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ミステリの祭典

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光秀の定理

作家 垣根涼介
出版日2013年08月
平均点6.00点
書評数2人

No.2 6点 メルカトル
(2025/10/22 22:31登録)
永禄3(1560)年の京。
牢人中の明智光秀は、若き兵法者の新九郎、辻博打を行う破戒僧・愚息と運命の出会いを果たす。
光秀は幕臣となった後も二人と交流を続ける。やがて織田信長に仕えた光秀は、初陣で長光寺城攻めを命じられた。
敵の戦略に焦る中、愚息が得意とした「四つの椀」の博打を思い出すが――。
何故、人は必死に生きながらも、滅びゆく者と生き延びる者に分かれるのか。
Amazon内容紹介より。

主要登場人物は少ないですが、其々強い信念を持っており、それらのぶつかり合いが本作の読みどころとなっています。又各人物像が確りと確立されていて非常に読み応えがあります。光秀が主役という訳ではありませんが、その人となりや生い立ちなどが知れて勉強になりました。
愚息の宗派を超えた仏教観の凄みと新九郎の元々人並み外れた武術の進化が上手く組み合わさって、絶妙のコンビ感が生まれます。

光秀と言えば本能寺の変ですが、これに関しては詳しく語られていません。生真面目で不器用な光秀と破天荒でありながら優れた戦略家の信長とは、水と油の様に語られる事が多いですが、ここではその確執は本質的な部分で省略されており、その分最後に何故謀反を起こしたのか、愚息と新九郎が考察します。歴史小説としてはそれなりに良く出来ていると思います。ただ、確率論については、その全容は完全には理解が及びませんでした。

No.1 6点 makomako
(2020/08/23 13:04登録)
 ちょうどNHKの大河ドラマで麒麟が来るをやっている(今はコロナで休憩中です)が、この作品は光秀の生涯を描いたものではありません。
 信長につかえ始めるまでと、なぜ光秀が本能寺の変を起こしたかについての考察のような内容となっています。それ以外のところはすっぽりと抜けている。だから光秀の生涯を知りたいといった方には肩透かしを食うこと請け合いです。
 確かに新しい考え方ではありますが、歴史小説としてはちょっと弱く、推理としてはそれほどでもないかな。
 悪くはありません。歴史小説が好きなら読んでダメということはないと思います。

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