| 島崎警部のアリバイ事件簿 |
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| 作家 | 天城一 |
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| 出版日 | 2005年06月 |
| 平均点 | 5.67点 |
| 書評数 | 3人 |
| No.3 | 6点 | クリスティ再読 | |
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(2026/01/12 19:03登録) そういえば「幻影城」を買って、天城一久々の新作!、と期待して読んだら摩耶モノではなくて島崎警部補鉄道アリバイ崩しでびっくりした記憶があったな。とはいえ、摩耶モノの密室も鮎哲流時刻表アリバイも、作者的には「ロジックとしてのミステリ」で一貫していることだけは間違いない。 以前鮎川哲也「砂の城」でも指摘していることだけど、あのトリックって関西人にとっては常識のレベルの話だったりするんだ。今はもちろん乗換検索で解けるといえば解けたりするトリックだ。だからこそ「なぜ(鉄道ミステリではない)時刻表ミステリを書くのか?」が大問題になってくる。鮎哲作品でも「黒いトランク」も「黒い白鳥」も、時刻表は出ては来るが「時刻表トリック」ではない鉄道ミステリだ。数学者の天城氏にしたらグラフ最適化問題なのかもしれないが、時刻表ミステリという極めて狭いジャンルに「こだわる」その姿勢というものの面白さとロマンに評者も惹かれたのだろう。 死体移動も現場誤認も目撃者錯覚もなし。特急を鈍行電車が追い越す奇跡の瞬間のために、探求を天城氏は繰り返すのだ。ありえない奇跡を追求するそのスタンスは、密室殺人に対する関心と同じものなのである。そして鮎川氏では長編になる情報取得プロセスをショートカットするために登場する「Rルームの美女」。まあいいじゃないかw作品的には作者の自信どおり「準急《皆生》」がいいと思う。時刻表に書いてないけど書いてある情報がトリックの決め手、というのがいい。 後半は戦後すぐに書かれた作品+島崎警部補復活後の作品で、何というか習作っぽいものも多い。トリック的にお気に入りなのは「死は賽を振る」。泡坂妻夫にも似た発想があるね。「ヴァンパイア」はアリバイトリックではなくて、他人のアリバイを消すトリックで洒落ている。世評の高い「朽木教授の亡霊」はまあ、パターン的にある話だよね、という印象。 この作家特有の「アマチュアっぽさ」というのは、一つには説明が下手なことと、戦中戦後の世相について「書きたい気持ち」が客観的には空回りしていることだろうな。厳しい編集者が付いていたらバッサリ切っていたと思うよ。摩耶モノだと世相の話が緊密にトリックに結び付いた作品がいくつかあって、効果をあげているものがあるけども、島崎警部補だとそうもいかない。アマチュア誌掲載だと足りないところ・多すぎるところを他人の目で調整するのができないまま発表されるのが、弱いところでもあろう。 (「方程式」が一周回ったバカミスでいいなあ。微分方程式の解がダイイングメッセ―ジ!) |
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| No.2 | 5点 | nukkam | |
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(2015/11/12 14:01登録) (ネタバレなしです) 2005年に出版された短編集で、PART1は列車の名前をタイトルにしたアリバイ崩しの中短編9作、PART2はよりバラエティーに富んだ14作が収められています。「ダイヤグラム犯罪編」の副題を持つPART1は時刻表を駆使する作品が多く、中には1つの作品で時刻表が5つも6つも使われています。ただ路線図が付いていなくてわかりにくい謎解きの作品があるのは不満でした。このPART1ではトリック批判の多かった鮎川哲也の「砂の城」(1963年)を擁護するために書かれた「急行《さんべ》」(1975年)が力作だと思います(鮎川作品のネタバレになっていますので注意下さい)。、「不可能犯罪編」という副題のあるPART2の方は書かれた時代が1948年から2001年までと幅広い上に全部がトリック作品というわけではなく、犯罪小説風や社会派推理小説風な作品もあるなど作品集としては統一感に欠けています。もっともPART1より多彩で楽しめたという読者もいるでしょう。この中では天城作品にしては珍しく犯人当て要素の強い「雪嵐/湖畔の宿」(2001年)が個人的には楽しめました。 |
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| No.1 | 6点 | kanamori | |
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(2010/05/28 18:58登録) ミステリ傑作選集の第2巻。 作品集のタイトルからは著者のもう一人の探偵役である島崎警部もののアリバイ崩しが中心のように思えますが、不可能犯罪ものも多く収録されています。 第1巻と比べて読みやすい文体になっていますが、トリック的にはやや劣る内容だと思います。 なかでは、不可能トリックものの名作「朽木教授の幽霊」がダントツの私的ベスト作品。 |
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