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ミステリの祭典

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まさむねさんの登録情報
平均点:5.86点 書評数:1195件

プロフィール| 書評

No.455 7点 遠海事件: 佐藤誠はなぜ首を切断したのか?
詠坂雄二
(2014/04/01 21:36登録)
 正直,既読の「電氣人閒の虞」に良い印象はなかったのですが,皆様の評価の高さに刺激を受けて,恐るおそる(?)手にした次第です。
 結論としては,恐れる必要など全くなく,相当に楽しめました。「佐藤誠はなぜ首を切断したのか」とうサブタイトルどおり,ホワイダニットがメインですが,それを取り巻く物語全体の構成も非常に趣深いですね。


No.454 4点 今夜はパラシュート博物館へ
森博嗣
(2014/03/29 09:55登録)
 作者の第3短編集。
 第2短編集「地球儀のスライス」は個人的に好印象だったのですが,正直,こちらの短編集はそれほどでもないなぁ。
 というのも,既存キャラに頼りすぎた展開が多すぎる。ファンとしては「へぇー」的な話題も確かにあるのだけれども,それだけではねぇ。


No.453 6点 セシューズ・ハイ
天祢涼
(2014/03/23 23:35登録)
 前作「葬式組曲」といい,舞台設定が達者な作者さんですね。
 ミステリ度合いは決して高いとは言えないものの,政治エンタメ小説とでも言うべき軽快な展開&語り口で,印象は悪くないです。


No.452 6点 致死量未満の殺人
三沢陽一
(2014/03/21 18:31登録)
 第3回アガサ・クリスティー賞受賞作品。
 賞の名にふさわしい,しっかりとしたプロットの端正な本格作品。派手さはないものの,楽しめました。
 しかし,文章力・表現力という観点では「まだまだこれから」といった印象。特に,被害者・弥生の描き方が物足りないので,動機に結構な違和感が残ります。


No.451 5点 彼女はたぶん魔法を使う
樋口有介
(2014/03/01 21:21登録)
 元刑事のフリーライター・袖木草平シリーズの第1弾。
 袖木と女性たち(小学校4年生の娘・加奈子も含む。)との会話シーンは面白かったのですが,事件の構図や展開はいたって平凡な印象。
 ちなみに,「洗濯が趣味」という主人公の気持ちは,個人的によく分かります。


No.450 6点 真相
横山秀夫
(2014/02/16 19:54登録)
 人間の弱さや哀しさを突いた作品が揃った短編集。まぁ,氏の作品はたいていはそうなのですが,この作品は特に弱さや哀しさが強く出ている気がします。
 捻りも加え,相変わらずの安定感なのですが,個人的には以下のとおり「哀しい」という感情が強く残りすぎまして,もっと精神的に元気な時に読めばよかったなぁ…という印象。
①「真相」:哀しく,深い作品。
②「18番ホール」:主人公の落ちていく様が哀しい。とある登場人物の顛末はさらに哀しい。内容としては,個人的にこの短編集中ベスト。
③「不眠」:ひたすらに哀しい。泣けてくる。
④「花輪の海」:主人公たちの悲哀よりも,先輩達に無性に腹が立つ。どこからどう見ても犯罪ですわな。何故許しておいたのか。ラストは結構好き。
⑤「他人の家」:これも哀しい話だが,多少は救われるか。


No.449 6点 地球儀のスライス
森博嗣
(2014/02/15 21:49登録)
 森氏の第2短編集です。
 詩的な作品から馴染みのシリーズキャラが登場する作品まで,それなりにバラエティに富んだ作品集と言えましょう。どうもしっくりこなかった短編も無い訳ではないのですが,全体的には十分に楽しめました。前短編集よりも好印象。
 特に良かったのは, 「小鳥の恩返し」,「片方のピアス」,S&Mシリーズの2作品(「石塔の屋根飾り」,「マン島の蒸気鉄道」)あたりか。
 それと,「僕に似た人」は,読後“そのこと”に全く気付かず,次の「石塔の屋根飾り」の読中に「もしや?」となりました(最終的にはネタバレサイトで確認…)。こういう作品も悪くないですね。


