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ミステリの祭典

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makomakoさんの登録情報
平均点:6.18点 書評数:862件

プロフィール| 書評

No.702 6点 ミステリなふたり a la carte
太田忠司
(2020/05/27 17:32登録)
シリーズものとして読めば楽しめます。
 今回は短編のお話がお食事とセットになった形になっています。
 相変わらず読みやすく内容が殺人事件の割に軽い雰囲気ですが、作者の小説はどれもですが、嫌味な感じは全くありません。これが読者によっては漫画チックでちょっと物足りないかもしれません。
 一つずつが短いのでちょっとした時間でも読むことができます。それなりに面白いが、とても素晴らしいというほどではないかな。


No.701 6点 もっとミステリなふたり
太田忠司
(2020/05/25 19:18登録)
 このシリーズはかなり短いお話ばかりですが、内容はそれなりに充実していると思います。
 さらにその中に京堂夫妻のエピソードが加わって結構楽しめるのです。 
 お話の内容がそれなりに猟奇的だったり重かったりしているのに、さらっと解決してしまう。読みやすいといえば読みやすいが、ちょっと物足りないような気もします。
 奇抜に見えるお話でも、解決があまりにスムーズなため、お話としてはあれれ、といった感じもしてしまいます。
 一話ずつが短く嫌味な話ではないので、ちょっとした生き抜きとして読むならなかなかです。


No.700 6点 影の斜塔
麻見和史
(2020/05/24 08:26登録)
 警視庁に文書捜査官なるものが果たしてあるのかいささか疑問ではありますが、本作品はその部署のシリーズもののようでした(シリーズはじめを読まず途中から読んだこととなりました)。
 絶対無理そうな捜査を申し付けられ、そこから直観のみ(のような)操作方法で、不思議と肝となるところを見つけ出してしまう。
 本当にこんな部署がありこんなミッションがまかり通っていたらむちゃくちゃのような気もしますが、お話を読んでいる分にはことに矛盾した感じは受けませんでした。
 それにしても警察内部ってこんな悪いやつばかりが出世しているのかなあ。
 まあお話として読むなら警察小説としては読みやすく悪くはないです。
 このシリーズは何冊か発行されているようです。ものすごく読みたいわけではないが、もうひとつふたつは読んでみようかなといった気にはなりました。


No.699 6点 やっぱりミステリなふたり
太田忠司
(2020/05/21 18:02登録)
 ミステリなふたりの3作目。
 太田氏の作品はかなり読んでいるつもりですが、このシリーズは初めて読みました。
 本格物の短編集です。不可解な殺人が出てきて愛知県捜査一課の氷のように鋭い女性警部補が担当するが、もう一つ解決できず、夫の優しい新太郎に相談する。
 夫はたちまちに事件を解決してしまうというワンパターンの短編ばかりですが、その中にちょっとしたスパイスが混ぜてありそれがなかなか面白い。
 事件そのものは結構猟奇的なものも含まれてはいますが、スラスラと読めてしまいます。
 作者の最近の長編はSF様のパロディーがかったものが多くちょっと寂しい。
 こんな長編がたくさん書けるのですから、もうちょっと温めて本格長編をお願いしたい。


No.698 8点 マツリカ・マトリョシカ
相沢沙呼
(2020/05/18 18:08登録)
このシリーズ1作、2作(ことに2作目)は主人公の柴犬君があまりにうじうじしすぎで、しょうもない話だなあといったところでしたが、3作目はがらりと様相が変わって、精緻な推理小説であり青春小説となっていたことにまず驚きました。
 シリーズ初の長編なのですが、マツリカさんの出番はかなり少なくなっています。従ってエロっぽい話は少なく青春を生きる若者たちの推理が主体です。かれらが次第に成長しつつ友情が芽生えてくるのも、なかなか良い。
 お話は過去と現在の密室が複雑に絡み合っており、それを試行錯誤しながら少しずつ解明していく過程は大変精緻で、エラリークイーンのようでもあります。
 このシリーズで飛びぬけて素晴らしい内容と思いました。
 続編が出るとよいなあ。


