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ミステリの祭典

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人柱はミイラと出会う

作家 石持浅海
出版日2007年05月
平均点5.43点
書評数7人

No.7 5点 メルカトル
(2020/09/17 22:25登録)
留学生リリー・メイスは、日本で不思議な風習を目にした。建築物を造る際、安全を祈念して人間を生きたまま閉じ込めるというのだ。彼ら「人柱」は、工事が終わるまで中でじっと過ごし、終われば出てきてまた別の場所にこもる。ところが、工事が終わって中に入ってみると、そこにはミイラが横たわっていた。黒衣、お歯黒、参勤交代―。パラレルワールドの日本で展開する、奇っ怪な風習と事件の真相とは。
『BOOK』データベースより。

SFファンタジーで登録されていますが、やはり本格ミステリに分類されるべき作品集だと思います。
日本古来からの習わしというか慣習を事件や殺人に絡めるという、新たな試みに挑んだ異色作ではないでしょうか。未だに残る人柱やお歯黒、参勤交代といった日本独特の文化が残る社会で起こる殺人。凄く違和感があります。何のために今さらそんな風習を?と思いますが、その異様な設定こそが作者の狙いであります。おそらくはシリーズの第一弾のトリックを活かすために、そのような無謀な戦略に出たのではないかと思います。もし設定が先にありきだとすれば、それはそれで凄いですが。

それにしても、やや強引な面は否めません。特に『ミョウガは心に効くクスリ』などはかなり無理がありますね。ある行為の動機があまりにも不自然です、そんな意味不明な行動で犯人の目的が達成できるとは到底思えません。それに一種の暗号の様なそれは、誰もが気付かなければ意味がないのではないかと。たまたま頭の切れる探偵役がいたから謎が解けましたが、普通は見過ごされて然るべきでしょうね。

No.6 4点 まさむね
(2015/01/04 23:22登録)
 人柱,黒衣,お歯黒,厄年,参勤交代やらの日本古来の風習が,今でも生活に密着した形で残っている…という設定自体は面白いと思います。探偵役が「人柱職人」で,アメリカからの留学生リリーがヒロイン的役回りというのも良く考えられています。
 しかし一方で,各短編のロジックは微妙。いくらなんでも強引すぎない?…ってことで辛目の点数に。

No.5 3点 いけお
(2010/09/16 18:44登録)
質はいいが、プロットの日常っぽさとテーマの非日常の違和感に馴染めなかった。

No.4 10点 美来
(2010/04/02 12:51登録)
いいですね。各短編で扱っている、日本独自に発展したモノゴトが可笑しい。

No.3 5点 なの
(2008/11/14 16:49登録)
山口雅也の日本殺人事件みたいな、とんでもJAPANミステリ
なんつーか可も無く不可も無く・・・手堅いんだが何なんだか

No.2 6点 dei
(2008/07/30 18:20登録)
派手さは無いが、うまい
シンプルなつくりなので好みは分かれると思う

No.1 5点 こう
(2008/05/25 03:14登録)
 設定がパラレルワールドでそこで人柱である主人公が周囲に起きた謎をロジックで解き明かす短編集です。
 個人的には読み物として楽しみましたが推理小説として楽しめるかは疑問。石持作品は普通の殺人事件を扱った方が作風としては活きやすいと思うのですがいつも民間人を探偵にしているためか特に短編は変な題材が多い気がします。

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