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ミステリの祭典

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nukkamさんの登録情報
平均点:5.44点 書評数:2940件

プロフィール| 書評

No.1380 5点 牝牛は鈴を鳴らす
E・S・ガードナー
(2016/07/01 16:39登録)
(ネタバレなしです) 1950年発表の本書はシリーズ探偵の登場しない冒険スリラーですが後半には法廷場面が用意されているのがガードナーらしいです。明確な探偵役を置かず、それなりに意外性のある結末ながらも謎解き伏線は十分とはいえないように感じられます。(古い翻訳のハヤカワポケットブック版ながら)テンポのいいストーリーテリングでぐいぐいと読ませます。


No.1379 5点 おいしいワインに殺意をそえて
ミシェル・スコット
(2016/07/01 16:28登録)
(ネタバレなしです) 米国の女性作家ミシェル・スコットが2004年に発表したコージー派ミステリーのデビュー作です。ワインに合う料理レシピが紹介されているのが特徴ですがそれ以上に印象に残るのが人物描写のうまさです。端役的な人物までしっかり書き込まれており子供の描写も卓抜で、コージー派作家の中でも上位に来るのではないでしょうか。行動型探偵が手掛かりにぶつかってそのまま真相が明らかになるという、コージー派によくありがちな謎解きプロットで推理要素が少ないのが物足りないですが筆力は確かです。


No.1378 5点 踊るドルイド
グラディス・ミッチェル
(2016/07/01 16:19登録)
(ネタバレなしです) 1948年発表のミセス・ブラッドリーシリーズ第21作です。クロスカントリーの最中に道に迷った男がたどり着いた家から病人を運ぶのを手伝う羽目になります。その病人は頭まで毛布で何重にもぐるぐる巻きにされていて、病人ではなく死人ではないかと不安になった男は途中で逃げ出しすのですが自分の身体に血のようなものが付いているのに気がつくという、本格派推理小説というよりはスリラー小説みたいな展開です。ほとんど回り道なしで物語が進むのでミッチェル作品としては読みやすく感じましたが読みやすかったのは前半まで。メインの謎がはっきりしないままに捜査が何となく進み何となく謎が解けてしまった、そんな読後感が残りました。ミセス・ブラッドリーよりも秘書のローラの方が目立っていたような印象を受けました。


No.1377 6点 ベベ・ベネット、死体を発見
ローズマリー・マーティン
(2016/06/30 16:52登録)
(ネタバレなしです) 2005年発表の本書は歴史ロマンスや歴史ミステリーを書いている米国の女性作家ローズマリー・スティーブンスがマーティン名義で発表した、ベベ・ベネット三部作(本国では「Murder A-go-go Mystery」)の第1作です。作中時代を1960年代にして当時の音楽ファンには懐かしいアーティスト名が登場し、女性作家ならではの細やかなファション描写も印象的です。ユーモアとどたばたに満ち溢れたスピーディーな展開はページをめくる手が止まりません。解決が場当たり的になっているのがちょっと惜しいですが、それでもコージー派ミステリーとしては謎解きをおろそかにしないプロットに仕上がっています。


No.1376 3点 猫はペントハウスに住む
リリアン・J・ブラウン
(2016/06/30 16:42登録)
(ネタバレなしです) 1990年発表のシャム猫ココシリーズ第11作で、「猫はスイッチを入れる」(1968年)の舞台だったジャンクタウンが再登場します。もっとも本書では高層アパートメント「カサブランカ」がメインに描かれていてあまり街中の描写はありませんけど。個性的な住人描写やグルメ猫のココが意外なものを食べたりしている場面はそれなりに楽しめますが、ココのスクラブルゲームにほとんど頼ったような謎解きは推理気分が味わえませんでした。


