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ミステリの祭典

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kanamoriさんの登録情報
平均点:5.88点 書評数:2501件

プロフィール| 書評

No.461 8点 黒い画集
松本清張
(2010/06/12 20:24登録)
ミステリ中短編集(新潮文庫版)。
清張の初期短編は非ミステリを含めてハズレがないですが、一冊選ぶとなると完成度が高い本書が最右翼でしょうか。
「遭難」は二人の人物の心理的闘争が非常にサスペンスに溢れていて読み応えは編中随一。「坂道の家」は典型的な清張節で男の転落を描く。「天城越え」は抒情的情景描写と意外な真相が印象に残る。
ほか、意外な凶器消失トリックの「凶器」、「証言」「寒流」「紐」の計7編が収録されています。


No.460 6点 殺人ドライブ・ロード
井沢元彦
(2010/06/12 18:53登録)
アリバイ・トリックがちょっと意表を突く本格ミステリ。
いつもの歴史の謎+現在の殺人事件という得意のプロットではなく、真正面から読者に挑戦するような凝った本格編だと思います。序盤から丁寧に伏線が張られていて、一応の真相は読めると思いますが、もう一段階上の真相まで到達できる人は少ないのではないでしょうか。


No.459 6点 終末曲面
山田正紀
(2010/06/12 18:28登録)
著者の第1短編集。
近未来冒険サスペンス小説のサビの部分を切り取ったような尖鋭的で濃い作品がそろっています。
人類終末間近の緊迫感と派手なアクションが光る「贖罪の惑星」、怒涛の暴力場面とタイトルの意味が印象的な「燻製肉のなかの鉄」などハードな作品が多いですが、コンピュータ技師たちが次々と失踪していく真相が人類の終末に結びつく静かな恐怖を描いた「終末曲面」が一番読ませます。


No.458 5点 凶運の手紙
仁木悦子
(2010/06/12 18:07登録)
ミステリ短編集(角川文庫版)。
檪究介くんの探偵譚「花は夜散る」や仁木悦子もの「初秋の死」のシリーズものは手堅い出来で、SF風の「一日先の男」は異色作ですがオチが分かりやすい。
個人的ベストは小学一年生の女の子のいじらしい心情が見事に描かれている「金ぴかの鹿」です。


No.457 6点 消えた乗組員(クルー)
西村京太郎
(2010/06/12 17:47登録)
海の十津川警部シリーズ。
大型クルーザーから乗組員全員が消失するというマリー・セレスト号事件を彷彿とさせる発端の謎の提示が魅力的なため、グイグイ物語に引き込まれました。その真相が常識的なもので物語の終盤に入る前に明かされても、十津川が証拠を求めて各地を巡る捜査状況が丁寧に描かれていて結構楽しめました。
犯人の設定に不満もありますが、本格編としてではなく警察サスペンスものとしてまずまずの出来だと思いました。


No.456 4点 薔薇を拒む
近藤史恵
(2010/06/12 17:30登録)
人里離れた湖畔の別荘館を舞台にしたゴシック風のミステリ。
デビュー直後のいくつかの作品を思い起こさせる設定で、17歳の青年の一人称で語られるストーリーは青春恋愛ミステリの趣もありますが、あまり斬新さが感じられなかったです。
過去と現在の恋愛の秘密と二人の身寄りのない青年が別荘主の援護をうける理由が最後に結びつきますが、すんなりと受け入れるのが難しい真相でした。


No.455 5点 おもしろ砂絵
都筑道夫
(2010/06/09 21:16登録)
なめくじ長屋捕物さわぎシリーズ第8弾。
本格ミステリの趣向が益々弱くなっていて、長屋のアウトローたちの活躍もあまり見られません。
発端に不可解な謎を提示した作品もありますが、証言者が嘘をついていたりで、腰砕けの真相が目立ちました。


No.454 5点 まぼろし砂絵
都筑道夫
(2010/06/09 20:59登録)
なめくじ長屋捕物さわぎシリーズ第7弾。
マンネリを嫌って趣向を変えた作品が目立つのですが、オカルト風の「熊坂長範」や「ばけもの寺」は本格ミステリから離れてしまっていて、本末転倒という感じです。
しかし、「人ごろし豆蔵」は初期の不可能興味を追求した作品に匹敵する読み応えのある密室殺人もので、編中のベストでしょう。


No.453 5点 かげろう砂絵
都筑道夫
(2010/06/09 20:40登録)
なめくじ長屋捕物さわぎシリーズ第6弾。
プロットが既読感のある作品が散見されますが、首切断の動機が意外な「水中花」や、ありきたりながら江戸時代ならOKなアイテムを使ったトリックの「ぎやまん燈籠」は、まずまずの出来ではないかと思います。


No.452 5点 きまぐれ砂絵
都筑道夫
(2010/06/09 20:20登録)
なめくじ長屋捕物さわぎシリーズ第5弾。
収録作は、「長屋の花見」「舟徳」「高田の馬場」「野ざらし」「擬宝珠」「夢金」と並んでいて全編が落語を元ネタとした異色編です。
作者が楽しんで書いたことはわかりますが、ミステリの趣向としてはあまり大した出来のものがありませんでした。
落語好きなら、もう少し楽しめたかもしれませんが。


