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ミステリの祭典

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江守森江さんの登録情報
平均点:5.00点 書評数:1256件

プロフィール| 書評

No.956 6点 陰の季節
横山秀夫
(2010/07/13 17:50登録)
韓国ドラマの不発から昼間に再放送される機会が格段に増え、表題作を含みドラマを先に観た。
主演の上川隆也も悪くないが、久々にドラマより原作の方が楽しめる作品だった。
「臨場」でも思ったが先に原作を読みたかった(ドラマ優先で久々に敗北感があった)
今まで読んだ限り横山秀夫の短編にハズレはない!


No.955 6点 ミステリーを科学したら
評論・エッセイ
(2010/07/13 17:41登録)
法医学の第一人者・上野正彦《「死体」を読む》と並ぶミステリの科学者視点での分析本の双璧だろう。
作者の小説は読んでいないがドラマ化されたドクター小石シリーズは何作か観ていて、褒められた作品ではなかったが、下手に科学的知識があると創作の邪魔になるのかも知れない。
そんな事は関係なく、普段とは違う視点からミステリを眺めてみるのも楽しい。
例に挙がる作品共々読めばミステリの楽しみが格段に広がる。


No.954 2点 椿山課長の七日間
浅田次郎
(2010/07/13 17:22登録)
映画もドラマも録画してあり、原作と合わせて一気に楽しんだ。
映像化作品は若い美女の姿で甦るが、原作は中年美女と微妙に違う。
七日間限定の甦りファンタジーで私的なミステリーの範疇外なので2点としたが、一般分野では映像作品込みで満点でも良いだろう。
登場人物達のキャラからストーリー、さらには細かな笑いまでエンターテインメントを極めている。
それでも、西田敏行&伊東美咲の映画が一番のお気に入り。


No.953 5点 踊る大捜査線
君塚良一
(2010/07/13 17:04登録)
映画宣伝で先月までコツコツ再放送されていた連続ドラマ(最終回まで)のノベライズ。
ストーリー的にはドラマに忠実な内容で、一応警察小説に分類されるのだろう。
本来ならドラマを観れば充分だ!と評するのだが、章毎に本来脇役な人物を視点人物にする工夫がされ心情も描かれるので是非ともセットで楽しみたい作品になっている。
映画を観る前のドラマ復習にも役立つ。
好きだとは思っていなかったが、再放送にノベライズとナカナカ楽しめた。
いかりや長介は名優だったとシミジミ思う。


No.952 2点 ハスキル人
高木彬光
(2010/07/13 16:15登録)
作者のSF作品集で、中編の表題作に短編(読み飛ばしたので何編あったか忘れた)のオマケ付き。
私的なミステリーの範疇にはないので2点だが、笑える表題作にハジケタ短編のセットで裏の代表作との声も一部にはある。
初期の少年向け探偵小説にも、やたらとSF設定が登場してた事から、この手の妄想作品を書くのが好きだったのかもしれない。
私的に普通のSFは嗜好の範疇外なので一般的評価も上がらない。


No.951 3点 チェンマイの首
中村敦夫
(2010/07/13 15:00登録)
現在NHKで放送中の「鉄の骨」に中村敦夫が重要な役回りで出演していた。
TBS系放送のドラマ「結婚したい女」→「日本悪妻に乾杯」でのコミカルな演技と、競輪中継(中野浩一が現役の頃)の解説で好きな俳優の一人だった。
そんな作者が突然執筆活動を始め、いきなりベストセラーを出した。
国際諜報ハードボイルドで、赤坂で発見された首なし死体の謎をタイまで追うアジア三部作の第一弾。
所詮は俳優の手慰みで面白くなかったし、話題性でこの作品のみ売れたが以降は尻すぼみだった。
それでも、ゴーストライター作品ではない事は後のニュース番組や政治活動で実証されていると思う。


No.950 5点 朝は死んでいた
梶山季之
(2010/07/13 14:30登録)
作者の最初期の長編で週刊文春に連載された作品。
作者にしては珍しい厳然とミステリー分野に分類される作品でもある。
しかし、週刊誌のトップ屋が事件を取材しながら紐解く作品でトリックやロジックはなく、締切でのタイムリミットも強調されない為に、作者らしい面白さが存分に発揮されたとは言えない。
それでも、取材過程が綿密に描かれる点と後に発揮されるサービス精神が垣間見れて嬉しい。


