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ミステリの祭典

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記憶破断者
改題『殺人鬼にまつわる備忘録』

作家 小林泰三
出版日2015年08月
平均点6.50点
書評数2人

No.2 6点 メルカトル
(2015/12/22 19:55登録)
前向性健忘症のため数十分で記憶を失う男田村二吉が、他人の記憶を書き換えることができる能力の持ち主雲英光男と対決する心理サスペンス。
なのだが、文章が軽すぎるため読みやすいのはいいが、重厚さや緊迫感に欠けるきらいがあるのはやや残念。グロさは必要ないが、もっとこう二人の手に汗握る心理戦が展開されると私的にはさらに満足できたと思う。それでも、今までに類を見ないタイプの小説であり、二吉が一々ノートを引っ張り出して、つい一時間前の記憶をたどっていく姿や、雲英が他人に触れて言葉を発するだけでその人物の記憶が改ざんされていく様は、なかなか新鮮で面白い。
全体的に平板で盛り上がりに欠けるのはちょっとつらいが、癖のある脇役たち、特に徳さんがいい味を出している。
結末もなんだか意外性があるようでいて、すっきりしない。やや消化不良気味な終わり方であった。

No.1 7点 虫暮部
(2015/11/02 11:50登録)
 前向性健忘症の田村二吉(!)が、特殊能力を持つ殺人鬼と対決する(!)という話。雲英(きら)というネーミングから察するに『デスノート』へのオマージュ? スピード感のあるストーリーの途中に結構込み入った論理が組み込まれていて引き止められてしまうのが難だが、作品の性質上仕方ないか(止まっちゃうのは私の理解力の問題だし)。
 気になった点。第2章で、コンビニでせいぜい2000円程度の品物のためにアレコレやっているが、それは効率が悪い。「能力」でいくらでも他人からカネを引き出せるのであれば、万引きをする必要は無いだろう。こういう能力の持ち主は、カネに頓着しない性格になるのでは?

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