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ミステリの祭典

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教会堂の殺人〜Game Theory〜
堂シリーズ

作家 周木律
出版日2015年07月
平均点3.75点
書評数4人

No.4 5点 nukkam
(2023/11/20 23:31登録)
(ネタバレなしです) 2015年発表の堂シリーズ第5作です。私は改訂された講談社文庫版(2018年)で読みましたが、登場人物リストの人物が全員過去のシリーズ作品に登場しています。過去作品を先に読んでなくてもそれなりに楽しめますが、先に読んでおくことを勧めます。「伽藍堂の殺人」(2014年)でシリーズの方向性を大きく変えたのではと思える演出がありましたが、それでも本格派推理小説としての基本形は維持されていました。しかし本書はもはや本格派とはいえないと思います。死の罠が仕掛けられていると思われる教会堂を訪れる人間が次々に命を落とすというスリラー小説です。死が迫っている被害者描写は恐怖というより諦観に近い感じで、痛みや苦しみの描写もありません。ヒロイン役である百合子も多少の不安は見せているものの全般的には落ち着いており、スリラー小説としては刺激が足りないと思う読者もいるかも。恐いのが苦手な私はありがたかったですけど。「伽藍堂の殺人」以上にシリーズ作品世界を大きく変える配役整理は賛否両論でしょう。

No.3 3点 makomako
(2019/02/06 20:09登録)
鏡面堂の書評で書きましたが、この作品を飛ばして次の鏡面堂を読んでしまったのであわてて本作品を読みました。
 あーあ、これはもう本格推理小説ではなく幻想小説となってしまったんですね。
 愛すべき重要な登場人物を次々と殺害し、探偵役の十和田は完全におかしくなり、もうむちゃくちゃではないですか。
 堂シリーズもだんだんダメになってきたのでしょうか。
 もうすぐ完結とのことですので、最後まで付き合うつもりで最新作の予約を入れたのですが。期待して良いのでしょうか。心配になってきました。

No.2 4点 虫暮部
(2015/09/24 10:31登録)
 シリーズの一冊、大きな謎の一部、としては面白いのだが納得出来ない点も多い。
 ①82ページの図版を見ると良く判るが、天井のハッチの縁に手を掛けて懸垂の要領で身体を引き上げるだけの体力が無いと、これ以上先に進めないのでは。
 ②宮司司は、午前二時に脱出のチャンスが訪れることを発見しながら、何故その時に逃げなかったのか。
 ③数学者(&新聞記者)と警察関係者は、同じ“真実を探す”といってもその行動原理というか気の持ちようは違うはずで、後者(船生や毒島)の一匹狼的な追跡行はしっくりこない。

No.1 3点 yoshi
(2015/08/11 02:47登録)
(ネタバレあり)
とうとうミステリーではなくなかってしまった感あり。
トリックに既視感ありありと叩かれながらも、このシリーズは結構好きだったので残念。
トリックで愕かせて欲しいのに、メインキャラを殺すことで愕かせる方向に行ってしまったようでそれも残念。
それからもう一つ難を言うと、この設定、自分の部屋のバルブを開けても、上の部屋の水や蒸気の絶対的な量を知りえない以上は、相手を確実に助けられるという保証がないので、囚人のジレンマは成り立たず、誰もバルブを開けないと思う。

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