No.1375 6点 殺人をしてみますか?
ハリイ・オルズカー
(2016/06/30 16:39登録)
(ネタバレなしです) 米国のハリイ・オルズカー(1923頃ー1969)は1958年発表の本書がミステリー第1作となりますがもともとテレビやラジオの作家としての実績があるためか文章は手馴れた感があり、とても読みやすい作品です。面白いのはフェルダー警部シリーズの第1作であるにもかかわらず主人公は別におり、登場場面の少ないフェルダー警部は要領のいい脇役といったところでしょうか。ユーモアに満ちた軽いタッチの作品ですが本格派推理小説としてしっかり謎解き伏線を張ってあるのが好ましく感じられます。


No.1374 7点 もうひとりのぼくの殺人
クレイグ・ライス
(2016/06/30 16:33登録)
(ネタバレなしです) マイケル・ヴェニング名義で書かれたメルヴィル・フェアシリーズ第2作で1943年に発表されました。巻き込まれ型サスペンス風のプロットが特徴ですがそこに自分(主人公)の素性を探る謎解きを絶妙にからませています。犯人当て本格派推理小説としてもよく出来ており、事件の背後に隠れていた大仕掛けのたくらみと皮肉な結末が印象的です。そして何ともしみじみした最終章の後日談がライスならではの締めくくりです。


No.1373 5点 ポジオリ教授の冒険
T・S・ストリブリング
(2016/06/30 13:14登録)
(ネタバレなしです) 2004年になって出版されたポジオリ教授シリーズ第三短編集ですが収録されているのは1929年から1935年にかけて発表された第二期の作品群です。つまり第二短編集の「ポジオリ教授の事件簿」(1975年)に収められた第三期の作品よりも先に書かれた作品が収められているわけです(ややこしい)。中編1作と短編8作で構成されていますが、「銃弾」や「ピンクの柱廊」で二転三転する推理に圧倒される一方で「パンパタールの真珠」や「プライヴェート・ジャングル」では解決したのかどうかさえはっきりしない結末になっていたりと良く言えば多彩、悪く言えばとらえどころのない作品が並んでおり、明らかにマニア読者や研究家向きの短編集でしょう。中編「つきまとう影」もユーモアとサスペンスが出色で大胆な推理も印象的ですがそれでいてすっきりしない締めくくりの怪作になっています。


No.1372 5点 フレンチ警部と毒蛇の謎
F・W・クロフツ
(2016/06/29 20:41登録)
(ネタバレなしです) 1938年発表のフレンチシリーズ第18作の本書は倒叙本格派推理小説です。但し創元推理文庫版の巻末解説でも紹介されているように主人公の役割が他の倒叙推理小説と異なるところに本書の工夫があり、殺人場面の直接描写もありません。それでも犯人の正体はみえみえなのですが、ハウダニットに関しては読者に対して最後まで謎として残るようにしています。もっともこのトリックは読者が推理で見破るのは至難の業と思いますけど(フレンチだって証拠確認のために警察力に頼っているし)。


No.1371 6点 作家の妻の死
ロバート・バーナード
(2016/06/29 20:36登録)
(ネタバレなしです) 1979年発表のシリーズ探偵の登場しない本格派推理小説です。序盤は登場人物の関係がちょっとわかりにくかったですがそれが整理された中盤以降は大変読みやすいです。真相は過去のミステリー作品に類似例のあるものでしたが、しっかりしたプロットと過不足のない人物描写で十分に楽しめる内容でした。


No.1370 5点 暗い迷宮
ピーター・ラヴゼイ
(2016/06/29 20:29登録)
(ネタバレなしです) 1997年発表のピーター・ダイヤモンドシリーズ第5作で、記憶を失った女性「ローズ」(仮の名前です)の物語とダイヤモンドの物語の2つが交互に描かれ、やがて1つの流れになるというプロットです。本格派推理小説としての面白さは残念ながら前作「猟犬クラブ」(1996年)から後退しており、ダイヤモンドは何が起きたかという事件の再構築はするものの犯人を絞り込む推理プロセスの説明が弱いです。とはいえハヤカワ文庫版の600ページの厚さが苦にならない語り口の巧さはお見事でユーモアとサスペンスにも不足していません。