No.949 6点 ジャッカルの日
フレデリック・フォーサイス
(2010/07/13 13:45登録)
昨日テレ東で映画版の放送があった。
冒頭の史実に沿った時代背景描写から、テロ描写に移り、どこまでが隠された事実で、どこまでが創作なのか分からせないあたりは非常に楽しい。
原作は、映画では端折る部分も綿密に描写され読ませる。
しかし、スリラーとして展開を追うと、時代を感じさせるアナログなテロで、ご都合主義に予定調和まで加わる展開に、今では陳腐に思える。
どうせなら史実をひっくり返して暗殺成功にしてしまえば良かったと思える(所詮小説なのだから非難されないだろう)
「ゴルゴ13なら仕留めていただろう」なんて事を日本人なら考えてしまうのも玉に瑕。
※余談
暗殺を企てられるレベルの政治家はケネディにしろドゴールにしろ空港名として名が残る。
そのうち日本でも空港名に名を残す政治家が現れるだろうか!


No.948 6点 第三の時効
横山秀夫
(2010/07/13 13:25登録)
先月「囚人のジレンマ」そして昨日「第三の時効」のドラマ版がTBSで再放送された。
内容が濃いとはいえ短編を二時間ドラマ化するとやや間延びするのは致し方ないのかもしれない。
先頃、日本でも殺人事件は時効撤廃になり、時代性を求められる社会派ミステリーも今後は、時効の盲点を利用した作品だと時代の流れに埋もれる運命にある。
それでも、第二の時効(ミステリ的には使用過多で有名)まで早々に晒し、その先の盲点である第三時効までも利用した結末の捻りは時代に埋もれるには惜しい作品だと思う。
どこかの書評で「横山秀夫の短編にハズレ無し」と書かれていたが言い得て妙だ。


No.947 4点 殺しのバンカーショット
西村京太郎
(2010/07/13 09:43登録)
トラベルミステリー量産までの西村京太郎はバラエティーに富んでいた。
なかでも誘拐や脅迫などのクライムサスペンスは得意分野だろう。
ゴルフトーナメントの脅迫をメインにゴルフ業界を描いている。
何故だか十津川警部が登場するサスペンスには、やっつけ仕事感が漂ってしまうのが残念ではある。
ゴルフ物としてもさほど面白くない。


No.946 5点 一千万人誘拐計画
西村京太郎
(2010/07/13 09:25登録)
初期の本格短編集。
数ヶ月前に二時間ドラマ化された表題作が気になり読んでみた。
二時間ドラマでは、短編をドラマ化した弊害が出て膨らませ過ぎだったが、原作は引き締まっていた。
他の収録作品も水準レベルにあるが、一番良い作品を法月アンソロジーで読んでいたのが私的な評価に影響した。
トラベルミステリーの量産体制に入るまでの西村京太郎は、間違いなく国内本格ミステリの第一人者だった!


No.945 2点 小袖日記
柴田よしき
(2010/07/13 08:53登録)
私的に、ちょっとした理由で「源氏物語」の上っ面を勉強せねばならなくなり、友人から薦められた一冊。
失恋した主人公が平安時代にタイムスリップして源氏物語執筆者のアシスタントをしながら自分の恋愛を見つめ直す話で、先に原典要約をあたってから読んだので、楽しかった。
緩〜いミステリー的ではあるがタイムスリップ物や乗り移り物は私的なミステリーの範疇外なので2点(一般小説での評価や楽しさは原典への興味次第だろう)
※余談
「源氏物語」はどう考えても平安時代の恋愛‘官能’小説で、古典の授業で教える題材ではないと思うのだが?
もっとも道徳の題材にされ、子供に質問されたら親の側はタジタジだろう。


No.944 3点 秘密諜報員ベートーヴェン
古山和男
(2010/07/13 08:28登録)
タイトルに釣られて読んでしまったが、新説検証歴史論文みたいな代物だった(新潮新書な時点で疑わなかった私が馬鹿でした)
ベートーヴェンの「不滅の恋人よ」と呼びかける誰に宛てたか不明な実在する3通のラブレターが、暗号で書かれた密書だった、との衝撃(妄想)的仮説を様々な論拠で裏付け展開される。
ベートーヴェンが本格的なスパイだと論じるのではなくナポレオン側のパトロンに単に情報提供していた、といった話でミステリー的興味からは外れていた。
私的には興味がないが、ベートーヴェンの曲に興味があれば(作者が音楽家であり)この作品で紹介される有名曲を演奏したタイアップCDを購入して聴いてみるのも一興だろう。


