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ミステリの祭典

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kanamoriさんの登録情報
平均点:5.88点 書評数:2517件

プロフィール| 書評

No.477 6点 証拠は眠る
R・オースティン・フリーマン
(2010/06/15 18:36登録)
ソーンダイク博士ものの長編ミステリ。
倒叙形式ではなくフーダニットですが、犯人はある程度見えやすくなっています。ミステリとしての一番のキモは砒素による毒殺方法がなかなか分からない点で、(実際に実行可能か判然としませんが)この真相はなかなか意外でした。
作者に対しては古臭くて退屈というイメージでしたが、本書に関してはいい意味で予想を裏切ってくれています。


No.476 5点 フレンチ警部の多忙な休暇
F・W・クロフツ
(2010/06/15 18:16登録)
旅行会社社員モリソンがイギリス列島巡行の豪華船事業計画に協力するうちに船長の殺人事件に巻き込まれるというストーリー(「フレンチ警部と賭博船」という別題があったようです)。
前半のモリソン視点の物語は例によって少々退屈で、初期の重厚さはありませんが、フレンチ登場後のアリバイ崩しはまずまず面白かった。写真の工作によるアリバイトリックとしては、この作品が先駆かもしれません。


No.475 4点 虚空から現れた死
クレイトン・ロースン
(2010/06/15 18:00登録)
奇術師探偵ディアボロが登場するミステリ中編2本収録。
探偵の職業やデビュー長編に似たタイトルから、グレート・マーリニもののようなガチガチの本格編を期待しました。たしかに2編とも密室殺人を扱っていますが、テイストはバットマンなどの米国漫画を彷彿とさせるヒーローものの通俗ミステリでした。
不可能興味満点の発端に対して解決が腰砕けなぶん落胆は大きかったです。


No.474 5点 さかしま砂絵
都筑道夫
(2010/06/14 22:26登録)
なめくじ長屋捕物さわぎシリーズ第11弾。
まとまったシリーズ本としては最終巻となる本書も、本格ミステリとしてはあまり読みどころのない作品集でした。「退職刑事」もそうですが、シリーズものは作者自身が飽きてしまって目先を変えるため、本来のコンセプトを捨ててしまうパターンが多いですね。


No.473 4点 いなずま砂絵
都筑道夫
(2010/06/14 22:13登録)
なめくじ長屋捕物さわぎシリーズ第10弾。
人間消失などの不可能興味でハウダニットもののミステリとして構築できる話もありますが、アイデア枯渇の感じが明確に覗われて残念な出来です。
前作に続いて、長屋のアウトロー仲間が容疑者となるパターンが続くのも気になるところ。


No.472 4点 ときめき砂絵
都筑道夫
(2010/06/14 22:01登録)
なめくじ長屋捕物さわぎシリーズ第9弾。
マンネリを感じさせる作品が多いのですが、クリステイ某作を彷彿させる設定の「待乳山怪談」とか、下駄常視点で砂絵のセンセーの安楽椅子探偵もどきの「水見舞」などはまあまあかなと思います。


No.471 6点 林の中の家
仁木悦子
(2010/06/14 18:50登録)
沈着冷静な安楽椅子型の兄・仁木雄太郎とあわて者で行動型の妹・悦子が探偵役を務めるシリーズ第2弾。
電話で呼び出された兄妹が、ある家で死体を発見するという発端で、オーソドックスなフーダニットですが、今作も何気ない描写に隠された伏線が最後にきれいに回収されます。
現在、乱歩賞のデビュー作以外は比較的手に入り難いシリーズ作ですが、いずれも端正な本格編で読みやすいのがいい。


No.470 5点 デパートへ行こう!
真保裕一
(2010/06/14 18:21登録)
自殺志願の中年男や家出した若いカップルなど、いずれも訳ありの男女4組が閉店後の深夜の老舗百貨店に忍び込んで引き起す騒動を描いた群像劇。
作者の生真面目な性格の表れなのか、期待したドタバタ・コメデイではなく、デパートを巡る陰謀話からステロタイプな人情話に終わっています。しかし、このあらかさまなデパート賛歌、業界からいくらか貰っているのか?


No.469 5点 震えない男
ジョン・ディクスン・カー
(2010/06/13 16:39登録)
フェル博士が古い屋敷に招かれた客人の密室殺人に挑むという著者定番のストーリー。創元推理文庫からは「幽霊屋敷」の邦題で出ていますが、ともに絶版のようです。
機械的密室トリックはちょっと推理するのは難しそうで、証言者の嘘が関与している点もマイナス要素です。
面白いのは、フーダニットに関してプロット上のある仕掛けをしているところ。これは、バークリーの某作を思い浮かべました。


No.468 6点 不自然な死
ドロシー・L・セイヤーズ
(2010/06/13 16:17登録)
ピーター・ウィムジイ卿シリーズ第3作。
料理屋で知り合った医師の話から、ピーター卿がある老譲の不審死を追求していくストーリー。
真犯人は序盤からほぼ明らかになっていますが、自然死に見せかけた殺人方法の謎と第2の殺人のアリバイが壁になって遅々として物語が進展しない。例によってシェークスピアなどの古典からの引用癖にはもどかしく感じましたが、終盤ある偶然から、次々と謎が明らかになる展開はなかなかスリリングです。
殺人者の肖像はある意味現代的で古さを全く感じさせないのはさすがです。最後の日蝕のエピソードはピーター卿の心情を表現したものでしょうか。