No.448 5点 上石神井さよならレボリューション
長沢樹
(2014/02/08 21:25登録)
 都立高校写真部の設楽洋輔は,天才かつ変態の岡江和馬の学習指導と引き換えに,生物部・川野愛香の盗撮(しかもフェティシズムな写真)を請け負う…という設定で始まる連作短編(全5編)。
 すべて「消失」がテーマになっているのですが,トリック自体はさもない感じで,正直脱力レベルのモノもあります。
 中盤までは,単にキャラクターに頼ったミステリなのかな…という印象でしたが,後半の4作品目と5作品目(表題作)でやや盛り返してくれました。
 高校1年生の後半から高校2年生の終業時までを描いているので,続編も作者の念頭にあるのかもしれませんね。強烈な妄想癖のある「国府田彩夏」のキャラが結構楽しかったので,続編があるのなら,読んでみようかな。


No.447 7点 十二人の手紙
井上ひさし
(2014/02/01 22:36登録)
 手紙のみ(公文書もあったりしますが)で構成される短編集。
 短編自体の仕掛けは勿論ですが,人間に対する哀しさと愛おしさが,決して説教臭くなく,じんわりと伝わってきました。この微妙なさじ加減は難しいと思う。さすがは井上ひさし先生だと感じ入った次第です。


No.446 7点 スノーバウンド@札幌連続殺人
平石貴樹
(2014/01/29 20:00登録)
 決して派手な展開ではないものの,本格欲求は十二分に満たしてくれた作品。
 真犯人は勿論のこと,ネタも複数散りばめられており,千鶴弁護士の人生も含めて多角的に楽しめました。「ご都合主義」というコトバが思い浮かばないでもないですが,全体の満足度からすれば,特段言いますまい。かなり好きなタイプの作品です。


No.445 5点 ライオンの棲む街
東川篤哉
(2014/01/26 21:16登録)
 平塚市に探偵事務所を構える名探偵・生野エルザと助手・川島美伽のコンビが活躍する,新シリーズの短編集。二人は高校時代の友人同士で,10年ぶりに再会を果たした27歳アラサー女子。東川サン,結構思い切った設定にしたなぁ…と思いながら読んでいたのですが,キャラ自体はなかなか魅力的。
 ワントリックに特化した短編揃いで,捻りという点では物足りなさを感じますが,サクサク楽しみたい気分だったので,個人的にはむしろ心地よかったですね。
 ところで,作者の「探偵モノ」といえば,烏賊川市シリーズでお馴染みの探偵・鵜飼&助手・戸村コンビが王道(現在ドラマ放映中ですし,先輩格なのは間違いない)。さて,作者が今後この両コンビをどう使い分けていくのか,密かに楽しみにしています。


No.444 6点 松谷警部と目黒の雨
平石貴樹
(2014/01/26 18:51登録)
 古典的とも言えるフーダニット作品。登場人物たちの雰囲気に違和感が…という気がしないでもないですが,伏線の提示,現在の事件と過去の事件との連携,さらに後半での推理の反転など,非常に良く練られています。一般的には地味な展開かもしれませんが,個人的には好印象。
 ちなみに,作者は東京大学を退官なさったとのことで,今後執筆のピッチが上がることを期待します。松谷警部と白石巡査のコンビにも好感が持てますし,是非このコンビでの続編を読みたいものです。


No.443 5点 スラム・ダンク・マーダー その他
平石貴樹
(2014/01/24 21:21登録)
 読者への挑戦状つきの短編(短めの中編とも言えるかな)3本+エピローグで構成。
 まず,探偵役「更科ニッキ」を含めて登場人物がどうにも「立っていない」印象を受けました。
 同じくニッキが登場した「だれもがポオを~」は,アメリカが舞台であり,敢えて翻訳風に書かれていたこともあって,あまり気にならなかったのですが…この作品は…。
 トリック自体は,1話目がちょっと期待はずれだったものの,2話目と3話目はまずまずといったところ。ちなみに,真相を言い当てることは,当初から諦めてました。
 実は個人的に最も印象に残りそうなのがエピローグでして,これが良いことなのか悪いことなのか,何とも微妙です。


