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ミステリの祭典

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掟上今日子の挑戦状
忘却探偵シリーズ

作家 西尾維新
出版日2015年08月
平均点6.75点
書評数4人

No.4 7点 バード
(2023/01/05 06:25登録)
次の『遺言書』も含め、忘却探偵シリーズを計4冊読んだが、短編集の方が今日子さんには合っているね。本作は3つの短編からなり、「アリバイ」、「密室」、「暗号」に対する忘却探偵のアプローチを堪能できる良作。

<個別書評>
・アリバイ証言(8点)
多くのアリバイものは、犯人がアリバイに全てをかけて他の要素では限りなくクロってパターンな気がするが、本話はアリバイを崩しても犯人特定できない上で、落としどころにも捻りがある。さらっと書かれているが結構凝っている話だと思う。本短編集のマイベスト。

多くの人がいる中でアリバイ証言者に今日子さんを当てるって、鯨井さんババ抜き弱すぎ(笑)。

・密室講義(6点)
革新的な密室ものではないが、良密室短編。
巻末おまけにある、本事件の経費内訳が酷く、遠浅警部はお気の毒といったところか。

・暗号表(6点)
今日子さんのお金へのスタンスが格好良い。相変わらずキャラものとしては面白い。ただし本話はミステリとしてはそこそこ程度。キャラの良さで持ってるが上手くない。結納坂の追い詰め方も少々無理がある。今日子さんパワーを持ってしても、暗号もの良作の壁を突破できなかったわね。

No.3 5点 ボナンザ
(2020/03/27 22:33登録)
本格っぽい三篇収録。色々突っ込みどころはあるものの、オタクを引き付ける設定は流石。

No.2 7点 メルカトル
(2015/10/03 20:22登録)
基本に忠実に描かれた本格ミステリとの印象が強い。それは取りも直さず、西尾維新がまぎれもなくミステリ作家であるという証左に他ならない。本シリーズは年内に二作も上梓されるそうなので、なお一層の期待が持てそうだ。
だが、本作は設定もプロットもストーリーもぶっ飛んだものはないので、全体的にやや小ぢんまりとした感じは否めない。それと、ところどころにちょっとした疑問点が散見されるのが気になる。例えば第一話では、そもそも死者に対して義理も借りもないのに、わざわざアリバイまで作って偽装するのはなぜなんだろう。最終話のダイイングメッセージを残す理由も納得がいかない。まあこの場合、今日子さんの推理は大変面白かったが。
とは言え、相変わらず読者に対して良心的かつ、「忘却探偵」という特殊な設定ゆえの独特の世界観があって楽しませるエンターテインメントに仕上がっているのは間違いないだろう。

No.1 8点 虫暮部
(2015/08/24 10:37登録)
 「アリバイ証言」がなんか変だ。登場人物の台詞通り、“そんな仕掛けは必要ない”のでは。お湯をちょろちょろ流しても、ドライヤーを直接湯船に浸けても、後始末する人間がいるなら最終的に公開される事件現場は同じでしょう?

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