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ミステリの祭典

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殺人者の顔
クルト・ヴァランダー

作家 ヘニング・マンケル
出版日2001年01月
平均点5.25点
書評数4人

No.4 5点 makomako
(2020/12/14 19:06登録)
 スウェーデンのミステリーは初めて読みました。主人公はかなりいい加減なところがある警察官。日本だったら絶対懲戒免職ですが、スウェーデンではこれでよいということでしょうか。
 世界的に売れたところからみて世界基準ではこんなもんなのかなあ。
 ちょうどこの小説が書かれたころにスウェーデンにしばらく行ったのですが、こんな感じは受けなかった。まあ私が外国人であったからかもしれませんが。
 いずれにせよ本格推理の枠に入るものではなく、警察小説で主人公のキャラクターで読ませるといったところでしょうか。
 

No.3 6点
(2014/03/29 14:05登録)
スウェーデン南部の片田舎で起きた殺人事件を扱った警察ミステリー。
主人公はイースタ署の刑事、クルト・ヴァランダーです。

警察小説というよりは、心身ともにボロボロに擦り切れたヴァランダーのキャラクタ小説といってもいいぐらいです。
ありとあらゆるすべてが彼の視点で描いてあります。もちろん私生活もです。彼は署内でナンバー2ぐらいの地位ですが、自ら動くというのが身上のようで、だからこそ、ヴァランダーの視点だけでも十分に楽しめるということなのかもしれません。登場人物が多いわりに読みやすいのは、そんな理由からなのしょう。

手がかりは読者へいちおう開示され、最後には回収されるのですが、手がかりをもとに謎解きすることは絶対に無理です。そういった非本格ミステリーですが、個人的には楽しめました。捜査の過程を楽しむつもりで読めば満足感は得られるのではないかと思います。

シリーズ第1作だから主人公に関する描写を中心にしたのは止むを得ない気もします。次作以降がどうなっているのか、楽しみです。

No.2 4点 江守森江
(2011/01/29 18:33登録)
今週木曜日からAXNミステリーで「スウェーデン警察クルト・ヴァランダー」のドラマシリーズ(スウェーデン制作版)帯再放送が開始された。
シリーズの最初は2話に跨る大作エピソード(本作が原作)でスタート。
毎度のごとくドラマ視聴後のおさらい読書だが、ドラマ視聴でミステリーとしての期待が皆無だったのが幸いし丁度良かった。
スウェーデンで真っ先にイメージするのが少年時代に見た北欧ポルノ雑誌な中年オヤジである私が感情移入するに相応しい主人公のキャラではあるが、私生活が充実している(敢えて断言する)私とは環境が違い過ぎて笑えてしまう。
主人公を含めたキャラを楽しむのが主眼になるので原作のイメージを損なうどころか増幅する適役を配したドラマ版を観るだけで事足りる気がする。
この作品が一家に一冊レベルなベストセラーであるスウェーデンは、私には理解し難い国でもある(もっとも私は、スウェーデンの社会情勢に全く興味がない)
このシリーズの影響下で「ミレニアム」シリーズが書かれた故に(うらぶれた中年男が主人公だとパクリと揶揄される懸念があり)対極的造形なリスベットが誕生したのなら、世界的にはそれが本作最大の意義かも知れない。
※余談
本シリーズが色々な言語に翻訳され世界中で2500万部も売れている現状を鑑みるに、私の求めるミステリと世界が求めるミステリーには大きな隔たりがある。
それでも私は、世界に迎合しない偏屈な日本人であり続けたい。

No.1 6点 kanamori
(2011/01/27 17:45登録)
スウェーデン製の警察小説といえば、四半世紀前に評判をとった「笑う警官」を代表作とする”マルティン・ベック”シリーズですが、本書から始まるクルト・ヴァランダー刑事シリーズも、スウェーデンの社会問題を題材に、年1冊ペースで出版という点で共通するものがあります。
相違点は、舞台が南部の小さな港町であることと、現代ミステリゆえに人物造形に深みがあること。特に、妻に離婚され、娘は家出、父親は認知症という、私生活崩壊寸前の主人公ヴァランダーの書き込みが重厚です。
登場人物一覧に犯人の名前がなかったり、最初から犯人が明らかにされている作品もあって、謎解き・犯人当てミステリとしては弱いので、好みが分かれるシリーズだと思う。

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