No.442 5点 死神の浮力
伊坂幸太郎
(2014/01/18 23:44登録)
 「死神の精度」の続編で,死神・千葉が引き続き登場。死神の基本設定は変わらないものの,勧善懲悪の長編モノなので,趣としては前作よりも「マリアビートル」に近い印象(どうしようもない悪人のイメージも含めて)。
 なお,「車の下に爆弾」,「監視カメラによる監視」っていうシチュエーションは「ゴールデンスランバー」を想い起こさせたりも。
 千葉のキャラは好みなのですが,終盤はもう一捻りというか,更なる爽快感が欲しかったような気もします。


No.441 8点 夢幻花
東野圭吾
(2014/01/15 22:28登録)
 犯人を含めた事件の構図について,読者が合理的に推理できるような構成ではありません。
 しかし,どんどん深まる数々の謎の行方が気になって,ページをめくる手が止まりませんでした。久方ぶりの一気読み。伏線が綺麗に収束していくラストも見事です。
 この作品は,約10年前のとある月刊誌の連載をもとに書き下ろしたもの。とはいえ,「黄色いアサガオ」というキーワードだけを残し,全面的に書き直したそうです。作者自身が「書き直したことで,十年前ではなく,今の時代に出す意味が生じたのではないか」と述べていますが,まさにその通り。ラストに深みが出ています。(こじつけ感が強いというご批判もあり得ますでしょうが…)
 作者のストーリーテラーぶりを満喫させていただきました。素直に面白かったですね。


No.440 9点 だれもがポオを愛していた
平石貴樹
(2014/01/12 09:25登録)
 創元推理文庫版で読了。
 本編の読書中には,多少の混乱というか戸惑いもあったのですが,解決編では何とも言えない爽快感を頂戴できました。
 加えて,コクのあるエピローグも素晴らしい。
 有栖川氏も解説のタイトルにしている「新本格前夜の傑作」との評価も頷けます。


No.439 5点 シュークリーム・パニック  生チョコレート
倉知淳
(2014/01/05 23:22登録)
 3作品で構成される中短編集。
 作品ごとに雰囲気が異なるので,人それぞれ一定楽しめるとは思うのですが,いずれももうワンパンチ欲しかったような気がします。
 特に「夏の終わりと僕らの影と」は,青春ミステリとして綺麗な流れだけに,もう一捻りあれば更に良かったかなぁ…と。


No.438 5点 恋恋蓮歩の演習
森博嗣
(2014/01/05 23:04登録)
 Vシリーズに「慣れている」読者にとって,真相の一部は結構分かりやすい(少なくとも,その可能性には行き当たる)ような気がします。
 その一方で,このシリーズは順番に読まないと面白味が半減する可能性もある訳で…何とも難儀なシリーズですなぁ。
 まぁ,楽しめなかった訳ではないのでこの採点としますが,正直「豪華客船」感はあまり感じなかったなぁ。何かもったいないような気もします。


No.437 3点 卯月の雪のレター・レター
相沢沙呼
(2013/12/28 22:15登録)
 「揺れ動く少女達の心理を巧みに描いた,鮎川賞作家・相沢沙呼の最新短編集」と紹介されれば,まぁ,そのとおりですし,作者お得意の分野であることも間違いないです。
 しかし,厳しい言い方をすれば,個人的には「その分野しか書いていない作家」という印象しかないのです。力はあるはず。是非他分野の作品を読んでみたい。
 なお,この短編集自体の評価ですが,正直水準以下かな。単に私に合わないだけかもしれませんが。


No.436 6点 魔剣天翔
森博嗣
(2013/12/23 23:43登録)
 「アクロバット飛行中における銃殺」という謎が魅力的ですし,サスペンス的な側面もイイ感じで,当初の想定以上に楽しめました。
 トリックは,よくよく考えれば分かり易いのかもしれませんが…,あまり考えずにサクサク読み進めてしまったなぁ…。ちょっと悔しい。

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