ゼロの迎撃 ゼロ三部作 |
---|
作家 | 安生正 |
---|---|
出版日 | 2014年07月 |
平均点 | 6.25点 |
書評数 | 4人 |
No.4 | 7点 | YMY | |
(2018/08/05 10:06登録) 超大型台風が迫る東京を、さらに大きな脅威が襲う。サイバー攻撃の後、銀行の爆破事件、マンションと商業施設の占拠事件など正体不明のテロ組織が東京を破滅しようと大掛かりな攻撃を始める。 東京の街が謎のテロ集団から重機関銃や爆弾などによる攻撃にさらされたら日本国はどう対処するのか。作者はそんな大胆な「もしも」を見事に描き切っている。 このスケール、この迫力、この現実感、いずれも超弩級といえる凄味をたたえている。 |
No.3 | 5点 | HORNET | |
(2017/05/09 22:15登録) 史上まれにみる荒天に乗じて、免疫のない日本国にテロ部隊が襲い掛かる。現実の戦争に突如向き合うことになった日本のブレーンたちはその対処に慌てふためき、猶予を許さず極限の決断の迫られる中、情報部隊の真下三佐が決死の覚悟をもって事に当たる。息もつかせぬ怒涛の展開と疾走感、魂をぶつけあうような国防に命を懸けた男たちのやりとり…読みごたえは十分にあったし、楽しめた。 しかし、あまりにも簡単に多くの命が散り、けれども主人公とその近親の者だけは幾度も危機を迎えながら生き残るという設定、政府高官や軍人たちの極限状態でのやりとりがあまりにも仰々しいこと(そんなにすらすらと決め台詞のような言葉が出るか?)、結局主人公の真下三佐一人がずば抜けた崇高な頭脳で、他はそれに追随するような扱いであることなど、少し前までよくあった「主人公一人勝ち」のハリウッドSF映画を観ているような感覚になり、何となく白けた気分にもなった。 (国防の世界だからかもしれないが)上司を信頼するということはイコール「ためらわず命を懸ける」ということなのだろうか。真下は否定していたが、結局、寺沢陸曹長も高城三曹も迷わず散っていく姿が美として描かれている。最初の岐部三尉の態度が最も人間的で自然な反応だと感じるのだが、こちらも最後には覚悟を決めた姿が美化され、「良」として描かれると、どうしても反動で最初の姿は好ましくないものと位置付けられてしまい、なんだか釈然としない。 |
No.2 | 8点 | 斎藤警部 | |
(2016/09/07 00:47登録) 光文社文庫表紙のタッチと表題のイメージからてっきり、読了直後「なかなか、ノリのいいロックを聴かせてくれるじゃないか。。?」と深い溜息をつく類のファッキン痛快作(6点は堅い)かと思ったら、まるで違った。謎も人物群像も真相もすべからくファイン&ファットに構築されたA級社会派冒険ミステリではないですか! しかも、ある意味日常の謎とも言えます! ってのはブラックジョークです! ぃや本気です! 記録的荒天と歴史的侵略と同時に戦う状況に陥った東京。ところが想定内外の敵が他にも四方八方から。。。。戦いの主役は、北朝鮮から日本から、位階も任務も過去もスキルもまるで違う将校どうし。祖国にも中国にも日本にも怨念を抱く北朝鮮将校は、北京政府に反発する朝鮮族中心の中国人民軍軍閥から、ある取引を条件に「一夜で東京壊滅」をミッションに密航して来た様子だが。。 出だしはちょっと、社会派イヤミスの感触があった。奇襲されて関係者は一同集まるわけだ。イヤミスらしくドイツもコイツもオランダ靴もバカばっか。。。でもない。 誤字と、三時間と、職権なりの国防。 何故そこに余分の「迷わず」を挟んだかと訝しめば、暫くして憤りの係り結びが。しかしその直後に(!) だが永遠復讐のチャンスもあった。心に残る場面は遍在。寡黙なアイツが時折発する言葉で、たまらなく響いたの、二つばかり。。。。 戦場ないし○○になった街でなぎらさんが呑気に呑んでやしないかと心配もしたよ。 【以下、厳しく見ればネタバレに触れる】 それにしても、何故、最後まで「あの国」が登場しないのか。妻への思いは何処行った?屍体の山はどうした?錦糸町の三四郎(女将は棚橋さん)は無事だったのか? 何よりやんごとなきあのお方たちは。。。。疑問がいくつも残るが、それでも小説のリアリティは充分殺人的。意味不明の丸文字・・??ん? だって。。まさか露骨過ぎる伏線? しかし何への?? と思ったらそこは放ったらかしか。。マスコミとネットのファッキンファックを奴が予測しなかったってのは嘘臭いよ! そんな、穴という穴がいくら目についても、小説の面白さ、怖さに変わり無し。 死ぬ前に読め。 |
No.1 | 5点 | 虫暮部 | |
(2015/09/08 11:55登録) それなりに面白くはあったけれど、紋切り型の人物像や時々出て来る妙に大仰な文章には困った。ここまでの緊急事態に主人公がこんなに孤立した状態で対処するのもピンと来ない。 |