No.697 6点 マツリカ・マハリタ
相沢沙呼
(2020/05/15 21:00登録)
 このシリーズは現在3作出ています。本屋で3冊とも買ったので1作目があまり好みではなかったが2冊目も読みました。ゴールデンウイークがコロナでどこも出かけられなかったので読書するしかなかった。
 最初はあーどうしようもないなあといった感じ。
 こんなうっとうしい男には全くイライラさせられます。マゾとエロしかないではないか。暇でなかったら絶対読むのをやめていた。読んで損した、と思っていましたが、マツリカさんのぞが解明されていくにしたがって興味しんしんとなり、最後は一気読みとなりました。
 初めのところは評価3ぐらいでしたが最終的にはこんな評価となりました。


No.696 6点 彼女の色に届くまで
似鳥鶏
(2020/05/15 20:51登録)
 作者はちょっとおふざけな感じの軽いお話を書いているものと思っていましたが、これはだいぶん違っていました。
 十分に美術ミステリーといってよい内容なのです。内容だけなら結構深刻で本格の美術ミステリーで十分通ると思います。
 作者はかなりの美術愛好家のようで、その方面に詳しい方が作った本格物なのです。
 ただ作者が入れた訳注が結構あり、これを見るとやっぱりおふざけを加えないとおれないようです。さらに無駄に長いあとがき。
 せっかく魅力的な女性探偵と個性的な若者を登場させたのですから、このお話の中ではおふざけはできるだけおさえてほしかった。
 こんなお話は好きなんです。できればシリーズ化してほしいぐらい。


No.695 5点 マツリカ・マジョルカ
相沢沙呼
(2020/05/09 19:59登録)
 かなりへんてこりんなお話でした。
 主人公のマツリカさんは極めて傲慢、それに従う柴犬君は何とも優柔不断。読んでいてイライラさせられます。
 一応推理小説となっていますが、マジョリカさんの推理がうまく述べられていないのか、私にはわかりにくいお話もありました。
 もともとあり得ない設定なのですからこんなもんでよいのかもしれません。一番良かったのはマツリカさんのセクシーシーン 


No.694 7点 海に消えた神々
今野敏
(2020/05/08 21:33登録)
 前作の「神々の遺品」はUFOやピラミッドといった超有名だがかなりいかがわしいものも多い謎を取り上げていたので、推理小説としてはもう一つとの印象でしたが、本作品は謎のいかがわしさが少ないせいか、愉しく読めました。
 これなら次作が出てもまた読んでみたいといった内容です。
 お話もひねりが効いており、どんでん返しというほどではないが、意外な結論になっています。ただ謎を解く道筋がかなりご都合主義的なところもあるので、そこがちょっと減点かな。
 


No.693 5点 神々の遺品
今野敏
(2020/05/06 11:46登録)
 古代文明の謎に迫る推理小説と宣伝されています。
 こういった話は好きなのです。巻末にある参考文献らしきものも結構読んだことがあります。ただし私はそういった話を信じているのではなく、たんに興味がある程度なのですが。
 作者はベテランで語り口もうまいので、かなり期待して読みました。
 読んだ感想はもう一つ。
 超古代文明とそれにかかわる謎の巨大組織が強い力を持っているというお話となると、どうしても推理小説というよりは昔でいう伝奇小説のほうが向いていそうです。
 伝奇として書いたなら結構面白そうなのですが、ずいぶん昔に否定されたことなどもごちゃまぜにしてあると、推理小説としてはちょっと興味をそがれます。