No.1369 6点 猫は留守番をする
リリアン・J・ブラウン
(2016/06/29 20:22登録)
(ネタバレなしです) 1992年発表のシャム猫ココシリーズ第14作は容疑者の重複はありませんけど前作「猫は山をも動かす」(1992年)の後日談的な要素があります。最初の3分の1がジム・クィラランのスコットランド・ツアー参加(ココは当然留守番です)を描いたトラベル・ミステリー風になっているのが珍しいです。特に読者を惑わすような仕掛けもないので謎解きはわかりやすいです。あまり脇道にそれずにすっきりしたプロットで読みやすいのですが、あっさり流れ過ぎかなという贅沢な不満も残りました。


No.1368 5点 夜ふかし屋敷のしのび足
コニス・リトル
(2016/06/29 20:17登録)
(ネタバレなしです) 米国のコンスタンス・リトル(1899-1980)とグウェニス・リトル(1903-1986)の姉妹はコニス・リトルという合作ペンネームで1930年代から1950年代にかけてミステリーを書きました。シリーズ探偵は生み出しませんでしたがどの作品もタイトルに「Black」を付けて統一しているようです(本書の英語原題は「The Black Paw」)。「Black」といっても作風はユーモア本格派推理小説で、1941年発表の本書も戦時中の作品ということを全く感じさせません。ある事情で手紙を盗み出すためにメイドとなって屋敷に潜り込む羽目になった主人公がメイド経験がないなりに頑張って働くのかと思いきや煙草を吸ったり風呂に入ったりするシーンがやたら多く、さぼってばかりですね(笑)。ストーリーにリアリティーを感じさせるところなど微塵もありませんが、これだけ徹底しているとかえってそれなりに面白く読めます。推理はちょっと弱いけど一応謎解き伏線も用意されています。


No.1367 6点 神の家の災い
ポール・ドハティ
(2016/06/28 17:38登録)
(ネタバレなしです) 1992年発表の修道士アセルスタンシリーズ第3作の本書はロバート・ファン・ヒューリックのディー判事シリーズを彷彿させるモジュラー型のプロットが特徴で、アセルスタンが3つの独立した事件を解決します。モジュラー型としては事件の描き分けのバランスが悪く、修道院連続殺人事件にかなりのページを割いています。とはいえこの事件はサスペンスが濃厚でこれだけでも十分におなか一杯になれます。死の部屋の連続怪死事件の謎の魅力も強力で、別の小説にしてもおかしくないほどの内容です。純粋にトリックのみの謎解き(犯人当てではない)にしているのと解決が唐突かつあっさりしているのが少々物足りないですが。教会の死体が引き起こす奇跡の謎は事件性が感じられないこともあって、扱いが小さいのも不満に感じませんけど(笑)。丹念な推理を期待すると肩透かしを食らいますがぜいたくに盛り込まれた謎のオンパレードは読み応えたっぷりです。


No.1366 6点 マハーラージャ殺し
H・R・F・キーティング
(2016/06/28 17:33登録)
(ネタバレなしです) 1980年発表の歴史本格派推理小説で「パーフェクト殺人」(1964年)以来2度目となるCWA(英国推理作家協会)ゴールド・ダガー賞を獲得した作品です。作中時代を1930年に設定した歴史ものではありますがマハーラージャの宮殿というあまりに特殊な舞台のためか時代性はそれほど感じられませんでした。キーティングの作品では大作の部類に入り、プロットも複雑ですが作者のストーリーテリングが冴え渡って読みやすいです。凶器に未知の植物が使われているのがちょっと気になりますが謎解き自体は古典的で、探偵役が容疑者を1人ずつ犯人候補から外しながら犯人を絞り込む解決場面が面白いです。できればゴーテ警部シリーズをいくつか読んでから本書を読むことを勧めます。