No.451 6点 みずほ荘殺人事件
仁木悦子
(2010/06/09 18:46登録)
ミステリ短編集(角川文庫版)。
家族や町内のほんわかした人間関係を描いて、コージー的で暖かな印象がある作者のミステリですが、本書は濃いめの本格編が多く収録されています。
特に幻影城に掲載された「最も高級なゲーム」が顕著で、犯人当てで凝った仕掛けは従来の作者のテイストを逸脱しています。
ほかにも、表題作や「肌さむい夏」も現場見取図を掲載するなど、ディープな本格編で楽しめました。


No.450 4点 殺人はちょっと面倒
小泉喜美子
(2010/06/09 18:20登録)
ミステリ短編集。比較的長めの短編4作収録されています。
女性誌に掲載された作品が多いためか、女性の複雑な心の揺らぎを描いた作品が目立ちます。
表題作の、恋人に裏切られた若い芸者のいじらしい決断や、「夜のジャスミン」の復讐のために住みこんだ家政婦の最後の行動などは、意表を突くというより肩透かしで、ミステリとして読むと期待はずれの感じを受けます。


No.449 5点 賭の季節
佐野洋
(2010/06/08 18:40登録)
初期の長編ミステリ。
美人女優の双子の妹が姉に化けて、大会社の御曹司との結婚計画から姉の殺害計画まで発展していくストーリー。いかにも陳腐なサスペンス風で、計画の発案者である女優のマネージャーの思惑はミエミエと思いきや、結構ヒネリのあるミステリでした。
あいかわらず短めの長編なのであっけないですが。


No.448 3点 今宵、バーで謎解きを
鯨統一郎
(2010/06/08 18:13登録)
桜川東子が探偵役を務めるバー・ミステリの第3弾。
今回はギリシャ神話を材料にマスターらヤクドシトリオが提出する現在の事件を推理するというパターン。
もう読むまいと思いながらも、つい手を出してしまう鯨統一郎のいつもながらのヌルい作品で、まじめに書評するのも憚れます。
もう読むまい。


No.447 6点 七色の密室
佐野洋
(2010/06/07 23:20登録)
ミステリ連作短編集。
著者の短編集は「連作」のケースが非常に多い。同じ主人公を登場させる連作もありますが、本書の「密室」ように同一のテーマを設定した連作短編集が多いように思います。
タイトル通り密室もの7編が収録されていて、ストレートな本格編から倒叙形式のものまで、トリックだけでなく構成もバラエテイに富んでいて飽きさせない工夫がされている点が好印象でした。


No.446 7点 十八の夏
光原百合
(2010/06/07 22:55登録)
ミステリ短編集。
協会賞受賞の表題作を含め4編収録されていて、瑞々しい文章で綴られた好短編集でした。
いずれも青春小説・恋愛小説として完成度が高い上に、最後にサプライズを自然な形で仕込んでいる。個人的ベストは、「ささやかな奇蹟」で、ネタがある程度分かっても物語そのものを面白く読めました。


No.445 5点 ヨコハマ幽霊ホテル
山崎洋子
(2010/06/07 18:54登録)
乱歩賞受賞後1作目の長編ミステリ。
横浜の古いホテルのオーナーとなった若い女性が、殺人事件をはじめ次々と奇怪な事件に巻き込まれ・・・というストーリー。
個性豊かでいわくありげなホテルの住民たちやヒロインの造形など面白いし真相も巧く隠蔽されていますが、「犯人」の動機がいまいち納得いきませんでした。


No.444 8点 かげろう絵図
松本清張
(2010/06/07 18:30登録)
徳川家斉が大御所として権力を握っていた時代を背景にした謀略系の時代小説。
次期将軍の座を巡って現将軍・家慶派と家斉派の権力闘争劇が現在の企業小説や政権争いを読むごとくで、めっぽう面白い。
特に、家斉の側室・お美代の方を中心とする大奥内の駆け引きや、お美代の養父・石翁の権力の盛衰などは非常に迫力あるスリリングな内容で、長大な小説をあっという間に読み終えることができた。
結末の付け方も、いかにも清張という幕引きだと思いました。


No.443 5点 一匹や二匹
仁木悦子
(2010/06/07 00:03登録)
ミステリ短編集(角川文庫版)。
表題作のほかに、「坂道の子」「サンタクロースと握手しよう」「蒼ざめた時間」「縞模様のある手紙」の5編収録。
「一匹や二匹」は長編の秀作「二つの陰画」の探偵役だった櫟健介夫婦の息子が主人公の作品。子供が主人公だと描写が実に活き活きとしていて読んでいて楽しい。宮部みゆきの子供を主人公にしたミステリに通じる味わいがあります。


No.442 4点 白雪姫(角川文庫版)
高木彬光
(2010/06/06 23:41登録)
神津恭介シリーズの短編集。
いずれも女性が重要な役割をする7つの短編が収録されていますが、神のごとき名探偵が扱うには小粒な話が多かったです。
表題作の「白雪姫」は雪の密室殺人を扱っていて比較的派手ですが、そのトリックは苦笑もので、現在こんなミステリを書けば袋叩きにされるでしょう。

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