No.692 7点 素敵な日本人
東野圭吾
(2020/05/03 08:32登録)
 短編編集ですが、それぞれのお話が全く別のもので何のつながりもありません。
 本格物から、SFまであります。
 こういった内容ですと多くは出来不出来が気になることが多いのですが、さすが作者は語り口がうまくどの作品もスラスラと読めます。
 逆に言えば、凄い、といったものもあまりないのですが、平均点高く粒ぞろいとも言えます。


No.691 4点 アリバイ崩し承ります
大山誠一郎
(2020/05/01 18:03登録)
ほかの方も書いておられるようにクイズの出題と答えといった感じを強く受けるお話でした。
 登場人物が全然現実感がなく機械のような感じがします。作者ならもっと膨らませて魅力的な女性に描けそうに思うのです。わざとこんな風にしたのでしょうか。
 作者の新しいトリックを追及するという姿勢は大いに買っているのですが、こんな風にしてしまうと面白くも何ともありません。

以下ちょっとネタバレ
 第1話は絶対成立しません。事件があった時間をずらす画期的方法のようにみえますが、人間の生理機能を無視した話です。つまり成り立たない。さらに末期すい臓がんなら解剖を行って見逃すなんてことはあり得ませんね。
 第2話もパクリとのことですが、これもちょっと無理がありすぎます。
 それ以後の話は無理やりのところはありますが、まあ全体成り立たないというわけではないので許せる範囲ではあります。


No.690 7点 天上の葦
太田愛
(2020/04/27 20:08登録)
社会派推理小説が好きなら、ぜひ読んでみてください。
 力作です。
 かなり長いが、物語は二転三転してなかなか本筋が見えてこない。
 読者は都会の中から忘れられたような島へ、そしていつのまにか戦争の時代へとめまぐるしく変化するお話に翻弄される。これでもう終わりかと思ったら起死回生の一撃で立ち直り、でも相手もなかなか降参せず新たな手を打ってくる。
 このようなお話なので、さぞやハラハラドキドキとなりそうなのですが、思ったほどドキドキとはなりません。
 これはシリーズものなので主人公たちが死んでしまったりはしないということがはっきりしているのと、お話の中での「良いもの」と「悪いもの」がはっきり分かれているため、読んでいて安心感があるのですが、どんなピンチになっても最後は正義が勝つことが約束されていることが感じられるせいなのでしょう。
 


No.689 6点 赤い博物館
大山誠一郎
(2020/04/19 12:55登録)
 最初の2作(パンの身代金と復讐日記)は比較的無理がなく、内容もひねりが効いていて面白かった。
 最後の「死に至る問い」は賛否が分かれているようですが、私にはこれはいくらなんでもちょっと無理やりすぎると思いました。
 しかしこれだけしっかり内容を盛り込んだ作品を並べて見せてくれたのはすばらしい。
 こういった短編集だとどうしても出来不出来が気になってしまうけど、次作に期待が持てますね。


No.688 5点 暗幕のゲルニカ
原田マハ
(2020/04/12 08:26登録)
 私も楽園のカンヴァスが良かったのでこの本も読んでみたのですが、やはりこちらのほうがちょっと落ちるように思います。
 作者のピカソに対する思い入れは十分にわかるのですが、私のような絵画の門外漢にとってはゲルニカがそこまでの力があるかどうかは不明です。ちなみにスペインでゲルニカのホンモノをみましたし、ゲルニカへ行って町の記念碑のようになっているコンクリートでできたゲルニカも見てきましたが(その程度の関心はあるのです)、迫力を感じつつもアートが一番の力か否かはよくわかりませんでした。
 私にとって価値観の根本的なところで多少のずれがあるため、お話の内容への共感が十分ではありませんでした。勿論作者のこういった姿勢に反対するものではなくむしろ賛成に回りたいのですが、そこまでの情熱が出ないということなのでしょう。
 したがって評価もちょっと下がります。


