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ミステリの祭典

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純喫茶「一服堂」の四季
安楽椅子シリーズ

作家 東川篤哉
出版日2014年10月
平均点5.83点
書評数6人

No.6 5点 mediocrity
(2019/06/19 22:17登録)
安楽椅子探偵が活躍する短編4話。なんと東川氏お得意の野球ネタが皆無である。この人は短編で売れっ子になったとのことだが、長編の方がかなり出来が良いと思う。5点にしたけど4.5点四捨五入の5点。

第一話
 文字で書くのは簡単だけど、実際にあの場所であんなにうまくやるのは難しいトリックではないかと感じた。村崎が寝たからよかったものの相当な物音が出そうだし。
第二話
 トリックらしいトリックは1つだけだけど、この作者らしくて満足。
第三話
 話を面白くするために死亡推定時刻に言及しなかったのはかなり問題かと思う。トリックもミエミエだし。
第四話
 本全体の仕掛け、というかオチは面白い。しかしながらこのトリックは勘弁してください。考えた人はいるだろうけど、普通は書かないよなあ。

No.5 6点 蟷螂の斧
(2016/03/02 21:36登録)
各編のトリックは、バカミス気味?であまり現実味があるとは思えないのですが、ある仕組みが隠されているところは気に入りました。この仕組みは翌年(2015)発表された某作品で応用されていますね。応用した方が巧かったかも(苦笑)。なお、某シリーズの二番煎じ、三番煎じのそしりを避けるためなのか?結末は著者の心意気を感じることができました。

No.4 6点 mozart
(2015/03/04 16:54登録)
それぞれの話が、いつも通りのギャグが鏤められていながらも中身はしっかり「本格」だったのでかなり楽しめました。最終話での仕掛けも、ほのぼのとしたエンディングにも好印象を持ちました。

No.3 6点 名探偵ジャパン
(2015/02/19 17:05登録)
「ガンダム」後のリアルロボットアニメ。あるいは、「ストⅡ」後の対戦格闘ゲーム、あるいは、「エヴァンゲリオン」後の、謎ばらまきアニメ。
ヒット作の生まれたポイントには、二匹目のどじょうを狙おうと、我も我もと押しかけるのが世の常で、ミステリ界も例外ではない。
そもそもホームズの大ヒットが後の名探偵ブームを生み出し、現在に至っているのだから。
店の美人店主がお客の持ち込む事件を聞いて謎を解く、安楽椅子探偵もの。今もっとも熱いミステリジャンルではないだろうか。
「この東川篤哉が、二匹目(三匹目とかそれ以上かも)のどじょうになってやろうではないか」と、堂々と立ち上がったのかどうかは知らないが。
この手の作品が、ともすれば安易な「キャラ萌え」に傾向しがちであることに、「本格ミステリとは、こういうものだ」と、我らが東川篤哉が叩きつけた挑戦状。それが本作である。
そもそも扱う事件すべてが、人が死ぬ血みどろの殺人事件。事件の惨劇度は回を追うごとにエスカレートしていき、最終話でその汚れ具合は頂点に達する。
そして迎える大団円。これには賛否両論出てくるだろうが、私は、作家、いや、ミステリ作家、東川篤哉の矜持を感じた。その気になれば、もっとこのシリーズで商売できたはずだ。
「流行り物に乗ったけど、俺、ミステリ作家だからね」
そんな作者の声が聞こえてくるような潔い結末だった。

No.2 6点 まさむね
(2014/12/23 08:50登録)
 舞台は鎌倉。探偵役の女性は極度の人見知り…ってあたりで「ビブリア古書店かよ!」と突っ込み,喫茶店そして女性のバリスタが探偵役…ってあたりで「珈琲店タレーランかよ!」と突っ込まざるを得ない舞台設定。そしてこの表紙って!
 東川篤哉氏だからこその芸当と言えるのですが,これらすべてを見事に「利用」した“全体構成”がお見事。(評価は相当に割れると思いますが…)
 ちなみに,内容としてはビブリア&タレーランとは一線を画す,十字架磔死体,首なし死体,バラバラ死体など,思いっきり人が死ぬ本格系統。これまた両作品とは一線を画す,東川流ユーモアも全開。個人的には結構好きなパターンの連作短編でしたね。

No.1 6点 kanamori
(2014/10/30 18:53登録)
古都・鎌倉の路地裏でひっそりと営む古民家風の喫茶店「一服堂」。その女性店主は、極度の人見知りながら、常連客が持ち込む4つの事件の謎を抜群の推理力で解いていく---------もし作者が近くにいたら、迷わず跳び膝げりを食らわしてしまいそうな、開き直りのまんまビブリア風設定の連作ミステリ。

とは言っても、中身の方は日常の謎ではなく、十字架に磔にされた死体や、首なし死体、密室のバラバラ死体などが出てくる、猟奇的な殺人ばかりで、”文字どおり”安楽椅子探偵モノのガチ本格で揃えています。
ただしパロディ要素の強いギャグは若干スベリぎみですが。
個別に見ていくと、真相の絵柄がシュールでバカミス風トリックの第2話も面白いですが、やはり最終話「バラバラ死体と密室の冬」が本書の白眉でしょう。連作を通して仕掛けられたある趣向が、密室トリック解明のカギとなるという構成の妙を評価したいと思います。伏線が不足ぎみも、表紙絵やタイトルの「四季」が上手い(あざとい?)ミスディレクションになっています。

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