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ミステリの祭典

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オリジン
ロバート・ラングドン

作家 ダン・ブラウン
出版日2018年02月
平均点6.33点
書評数3人

No.3 6点 麝香福郎
(2022/12/27 23:09登録)
波打つ金属板で外観を覆った建物自体が独特のデザインであるビルバオのグッゲンハイム美術館で、教授の元教え子で未来学者のエドモンド・カーシュが科学的大発見を発表する。それは人間が「どこからきて、どこへいくのか」を明らかにするもので、あらゆる宗教の教えを否定する内容だったのだ。
いよいよ発表という瞬間、壇上に現れたカーシュが額を撃ち抜かれて絶命するという衝撃的な事件が発生する。発表内容は何だったのか、カーシュ暗殺の黒幕は宗教界なのか。その場に居合わせた教授が、二つの疑問を解き明かそうと奮闘、緊張感みなぎる物語が展開される。
人類の起源と未来を、人工知能によって解き明かそうとするくだりは、ほら話と一笑に付せない説得力があり刺激的だ。加えて、謎を追う教授がカサ・ミラやサクラダ・ファミリアを巡る描写は、さながら紙上観光の趣がある。よく知られた名所とはいえ、建物の外観や内装に関する蘊蓄が満載で、新しい発見があった。

No.2 5点 makomako
(2020/07/24 07:39登録)
我々はどこから来てどこへ行くのか。こんな深刻なテーマが解決されたというすごいお話。
 これを聞いたユダヤ教やイスラム教の指導者が死んでしまう。なぜかキリスト教の指導者は無事。
 おいおい大丈夫ですかね?こんな壮大なテーマで。と心配しつつ読みました。解決されたとする内容はなかなか出てこない。最後になって公表されるが、これが何ともしょぼい(ネタバレとなるので詳しくは書きませんが)。この程度の説ならすでにいくらでもあるでしょ。はやった映画にもなっているよね。
 こんな話を聞いて宗教指導者が愕然とするかなあ。仏教指導者なら全然動じずそれもありとするかもしれませんが、なんせキリスト教の国のお話ですからそんなことはおくびにも出てきません。
 最後に機械文明がとんでもない事にもなるといったところはなかなか面白かったですが、全体としてメインテーマの解決が大したことがないためパッとしませんでした。

No.1 8点 蟷螂の斧
(2019/07/13 09:29登録)
「BOOK」データベースの内容紹介は、かなりのネタバレで興ざめです。シリーズ第1作「天使と悪魔」は宗教と科学の対立・共存がテーマでした。本作も同様ですが、日本においてはあまり興味のないテーマで痛いところ(苦笑)。しかし、宗教と科学の対立構造が単純明快に解説されていて大変勉強になりました。物語は「われわれはどこから来たのか、われわれはどこへ行くのか」(ゴーギャンの有名な絵画の題名であるのですが知りませんでした)という壮大な謎と暗殺者の黒幕は誰かという謎で引っ張っていきます。舞台はスペインのガウディの作品群で、AIも登場します。エンタメ系としてはまずまずのどんでん返しもあり楽しめました。「謝辞」で科学者、宗教学者、歴史家などの名前が100人近く挙がっており、かなり綿密な取材を行ったことが窺え+1点。

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