No.467 6点 殺人者は21番地に住む
S=A・ステーマン
(2010/06/13 15:49登録)
何らかの秘密を抱えた住民たちを中心に下宿屋(もしくはアパート)を舞台にしたサスペンスというのは、ミステリの一つのジャンルといえるでしょう。本書は、連続殺人鬼は下宿人のうち誰か?を問うシンプルながらサスペンスに溢れた本格編で、読者への挑戦を挿入するという稚気が楽しい。
この意外な真犯人の設定には、フランス語圏の本格ミステリ特有のむちゃがありますが、ひょっとしてこの作品はクリステイのアレを意識しているのではないかとも思います。


No.466 5点 証拠の問題
ニコラス・ブレイク
(2010/06/13 15:21登録)
著者の処女作で、シリーズ探偵・ナイジェル・ストレンジウェイズの初登場作品。
学園ものミステリで、予備校教師で友人の殺人容疑を晴らすべくナイジェルが乗り出すというストーリーです。
古い訳文のせいもあると思いますが、探偵役をはじめとする登場人物像があまり伝わってこないので、少々読むのに苦労しました。要は証拠重視の警察捜査を皮肉ったということでしょうか。
凶器の隠し場所トリックは、以前に推理クイズで読んだ気がして、この作品が元ネタかと思った。


No.465 7点 家蝿とカナリア
ヘレン・マクロイ
(2010/06/13 15:03登録)
ベイジル・ウィリング博士が探偵役を務めるシリーズ第5作。
原題は"Cue for Murder"で直訳すれば「殺人の手掛かり」ですが、そのものズバリの手掛かりを意訳して邦題としているのが何とも挑戦的です。
プロローグのカナリアを鳥籠から解放する謎の行動が、劇場の殺人事件にどう結びつくのか最後まで読者の興味をつなぐ構成が優れていて、派手な展開がなくても正統派の古典本格を読んだという満足感を得られました。


No.464 6点 オリンピックの身代金
三好徹
(2010/06/12 21:19登録)
犯罪サスペンス、身代金シリーズの第3弾。
今回、泉の標的はロス五輪で、競技運営そのものではなく、オリンピックの衛星放送の妨害です。身代金がシリーズを重ねる毎に増えて30億円で、トラック1台分の札束をどのように奪うのかも面白い点です。
最後は完結編らしく爽快感を味わうことができます。


No.463 6点 モナ・リザの身代金
三好徹
(2010/06/12 21:06登録)
犯罪サスペンス、身代金シリーズの第2作。
今回、泉の標的は政府主催の「モナ・リザ展」ですが、名画の強奪はあっけないので、知的ゲーム小説としては物足りない感じを受けます。
対峙する政府に政商フィクサーが絡んでくるプロットは面白いのですが、前作と比べると緊密度に欠ける気がします。


No.462 7点 コンピュータの身代金
三好徹
(2010/06/12 20:49登録)
コンゲーム風の犯罪サスペンス、身代金シリーズ三部作の第1作。
銀行のコンピュータ室に忍び込んだ主人公の泉ら二人の身代金10億円奪取と脱出方法を推理し楽しむ知的ゲーム小説で、この少し後に登場した岡嶋二人の小説に似たテイストがあります。
当時、こういうタイプのミステリは海外では多数書かれていますが、国内だと他に山田正紀が思い浮かぶぐらいで、先駆性は評価できると思います。


No.461 8点 黒い画集
松本清張
(2010/06/12 20:24登録)
ミステリ中短編集(新潮文庫版)。
清張の初期短編は非ミステリを含めてハズレがないですが、一冊選ぶとなると完成度が高い本書が最右翼でしょうか。
「遭難」は二人の人物の心理的闘争が非常にサスペンスに溢れていて読み応えは編中随一。「坂道の家」は典型的な清張節で男の転落を描く。「天城越え」は抒情的情景描写と意外な真相が印象に残る。
ほか、意外な凶器消失トリックの「凶器」、「証言」「寒流」「紐」の計7編が収録されています。


No.460 6点 殺人ドライブ・ロード
井沢元彦
(2010/06/12 18:53登録)
アリバイ・トリックがちょっと意表を突く本格ミステリ。
いつもの歴史の謎+現在の殺人事件という得意のプロットではなく、真正面から読者に挑戦するような凝った本格編だと思います。序盤から丁寧に伏線が張られていて、一応の真相は読めると思いますが、もう一段階上の真相まで到達できる人は少ないのではないでしょうか。


No.459 6点 終末曲面
山田正紀
(2010/06/12 18:28登録)
著者の第1短編集。
近未来冒険サスペンス小説のサビの部分を切り取ったような尖鋭的で濃い作品がそろっています。
人類終末間近の緊迫感と派手なアクションが光る「贖罪の惑星」、怒涛の暴力場面とタイトルの意味が印象的な「燻製肉のなかの鉄」などハードな作品が多いですが、コンピュータ技師たちが次々と失踪していく真相が人類の終末に結びつく静かな恐怖を描いた「終末曲面」が一番読ませます。


No.458 5点 凶運の手紙
仁木悦子
(2010/06/12 18:07登録)
ミステリ短編集(角川文庫版)。
檪究介くんの探偵譚「花は夜散る」や仁木悦子もの「初秋の死」のシリーズものは手堅い出来で、SF風の「一日先の男」は異色作ですがオチが分かりやすい。
個人的ベストは小学一年生の女の子のいじらしい心情が見事に描かれている「金ぴかの鹿」です。

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