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ミステリの祭典

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メルカトルさんの登録情報
平均点:6.04点 書評数:1924件

プロフィール| 書評

No.44 5点 切断
黒川博行
(2010/06/05 00:23登録)
感情を可能な限りそぎ落としたかの如き文体が、異様なほどのクール感を醸しだしている。
しかしなあー、トリックは最初からネタ割れしているし。
よって高得点はあげられない、申し訳ないが。


No.43 9点 暗闇坂の人喰いの木
島田荘司
(2010/06/03 23:48登録)
御手洗シリーズの中で最も「雰囲気」のある作品だと思う。
特に少女が大楠に飲み込まれるシーンはショッキングである。
いかにも島田氏らしい大仕掛けも用意されているし、最後まで読者を飽きさせず読ませる筆力は賞賛に値する。
大作に相応しい、骨太な構成で読む者を圧倒する。


No.42 9点 ラッシュライフ
伊坂幸太郎
(2010/06/03 00:09登録)
伊坂氏の作品の中では、ミステリ度の高さは随一。
一見バラバラに見える4つのストーリーが最終的に繋がりを持ってくる展開は、見事の一語に尽きる。
それと最も評価したいのは、後味の良さである。
素晴らしい読後感、清々しさすら覚えるラストシーンは、今でも忘れられない。


No.41 7点 しあわせの書―迷探偵ヨギガンジーの心霊術
泡坂妻夫
(2010/06/03 00:02登録)
想像するに、作者はこのトリック(仕掛け)を思いついた為、わざわざそれに合わせたストーリーを考えたものと思われる。
だから、読者にはどうしてもありきたりな展開に写ってしまうのだろう。
はじめにトリックありきなので、ミステリの様々な魅力を端折る形になってしまっているのは残念だが、一読の価値があることは間違いない。


No.40 9点 姑獲鳥の夏
京極夏彦
(2010/06/02 00:39登録)
初版が刊行されると同時に読んだのだが、あの夏は一生忘れないだろう。
書店に平積みされていた時点で、この小説には明らかにこれまでに経験した事のないオーラを感じたし、新たな時代の到来を予感させるに十分な装丁を纏っていたように思う。
ただし本作にトリックはない。
見えるとか見えないとか、トリックだと思うから腹が立つのであって、エンターテインメントと割り切れば瑣末な問題だと気付くであろう。
純粋なミステリでないのでマイナス1点。


No.39 7点 星降り山荘の殺人
倉知淳
(2010/06/02 00:07登録)
これは騙されますわ。
決してアンフェアではないと思う。
ミステリ・マニアやミステリ・ファンの心理を逆手に取った、見事な仕掛けであろう。
その割に点数が低いのは、中身がやや希薄な為。


No.38 7点 マジックミラー
有栖川有栖
(2010/05/30 23:57登録)
双子が出現した時点で怪しいのだが、双子をそのようなトリックで持ってくるか、と感心することしきり。
時刻表の苦手な自分にも納得できる、斬新な仕掛けだと思う。
この著者の作品の中でもひときわ異彩を放つ異色作。


No.37 6点 弥勒の掌
我孫子武丸
(2010/05/29 22:06登録)
なぜかパチンコ店での、主人公の刑事とオカマの情報屋とのやり取りのシーンが強く印象に残っている。
逆に言うと他の場面が薄いイメージ。
ラストのオチも強引過ぎるというか、偶然に頼りすぎな気がする。
残念ながらあまり驚けなかった。


No.36 6点 行方不明者
折原一
(2010/05/29 21:49登録)
折原ワールド全開とはいかないが、安定感はいつも通り。
しかし、その安心感が中だるみを生み出すのと、一家4人殺害事件の動機が弱すぎるのがマイナス要因となる。
全体を通して可もなく不可もなし、と言ったところ。
折原作品にしてはやや緊迫感に欠けるのは残念だが、並行する二つの事件を上手く収束しているのは流石である。