No.1365 6点 狡猾なる死神よ
サラ・スチュアート・テイラー
(2016/06/28 17:28登録)
(ネタバレなしです) 米国のサラ・スチュアート・テイラー(1971年生まれ)はジャーナリスト出身の女性作家で、2003年発表のスウィーニー・セント・ジョージシリーズ第1作である本書でミステリー作家としてデビューしました。創元推理文庫版で「死と象徴に満ちた」と紹介されていたのでホラー小説みたいなものかと思ってましたがこれは完全に私の勘違いでした。作風は暗めですがオカルト要素の全くない本格派推理小説です。過去の事件と現在の事件を扱っているためか登場人物が多く、文学や美術用語も豊富に使われて頭の整理が大変でしたが文章は丁寧で緻密です。雰囲気重視の作品ですが謎解きへの配慮も怠りありません。


No.1364 4点 ライラック・ホテルの怪事件
キャロリン・キーン
(2016/06/28 17:21登録)
(ネタバレなしです) 1930年発表のナンシー・ドルーシリーズ第4作です。亡くなったエドワード・ストラッテメイヤー(1862-1930)に代わり、彼の娘であるハリエット・S・アダムズ(1892-1982)が概要を作りミルドレット・ワート(1896-2002)が執筆して完成されています。これまでの作品の中では登場人物が多くプロットも複雑で、小学校低学年クラスの読者にはやや難解でしょう(もっとも今の子供は私の子供時代より聡明な子が多いから本書程度は苦にしないかもしれません)。ただ「古時計の秘密」(1930年)や「バンガローの事件」(1930年)などで描かれていた、薄幸の人を助ける喜びの要素が本書はやや希薄です(もちろん事件解決を喜ぶ人はいますけど)。むしろ犯人(というより敵といった方がいいかも)の凶悪ぶりの方が印象に残ってしまいました。今回は未遂事件も含めると相当の悪事を働いていますので。


No.1363 6点 処刑宣告
ローレンス・ブロック
(2016/06/28 16:50登録)
(ネタバレなしです) 1996年発表のマット・スカダーシリーズ第13作です。二見文庫版の巻末解説によれば前作の「死者の長い列」(1994年)と本書はシリーズの中では謎解き要素を中心にしている異色作とのことです。それがハードボイルドを苦手とする私が本書を手に取った、いささか不純な理由なのですが。確かに本書は私のイメージするハードボイルドとは異なっており、過激な場面は皆無に近いです。生々しい暴力もなければ麻薬や酒やギャンブルに溺れて身を持ち崩す人間の惨めさをしつこく描くこともありません。アル中だったスカダーもごく普通の人にしか見えません。会話もドライではありますが挑発的でもなく威圧的でもなく平明な雰囲気が保たれています。スカダーが複数の事件を解決するプロットで、1つの事件が解決するとまた次の事件がという順繰りの展開なので混乱せずに読めます。短編をただ繋げたような単純な構成ではなく、それぞれの事件間に微妙な関係を持たせていて全体を引き締めているところが秀逸です。ただ巻末解説で本書のセールスポイントを密室と連続殺人としているのはいただけませんが(とても充実している解説ですけど)。


No.1362 5点 君を想いて
ジル・チャーチル
(2016/06/27 12:00登録)
(ネタバレなしです) 2004年発表のグレイス&フェイヴァーシリーズ第5作です。歴史描写(ついにルーズヴェルトが大統領就任)やブルースター兄妹の仕事ぶりから漂うユーモアなどは前作の「愛は売るもの」(2003年)を上回っていますが謎解きはまだ荒削りで、リリーの発見した犯罪の鍵も証拠としての説得力に富むとは言えないように思います。


No.1361 6点 クッキング・ママの超推理
ダイアン・デヴィッドソン
(2016/06/27 11:57登録)
(ネタバレなしです) 2001年発表のゴルディ・ベアシリーズ第10作です。ゴルディは相変わらず思い込みが激しく、その思い込みに従って場当たり的かつ執念深い捜査が延々と続きます。とはいえ棚ぼた式に犯人が判明することの多いこのシリーズでは珍しくも最後はゴルディがちゃんと推理で犯人にたどり着いており、一応は本格派推理小説を読んだ気分になりました。

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