No.687 7点 ヴァイオリン職人と消えた北欧楽器
ポール・アダム
(2020/04/10 20:50登録)
 好みの探偵ヴァイオリン職人ジャンニシリーズの第3弾。
 今回は北欧の民族楽器ハルダンゲル・フィドルという知らない楽器がお話の中心に添えられます。聞いたことのない楽器だったのでネットで検索するとヴァイオリンと似てはいるが全く異なった音がするようです。
 主たるシチュエーションはノルウェイのベルゲン。夏に近いのに寒くて毎日雨ばかり降っているが、私が以前訪れた時はほとんど晴れていてとても美しかったが。
 今回はジャンニは刑事さんだけでなく、恋人のマルゲリータと一緒に旅をする。大変ロマンチックなところもあり、歳をとってもこんなロマンが味わえるなんてすてきだなあ。
 お話は意外な展開となる。物語の面白さもさることだが、主人公の感じのよさがこのシリーズの最高に引き付けられるところです。


No.686 5点 チェーンレター
折原一
(2020/04/07 15:59登録)
折原氏の作品は以前は結構好きで読んでいたのですが、しばしば改題されて新作と思ったら実は以前読んだことがあるものを買わされることが重なり、あまり手を出さなくなっていました。ちゃんと確認しない方が悪いとも言えますが。
 本作品も得意の?改題ものです。幸い改題前のを読んでいなかったので今回は騙されずにすみました。
 相変わらず複雑な構成となっておりいったん事件が解決したはずなのに同じような事件が繰り返し起こるという不思議なお話です。


以下多少のネタバレ
 不幸の手紙のような棒の手紙を送りつけるといったあたりは読むのに良い気分にはなれません。犯人がわかり事件解決後同じ状態が続くといったあたりはさすが折原一といったところではありますが、こんなに都合よく同じことをする人が連続するとはなかなか思い難いなあ。


No.685 7点 すみれ屋敷の罪人
降田天
(2020/03/29 17:47登録)
こういった一つの事象に対してかかわった人が次々と証言していくという形式は、推理小説の中では古来よく使われてきた技法のひとつです。
 この方法は述べる人物が変わることによって、登場人物の性格やお話そのものががらりと変わってしまうことがあるため、お話が極めて意外な展開となりますが、一つ間違えると作者がご都合主義的にお話を捻じ曲げてしまうといった印象を受けてしまいます。
 この作品は良く練り上げたプロットで読者にこういった不満が起きることなく上手にまとめ上げていると私的には感じました。
 登場人物もエキセントリックそうで実は普通の感覚を持っており、読んで共感が得られました。
 なかなか良いです。


No.684 7点 楽園のカンヴァス
原田マハ
(2020/03/25 20:05登録)
絵画のミステリーは時折見かけますが、これほど名画の裏事情に切り込んだ作品は初めてでした。絵画が好きな人はこれ程絵にのめり込んでいくのかとある意味感心しました。お話は殺人事件など衝撃的な事件は全くでてきはしませんが、充分に興味深く刺激的です。
 女性が書いた作品らしく理性的なのにそれを無視するようなロマンチックなところもあります。特に主人公の冷徹なまでの性格と学識、そして容赦なく相手を叩きつぶす激しさと、しばらくして見せる女らしさとある意味での弱さはまずなかなか男の作家には書けないでしょう。
 最後がちょっと甘いがなかなか素敵な作品と思います。


No.683 6点 ネメシスの使者
中山七里
(2020/03/15 08:57登録)
中山氏の活躍ぶりは目を見張るものがあります。多作なのに内容が充実している。すごく忙しく執筆しておられると書評に良く書いておりますが、内容が伴わった上での多作というのはなかなかできないものと感心しています。
 この作品も巧みな展開で決して読者を飽きさせません。内容も濃く素晴らしいのですが、私としては岬の息子さんが活躍する作品のほうが好みです。
 この作品は小説として完成度が高いと思いますが、作者の主張が強く反映されており、それが間違っているとは思いませんが、必ずしも全面的に共感するに至らないからかもしれません。
 小説としては素晴らしいと思います。

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