No.35 6点 芋虫 江戸川乱歩ベストセレクション2
江戸川乱歩
(2010/05/28 23:26登録)
「芋虫」のみの書評です。

両手両足を失いながら奇跡的に助かった傷痍軍人、聞くことも話すこともできない、そんな夫を表向きは献身的に支える貞淑な妻。
しかし、その裏では無力な夫を弄ぶことに異常な快感を覚えていく。
グロテスクの極致を容赦なく描いた乱歩の隠れた名作。
乱歩自身が言うように、反戦小説ではない。
これは人間の悲しい性を描いた、グロテスクな仮面を被った感動のヒューマンドラマだ。


No.34 2点 リアル鬼ごっこ
山田悠介
(2010/05/27 23:58登録)
まさかそんなオチはないだろうな、と思ったら予想通りで逆に驚いた。
期待した自分がバカだったのである。
でも最後まで読んだので、2点あげる。


No.33 5点 そして五人がいなくなる
はやみねかおる
(2010/05/27 23:47登録)
大人の読み物としてはどうかと思うが、取り敢えず探偵役の夢水清志郎のキャラで、最後まで読めはした。
しかし、子供向けとは言え、トリックや動機がミエミエで短絡的過ぎるようだ。
おそらく中学生が読んでも飽き足らないのではないかと思う。


No.32 6点 イニシエーションラブ
乾くるみ
(2010/05/27 00:03登録)
これは・・・ミステリですか?
確かに数々の伏線はミステリの流儀に則ってはいるし、最後の叙述的仕掛けはミステリ以外の何物でもない。
しかし敢えて言わせてもらうと、これはまぎれもなく恋愛小説だ。
一般の読者にとってはどうだろう、やはり本作をミステリとは思わないのではないか。
中立的立場に立てば、どう考えても恋愛小説としか思えない。
でもそれなりに楽しめたので、それで十分かな。


No.31 9点 匣の中の失楽
竹本健治
(2010/05/25 00:01登録)
読んでいて眩暈がする構成。
『虚無への供物』の発展系ともいえる、メタ構造は究極の作中作といっても過言ではないと思う。
登場人物が多い為、一読すると煩雑に感じるかもしれないが、読み込むほどにキャラが立ってくるのを実感できる。
推理合戦を純粋に楽しめる、ミステリの極北。


No.30 7点 告白
湊かなえ
(2010/05/24 23:35登録)
この作品は果たしてミステリなのだろうか。
第一章と最終章だけなら満点をあげてもよいと思う。
その他の章は、付け足しのような感覚を最後まで拭えないまま読了してしまった。
しかし、読み応えは十分だし、様々な問題提起は評価できるのではないかと。

それにしても、これはミステリの新しいカタチなのか?
新社会派の誕生と言ってもよいのだろうか。


No.29 8点 乱れからくり
泡坂妻夫
(2010/05/24 00:55登録)
さすがに犯人の正体は最後まで気付かず。
それにしてもこの作者の頭の構造はどうなっているんだ、脱帽だよ。
冒頭から物語に引き込まれる事間違いなし。


No.28 7点 花の下にて春死なむ
北森鴻
(2010/05/22 23:59登録)
格調高い文体、尚且つスタイリッシュ。
いわゆる日常の謎を扱った連作短編集だが、どこか一味違うのは、やはり表題作で人間の悲哀が嫋々たる文体で綴られている故だろう。
それに特筆すべきはなんといっても、バーで出される旨そうな料理の数々だ。


No.27 2点 殺人鬼2
綾辻行人
(2010/05/22 00:54登録)
もしかしたら、私のミステリ史上、読んだ事を最も後悔した作品ではないかと思う。
大量殺戮シーンは、これはダメだ、生理的に受け付けない。
心臓の弱い人は読まないほうが無難であろう。


No.26 8点 まほろ市の殺人 秋
麻耶雄嵩
(2010/05/22 00:47登録)
本シリーズ中では最高の出来だと思う。
あまり期待してなかっただけに、意外な拾い物をした感じ。
それ程伏線は張っていないが、勘の良い読者なら犯人は途中で分かってしまうだろう。
犯人の残していく遺留品の暗号の真相には思わず唸らされた。


No.25 5点 夜のピクニック
恩田陸
(2010/05/14 21:29登録)
巷の評価と自分の感性の違いを再認識させられた作品。
展開が平坦すぎて盛り上がりに欠ける。
設定そのものは惹かれるものがあるが、もう少し何とかならなかったものか。

青春小説として、これは面白いのか?
正直、疑問だ。

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