまうものだな、というのが実感。


No.213 7点 伽藍堂の殺人~Banach-Tarski Paradox~
周木律
(2014/11/05 20:07登録)
 高まる期待に応えて、ちゃんと前作を上回る大仕掛けの変な建築物を提示してきたのは見事。もしかして既にトリックのネタは全て用意してあって、それを下から順に出してる?(それはそれで凄い)
 ただ4作目ともなると、被害者達がわざわざ殺されに集まっているような印象になってしまう。
 また、百合子の謎解きで “リモコンで十分” のあと、名前の言葉遊びで一足飛びに犯人を特定しているのはいただけない。
 
 あと冒頭部分で突っ込みたくなった。船酔いは船酔いの話をするとオエッと来るんだよ。


No.212 7点 死者の輪舞
泡坂妻夫
(2014/10/30 12:25登録)
 ったく、ナンパしながら捜査するんじゃねぇ!
 パズラーというより、ミステリの形をしたドタバタ人情劇のようなつもりで読み返したので、途中の偶然過ぎる事故死も許容範囲内。
 海方はあまり好きになれないキャラクターだが、“二日酔いや病気は出勤しながら治すもんだ。元気なときだからこそ、休暇を取って遊べる” は実行しています。


No.211 6点 アガサ・クリスティー賞殺人事件
三沢陽一
(2014/10/28 12:47登録)
 「柔らかな密室」のトリックに拍手。
 「アガサ・クリスティー賞殺人事件」に唖然(泡坂妻夫へのオマージュ?)。
 しかし何より、「蛇と雪」の心理的凶器が印象的。


No.210 5点 旋風
泡坂妻夫
(2014/10/28 12:46登録)
 再読したところ、“妊娠”ネタのインパクトが強過ぎてそれ以外の全てを忘れていたことが発覚。所謂パズラーではないから以前の自分は流し読みしちゃったけど、いまならこういう“愛のミステリ”も楽しめる。柔術関係の描写は職人ものに通じるところがあるね。

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