No.943 4点 凍える牙
乃南アサ
(2010/07/13 08:02登録)
私的評価の高い女優である木村佳乃の主演でスペシャル・ドラマ化された時に図書館予約したら漸く順番が来た。
前半は捜査小説で、やり取りが面白かったのに、後半は私的なミステリーの範囲外な動物小説になった感がある。
もっとも、ミステリーではない部分こそが読ませ所で、その評価が直木賞受賞に繋がったのだろう。
私の嗜好するミステリと直木賞とは相容れないと再確認しただけの読書だった。
※余談
ドラマも実際の主役はオオカミ犬で、木村佳乃の良さは発揮されていないと思う。


No.942 4点 トライアングル
新津きよみ
(2010/07/13 07:36登録)
連続ドラマを先に観てから図書館予約した関係で読めるまでにやたらと時間を要してしまった。
原作とドラマがかなり違う設定だとの情報が先立ち図書館での予約数が他のドラマ化作品に比べて多く感じられた。
しかも蔵書数が少ない為か、回転効率が悪かった。
怪しい人物が週毎に変わる展開で、意外な犯人演出の為、結末がグダグダだったドラマとは違っていたが、待った期間分程には原作が良かった訳でもなく残念だった(ドラマの細かい部分を忘れた頃に原作を読む最悪な読み方になったのが敗因)


No.941 2点 連合艦隊ついに勝つ
高木彬光
(2010/07/12 12:27登録)
無敵艦隊(スペイン)ついに勝つ!
ワールドカップ(南アフリカ大会)優勝おめでとう!
って書きたい為に今日まで登録せずに温存していた作品。
タイムスリップ型「もしも〜」戦記シミュレーション小説。
戦争関連の読み物は嫌いだが、作戦面を中心にした戦記だけは嫌悪感なく読める。
私的にミステリーの範疇に含めないので2点だが、高木彬光の代表作の一つなのは間違いない(一般なら7点)
妄想を発展させ、タイムスリップ小説にして勢いで書ききる辺りは作者らしさが存分に発揮されていてファンには嬉しい。
所々に史実に合わない誤解があるのもご愛嬌。
最終的に日本は敗戦国になりタイムパラドックスは起きない。


No.940 6点 「死体」を読む
評論・エッセイ
(2010/07/10 22:59登録)
《「藪の中」の死体》を改題文庫化した作品。
日本での法医学の第一人者である作者が、横溝「犬神家の一族」(松本清張・森村誠一も)から法医学書まで、文字で描かれた死体から事件を推理する。
谷崎潤一郎「鍵」からは性交死に迫り読み応えがある。
白眉は芥川龍之介「藪の中」(作品添付有)を法医学分野から解析して犯人を割り出した章だろう!
評論とは違う切り口でミステリを分析するのも偶には面白い。


No.939 3点 ギャンブルのトリック
事典・ガイド
(2010/07/10 22:41登録)
マジックのタネ本の類だが、ギャンブルのイカサマの手口を分類紹介していて、それがミステリのトリックに通じていて参考になる。
そのトリックが使用された実話やミステリ(カー)や映画(スティング)などもボカシながら紹介していて楽しめた。
基本的にはカード・コイン・ロープのトリックを中心に図解付き。


No.938 5点 落語娘
永田俊也
(2010/07/10 22:32登録)
正月、HDDに撮りだめしていた一般映画を早送り中心に観ていたら落語物の映画が二本あった。
その内の一本で、途中からホラー・ミステリーに転じた。
ヒロインのミムラが嫁に似ていて非常にチャーミングで嬉しくなって保存版にした。
図書館検索で原作がある事が分かったのでおさらいして来た。
落語にのめり込んだ娘が名人に弟子入りを断られ、異端の師匠に引き取られる。前半は噺家の日常を面白オカシク描くだけだが、途中から人を取り殺し40年封印された噺を師匠が演じるホラーになり、最後は落語&ミステリ&ホラーを混ぜたオチでホノボノと終わる。
愛川晶の落語ミステリに迫れる作品だが中編一本で終了なので評価は抑えた。


No.937 4点 誤算
松下麻理緒
(2010/07/10 22:05登録)
横溝正史ミステリ大賞・テレビ東京賞受賞作品で当然のごとくドラマ化された。
先週日曜に再放送していたのを観たら案外面白かったので図書館で原作をおさらいして来た。
貧乏クジを引き続けたヒロインが資産家の住み込み看護士として雇われ遺産相続のチャンスが巡ってくる。
そこで資産家が殺され相続争いと犯人探しでドタバタする。
ドラマでは微妙に結末を変えたが、基本的に一般人には盲点な法律知識を利用したサスペンス。
法律の専門家以外だとネタに困るのか新作は書かれていない。

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